敬語
「おっしゃる」「申す」の違い
「言う」の敬語の使い分けとメール例文
「言う」の敬語は、誰が言うかで使う言葉が変わります。相手や相手側の人が言うなら「おっしゃる」、自分や自分側の人が言うなら「申す」「申し上げる」です。そのまま使える一文は、相手の発言を受けるなら「先日おっしゃっていた◯◯の件ですが、」、名乗るなら「株式会社△△の□□と申します。」。社外の人に自社の上司の発言を伝えるときは「◯◯が申しておりました」とします。このページでは、使い分けの表、よくある取り違え、丁寧さ別の言い換え、場面別のメール例文をまとめました。
結論
「おっしゃる」は「言う」を、言う人を立てて言う言葉です。「申す」は「言う」を、自分の側をへりくだって改まって言う言葉で、名乗りや社外への伝言に使います。「申し上げる」は言う相手を立てる言い方で、「お礼申し上げます」「ご説明申し上げます」の形でよく使います。
「おっしゃる」「申す」「申し上げる」の意味
「おっしゃる」は、言う人そのものを立てる言葉です。取引先・お客様・上司など、敬う相手が言ったことを表すときに使います。過去のことは「おっしゃいました」「おっしゃっていました」、続けるときは「おっしゃるとおりです」のように使います。
「申す」は、自分や自分の側の人が言うことを、聞き手に対して改まって伝える言葉です。「□□と申します」という名乗りや、社外の人に「◯◯が申しておりました」と自社の人の発言を伝える場面で使います。
「申し上げる」は、言う先の相手を立てる言葉で、「御礼申し上げます」「お詫び申し上げます」「ご報告申し上げます」のように、相手に向けたお礼・お詫び・報告で使います。
Point
相手が言うなら「おっしゃる」、自分が言うなら「申す」「申し上げる」。主語が誰かを確かめてから言葉を選びます。
誰が言うかで変わる使い分け
| 誰が・誰に言うか | 使う言葉 | 例 |
|---|---|---|
| 取引先・お客様が言った | おっしゃる | ◯◯様がおっしゃっていたとおり |
| 取引先の上司が言った | おっしゃる | ◯◯部長がおっしゃっていた件 |
| 自分が名乗る | 申す | 株式会社△△の□□と申します |
| 自分が相手にお礼・お詫びを言う | 申し上げる | 心より御礼申し上げます |
| 社外の人に、自社の上司の発言を伝える | 申す | 部長の◯◯が申しておりました |
| 社内で、上司の発言を別の人に伝える | おっしゃる | 部長がおっしゃっていました |
| 社内の同僚・後輩とのやりとり | 言う | ◯◯さんが言っていました |
注意
社外の人に話すときは、自社の上司も自分の側として扱います。社内で話すときは、上司を立てて「おっしゃる」を使います。同じ上司の発言でも、話している相手が社外か社内かで言葉が変わる点に気をつけます。
「おっしゃられる」「申される」が気になると言われる理由
「おっしゃる」はそれだけで相手を立てる言葉なので、さらに「〜れる」を付けた「おっしゃられる」は敬語が重なった形として、気にする人もいます。「おっしゃる」「おっしゃいました」で十分に丁寧です。
「申される」は、へりくだる「申す」に相手を立てる「〜れる」を付けた形で、相手の発言に使うと向きが噛み合わないと受け取る人もいます。相手が言ったことは「おっしゃいました」とします。
「言われる」も相手を立てる言い方として使えますが、「(誰かに)言われた」という受け身と区別しにくいことがあります。メールでは「おっしゃる」を使うと誤解がありません。
言い換え一覧(丁寧さの段階つき)
相手が言うとき
| 言い方 | 丁寧さ | 使いやすい場面 |
|---|---|---|
| おっしゃいました/おっしゃっていました | 改まった言い方 | 取引先・お客様・上司の発言 |
| お話しになりました | 改まった言い方(話の内容に重きがあるとき) | 講演・説明会での発言 |
| 言われました | 丁寧(受け身と紛らわしいことがある) | 社内の上司との会話 |
| 言っていました | 標準 | 社内の同僚・後輩 |
自分が言うとき
| 言い方 | 丁寧さ | 使いやすい場面 |
|---|---|---|
| 申し上げます | 最も改まった言い方(相手に向けて言う) | お礼・お詫び・報告 |
| 申します | 改まった言い方 | 名乗り、社外への伝言 |
| お伝えします | 丁寧 | 連絡・伝言の取り次ぎ |
| 言います | 標準 | 社内の同僚・後輩 |
お詫びの言い方をもっと増やしたいときはお詫びの言い換え一覧、電話の取り次ぎで伝言を受けるときの言い方は電話の取り次ぎも参考にしてください。
場面別のメール例文
打ち合わせで相手が言ったことを受けて連絡する
件名:先日お話しいただいた◯◯の件
株式会社◯◯
◯◯様
いつもお世話になっております。株式会社△△の□□です。
先日のお打ち合わせでおっしゃっていた◯◯の件について、社内で確認いたしました。
ご要望の形で対応できる見込みですので、詳しい内容を添付の資料にまとめております。
お目通しいただけますと幸いです。
初めての相手に名乗る
件名:◯◯のお問い合わせについて(株式会社△△ □□)
株式会社◯◯
◯◯様
はじめてご連絡いたします。株式会社△△で◯◯を担当しております、□□と申します。
ホームページからお問い合わせいただいた◯◯の件について、ご案内いたします。
社外の人に、自社の上司からの伝言を伝える
件名:Re:◯◯のお見積りについて
◯◯様
お世話になっております。株式会社△△の□□です。
お見積りの件、部長の◯◯にも確認いたしました。
◯◯からも、ぜひ前向きに検討したいと申しておりました。
正式なお返事は、◯月◯日(◯)までにお送りいたします。
社内で、取引先の発言を上司に報告する
件名:◯◯社との打ち合わせのご報告
◯◯部長
お疲れ様です。□□です。
本日の◯◯社との打ち合わせについてご報告します。
先方の◯◯様は、◯月◯日(◯)までに回答をいただきたいとおっしゃっていました。
対応方針についてご相談したいので、明日お時間をいただけますでしょうか。
相手の指摘を受け止める
件名:Re:◯◯資料についてのご指摘
◯◯様
お世話になっております。株式会社△△の□□です。
ご指摘いただき、ありがとうございます。おっしゃるとおり、◯ページの数値に誤りがございました。
修正した資料を添付いたしましたので、ご確認をお願いいたします。
ご迷惑をおかけし、申し訳ございませんでした。
相手の発言をもう一度確かめる
件名:◯◯の条件についての確認
◯◯様
お世話になっております。株式会社△△の□□です。
本日のお電話でおっしゃっていた◯◯の条件について、念のため確認させてください。
◯◯は「◯月末まで」との理解でよろしいでしょうか。
認識に違いがございましたら、お知らせいただけますと幸いです。
年末に改まってお礼を述べる
件名:年末のごあいさつ(株式会社△△)
株式会社◯◯
◯◯様
いつもお世話になっております。株式会社△△の□□です。
本年も格別のお引き立てをいただき、心より御礼申し上げます。
来年も変わらぬお付き合いのほど、よろしくお願い申し上げます。
よくある間違い
| 書きがちな言い方 | 気になる点 | 直し方 |
|---|---|---|
| ◯◯様がおっしゃられたとおり | 「おっしゃる」に「〜れる」が重なり、気にする人もいる | ◯◯様がおっしゃったとおり |
| ◯◯様が申されました | へりくだる「申す」を相手の発言に使っていて、向きが噛み合わない | ◯◯様がおっしゃいました |
| (社外に)弊社の部長がおっしゃっていました | 自社の上司の発言を、社外の人に向けて立ててしまっている | 部長の◯◯が申しておりました |
| ご用件は受付で申してください | 「申す」は自分の側の動作に使う言葉で、相手への依頼には合わない | ご用件は受付でお伝えください |
| □□と申し上げます(名乗り) | 名乗りは「申します」がふつうで、「申し上げます」は大げさに聞こえる | □□と申します |
「おっしゃるとおりです」の使い方と返事
相手の意見や指摘に同意するときは、「おっしゃるとおりです」が使えます。ただ、何度も続けると中身のない相づちに聞こえることがあるので、同意したあとに何をするかを書き添えます。
◯◯様
お世話になっております。株式会社△△の□□です。
おっしゃるとおり、◯◯の手順は見直しが必要だと考えております。
◯月◯日(◯)までに改善案をまとめ、改めてご相談いたします。
反対に、相手から「先日おっしゃっていた件ですが」と連絡が来たら、自分が何を言ったかを短く確かめてから返事をすると、行き違いを防げます。
この記事の要点
- 相手が言うなら「おっしゃる」、自分が言うなら「申す」「申し上げる」。
- 名乗りは「□□と申します」、お礼・お詫びは「申し上げます」。
- 社外に自社の上司の発言を伝えるときは「◯◯が申しておりました」。
- 「おっしゃられる」「申される」は気にする人がいるので「おっしゃる」で。
- 「言われる」は受け身と紛らわしいので、メールでは「おっしゃる」が無難。
FAQ
よくある質問
「おっしゃる」は相手や相手側の人が言うことを立てる言い方で、「申す」は自分や自分側の人が言うことをへりくだって言う言い方です。誰が言うかで使い分けます。
「おっしゃる」に「〜れる」が重なった形なので、気にする人もいます。「おっしゃる」「おっしゃいました」で十分に丁寧なので、そちらを使うのが無難です。
「申す」は名乗りや社外への伝言など、自分の側の発言を改まって言うときに使います。「申し上げる」は言う先の相手を立てる言い方で、お礼・お詫び・報告など相手に向けて述べるときに使います。
社外の人に対しては、自社の社長も自分の側として扱い、「社長の◯◯が申しておりました」と伝えます。
相手を立てる言い方として使えますが、受け身の「言われた」と区別しにくいことがあります。メールでは「おっしゃいました」とすると誤解がありません。