救護
イベントの救護所の作り方
体制の目安・AED・通報から救急車の誘導まで
イベントの救護所は、開催前に①救護所の場所 ②救護所に置く人(医療職か、救命講習を受けたスタッフか) ③会場のAEDの位置と状態 ④119番通報をする人 ⑤救急車を迎えて現場まで案内する人の5つを決めれば動きます。場所は「救急車が着く出口に近く、本部に近く、来場者の動線から外れた所」を基準にし、会場の管理者と現地で確かめてください。人数の決め方は、大規模イベント向けに東京都がガイドラインで目安を示しています(観客数約1万人に医療救護所1か所、医師1名・看護師等2名で1班など。詳しくは下の表)。小さなイベントでも、救護の役割を名前で決めて紙に書いておくことが、医療職がいない現場で最初の数分を動かす鍵になります。
結論
イベントの救護所とは、来場者・出演者・スタッフが体調を崩したりけがをしたりしたときに、休ませる・手当てをする・救急隊に引き継ぐための拠点です。救護体制は、発見→本部への報告→救護所または現場での対応→通報・救急隊への引き継ぎ→記録までを、あらかじめ決めた役割で回す仕組みを指します。東京都の「大規模イベントにおける医療・救護計画策定ガイドライン(第2版)」は、主催者は「事前に医療・救護に関する計画やマニュアル等を策定する必要があります」としています。AEDについては、厚生労働省の検討会報告書が「救命の現場に居合わせた一般市民が自動体外式除細動器を用いることは一般的に反復継続性が認められず、医師法違反にはならないものと考えられる」としています。
開催前に決めること(5項目+3項目)
救護の準備は、物をそろえる前に決めごとから入ります。次の表の「決めること」が空欄のまま当日を迎えると、急病人が出た瞬間に複数のスタッフが同じことをし、誰もしないことが残ります。上の5行が必須、下の3行は規模や時期に応じて決めます。
| 決めること | 判断の基準 | 誰に確認するか |
|---|---|---|
| 救護所の場所 | 本部から近い/救急車が横付けできる出口に近い/来場者の動線から外れて人目を避けられる/日陰や空調がある | 会場の管理者 |
| 救護所に置く人 | 医療職を置くか、救命講習を受けたスタッフで対応するか。規模・屋外か・飲酒があるか・来場者の年齢層・運動を伴うかで判断 | 主催者内で決定。必要なら会場・自治体・消防に相談 |
| AEDの位置と状態 | 会場備え付けのAEDがどこにあるか、インジケータが正常を示しているか、電極パッドとバッテリの交換時期が過ぎていないか | 会場の管理者(AEDの点検担当) |
| 通報する人 | 発見したスタッフが通報するのか、本部が通報するのか。役割を名前で決める | 主催者内で決定 |
| 救急車の進入口と迎えの係 | 会場の住所表記、救急車を停められる場所、そこから現場までの最短経路 | 会場の管理者 |
| 本部への報告手段 | 無線・インカム・電話のどれで、どの言い方で報告するか | 主催者内で決定 |
| 搬送先の医療機関・暑さ寒さへの備え | 近隣の救急医療機関を調べておく。暑い時期は環境省の熱中症予防情報サイトで暑さ指数(WBGT)や熱中症警戒情報の発表状況を確認する運用を決める | 主催者内で決定。大規模なら医療機関と事前協議 |
| 中断・中止の判断者 | 演目中に倒れた人が出たとき、落雷や地震のとき、進行を止めるかどうかを誰が決めるか | 主催者内で決定 |
Point
救護所の場所は「救急車の着く出口」から逆算すると決めやすくなります。救護所が会場の奥にあると、救急隊が担架を持って来場者の列を横切ることになります。下見のときに、会場の管理者に「救急車はどこに停まりますか」と聞くところから始めてください。下見の進め方はイベント会場の下見チェックリストを参照してください。
救護所の数と人員の目安:東京都ガイドラインの記載
救護所の数や医療職の人数を一律に定めた法令の基準は、この記事の作成時点では確認できていません。目安として参照できる公的資料に、東京都の「大規模イベントにおける医療・救護計画策定ガイドライン(第2版)」(平成31年3月)があります。都が主催・関与する大規模イベント向けの指針ですが、同ガイドラインは「実施規模に関わらず」イベントを主催する際の計画立案の基礎資料として活用し、イベントの実情に応じた計画を策定するよう促しています。記載のうち、救護所に関わる部分は次のとおりです。
| 項目 | ガイドラインの記載(要旨) | 主催者が使うときの考え方 |
|---|---|---|
| 医療救護所の数 | 会場に医療救護所を1か所以上設置する。設置数の目安は、観客数約1万席(人)に対し1か所が望ましい | 数千人規模でも1か所は置く。会場が分かれる場合は会場ごとに置くかを検討する |
| 医療救護所の人員 | 医療救護所ごとに医療救護班1班。班の構成は医師1名、看護師等2名を原則とする | 医療職を確保できるかは早めに依頼先と相談する |
| 臨時救護所 | 一度に多くの傷病者が出た場合に備え、医療救護所の近くに臨時の救護スペースをあらかじめ定めておく | 控室や空き会議室など、すぐ転用できる場所を候補にしておく |
| 資器材の量 | 総観客数の1%の傷病者に対応できる量を目安とする。担架は中等症以上の想定傷病者数の2分の1程度 | 大規模でない場合も、何人分を想定しているかを計画書に書いておく |
| 救急車の配備 | 配備する場合は、真に必要となる配備数を検討のうえ東京消防庁と調整し協力依頼を行う。救急隊は救急救命士を含む3名を基本とした体制が望ましい | 会場に救急車を待機させたい場合は、所轄の消防に相談する |
| 軽症者の搬送 | 緊急車両以外での搬送の要否判断や、民間救急事業者(患者等搬送事業者)の活用を検討する | タクシーや自家用車で受診してもらう場合の案内方法も決めておく |
| 搬送先の医療機関 | 会場ごとの搬送先となる医療機関の指定や連絡体制をあらかじめ整備する | 近隣の救急医療機関の名称と住所を計画書に書く |
注意
数値は東京都のガイドラインが大規模イベントを想定して示した目安で、規模の小さいイベントにそのまま当てはめる基準ではありません。会場や自治体、消防から別の指導がある場合はそちらに従ってください。
規模別の体制の比較
実際には、次の3つのどれに近い体制を取るかを先に決めると、依頼先と人数の話が進めやすくなります。どれを選ぶかは規模だけでなく、屋外か、飲酒や激しい運動があるか、来場者の年齢層で変わります。
| 体制 | 救護所に置く人 | 向いている場面の例 | 主催者が別に用意すること |
|---|---|---|---|
| A:スタッフ対応 | 救命講習を受けたスタッフ | 屋内の小規模なセミナー、社内行事 | AEDの位置確認、通報と迎えの係、休める場所 |
| B:看護師等を配置 | 看護師・救急救命士など(外部に依頼) | 数百〜数千人の展示会、屋外の地域行事、子どもが多い催し | 救護所の場所と備品、本部との連絡手段、搬送先の把握 |
| C:医療救護班+救急車の相談 | 医師と看護師等の班(ガイドラインの医療救護班) | 大規模なコンサート、スポーツ大会、花火大会 | 消防・医療機関との事前協議、臨時救護所、資器材の量の計画 |
場面別の救護の要点
同じ救護所でも、催しの種類によって事前に確かめることが変わります。
| 場面 | 事前に確かめること | 救護所の置き方の工夫 |
|---|---|---|
| 展示会・企業の発表会 | 長時間の立ち作業になる出展スタッフの体調、登壇者の配慮事項 | 受付や本部の近くに置き、案内表示を出す |
| マラソン・競技大会 | 競技中の事故に備えた待機位置、競技を止める判断者 | ゴール付近に救護所、コース上に救護担当の待機ポイントを置く |
| ライブ・野外フェス | 最前列付近の混雑、飲酒の有無、退場時の人の流れ | ステージ前の柵の内側から運び出せる経路を確保する |
| 夏祭り・花火大会 | 会場外の沿道まで人が広がる範囲、警察・警備との連絡方法 | 人混みの外側に置き、迷子案内所と場所を分けるか並べるかを決める |
| 運動会・式典・町内会の催し | 参加者の持病や配慮事項(本人の同意の範囲で)、保護者への連絡方法 | 保健室や控室を救護所にする場合は、鍵を開けておく係を決める |
| 夏の屋外 | 暑さ指数の確認係、給水場所、待機列を作らない入場の工夫、休憩場所 | 日陰と冷やすものを用意し、スタッフ自身の休憩も配置表に入れる |
| 冬の屋外 | 待ち時間の長さ、暖を取れる場所 | 暖房のある屋内を救護所にし、毛布やカイロを用意する |
東京都のガイドラインは熱中症対策として、暑熱環境の改善、適切な飲料供給、入退場の際に待機列を作らない工夫、休憩場所の確保を挙げ、観客だけでなくスタッフやボランティアの発症リスクにも触れています。暑さ対策の詳細は屋外イベントの熱中症対策、寒さは冬の屋外イベントの寒さ対策を参照してください。
AEDの扱いについて確認できること
AEDは会場に備え付けられていることが多く、主催者が持ち込むかどうかより先に「どこにあるか」「すぐ使える状態か」を確かめます。公的資料で確認できる範囲は次のとおりです。
| 項目 | 公的資料の記載 | 出典 |
|---|---|---|
| 一般市民の使用 | 救命の現場に居合わせた一般市民が自動体外式除細動器を用いることは一般的に反復継続性が認められず、医師法違反にはならないものと考えられる | 厚生労働省「非医療従事者による自動体外式除細動器(AED)の使用のあり方検討会報告書」(平成16年7月1日) |
| 日常点検 | AED本体のインジケータのランプの色や表示により、AEDが正常に使用可能な状態を示しているか、日常的に確認すること | PMDA医療安全情報 No.10(2009年5月) |
| 消耗品 | 消耗品(バッテリ、電極パッド)の交換を適切に行なうこと。バッテリは、AEDを使用しなくても消耗する | 同上 |
| 主催者の整備 | 主催者の役割として、会場管理関係者等への応急救護知識の普及と、応急手当用品等(AEDを含む。)の整備を挙げている | 東京都「大規模イベントにおける医療・救護計画策定ガイドライン(第2版)」 |
このため主催者が当日確かめるのは、AEDの位置(何階のどこか、施錠された部屋の中ではないか)、インジケータの表示、消耗品の交換時期の表示ラベルの3点です。インジケータの色や表示は製品によって異なるため、会場の点検担当者に「正常な状態はどの表示か」を聞いておきます。屋外会場で近くに備え付けがない場合は、レンタルや救護の依頼先による持ち込みを検討します。
注意
AEDを使うための手順そのもの(電極パッドの貼り方、心肺蘇生の方法)はこの記事では扱いません。スタッフに覚えてもらうには、消防署の救命講習を受けてもらうのが確実です。たとえば東京消防庁では、一般向けの「普通救命講習」や、心肺蘇生法やAEDの取り扱いなどの応急手当を学ぶ「応急救護訓練」を案内しています。内容・日程・申込方法は、会場のある地域の消防本部に確認してください。
救護の段取り:計画づくりから振り返りまで6ステップ
- 01
計画書を埋める
体制(A〜Cのどれか)、救護所の場所、役割と担当者、搬送先、連絡手段を下の救護計画書の様式に書く。
- 02
関係者と協議する
会場の管理者とAED・救急車の停車位置を確認し、外部に依頼する場合は依頼先、大規模なら消防・医療機関とも相談する。
- 03
現地で確かめる
救急車の停車位置から救護所・客席までを実際に歩き、所要の経路とエレベーターの位置を確かめる。
- 04
スタッフに伝える
事前研修や当日のブリーフィングで、通報の基準・報告の言い方・救護所の場所を全員に伝える。
- 05
当日に運用する
役割表どおりに動き、対応のたびに救護記録を書く。救護担当の休憩は交代者を決めてから取る。
- 06
終わったら振り返る
対応件数と内容、通報・搬送の有無、うまくいかなかった点をまとめ、次回の計画に反映する。
東京都のガイドラインも、事前の訓練と結果の検証による計画の見直し、終了後の振り返り、気象条件や傷病者情報などのデータ収集を主催者の取組として挙げています。報告書のまとめ方はイベント報告書の書き方を参照してください。
救護計画書の様式(コピー用)
外部に救護を依頼する場合も、主催者側でこの1枚を埋めておくと、依頼先との打ち合わせが短く済みます。
1.開催概要:日時◯月◯日 ◯:◯◯〜◯:◯◯/会場◯◯(住所:◯◯、入口名:◯◯)/想定人数◯◯人/屋内・屋外/飲酒あり・なし
2.体制:A スタッフ対応・B 看護師等を配置・C 医療救護班(依頼先:◯◯、人数:◯名)
3.救護所:場所◯◯(会場図に記入)/開設時間◯:◯◯〜◯:◯◯/臨時に使える場所◯◯
4.AED:設置場所◯◯(◯階◯◯の横)/点検状態の確認日◯月◯日/確認者◯◯
5.役割:本部責任者◯◯/通報係◯◯/AED係◯◯/救急車の迎え◯◯(◯◯口)/記録係◯◯/救護担当の交代者◯◯
6.救急車の停車位置:◯◯(会場図に記入)/停車位置から救護所までの経路:◯◯
7.搬送先の候補:◯◯病院(住所◯◯、電話◯◯)
8.連絡手段:無線チャンネル◯/本部の電話◯◯
9.暑さ・寒さ・天候の対応:確認係◯◯/確認する時刻◯:◯◯/中断・中止の判断者◯◯
10.記録の保管:保管者◯◯/保管期間◯◯/閲覧できる人◯◯
準備のチェックリスト
開催前(会場・関係者と)
- 会場図に救護所・AED・本部・救急車の停車位置を書き込んだ
- 救急車の停車位置から救護所・客席までの経路を実際に歩いた
- 会場の住所を、通報で読み上げる形(建物名・階・入口名まで)で紙に書いた
- AEDのインジケータが正常を示す表示を、会場の点検担当者に確認した
- AEDの消耗品の交換時期の表示ラベルを確認した
- 救護所に置く人(医療職か、救命講習を受けたスタッフか)を決め、名前を配置表に入れた
- 救護担当の休憩中に誰が代わるかを、名前で決めた
- 多数の人が一度に体調を崩したときに使う臨時の場所を決めた
- 近隣の救急医療機関の名称・住所・電話番号を調べた
- 出演者・登壇者の持病や配慮事項を、本人の同意の範囲で把握する方法を決めた
- 保険でどこまで備えるかを確認した(イベント保険の考え方)
救護所に用意するもの
- 横になれる場所(簡易ベッド、マット)と、周囲から見えないようにする仕切り
- 救急用品(会場に備えがあるか先に確認し、足りない分を用意する)
- 飲料水、冷やすもの・温めるもの(時期による)
- 救護記録の用紙と筆記具
- 本部との連絡手段(無線・インカム・携帯電話)
- 会場の住所と救急車の停車位置を書いた紙
- 救護所の場所を示す掲示(入口と案内所に貼る)
注意
救急用品の品目や数をこの記事では指定しません。会場や医療職の判断で中身が変わるためです。救護所に置く人が医療職なら、その人に中身を決めてもらうのが確実です。
当日の運用:役割・連絡・アナウンス
急病人を見つけたときの役割分担
発見から救急隊への引き継ぎまでを、役割に分けて決めておきます。1人ですべてをやろうとすると、通報か付き添いのどちらかが抜けます。
| 役割 | やること | 誰が |
|---|---|---|
| 発見者 | その場を離れず、本部に報告する。周囲の人に声をかけて協力を求める | 見つけたスタッフ |
| 本部 | 現場から通報が済んでいるかを確かめ、まだなら通報を指示する。AEDを取りに行く人・救急車を迎える人に指示し、時刻を記録する | 本部の責任者 |
| 通報係 | 119番通報。会場の住所・入口名・状況を伝え、指令員の指示に従う | 事前に決めた人(本部の連絡係など) |
| AED係 | AEDを現場へ運ぶ | AEDに最も近いポストのスタッフ |
| 救急車の迎え | 停車位置で待ち、救急隊を現場まで案内する。エレベーターを押さえる | 出入口のスタッフ |
| 人払い | 周囲の来場者に離れてもらい、搬送経路を空ける | 近くのスタッフ |
| 記録係 | 発見時刻、症状、行ったこと、通報時刻、引き継ぎ時刻を書く | 救護担当または本部 |
Point
呼びかけに反応がない、普段どおりの呼吸がないなど、一刻を争う様子なら、本部の判断を待たずにその場で119番通報し、AEDを持ってきてもらうことを、スタッフ全員に事前に伝えておきます。本部への報告は並行して行います。役割表は通報や手配の抜けを防ぐためのもので、通報を遅らせるためのものではありません。通報後は指令員の指示に従ってください。
朝のブリーフィングで伝える文例
無線での報告の文例
【軽い体調不良の報告】本部、こちら◯◯。◯◯付近で来場者が気分が悪いと訴えています。歩けるため、救護所へ案内します。
【本部からの指示】本部了解。◯◯さんは119番通報、◯◯さんはAEDを◯◯(場所)へ、◯◯さんは◯◯口で救急車を待ってください。
【救急車の到着】本部、こちら◯◯口。救急車到着、救急隊を◯◯(場所)へ案内します。
【引き継ぎ完了】本部、こちら救護所。◯:◯◯に救急隊へ引き継ぎました。同行者は◯名、付き添っています。
通報と救急隊への引き継ぎで伝えること
【救急隊への引き継ぎ】◯:◯◯ごろ◯◯で見つかりました。その時の様子は◯◯です。これまでに◯◯(座らせた、AEDを貼った、水を飲ませた、など)をしました。本人が名乗った氏名は◯◯さん、同行者は◯◯さんです。
会場アナウンスの文例
急病人が出たことを細かく放送する必要はありません。アナウンスの目的は救護所の場所を知らせること、搬送経路を空けてもらうこと、医療職の協力を求めることのいずれかです。
【暑い日の呼びかけ】本日は気温が高くなっております。こまめに水分をとり、日陰でお休みください。給水所は◯◯にございます。
【通路を空けてもらう】ご来場の皆さまにお願いいたします。ただいま◯◯付近の通路を使用いたします。係員の案内に従い、通路を空けてくださいますようお願いいたします。
【医療職の協力を求める】ご来場の皆さまの中に、医師・看護師の方がいらっしゃいましたら、お近くの係員までお知らせください。
注意
進行を止めるかどうかは、事前に決めた判断者が決めます。止める場合の司会のアナウンスも、司会台本の末尾に緊急時の文面として入れておくと、当日に司会者が言葉を探さずに済みます。
同行者・家族への連絡の文例
救護記録の様式(コピー用)
・発見時刻/場所:◯:◯◯/◯◯
・対象者:来場者・出演者・スタッフ(性別・おおよその年齢・本人が名乗った氏名)
・状況(本人の訴え、見て分かること):
・行ったこと(時刻とともに):
・119番通報の有無と時刻:
・救急隊への引き継ぎ時刻/搬送先(分かれば):
・同行者・家族への連絡:
・本部への報告:済/未
Point
救護記録には健康に関する情報が入ります。保管する人と期間、閲覧できる人を事前に決めておき、イベント後は報告書に必要な範囲だけを転記してください。個人情報の扱いはイベントの個人情報の扱いで整理しています。
救護を外部に依頼するとき
看護師などを外部に依頼する場合、依頼先が人数や持ち物を判断するための情報を主催者がそろえて渡します。情報が足りないと見積もりが出せず、やり取りが何往復も増えます。
依頼前にそろえる情報
- 日時(設営・撤去を含め、救護所を開ける時間帯)
- 会場名・住所・会場図、屋内か屋外か
- 想定人数と来場者の年齢層、飲酒・運動の有無
- 会場のAEDの有無と位置
- 救急車の停車位置、救護所に使える場所
- 過去の開催で救護対応があった件数と内容(分かる範囲で)
- 依頼したい範囲(救護所の運営だけか、巡回や搬送車両も含むか、計画書・報告書の作成も含むか)
依頼先に確認すること
| 確認すること | 理由 |
|---|---|
| 派遣される人の資格(看護師・救急救命士など)と人数 | 体制A〜Cのどれに当たるかが決まる |
| AEDや救急用品を持ち込むか | 会場備え付けと重ならないよう、主催者側の準備が変わる |
| 救護計画書・終了後の報告書を作ってもらえるか | 記録と振り返りの手間が変わる |
| 賠償責任保険への加入の有無 | 主催者側の保険の考え方と合わせて確認する |
| 搬送車両を出せるか(民間救急) | 軽症者を受診させる手段になる |
| キャンセル・時間延長の扱いと料金 | 当日の延長や天候による中止に備える |
依頼メールの文例
◯◯株式会社 ご担当者様
はじめてご連絡いたします。◯◯の◯◯と申します。
◯月◯日に開催する◯◯(イベント名)の救護について、ご相談させてください。
・日時:◯月◯日 ◯:◯◯〜◯:◯◯(救護所の開設時間)
・会場:◯◯(住所:◯◯)、屋内/屋外
・想定人数:約◯◯人(年齢層:◯◯、飲酒:あり/なし)
・会場のAED:あり(◯か所)/なし
・ご依頼したい内容:救護所の運営(看護師◯名程度を想定)、救護計画書と報告書の作成
人数や体制について、ご提案とお見積もりをいただけますと幸いです。会場図はお打ち合わせの際にお送りします。
どうぞよろしくお願いいたします。
◯◯(署名)
警備との分担はイベント警備員の手配、スタッフ全体の配置はイベントスタッフの人数と配置で整理しています。
よくある失敗
- AEDの位置を「会場にある」で止めていた:当日、施錠された事務室の中にあると分かった。位置は階と部屋まで確認する
- 救護担当が1人で、休憩中に空白ができた:交代者を名前で決め、休憩の時刻を配置表に書く
- 通報した人が住所を言えなかった:会場の住所と入口名を紙に書き、本部と救護所に貼る
- 救急車が別の入口に着いた:停車位置を通報時に伝え、迎えの係をそこに立たせる
- 救護所の場所を来場者が知らなかった:入口と案内所に掲示し、開場時のアナウンスで伝える
- 一度に複数の人が体調を崩し、救護所に入りきらなかった:臨時に使える部屋を事前に決めておく
- 本部に報告が上がらず、現場だけで対応していた:判断に迷うものはすべて本部へ、とブリーフィングで伝える
- 外部の救護担当と主催者の役割の境目があいまいだった:通報・迎え・家族への連絡を誰がするかを依頼時に決める
- 記録を取っていなかった:後から問い合わせがあったときに、何をしたか説明できない
事故が起きたときの主催者の責任の考え方はイベント事故の主催者責任、想定すべき事象の洗い出しはイベントのリスク管理を参照してください。
この記事の要点
- 開催前に決めるのは、救護所の場所・置く人・AEDの位置と状態・通報する人・救急車の迎えの5つ。
- 救護所の場所は、救急車が着く出口から逆算すると決めやすい。
- 東京都のガイドラインは大規模イベントの目安として、観客数約1万人に医療救護所1か所、医師1名・看護師等2名の班を示している。
- 急病人対応は、発見・本部・通報・AED・迎え・人払い・記録に役割を分け、名前で決めておく。
- 外部に依頼するときは、日時・会場・人数・AED・依頼範囲をそろえて渡し、役割の境目を決める。
FAQ
よくある質問
一律に定めた法令の基準は確認できていません。東京都のガイドラインは大規模イベントの目安として、医療救護所ごとに医師1名・看護師等2名を原則とする医療救護班を置く体制を示しています。規模の小さいイベントでは、屋外か、飲酒があるか、来場者の年齢層などで判断し、医療職を置かない場合も救命講習を受けたスタッフを救護担当にして、通報と救急車の迎えの役割を決めておいてください。
東京都のガイドラインは、会場に医療救護所を1か所以上設置し、設置数の目安を観客数約1万席(人)に対し1か所としています。会場が複数の建物やエリアに分かれる場合は、救急車の停車位置との距離も考えて追加を検討してください。
本部から近く、救急車が着く出口に近く、来場者の動線から外れて人目を避けられる場所が候補です。下見のときに会場の管理者に救急車の停車位置を聞き、そこから逆算して決めると、救急隊が来場者の列を横切らずに済みます。
厚生労働省の検討会報告書は、救命の現場に居合わせた一般市民がAEDを用いることは一般的に反復継続性が認められず、医師法違反にはならないものと考えられる、としています。いざというときに使えるよう、スタッフには消防署の救命講習などで使い方を学んでもらうのが確実です。
会場に備え付けがあることが多いため、まず会場の管理者に位置と状態を確認してください。確認するのは、AEDがどこにあるか、インジケータが正常を示しているか、電極パッドとバッテリの交換時期が過ぎていないか、です。屋外会場などで近くに備え付けがない場合は、レンタルや救護の依頼先による持ち込みを会場・自治体と相談して決めてください。
東京都のガイドラインは、救急車を配備する場合は主催者が必要な配備数を検討し、東京消防庁と調整して協力依頼を行うとしています。待機を希望する場合は、早めに所轄の消防に相談してください。軽症者の搬送には民間救急事業者(患者等搬送事業者)の活用も検討できます。
日時と救護所の開設時間、会場名・住所・会場図、屋内か屋外か、想定人数と年齢層、飲酒や運動の有無、会場のAEDの有無、救急車の停車位置、依頼したい範囲(救護所の運営、巡回、搬送車両、計画書・報告書の作成)です。この記事の依頼メールの文例を使うと抜けを防げます。
環境省の熱中症予防情報サイトで、暑さ指数(WBGT)や熱中症警戒情報の発表状況を確認できます。当日の確認を誰がいつ行い、どの状態になったら何をするか(休憩の追加、給水の案内、進行の変更など)を事前に主催者内で決めておいてください。東京都のガイドラインは、待機列を作らない入場の工夫や休憩場所の確保、スタッフへの啓発も挙げています。
発見時刻と場所、対象者、本人の訴えと見て分かる状況、行ったことと時刻、通報の有無と時刻、救急隊への引き継ぎ時刻、家族や同行者への連絡、本部への報告の有無です。健康に関する情報が入るため、保管する人と閲覧できる人を事前に決めておきます。