ビジネス用語
払拭(ふっしょく)の意味と使い方
例文・言い換え・英語
「払拭(ふっしょく)」=不安や疑い、悪い印象などを、すっかり取り除くことです。使った一文は「お客様の不安を払拭できるよう、手順を一つずつご説明します。」。会議の資料、報告メール、提案書、お詫びの文書でよく使う書き言葉です。このページでは、まず要点を一つの表にまとめ、そのあと「払拭する/される/できる」の形、よく組む言葉、場面別の例文、穴埋めで使える型、似た言葉との違い、英語、社外で使うときの注意、送る前のチェックリストの順に説明します。
結論
「払拭」は、残っている好ましくないものを、きれいに取り去ることを表します。字のもとの意味はちりや汚れを「はらい」「ぬぐう」ことですが、仕事の場面で使うのは、ほぼ不安・懸念・疑念・悪いイメージなど、気持ちや受け止め方についてです。「◯◯を払拭する」「◯◯が払拭される」の形で使います。
「払拭」の要点(ここだけ読めば使える)
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 読み方 | ふっしょく |
| 意味 | 不安・疑い・悪い印象などを、すっかり取り除くこと |
| 使う形 | ◯◯を払拭する/◯◯が払拭される/払拭できる/払拭しきれない/◯◯の払拭 |
| よく組む言葉 | 不安・懸念・疑念・不信感・誤解・先入観・悪いイメージ・苦手意識 |
| 言い換え | ぬぐい去る、取り除く、解消する、(疑いを)晴らす、(誤解を)解く |
| 英語 | dispel / allay(不安・懸念)、clear up(誤解)、shake off(イメージ) |
| 目上・社外 | 使える。ただし「払拭いたします」と言い切らず「払拭できるよう努めてまいります」 |
| 向かない対象 | 物(在庫など→一掃)、課題そのもの(→解消) |
「払拭」の意味と字の成り立ち
「払」ははらう、「拭」はぬぐう・ふくという意味の字です。はらって、ぬぐって、すっかりなくすという組み立てで、そこから心に残った不安や、まわりの人が持つ悪い印象を取り除く意味で使われています。
ポイントは「すっかり」という強さです。少し和らげる程度なら「軽減」「和らげる」、問題をなくすなら「解消」のほうが合います。
「拭」は「拭く(ふく)」の字なので読みに迷いやすい言葉ですが、会議や電話では「ふっしょく」と読みます。文書によっては、かな交じりで「払しょく」と書かれていることもあります。
Point
払拭=不安・疑い・悪い印象などを、すっかり取り除くこと。「すっかり」の強さがあるので、約束として使うときは言い方に気をつけます。
「払拭する」「払拭される」「払拭できる」の使い分け
| 形 | 意味の向き | 例文 |
|---|---|---|
| ◯◯を払拭する | 自分たちが取り除く | 丁寧な説明で、利用者の不安を払拭する。 |
| ◯◯が払拭される | 結果として消える(受け身) | 実演を見たことで、参加者の疑問が払拭された。 |
| 払拭できる/できない | 取り除けるかどうか | この資料だけでは、現場の懸念を払拭できない。 |
| 払拭しきれない | 取り除こうとしたが残っている | 説明会を開いたが、不安は払拭しきれていない。 |
| 払拭に努める | 取り除くよう力を尽くす(約束をやわらげる) | ご心配の払拭に努めてまいります。 |
| ◯◯の払拭 | 名詞として見出しや資料に | 今期の重点:品質への不信感の払拭 |
「払拭された」は不安などが消えた状態を表します。「懸念が払拭された」と書けば、心配の種がなくなったという報告になります。
よく一緒に使う言葉と例文
| 組み合わせ | 例文 |
|---|---|
| 不安を払拭する | 初めての方の不安を払拭するため、当日の流れを事前にお送りします。 |
| 懸念を払拭する | セキュリティ面の懸念を払拭できるよう、運用ルールを文書にしました。 |
| 疑念を払拭する | 数字への疑念を払拭するため、元のデータも添付します。 |
| 不信感を払拭する | 一度生まれた不信感を払拭するには、約束を守り続けるしかない。 |
| 誤解を払拭する | 「費用が高い」という誤解を払拭するため、見積もりの内訳を公開した。 |
| 先入観を払拭する | 先入観を払拭してもらうには、まず一度使ってもらうのが早い。 |
| イメージを払拭する | 「堅い会社」というイメージを払拭したい。 |
| 苦手意識を払拭する | 小さな成功を重ねて、数字への苦手意識を払拭しよう。 |
場面別の例文(会議・メール・提案書・面接・日常)
会議で(社内)
新しい仕組みへの不安を払拭するために、導入前に説明会を開きましょう。
前回のトラブルで生まれた不信感は、資料一枚では払拭できません。対策の進み具合を毎週共有していきます。
反対意見の多くは「手間が増える」という心配です。そこを払拭できれば、合意は取れると考えています。
報告メールで(社内の上司へ)
件名:◯◯の説明会のご報告
◯◯部長
お疲れさまです。□□です。
本日、◯◯の変更について現場向けの説明会を行いました。
質疑の中で出た作業負担への懸念は、手順書の見直しで払拭できる見込みです。
見直した手順書は◯月◯日(◯)までにお送りいたします。
注意
「払拭できました」と言い切るより、「払拭できる見込みです」「まだ一部の懸念は払拭しきれていません」と書くほうが、状況を正直に伝えられます。
お詫び・再発防止のメールで(取引先へ)
件名:◯◯の不具合について(再発防止策のご報告)
株式会社◯◯
◯◯様
いつもお世話になっております。株式会社△△の□□です。
このたびはご迷惑をおかけし、誠に申し訳ございませんでした。
再発防止策を下記のとおりまとめました。
おかけしたご心配を払拭できるよう、今後の対応状況も定期的にご報告いたします。
注意
お詫びの文面全体はお詫びの言葉の使い分けを参考にしてください。
提案書・企画書で
現状の課題:新サービスに対し「操作が難しそう」という先入観がある。
施策:体験会を開き、実際に触ってもらうことで先入観を払拭する。
本提案の狙いは、導入コストへの懸念を払拭し、試験導入の判断をしやすくすることです。
お知らせ・社外向けの文書で
利用者の皆様のご心配を払拭できるよう、点検の結果を当ページで順次お知らせいたします。
朝礼で
今年は「新しいことは手間がかかる」というイメージを払拭できるよう、小さく試して結果を共有していきたいと思います。
面談で(上司から部下へ)
苦手意識を払拭するには、まず短い発表を何回か経験してみるのがいいと思う。次の定例で少しだけ話してみない?
面接・自己PRで
前職では、新しいツールに対する現場の抵抗感を払拭するため、使い方の勉強会を自分から開きました。
日常の会話・文章で
下見に行ったおかげで、当日への不安を払拭できた。
イベントの仕事での使い方(現場の例文)
イベントの仕事では、「当日うまくいくのか」という不安を、クライアント・来場者・出演者・社内のそれぞれが抱えています。「払拭」は、その不安に何で応えるかを書くときに使う言葉です。ここでは、イベントの準備から事後報告までの場面ごとに、そのまま使える例文をまとめます。
| 場面 | 誰の、何の不安か | 払拭する手段の例 |
|---|---|---|
| トラブル後のお詫び・報告 | クライアントの「次回も同じことが起きないか」 | 原因と再発防止策、次回の確認手順 |
| 企画書・提案 | 決裁者の「集客できるのか」「運営が回るのか」 | 過去の自社実施の経緯、進行表、体制図 |
| 来場者への告知 | 来場者の「雨でも開催するのか」「混雑しないか」 | 開催判断の時刻、雨天時の動線、入場の流れ |
| クライアントへの説明 | 担当者の「社内にどう説明すればよいか」 | 判断の根拠をまとめた一枚の資料 |
| 出演者・スタッフへの連絡 | 「当日の段取りが分からない」 | リハーサル、香盤表、連絡先の一覧 |
トラブル後のお詫び・再発防止の報告で
【メール/クライアントへ・終演の翌日】
昨日の◯◯では、受付の開始が遅れ、ご来場の皆様と御社にご迷惑をおかけし、誠に申し訳ございませんでした。原因は、受付端末の準備を開場直前まで後回しにしていたことです。次回からは開場前に受付のリハーサルを行い、その結果を御社にもご報告いたします。おかけしたご心配を払拭できるよう、準備の段階から状況を共有してまいります。
【報告書の一文/事後の振り返り資料】
再発防止策:音響トラブルの際の切り替え手順を進行台本に書き込み、本番前のリハーサルで実際に切り替えを試す。これにより、次回の配信に対する主催者側の懸念を払拭する。
【口頭/振り返り会議で・クライアントの担当者へ】
今回の件では、大変ご心配をおかけいたしました。おかけしたご心配を払拭できるよう、次の展示会では設営の段階から立ち会っていただける日程を組ませてください。
企画書・提案書で懸念を払拭する
【企画書の一文/決裁者向け】
想定される懸念:初めての屋外開催で、運営が回るかどうか。
対応:会場の下見を二回行い、進行表と担当者の配置図を事前にご確認いただくことで、この懸念を払拭します。
【メール/提案書を送るとき・クライアントの担当者へ】
社内でご説明いただく際に「本当に人が集まるのか」というご質問が出ると伺いましたので、集客の手順と、申込数が伸びないときの打ち手を一枚にまとめました。ご懸念の払拭にお役立ていただければ幸いです。
注意
企画書では「懸念を払拭します」だけで終わらせず、何を見せて払拭するのか(下見、進行表、体制図など)を同じ段落に書きます。
雨天・安全面の不安を払拭する告知で
【告知文/公式サイト・SNS、開催の数日前】
当日の天候についてご心配の声をいただいております。開催の可否は、当日の朝◯時にこのページでお知らせします。雨天の場合も、屋根のある◯◯エリアで実施する予定です。ご来場前にこのページをご確認ください。
【メール/申込者へ・前日】
明日の◯◯にお申し込みいただいた皆様へ。会場周辺の混雑についてお問い合わせをいただきましたので、入場の流れと、お子様連れの方の待機場所をご案内します。当日のご不安を払拭できるよう、会場の地図も添付いたしました。
注意
来場者向けの告知では「払拭」という言葉自体を使わなくてもかまいません。「ご心配の声をいただいております」→「判断の時刻と方法」→「確認する場所」の順に書くこと自体が、不安を払拭する文章になります。
クライアント・社内への説明で
【チャット/社内の上司へ・本番一週間前】
◯◯様から「雨の場合の判断が遅れないか」とご質問がありました。前日の◯時と当日の朝◯時の二回で判断する流れを図にしてお送りしたところ、懸念は払拭できたとのお返事をいただいています。
【口頭/打ち合わせで・クライアントの担当者へ】
出演者の入り時間がぎりぎりではないか、というご心配について、リハーサルの時間を前倒しした香盤表をお持ちしました。これでご懸念を払拭できるか、ご確認いただけますか。
注意
クライアントへの説明では、払拭できたかどうかをこちらで決めずに相手に確かめるほうが安全です。「払拭できたと考えております」より「ご懸念は残っていませんか」と聞くほうが、行き違いを防げます。
穴埋めでそのまま使える型
【】の中を書き換えて使ってください。
【相手】の【不安/懸念】を払拭できるよう、【具体的な行動】いたします。
【懸念の中身】という懸念は、【対策】により払拭できる見込みです。
【対策】を行いましたが、【残っている点】については、まだ懸念を払拭しきれておりません。【次の手】を進めてまいります。
課題:【誤解・先入観の中身】/施策:【行動】によって、これを払拭する。
注意
何を・どうやって払拭するかを一緒に書くと、ただの決意表明に聞こえません。
似た言葉との違い・言い換え
| 表現 | 意味 | 使い方の目安 |
|---|---|---|
| 払拭 | 不安・疑い・悪い印象などをすっかり取り除く | 書き言葉。報告・謝罪・提案の文書 |
| 一掃 | すっかり払いのけること | 「在庫を一掃する」など物にも使う |
| 解消 | 問題や状態をなくすこと | 「不安を解消する」「課題を解消する」。払拭より広く使える |
| 軽減/和らげる | 程度を小さくする | すっかりなくすとまでは言えないとき |
| ぬぐい去る | すっかり取り去る | 和語の言い換え。やわらかい |
| 取り除く | 不要なものを除く | 最も分かりやすい言い換え |
| 晴らす | 疑いや不満をなくす | 「疑いを晴らす」「無念を晴らす」の形 |
| 解く | 誤解やもつれをほどく | 「誤解を解く」が定番の言い方 |
| 打ち消す | そうではないと否定して消す | 「うわさを打ち消す」 |
「不安」「誤解」「課題」ではどれが自然か
| 対象 | 自然な言い方 | 気になる言い方 |
|---|---|---|
| 不安 | 払拭する/解消する/和らげる | —(どれも使える) |
| 疑い | 晴らす/払拭する/解く | — |
| 誤解 | 解く/払拭する/晴らす | — |
| 課題・問題 | 解消する/解決する | 払拭する |
| 在庫 | 一掃する/処分する | 払拭する |
反対の向きを表す言葉
不安や不満が消えずに残るときは「残る」「くすぶる」「尾を引く」、新たに生まれるときは「招く」「生む」「抱かせる」を使います。例:「説明が足りず、かえって不安を招いた」。
「払拭」を英語で言うと
| 英語 | 合う場面 | 例文 |
|---|---|---|
| dispel | 不安・うわさ・誤解を消す | We held a briefing to dispel concerns about the new system. |
| allay | 不安・懸念を和らげて取り除く(改まった言い方) | We hope this report will allay your concerns. |
| clear up | 誤解をはっきりさせる | I'd like to clear up a misunderstanding. |
| shake off | 悪いイメージや評判を振り払う | The brand is trying to shake off its old-fashioned image. |
間違えやすい使い方
| ありがちな言い方 | 気になる点 | 直し方 |
|---|---|---|
| 在庫を払拭する | 物には「一掃」が合う | 在庫を一掃する |
| 課題を払拭する | 問題そのものには「解消」「解決」が自然 | 課題を解消する |
| (取引先に)ご不安は必ず払拭いたします | すべての不安をなくすと約束する形になり、守れないと信頼を損ねる | ご不安を払拭できるよう努めてまいります |
| 払拭させていただきます | 相手の許しを得る話ではないので、へりくだりすぎ | 払拭できるよう努めます |
| 払底(ふってい)と取り違える | 払底は「品物などがすっかりなくなること」で、別の言葉 | 不安には「払拭」、品切れには「払底」 |
| 少し払拭できた | 「すっかり」の意味と合わない | 少し和らいだ/一部の懸念は解消できた |
注意
読み間違えやすいビジネスの漢字はビジネスで読み間違えやすい漢字一覧にまとめています。
目上の人・社外に使うときの注意
「払拭」は失礼な言葉ではなく、目上の人や取引先への文書でも使えます。気をつけたいのは誰の不安を払拭するのかという点です。相手の気持ちについて使うときは、相手の不安を決めつけない言い方にします。
| 場面 | おすすめの言い方 |
|---|---|
| 自社の対応への不安に触れる(社外) | おかけしたご心配を払拭できるよう努めてまいります |
| 上司への報告 | 懸念は◯◯で払拭できる見込みです |
| 相手の誤解を解きたい | 分かりにくい表現があり、申し訳ございません。改めてご説明いたします |
| 話し言葉でやわらかく | 不安をなくせるように/心配を取り除けるように |
「御社の不安を払拭します」のように相手が不安を抱えていると決めつける言い方は、相手によっては引っかかります。「おかけしたご心配」のように、こちらの行いを起点に書くと角が立ちません。
「払拭」を使った文を送る前のチェックリスト
- 対象は不安・懸念・疑い・印象など、気持ちや受け止め方か(物なら「一掃」、課題なら「解消」)
- すっかり取り除く話になっているか(少し和らげるだけなら「軽減」)
- 社外に対して「払拭いたします」と言い切っていないか
- 何によって払拭するのか(説明会・資料・対策)を書いたか
- 相手の不安を決めつける書き方になっていないか
- まだ残っている懸念があるなら、「払拭しきれていない」と正直に書いたか
この記事の要点
- 「払拭(ふっしょく)」は不安・疑い・悪い印象などをすっかり取り除くこと。
- 「払拭する」は自分たちが取り除く、「払拭される」は結果として消えたことを表す。
- 物には「一掃」、課題には「解消」、誤解には「解く」も合う。
- 社外には「払拭できるよう努めてまいります」と、言い切らない形が無難。
- 英語では dispel / allay(不安・懸念)、clear up(誤解)。
FAQ
よくある質問
「ふっしょく」と読みます。「拭」は「拭く(ふく)」の字で、音読みは「しょく」です。
不安・疑い・悪い印象などを、すっかり取り除くことです。字のもとの意味は、ちりや汚れをはらい、ぬぐうことです。
不安や疑いなどが、結果としてすっかり消えることです。「説明を聞いて懸念が払拭された」のように使います。
使えます。ただし「払拭いたします」と言い切ると重い約束になるので、「払拭できるよう努めてまいります」とするのが無難です。
「払拭」は主に気持ちや印象を取り除くときに使い、「解消」は問題や状態そのものをなくすときにも使えます。「課題を解消する」は自然ですが、「課題を払拭する」はあまり自然ではありません。
字のもとの意味は汚れをぬぐうことですが、仕事の文書で物について使うことはほとんどありません。物なら「一掃」「取り除く」「拭き取る」を使います。
「ぬぐい去る」「取り除く」「解消する」「晴らす(疑いを晴らす)」「解く(誤解を解く)」などがあります。話し言葉では「不安をなくす」と言うとやわらかくなります。
不安や懸念なら dispel や allay、誤解なら clear up、悪いイメージなら shake off が合います。
トラブル後のお詫びや再発防止の報告、企画書で決裁者の懸念に答える部分、雨天や混雑への不安に答える告知、クライアントへの説明などで使います。どの場面でも、何によって払拭するのか(再発防止策、下見、進行表、開催判断の時刻など)を一緒に書くと伝わりやすくなります。