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言葉の使い分け

意向と意図の違い
意思・意志・遺志との使い分けと例文

結論から言うと、「意向」は相手がこれからどうしたいか(希望・方針)、「意図」はある行動や表現が何のためか(ねらい)です。見分け方は一つだけ。未来の希望を聞くなら「意向」、すでにある質問・資料・発言のねらいを確かめるなら「意図」。そのまま使える一文は、意向なら「進め方について、◯◯様のご意向を伺えますでしょうか。」、意図なら「ご質問の意図を取り違えていないか、確認させてください。」です。あわせて迷いやすい「意思」「意志」「遺志」も、早見表・場面別の例文・よくある間違い・送信前チェックリストで整理しました。

更新: 2026-11-01読了:約9分PRODUCER AGENT 編集部

結論

国語辞典の説明をまとめると、「意向」はこれからどうしたいかという心づもり・希望、「意図」は何かをしようとするねらい・目的、「意思」は何かをしようとする(しない)思い・考え、「意志」は目標に向かってやり抜こうとする強い気持ち、「遺志」は亡くなった人が生前に持っていた志です。民法では「意思」の字が使われ、「意思表示」「意思能力」という言葉があります。

まず結論:意向と意図は「時間の向き」で分ける

意向意図
一言でこれからどうしたいか何のためにそうしたか
時間の向き未来(これからの方針・希望)すでにある行動・発言・資料
誰のものを言うことが多いか相手・組織(先方、お客様、経営陣)質問・資料・設計・発言の作り手
よく組む語ご意向を伺う/ご意向に沿う/意向調査/意向確認質問の意図/意図を汲む/意図的に/意図しない
置き換えお考え・ご希望・方針ねらい・目的・狙い
迷ったときの質問「どうしたいですか?」と聞いているか「なぜそうしたのですか?」と聞いているか

Point

「どうしたいか」なら意向、「なぜそうしたか」なら意図。「お考え」に置き換えて通じれば意向、「ねらい」に置き換えて通じれば意図です。

五つの言葉それぞれの意味

意向:どうしたいかという考え・希望

「意向」は、ある事柄についてどうするつもりか、どうしてほしいかという考えです。相手の考えを尊重して確かめるときに「ご意向を伺う」「ご意向に沿う」の形でよく使います。個人の気持ちだけでなく、「会社の意向」「先方の意向」のように組織の方針も表せます。

意図:何のためにするかというねらい

「意図」は、ある行動や表現に込めたねらい・目的です。「資料の意図」「質問の意図」「意図的に」のように、なぜそうしたのかを問題にするときに使います。「意図しない変更」「意図せず」のように、わざとではないことを示す使い方もあります。

意思:しようとする(しない)思い・考え

「意思」は、何かをしようとする(しない)という思いや考えです。「参加の意思」「退職の意思」「意思の疎通」のように、気持ちの有無や中身を言うときに使われます。民法でもこちらの字が使われ、「意思表示」「意思能力」という言葉があります。

意志:やり遂げようとする強い気持ち

「意志」は、目標に向かってやり抜こうとする気持ちです。「意志が強い」「固い意志」のように、気持ちの強さに目が向くときに使われます。

遺志:亡くなった人が残した思い

「遺志」は、亡くなった人が生前に持っていた志・望みです。「故人の遺志を継ぐ」「遺志により、ご香典は辞退いたします」のように、弔事や創業者の思いを語る場面で使います。存命の人には使いません。

Point

相手の希望は「意向」、ねらいは「意図」、するかどうかの気持ちは「意思」、やり抜く強さは「意志」、故人の思いは「遺志」。「意思」と「意志」は辞書でも重なる部分があり、使い分けに揺れがあります。

五つの言葉の早見表

言葉意味よく組む語例文
意向どうしたいかという考え・希望ご意向を伺う・ご意向に沿う・先方の意向・意向確認先方のご意向を確認してから、日程を決めます。
意図行動や表現に込めたねらい・目的質問の意図・意図を汲む・意図的・意図しないご質問の意図を取り違えていたら申し訳ありません。
意思しようとする(しない)思い・考え参加の意思・意思確認・意思表示・意思疎通参加の意思を確認するため、出欠のご返信をお願いします。
意志やり遂げようとする強い気持ち意志が強い・固い意志・意志を貫く最後までやり抜くという固い意志が感じられました。
遺志亡くなった人が残した志・望み遺志を継ぐ・故人の遺志・遺志により故人の遺志により、ご供花はご辞退申し上げます。

「意向」と「意思」の違い:希望の中身か、するかどうかか

「意向」と「意思」も混ざりやすい組み合わせです。意向は「どうしたいか」という中身(AかBか、いつがよいか)、意思は「するか・しないか」という気持ちそのものと分けると整理できます。

聞きたいこと合う言葉例
A案とB案のどちらがよいか意向どちらの案で進めるか、ご意向を伺えますでしょうか。
契約を更新するかどうか意思(または意向)契約更新のご意思を確認させてください。
更新するならどんな条件を望むか意向更新時の条件について、ご意向をお聞かせください。
本人が退職するつもりかどうか意思退職の意思は固いと伺っております。

注意

「するかどうか」を聞く場面でも、相手を立てて柔らかく聞きたいときは「ご意向」も使われます。手続き上の確認(申込み・解約・同意)なら「意思」がはっきりします。

そのまま使えるメール例文(場面別)

1. 取引先のご意向を伺う

件名:◯◯の進め方についてのご相談

株式会社◯◯
◯◯様

いつもお世話になっております。株式会社△△の□□です。
◯◯の進め方について、案を二つ用意いたしました。
◯◯様のご意向を伺ったうえで進めたいと考えておりますので、ご都合のよいときにお聞かせいただけますでしょうか。

2. ご意向に沿えないことを伝える

件名:◯◯の件について

◯◯様

お世話になっております。株式会社△△の□□です。
ご提案いただいた◯◯について社内で検討いたしましたが、今回はご意向に沿うことが難しいという結論になりました。
せっかくお声がけいただいたにもかかわらず、申し訳ございません。

3. ご意向を踏まえて修正したことを報告する

◯◯様

お世話になっております。株式会社△△の□□です。
先日お伺いしたご意向を踏まえ、スケジュール案を修正いたしました。
変更点は資料の2ページ目にまとめております。ご確認いただけますと幸いです。

4. 質問の意図を確かめる

◯◯様

お世話になっております。株式会社△△の□□です。
ご質問いただいた◯◯の件について、念のため確認させてください。
◯◯の費用についてのご質問という理解でよろしいでしょうか。意図を取り違えていましたら、ご指摘いただけますと幸いです。

5. 資料の意図を説明する(社内)

◯◯課長

お疲れさまです。□□です。
次回の会議資料をお送りします。
今回は、前回の議論で出た課題を先にまとめる意図で、構成を入れ替えています。
分かりにくい点があれば、ご指摘ください。

6. 意図しない誤送信・変更をお詫びする

◯◯様

お世話になっております。株式会社△△の□□です。
先ほどお送りしたメールに、意図しないファイルが添付されておりました。
大変申し訳ございません。お手数ですが、該当のメールを削除していただけますでしょうか。正しいファイルを改めてお送りいたします。

7. 参加の意思を確認する(社外)

件名:◯◯交流会へのご参加の確認

◯◯様

お世話になっております。◯◯交流会事務局の□□です。
会場の準備を進めるにあたり、ご参加の意思を確認させていただきたく、ご連絡いたしました。
お手数ですが、◯月◯日(◯)までに出欠をお知らせください。

8. 異動・退職の意思を上司に伝える(社内)

◯◯部長

お疲れさまです。□□です。
私事で恐縮ですが、今後のことについてご相談したく、お時間をいただけますでしょうか。
直接お話ししたうえで、私の意思をお伝えしたいと考えております。

9. 挨拶やスピーチで「意志」を使う

◯◯さんの、最後まで目標をあきらめないという強い意志に、チーム全員が何度も助けられました。

10. 弔事のお知らせで「遺志」を使う

故人の遺志により、ご香典・ご供花は謹んでご辞退申し上げます。

注意

お断りの書き方全体は断りのメールの例文、相手に考えてもらうお願いは「ご検討ください」の使い方、出欠の取りまとめは参加者名簿の管理を参考にしてください。

一文で使えるフレーズ集

言葉フレーズ使う場面
意向ご意向をお聞かせいただけますでしょうか。相手の希望を聞く
意向ご意向に沿えるよう、社内で調整いたします。前向きに検討する
意向ご意向を踏まえ、案を修正いたしました。修正の報告
意向先方の意向としては、来月中の公開を望まれています。社内への共有
意図ご質問の意図を確認させてください。質問のねらいを確かめる
意図◯◯の意図で、この順番にしています。資料・設計の説明
意図ご質問の意図を汲み取れておらず、失礼いたしました。取り違えのお詫び
意思ご参加の意思を◯日までにお知らせください。出欠の確認
意思契約を継続されるご意思があるか、確認させてください。更新・解約の確認
意志最後までやり遂げる意志を持って取り組みます。決意表明・挨拶
遺志創業者の遺志を継ぎ、地域に根ざした事業を続けてまいります。社史・式典の挨拶

言い換えの目安

言葉言い換え注意点
ご意向お考え・ご希望・ご方針「ご希望」は個人向け、「ご方針」は組織向けに合う
意図ねらい・目的・趣旨「趣旨」は文書や会の目的に使うと自然
意思お気持ち・お考え・ご判断手続きの確認では「意思」のまま書くほうが明確
意志決意・覚悟・信念強さを言う言葉なので、軽い場面では大げさになる

よくある間違いと正しい書き方

迷いやすい書き方気になる点おすすめの書き方
先方の意図を伺う相手がどうしたいかを聞くなら「意向」のほうが自然先方のご意向を伺う
この資料の意向は資料に込めたねらいは「意図」この資料の意図は
意向的に変更したわざと、という意味なら「意図的」意図的に変更した
意志表示法律・手続きの言葉としては民法の「意思表示」が使われる意思表示
意志の疎通考えを通わせることなので「意思」が多く使われる意思の疎通
意思が強い誤りとまでは言えないが、気持ちの強さを言うなら「意志」がなじむ意志が強い
社長の遺志で決まった(存命)「遺志」は亡くなった人に使う社長の意向で決まった
ご意向をお伺いさせていただきます「お伺い」「させていただく」が重なり、くどいご意向を伺います/お聞かせください

「意思」と「意志」は、辞書や分野によって説明が重なり、どちらでも書かれる場面がある言葉です。手続き・確認・契約に関わる文書では「意思」、気持ちの強さを語るスピーチなどでは「意志」、と決めておくと迷いが少なくなります。

法律の文書では「意思」と書く

民法には「意思能力」「意思表示」という節があり、条文でも「意思」の字が使われています。たとえば第3条の2は次のとおりです。

法律行為の当事者が意思表示をした時に意思能力を有しなかったときは、その法律行為は、無効とする。(民法 第3条の2、e-Gov法令検索)

契約書・申込書・同意書など、法律上の手続きにつながる文書では「意思」の字にそろえておくと安心です。

送信前チェックリスト

  • 相手の「これからどうしたいか」を聞いているなら「意向」になっているか
  • 質問・資料・発言の「ねらい」を言っているなら「意図」になっているか
  • 出欠・申込み・更新など「するかどうか」の確認は「意思」になっているか
  • 「意志」は気持ちの強さを言う場面だけに使っているか
  • 「遺志」を存命の人に使っていないか
  • 「意思表示」「意思疎通」を「意志」と書いていないか
  • 「ご意向をお伺いさせていただきます」のように敬語が重なっていないか

覚え方

Point

「向」は向かう先(どうしたいか)、「図」は図る(ねらい)、「思」は思い、「志」はこころざし(やり抜く強さ)、「遺」は遺す(故人が残したもの)。漢字一字の意味から考えると、五つの違いがつかみやすくなります。

とくに迷いやすい「意思」と「意志」は、「志」=こころざし=強さと覚えるのがおすすめです。強さを言いたいときだけ「意志」、それ以外の「するかどうか」「何を考えているか」は「意思」と考えれば、ビジネス文書ではほぼ困りません。

この記事の要点

  • 相手がこれからどうしたいかという考えは「意向」。「ご意向を伺う」の形でよく使う。
  • 質問・資料・行動のねらいは「意図」。「意図しない」は「わざとではない」の意味。
  • するかどうかの気持ちは「意思」。民法にも「意思表示」「意思能力」とある。
  • やり抜こうとする強い気持ちは「意志」、亡くなった人の思いは「遺志」。
  • 「意思」と「意志」は揺れがあるので、手続きや確認の文書では「意思」が無難。

FAQ

よくある質問

01「意向」と「意図」はどう違いますか?

「意向」はこれからどうしたいかという考えや希望、「意図」はある行動や表現に込めたねらいです。相手の希望を聞くなら「意向」、相手の質問や資料のねらいを確かめるなら「意図」を使います。

02「意向」と「意思」はどう違いますか?

「意向」はどうしたいかという希望の中身(どの案がよいか、いつがよいか)、「意思」はするかしないかという気持ちそのものです。手続き上の確認では「意思」、相手の希望を柔らかく聞くときは「ご意向」が合います。

03「意思」と「意志」の違いは何ですか?

「意思」は何かをしようとする(しない)思いや考え、「意志」はやり遂げようとする強い気持ちを指します。辞書によって説明が重なる部分があり、使い分けには揺れがあります。

04「意思表示」と「意志表示」はどちらが正しいですか?

民法では「意思表示」という言葉が使われています。手続きや契約に関わる文書では「意思表示」と書くのが無難です。

05「ご意向」は目上の人に使えますか?

使えます。「ご意向を伺う」「ご意向に沿う」のように、相手の考えを尊重して確かめるときの丁寧な言い方として、取引先や上司へのメールで使われます。

06「ご意図」という言い方はできますか?

できますが、「ご意向」ほど使われません。相手の質問のねらいを確かめるときは「ご質問の意図」のように、意図を向ける対象を前に置くと自然です。

07「意思の疎通」と「意志の疎通」はどちらですか?

考えや気持ちを通わせることなので、「意思の疎通」と書くのが無難です。

08「遺志」は存命の人にも使えますか?

使いません。「遺志」は亡くなった人が生前に持っていた志や望みを指します。存命の人の考えなら「意向」や「意思」を使います。

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