ビジネス文書
領収書の書き方
見本・但し書き例文と収入印紙
結論:領収書には次の7つを書きます。①宛名(相手の正式名称+様) ②日付(受け取った日) ③金額(「¥52,800-」のように「¥」と「-」で挟む) ④但し書き(「◯◯懇親会 会費として」など何の代金か分かる言葉) ⑤内訳(税抜金額と消費税額等) ⑥発行者(住所・名前・印) ⑦収入印紙(営業に関する受取書で記載金額5万円以上のとき。国税庁 No.7105)。インボイス(適格請求書)として渡すなら、登録番号と税率ごとの金額・消費税額等も入れます(消費税法 第57条の4)。この記事では、書く順番、場面別の但し書き例文20、会費を集めたときの書き方、再発行、よくある失敗までまとめました。印刷用は領収書作成ツールで作れます。
結論
領収書は、お金を受け取った側が、受け取った事実を証明するために作り、支払った相手に渡す書類です。民法 第486条は「弁済をする者は、弁済と引換えに、弁済を受領する者に対して受取証書の交付を請求することができる」と定めており、支払った人から求められたら渡すものです。国税庁の説明では、「領収証」「受取書」「レシート」のほか、請求書などに「代済」「相済」と書いて受け取りを証明するものも、印紙税法上は同じ「金銭又は有価証券の受取書」(第17号文書)に当たります。
領収書に書く7つの項目と見本
| 項目 | 書き方 | よくある迷い |
|---|---|---|
| ①宛名 | 支払った人・会社の正式名称に「様」 | 「上様」は誰が払ったか分からないので避ける |
| ②日付 | お金を受け取った日 | 空欄で渡さない。和暦・西暦はどちらでも可 |
| ③金額 | 「¥」+数字+「-」。3桁ごとにカンマ | 数字の前後に余白を残さない |
| ④但し書き | 「◯◯代として」と具体的に | 「お品代」だけでは内容が分からない |
| ⑤内訳 | 税抜金額と消費税額等を分けて書く | 課税事業者なら印紙の判定が税抜金額になる |
| ⑥発行者 | 住所・会社名(団体名)・担当者名・印 | 個人の幹事なら住所と氏名 |
| ⑦収入印紙 | 営業に関する受取書で記載金額5万円以上なら貼って消す | 幹事が集める親睦会の会費は非課税 |
| (インボイス) | 登録番号・税率ごとの金額と消費税額等 | 登録していない事業者は書かない |
領収書の見本(会社が発行する場合)
領収書 No.◯◯◯
株式会社△△ 様 令和◯年◯月◯日
¥52,800-
但し ◯◯セミナー会場使用料として
上記正に領収いたしました
(内訳)税抜金額:48,000円/消費税額等:4,800円
〒◯◯◯-◯◯◯◯
東京都◯◯区◯◯ ◯-◯-◯
株式会社□□ 担当 □□ 印
注意
見本の金額は、国税庁タックスアンサー No.7124 の例(商品販売代金48,000円、消費税額等4,800円、合計52,800円)に合わせています。発行者が消費税の課税事業者なら、税抜金額と消費税額等を分けて書くと、印紙税の判定は税抜の48,000円で行われ、5万円未満なので印紙は要りません。
書く順番
- 01
相手に宛名と但し書きを聞く
「宛名は何とお書きしましょうか」「但し書きのご指定はありますか」と先に確認します。書いたあとで直すより早く済みます。
- 02
日付と宛名を書く
日付はお金を受け取った日。宛名は略さず「株式会社△△ 様」のように正式名称で書きます。
- 03
金額を書く
「¥」から書き始め、カンマを入れて、最後に「-」で締めます。書き損じたら新しい用紙に書き直します。
- 04
但し書きと内訳を書く
何の代金かを書き、課税事業者なら税抜金額と消費税額等を分けて書きます。
- 05
発行者欄を埋め、印紙を貼る
住所・名前を書いて押印します。5万円以上の営業に関する受け取りなら、印紙を貼って印か署名で消します。
- 06
控えを残して渡す
複写式の控えか写しを手元に残します。連番の領収書なら番号も控えと合わせます。
宛名の書き方
| 支払った相手 | 宛名の例 | 注意 |
|---|---|---|
| 会社 | 株式会社△△ 様 | 「(株)」と略さず正式名称で |
| 会社の部署 | 株式会社△△ 営業部 様 | 部署名まで指定されたら入れる |
| 個人 | □□ □□ 様 | フルネームで。漢字を確認する |
| 個人事業主 | 屋号 □□ □□ 様 | 屋号だけか氏名も入れるかは相手に確認 |
| 団体・サークル | ◯◯同好会 様 | 代表者名まで書くかは相手に確認 |
このサイトでは、領収書の宛名は会社あてでも「様」で書く方法をすすめています。「様」は国語審議会の「これからの敬語」で主として手紙のあて名に使う敬称とされています。手紙で会社や部署に付ける「御中」を使う例もあるため、相手から指定があればその通りに書いてください。「上様」は誰が払ったか分からないため、精算で受け付けない会社もあります。「上様で」と頼まれたら、念のため「会社名をお入れしなくてよろしいですか」と一度確認すると、あとで書き直しを頼まれずに済みます。
金額の書き方
| 書き方 | 例 | ねらい |
|---|---|---|
| 頭に「¥」、末尾に「-」 | ¥52,800- | 前後に数字を書き足せないようにする |
| 「金」と「也」で挟む | 金52,800円也 | 同じく書き足しを防ぐ |
| 3桁ごとにカンマ | 52,800 | 桁の読み違いを防ぐ |
| 漢数字で書くなら大字 | 金伍萬弐阡八百円也 | 「一」を「二」「十」に書き換えられないようにする |
大字(だいじ)は、壱・弐・参・拾・萬などの、画数が多く書き換えにくい漢数字です。手書きでは算用数字に「¥」「-」を付ける書き方で十分です。数字を書き損じたときは、訂正せずに新しい用紙に書き直すと、改ざんを疑われずに済みます。
但し書きの例文20(場面別)
そのまま書き写せる形にしています。「◯」の部分を実際の日付・名前に置き換えてください。
| 場面 | 但し書きの例 |
|---|---|
| 懇親会・忘年会の会費 | 但し ◯月◯日 ◯◯懇親会 会費として |
| 歓送迎会の会費 | 但し ◯◯さん送別会 会費として |
| セミナー・講座の参加費 | 但し ◯◯セミナー参加費として(◯月◯日開催) |
| イベントの入場料 | 但し ◯◯イベント入場料として(◯名分) |
| 年会費・月謝 | 但し 令和◯年度 年会費として |
| 飲食代 | 但し ご飲食代として(◯名分) |
| 会場使用料 | 但し ◯◯ホール使用料として(◯月◯日分) |
| 機材・備品のレンタル | 但し 音響機材レンタル料として |
| 出演料・講師料 | 但し ◯月◯日 ◯◯講演 講師料として |
| 制作費・デザイン料 | 但し ◯◯チラシ制作費として |
| 物販(グッズ) | 但し ◯◯グッズ代として |
| 書籍・資料 | 但し 書籍代として |
| 事務用品(品名が多い) | 但し 事務用品代として |
| 交通費・送迎 | 但し ◯月◯日 送迎バス代として |
| 宿泊費 | 但し ◯月◯日〜◯日 宿泊代として(◯名分) |
| 内金・手付金 | 但し ◯◯会場予約の内金として |
| 残金の精算 | 但し ◯◯会場使用料の残金として |
| キャンセル料 | 但し ◯◯懇親会 キャンセル料として |
| 分割払いの1回目 | 但し ◯◯研修費 第1回分として |
| 寄付・協賛金 | 但し ◯◯祭り協賛金として |
「お品代として」は、何を買ったのかが分からない書き方です。精算する側が内容を説明できなくなるので、品目や催しの名前、日付、人数を入れておくと親切です。
インボイス(適格請求書)として渡す場合
適格請求書発行事業者として登録している事業者は、取引先の事業者から求められたら適格請求書を交付しなければなりません(消費税法 第57条の4第1項)。領収書を適格請求書として渡すなら、次の6つを入れます。
| 消費税法 第57条の4第1項の記載事項 | 領収書での書き方の例 |
|---|---|
| 1. 発行者の氏名又は名称及び登録番号 | 発行者欄に「株式会社□□ 登録番号 ◯◯◯◯」 |
| 2. 取引の年月日 | 日付欄(受け取った日と取引日が違うなら取引日も) |
| 3. 取引の内容(軽減税率の対象ならその旨) | 但し書きや明細に品目を書く |
| 4. 税率ごとに区分して合計した金額と適用税率 | 内訳欄に税率ごとの金額と税率 |
| 5. 税率ごとの消費税額等 | 内訳欄に消費税額等 |
| 6. 受け取る事業者の氏名又は名称 | 宛名欄 |
Point
小売業など政令で定める事業では「適格簡易請求書」で代えられます。この場合は6番目の宛名がなくてよく、5番目は「消費税額等又は適用税率」のどちらかでよいとされています(同条第2項)。記載に誤りがあったときは、修正した適格請求書等を交付しなければなりません(同条第4項)。
注意
登録していない事業者は、登録番号を書けません。インボイスでない領収書を受け取った側の消費税の扱い(仕入税額控除)はこの記事では扱わないので、国税庁の案内や税理士に確認してください。
会費を集めたときの領収書
懇親会や忘年会で幹事が会費を集め、参加者から「会社で精算したいので領収書がほしい」と頼まれることがあります。この場合は、幹事(または会の名前)を発行者にして、次のように書きます。
領収書
□□ □□ 様 令和◯年◯月◯日
¥◯,◯◯◯-
但し ◯月◯日 ◯◯部懇親会 会費として
上記正に領収いたしました
◯◯部懇親会 幹事 □□ □□
| 場面 | どうするか |
|---|---|
| 参加者の人数分の領収書が要る | 一人ずつ別の用紙に書く。領収書作成ツールで同じ内容をまとめて作ると早い |
| お店の領収書を幹事が受け取った | 宛名・但し書きをお店に伝えて書いてもらう。会計報告に添付する |
| 会費の一部を会社が負担した | 参加者が実際に払った額だけを書く |
| キャンセル料を受け取った | 但し書きを「◯◯懇親会 キャンセル料として」とする |
Point
幹事が個人で集める親睦会の会費には、収入印紙が要りません。国税庁 No.7125 では、個人の私的な日常生活に関するものや、会員相互の親睦を目的とする団体の行為は「営業」に当たらないとされ、営業に関しない受取書は非課税です。会社が主催して参加費を受け取る催しは扱いが変わることがあるので、経理担当に確認してください。
収入印紙が要る場合と要らない場合
領収書は、印紙税法の別表第一 第17号「金銭又は有価証券の受取書」に当たります。国税庁の説明(タックスアンサー No.7105)では、売上代金の受取書の税額は次の通りです。
| 記載金額(売上代金) | 印紙税額 |
|---|---|
| 5万円未満 | 非課税 |
| 5万円以上 100万円以下 | 200円 |
| 100万円を超え 200万円以下 | 400円 |
| 200万円を超え 300万円以下 | 600円 |
| 300万円を超え 500万円以下 | 1,000円 |
| 500万円を超え 1,000万円以下 | 2,000円 |
注意
1,000万円を超える場合の税額は、国税庁タックスアンサー No.7141 の一覧表を見てください。借入金や保証金のような売上代金以外の受取書は、5万円未満が非課税、5万円以上が200円です(No.7105)。
印紙が要らない主な場合
| 場合 | 根拠 |
|---|---|
| 記載金額が5万円未満 | 印紙税法 別表第一 第17号の非課税物件(記載された受取金額が五万円未満の受取書) |
| 営業に関しない受取書 | 同じく非課税物件。個人の私的な受け取り、公益法人、親睦目的の団体など(No.7125) |
| 消費税額等を分けて書き、税抜金額が5万円未満 | 消費税の課税事業者が消費税額等を区分記載した場合、その額は記載金額に含めない(No.7124) |
Point
消費税を分けて書くと判定が変わることがあります。国税庁 No.7124 の例では、「商品販売代金48,000円、消費税額等4,800円、合計52,800円」と書いた領収書は、記載金額が48,000円となり非課税です。合計の52,800円だけを書くと、5万円以上として扱われます。なお、消費税の免税事業者が消費税額を書いても、その額は記載金額に含めます。
印紙の貼り方と消し方
印紙は、領収書を作るときまでに貼り、領収書と印紙の模様にかけて、発行者や従業員の印か署名で消します(印紙税法 第8条、印紙税法施行令 第5条)。このサイトのツールでは、右上の空いている場所を印紙欄にしています。
注意
判断に迷う取引(会社の本業以外の受け取り、NPO法人や協同組合の受け取りなど)は、国税庁の「税についての相談窓口」や税理士に確認してください。
手書き・電子・押印・再発行・保存
| 疑問 | 答え | 根拠・考え方 |
|---|---|---|
| 手書きでないとだめ? | パソコンで作って印刷しても、ツールで作ってもよい | この記事で確認した条文(民法 第486条、消費税法 第57条の4)に、手書きに限る定めはない |
| PDFなど電子で渡してよい? | 相手が電子でよいなら渡せる。相手から電子での提供を求められることもある | 民法 第486条第2項(受取証書に代えて電磁的記録の提供を請求できる。ただし受領者に不相当な負担なら除く)。インボイスも交付に代えて電磁的記録で提供できる(消費税法 第57条の4第5項) |
| 印鑑は必ず要る? | 社判や認印を押す慣習がある。社内ルールや相手の指定に合わせる | 慣習。押していないと困る相手もいるので、迷ったら押す |
| 個人やアルバイトでも書ける? | お金を受け取った本人や、受け取りを任された人が発行者として書ける | 発行者欄に、誰が受け取ったかが分かる名前を書く |
| なくしたので再発行してほしいと言われた | 「再発行」と明記し、元の日付・金額で1枚だけ出す。元の控えに再発行した旨をメモする | 同じ支払いの領収書が2枚出回ると二重の精算に使われるおそれがある |
| 控えはいつまで保存? | 法人は確定申告書の提出期限の翌日から7年間(欠損金が出た年度などは10年間) | 国税庁 No.5930。書類には領収書が含まれる。個人事業主は国税庁の案内で確認 |
よくある失敗と直し方
| 失敗 | 起きること | 直し方 |
|---|---|---|
| 宛名を「上様」にした | 相手が会社で精算できない | 最初に宛名を聞く。頼まれた場合も一度確認する |
| 但し書きが「お品代」だけ | 何の支出か説明できず差し戻される | 催し名・品目・日付・人数を入れる |
| 金額を「52,800円」とだけ書いた | 前後に数字を書き足せてしまう | 「¥52,800-」か「金52,800円也」にする |
| 金額を二重線で訂正した | 改ざんを疑われる | 新しい用紙に書き直し、書き損じは控えと一緒に残す |
| 合計額だけ書いて5万円を超えた | 課税事業者なら要らなかった印紙が要る | 税抜金額と消費税額等を分けて書く |
| 印紙を貼ったが消していない | 印紙税法 第8条の消印をしていない | 印か署名で、紙と印紙にまたがるように消す |
| 日付を空欄で渡した | いつの支払いか分からない | 受け取った日を必ず書く |
| 控えを取っていない | 再発行や問い合わせに答えられない | 複写式を使うか、写しを残す |
渡す前のチェックリスト
- 宛名は相手の指定通りか(「上様」にしていないか)
- 日付は受け取った日か
- 金額の前後に「¥」「-」があり、書き足せないか
- 但し書きで何の代金か分かるか
- 課税事業者なら税抜金額と消費税額等を分けて書いたか
- インボイスとして渡すなら登録番号・税率ごとの金額・消費税額等があるか
- 発行者の名前・連絡先・印があるか
- 営業に関する受け取りで5万円以上なら、印紙を貼って消したか
- 控え(複写や写し)を手元に残したか
領収書を郵送するときは、送付状を添えます。書き方は送付状の書き方、送付状は送付状作成ツールで作れます。封筒の書き方は封筒の宛名の書き方にまとめています。
この記事の要点
- 領収書には宛名・日付・金額・但し書き・内訳・発行者を書き、必要なら収入印紙を貼る。
- 金額は「¥」と「-」で挟み、3桁ごとにカンマ。書き損じたら新しい用紙に。
- 但し書きは催し名・品目・日付が分かる言葉で。「お品代」だけは避ける。
- 収入印紙は、営業に関する受取書で記載金額5万円以上のとき。課税事業者は税抜金額で判定。
- インボイスとして渡すなら登録番号と税率ごとの金額・消費税額等を入れる。
- 法人は控えを7年間保存(国税庁 No.5930)。再発行は「再発行」と明記して1枚だけ。
FAQ
よくある質問
このサイトでは会社あてでも「様」をすすめています。相手から指定があればその通りに書いてください。迷ったときは、宛名を何と書けばよいかを相手に聞くのが確実です。
書いてはいけない決まりはありませんが、何の代金か分からないため、受け取った側が精算で説明に困ることがあります。「◯◯セミナー参加費として」「◯◯懇親会 会費として」のように具体的に書くのがおすすめです。
営業に関する受取書で、記載金額が5万円以上のときに必要です。売上代金の受取書なら、5万円以上100万円以下は200円です(国税庁タックスアンサー No.7105)。消費税の課税事業者が消費税額等を分けて書いた場合は、税抜の金額で判定します(No.7124)。
幹事が個人で集める親睦会の会費は、営業に関しない受取書に当たり、印紙は要りません(国税庁 No.7125)。会社が主催して参加費を受け取る場合は扱いが変わることがあるので、経理担当に確認してください。
発行者の名称と登録番号、取引の年月日、取引の内容、税率ごとに区分した合計金額と適用税率、税率ごとの消費税額等、受け取る事業者の名称の6つです(消費税法 第57条の4第1項)。小売業などは宛名を省いた適格簡易請求書で代えられます。
民法 第486条では、支払う人が受取証書の交付を請求できると定めています。頼まれたら渡すものです。頼まれていなくても、後で問い合わせを受けないよう渡しておくと安心です。
金額は改ざんを疑われやすい項目なので、訂正せずに新しい用紙に書き直すのが無難です。連番の領収書なら、書き損じた用紙は捨てずに「書き損じ」と書いて控えと一緒に残しておくと、番号の抜けを説明できます。
同じ支払いの領収書が2枚出回らないよう、「再発行」と明記して元の日付・金額で1枚だけ出します。控えにも再発行した日をメモしておきます。