手順
仕事の指示の受け方
期限・優先度の確かめ方と、そのまま使える言い方
仕事の指示は、聞いて終わりではなく、自分の理解を相手に見せて終わりにします。やり方の要点は、呼ばれたらすぐ行く、最後まで口を挟まずに聞く、期限と優先度を確かめる、復唱するの四つです。締めの一言は、たとえば「◯◯社向けの資料を、◯日(◯)の午前までに課長へお送りする、ですね。今の◯◯の後に取りかかります。承知しました」。これで、何を・いつまでに・誰に・どの順で進めるかが一度に伝わります。メモに書く項目とテンプレートは仕事のメモの取り方にまとめているので、このページではその場のふるまいと言い方に絞って説明します。
結論
指示の受け方の基本は①返事をしてメモを持って行く ②最後まで聞く ③期限・優先度・完成の形を確かめる ④復唱する ⑤取りかかる時期と見通しを伝えるの五つです。見本の言い方は「承知しました。◯◯を◯日の◯時までに、ですね。いま進めている◯◯より先に取りかかってよろしいでしょうか」。
指示を受ける手順
- 01
呼ばれたら返事をして、メモを持って行く
名前を呼ばれたら「はい」と返事をして、手を止めて相手のところへ行きます。メモとペンか、メモを取れる端末を持って行きます。席で話しかけられたときは、体を相手に向けて聞きます。
- 02
最後まで口を挟まずに聞く
途中で気になることがあっても、まずは相手が話し終わるまで聞きます。聞きたいことはメモに「?」を付けて残し、話の区切りでまとめて聞きます。
- 03
期限・優先度・完成の形を確かめる
相手が言わなかったことを聞きます。特に期限(日付と時刻)、いま抱えている仕事との順番、どんな形で出せばよいかの三つは、その場で確かめます。
- 04
復唱する
「◯◯を◯日までに、◯◯の形で、◯◯さんへ、ですね」と自分の言葉で言い直します。相手は聞きながら、言い漏らしや食い違いに気づけます。
- 05
取りかかる時期と見通しを伝える
「今日の午後から取りかかります」「途中で一度、見ていただけますか」など、いつ始めて、いつ途中経過を見せるかを伝えて締めます。
Point
「わかりました」だけで終えないことが、指示の受け方でいちばん大切な点です。どう理解したかが相手に見えないと、違うものができあがったときに初めて食い違いが分かります。
期限と優先度の確かめ方
| 相手の言い方 | 確かめる言い方 | ねらい |
|---|---|---|
| なるべく早めに | 今日中でしょうか、それとも明日の午前でよろしいでしょうか | 選べる形にすると答えてもらいやすい |
| 今週中に | 金曜日の何時ごろまででしょうか | 「今週中」の終わりは人によって違う |
| 手が空いたらでいいよ | では、◯日までを目安に進めてよろしいでしょうか | 期限のない仕事は後回しになりやすい |
| 急ぎでお願い | いま◯◯の作業中ですが、そちらより先に進めてよろしいでしょうか | ほかの仕事との順番を決めてもらう |
| 前と同じ感じで | 前回の◯月の資料と同じ形式、ということでよろしいでしょうか | 「前」がどれかをはっきりさせる |
優先度は、自分で決めずに指示した人に決めてもらうのが基本です。抱えている仕事を全部並べて順番を考える方法は仕事の優先順位のつけ方にまとめています。期限の言葉の意味はデッドラインの意味を見てください。
そのまま使える言い方(場面別)
資料の作成を頼まれたとき
承知しました。
来週の◯◯会議で使う売上の資料を、前回と同じ形式で、◯日(◯)の◯時までに課長にお送りする、ですね。
今日の午後から取りかかり、明日の夕方に一度、途中のものを見ていただいてもよろしいでしょうか。
急ぎの依頼を受けたとき
承知しました。◯時までに、◯◯社への見積書の数量を直して、◯◯さんに確認していただいてから送る、ですね。
すぐに取りかかります。
注意
急いでいる人ほど言い漏らしがあります。急ぎの依頼ほど復唱を省かないでください。復唱は短くて構いません。
ほかの仕事と重なっているとき
承知しました。
いま、◯◯部長からいただいた◯◯の集計を、◯日までの予定で進めております。
こちらの件を先に進めてよろしいでしょうか。それとも集計を終えてからでよろしいでしょうか。
別の人から頼まれた仕事と重なったときは、どちらを先にするかを自分だけで決めないようにします。誰に決めてもらうかは職場によって違うので、迷ったら直属の上司に相談します。
期限内に終えられそうにないとき
承知しました。ただ、◯◯の作業が◯日まで続くため、◯日の期限ですと少し厳しい見込みです。
◯日の午前まででしたら確実にお出しできますが、いかがでしょうか。
引き受けた後で「間に合いませんでした」となるより、受けたその場で見通しを伝えるほうが、相手は段取りを組み直せます。断るのではなく、できる期限や範囲を示して相談する形にします。
やったことのない作業を頼まれたとき
承知しました。◯◯の作業は初めてなので、参考になる過去の資料があれば教えていただけますか。
まず手順を自分で調べて、分からない点を今日の夕方にまとめて伺います。
席にいない間にチャットで指示が来ていたとき
◯◯課長
お疲れさまです。◯◯です。
席を外しており、確認が遅くなりました。
◯◯の件、◯日(◯)の◯時までに◯◯の形でお送りする、と理解しました。
違っている点があればご指摘ください。
電話で指示を受けたとき
承知しました。念のため復唱いたします。
◯◯の会場に、◯日の◯時までに資料を◯部お届けする、ですね。
お届け先のご担当は◯◯様でよろしいでしょうか。
注意
電話は記録が残らないので、電話を切った後に、チャットやメールで要点を送っておくと安心です。
よくある失敗と直し方
| よくある失敗 | 困ること | 直し方 |
|---|---|---|
| 話の途中で質問をはさむ | 相手の話が途切れ、言うつもりだったことが抜ける | 質問はメモに残し、話が終わってからまとめて聞く |
| 「わかりました」だけで戻る | 理解した内容が相手に見えない | 復唱してから「承知しました」 |
| 期限を聞かずに受ける | 相手が思う期限と自分の予定がずれる | 日付と時刻まで確かめる |
| いまの仕事を言わずに全部引き受ける | どちらかが遅れて、相手に迷惑がかかる | 抱えている仕事を伝え、順番を決めてもらう |
| 最後に一気に仕上げて出す | 方向が違っていたとき、やり直しが大きくなる | 途中で一度見てもらう約束をしておく |
言ってはいけない・避けたい言い方
| 避けたい言い方 | 気になる点 | こう言う |
|---|---|---|
| 了解です | 目上の相手には軽く聞こえると受け取る人もいる | 承知しました |
| たぶん大丈夫です | できるのかできないのか分からない | ◯日までにお出しできます/◯日なら間に合います |
| それ、私がやるんですか | 引き受けたくない気持ちが前に出てしまう | 承知しました。いま◯◯を進めていますが、どちらを先にしましょうか |
| さっきと言っていることが違いますよね | 相手を責める言い方になる | 先ほどは◯◯と伺いましたが、◯◯に変更、ということでよろしいでしょうか |
| おっしゃられた通りにします | 「おっしゃる」に「られる」を重ねている | おっしゃった通りに進めます |
指示の内容が前と変わったときは、責めずに「変更、ということでよろしいでしょうか」と事実だけを確かめます。言葉の使い分けで迷ったら、指示と支持の違いや「承知しました」の使い方も参考にしてください。
後日のフォロー(確認・お礼・お詫び)
指示の内容をあとから文字で確かめる
◯◯課長
お疲れさまです。◯◯です。
先ほどの件、念のため文字でも確認させてください。
・◯◯社向けの提案資料の修正
・◯日(◯)の午前までにPDFでお送りする
・数字は最新のものに差し替える
違っている点があれば、ご指摘ください。
仕上げて出すときのお礼
◯◯課長
お疲れさまです。◯◯です。
ご依頼いただいた◯◯の資料ができましたので、お送りします。
途中で方向を見ていただいたおかげで、迷わずに進められました。ありがとうございました。
指示を取り違えていたときのお詫び
◯◯課長
お疲れさまです。◯◯です。
◯◯の件、提出先を◯◯さんと取り違えておりました。申し訳ありません。
先ほど課長宛てに送り直しました。今後は、受けた時点で提出先まで復唱するようにします。
注意
取り違えのお詫びは、何を間違えたか、もう直したか、次からどうするかの三つで足ります。経緯を長く書く必要はありません。確認が足りなかったときの詳しい書き方は確認不足のお詫びにまとめています。
この記事の要点
- 呼ばれたら返事をして、メモを持ってすぐ行く。
- 途中で口を挟まず、質問は話が終わってからまとめて聞く。
- 期限は日付と時刻まで、優先度は指示した人に決めてもらう。
- 最後に復唱してから「承知しました」。
- 間に合わない見込みは受けたその場で伝え、できる期限を示して相談する。
FAQ
よくある質問
失礼にはなりません。復唱は、自分の理解が合っているかを相手に確かめてもらうためのものです。長く言い直す必要はなく、「◯◯を◯日までに、ですね」と要点だけで十分です。
聞いてください。期限のない仕事は後回しになりやすく、相手が思っていた時期と食い違うことがあります。「◯日までを目安に進めてよろしいでしょうか」とこちらから案を出すと、相手も答えやすくなります。
自分だけで決めず、頼んだ二人のどちらか、または直属の上司に順番を決めてもらいます。「◯◯部長から◯◯を、課長から◯◯をいただいており、期限が重なっています。どちらを先に進めればよろしいでしょうか」と、事実を並べて聞きます。
気づいた時点で、なるべく早く聞き直します。「先ほどの◯◯の件で、◯◯の部分を確認させてください」と、分からない部分を絞って聞けば、相手の時間もかかりません。作業を進めてから聞くより、早いほど手戻りが少なくなります。
取ったほうが確実です。何を書けばよいか、メモのテンプレートは仕事のメモの取り方の記事にまとめています。会議や来客の場でパソコンやスマートフォンを使ってよいかは、会社の決まりに従ってください。