マナー
会社のお歳暮マナー
取引先への時期・のし・宛名と例文
会社として取引先にお歳暮を贈るときに迷うのは、相手が受け取れるか・いつ届けるか・のしと宛名に何を書くかの三つです。取引先からの贈答品を受け取らない方針の会社もあり、確かめずに送ると返送や連絡の手間を相手にかけてしまいます。このページでは、最初に結論を早見表にまとめ、そのあと決める順番に沿って、時期、品物、のし、宛名、渡し方を説明します。受け取り確認のメールや手渡しの一言など、そのまま使える例文と、手配前のチェックリストも載せました。挨拶状の文例はお歳暮の送り状 文例にあります。
結論
会社のお歳暮は、①相手の会社が贈答品を受け取れるかを確かめる ②相手の地域の時期と年末の営業日に合わせて届ける ③部署で分けやすい品を選ぶ ④のしは紅白の蝶結びで表書き「御歳暮」、下に会社名(または会社名と代表者名) ⑤宛名は部署あてなら「御中」、個人あてなら「様」 ⑥送り状か一言で一年のお礼を伝えるの順で準備します。作法は地域や会社によって違うため、社内のこれまでのやり方と相手の慣習を優先します。
結論:会社のお歳暮マナー早見表
| 迷う点 | 答え | 詳しく |
|---|---|---|
| 贈ってよいか | 相手の会社に贈答品を辞退する方針がないかを先に確かめる。辞退なら品物は贈らず、挨拶状やメールにする | 受け取りの方針 |
| いつ届けるか | 十二月上旬から二十日ごろまでを目安にする説明が多い。地域で始まりが違うので相手の地域に合わせ、年末の休業前に届ける | 贈る時期 |
| 何を贈るか | 個包装・常温・日持ちする品が部署で分けやすい。相手の業種の競合品は避ける | 品物の選び方 |
| のし | 紅白の蝶結び、表書き「御歳暮」。名入れは会社名のみ、または会社名と代表者名 | のしの書き方 |
| 宛名 | 部署あては「株式会社◯◯ ◯◯部 御中」、個人あては「◯◯◯◯様」。御中と様は併用しない | 宛名 |
| 配送か手渡しか | 配送なら内のしにして送り状を添える。手渡しなら外のしにして紙袋から出して渡す | 渡し方 |
| 間に合わない | 年明けは「御年賀」(松の内)、その後は「寒中御見舞」に切り替える | 時期を過ぎたら |
注意
金額の目安は、会社の規程・前年の実績・相手との取引の深さで決まります。このページでは金額を断定せず、決め方だけを書きます。
まず確かめる:相手の会社の受け取りの方針
取引先からの贈答品について、受け取りを控える、あるいは一律に辞退する方針をとる会社や団体があります。公表している会社もあれば、担当者に聞かないと分からない会社もあります。
- 相手の会社のウェブサイトや、年末に届く案内に「贈答品の辞退」の記載がないかを見る。
- 前年に辞退の連絡や返送があった相手は、社内の贈答先リストに記録しておく。
- 迷う相手は、担当者に事前に尋ねても失礼にはならない(下の例文を参照)。
- 国家公務員は、国家公務員倫理規程で利害関係者から物品の贈与を受けることが禁じられています(第3条第1項第1号)。官公庁・公的機関や公的な立場にある人には、品物を贈らず挨拶状にするのが安全です。地方公務員や公的機関の職員にもそれぞれ決まりがあるので、社内の担当部署に確認してください。
例文:受け取ってよいかを尋ねるメール
件名:年末のご挨拶の品について(株式会社△△ 山田)
株式会社◯◯ 営業部 佐藤様
いつも大変お世話になっております。株式会社△△の山田です。
本年も格別のお引き立てをいただき、誠にありがとうございました。
例年どおり、年末のご挨拶として心ばかりの品をお送りしたいと考えております。御社で贈答品をお受け取りにならない方針でしたらお送りを控えますので、差し支えなければお知らせいただけますと幸いです。
お忙しいところ恐縮ですが、よろしくお願いいたします。
例文:辞退の連絡を受けたときの返信
ご丁寧にお知らせいただき、ありがとうございます。御社の方針、承知いたしました。
品物は控えさせていただき、あらためて年末のご挨拶をお送りいたします。
来年も変わらぬお付き合いのほど、よろしくお願い申し上げます。
自社が受け取る側で、規程により受け取れない場合の伝え方はお歳暮のお礼状のFAQにあります。贈答のルールを自社で決める場合は、法務や経理と相談してください。
誰に贈るか・毎年続けるか
お歳暮は一年のお世話へのお礼として、毎年続けて贈る前提で考えられている贈り物です。一度だけお礼をしたい相手には、お歳暮ではなく表書きを「御礼」にして贈る方法もあります。
| 相手 | 考え方 |
|---|---|
| 継続して取引がある主要な取引先 | 会社として贈る中心。贈答先リストで毎年同じ基準で管理する |
| 今年だけ特にお世話になった相手 | 来年以降も続けるか迷うなら「御礼」として贈る |
| 取引が終わった・減った相手 | 急にやめず、挨拶状に切り替えるなど段階をつける会社もある。社内で方針を決めておく |
| 公務員・公的機関 | 品物は贈らず挨拶状にする(上の項目を参照) |
夏のお中元も贈っている相手なら、どちらか一方にするときはお歳暮を残すのが無難とされます。お中元の作法は会社のお中元の贈り方にまとめています。
贈る時期の目安(地域で違う)
お歳暮を贈る時期は地域によって違うとされ、同じ地域でも家や会社の慣習で差があります。下の表は目安として案内されることの多い時期です。
| 地域 | 目安として案内されることの多い時期 | 補足 |
|---|---|---|
| 関東 | 十二月上旬から二十日ごろまで | 近年は十一月下旬から贈る例もあるとされる |
| 関西 | 十二月中旬(事始めのころ)から二十日ごろまで | 関東より始まりが遅いと言われる |
| そのほかの地域 | 十二月上旬から二十日ごろまでとする説明が多い | 地域ごとの慣習があるので、相手の地域に詳しい人に確かめる |
- 相手の地域の慣習に合わせる。全国に取引先がある場合は、どの地域でも重なりやすい十二月中旬ごろに届くよう手配する会社もある。
- 年末は相手の会社も休業に入るので、相手の年末の営業日を確かめ、休業中に届かないようにする。
- 生ものや要冷蔵の品は、相手の会社に人がいて受け取れる日を指定する。
社内の段取り(逆算)
- 01
十一月:贈答先リストを見直す
前年の贈り先、辞退の記録、担当者の異動・退職、宛先の住所と部署名を確かめる。
- 02
十一月:受け取りの方針を確かめる
迷う相手には上の例文で問い合わせる。予算は社内規程と前年の実績で決める。
- 03
十一月下旬〜十二月上旬:注文する
品物、のし(表書き・名入れ・内のし/外のし)、お届け日を指定して注文する。
- 04
発送の前後:送り状か連絡メールを送る
品物より先か同時に届くよう手配する。
- 05
届いたあと:記録して引き継ぐ
贈り先・品物・お礼状の有無を贈答先リストに残し、来年に引き継ぐ。
時期を過ぎてしまったら
年内に間に合わないときは、年が明けてから表書きを「御年賀」にして松の内に贈るか、松の内を過ぎたら「寒中御見舞」として立春のころまでに贈る形がよく案内されています。松の内の期間も地域で違います。相手が喪中の場合は「御年賀」を避け、「寒中御見舞」とするのが無難とされます。文例は寒中見舞いの文例(ビジネス)を参照してください。
品物の選び方(部署で分けやすいもの)
会社あてのお歳暮は、受け取った担当者が部署の人に配ることが多いので、分けやすさと保管のしやすさを優先します。
| 選ぶ基準 | 理由 | 品物の例 |
|---|---|---|
| 個包装になっている | 配りやすく、休みの人の分も取り分けられる | 焼き菓子、おかきの詰め合わせ |
| 常温で保管できる | オフィスの冷蔵庫は場所が限られる | 缶入りの飲み物、ドリップコーヒー |
| 日持ちする | 年末年始の休業をはさんでも傷みにくい | 乾物、缶詰、日持ちする菓子 |
| 場所をとらない | 大きな箱は置き場所に困る | 薄型の箱入りの品 |
| 人数に合った量 | 少なすぎると配れず、多すぎると余る | 相手の部署の人数に合わせて数を選ぶ |
- 相手の業種の競合品は避ける(飲料メーカーに他社の飲み物、など)。
- お酒は、飲まない人や運転する人もいるので、相手の部署の様子が分からないときは避けたほうが無難。
- 調理が必要な生鮮品は、会社あてでは扱いに困ることがある。
- 金額は高すぎても相手の規程に触れたり負担をかけたりするので、社内規程と前年の実績に合わせ、毎年大きく変えない。
のしの書き方(表書きと名入れ)
| 項目 | 書き方 | 補足 |
|---|---|---|
| 水引 | 紅白の蝶結び | 何度あってもよいお祝い・お礼に使う結び方 |
| 表書き(上段) | 「御歳暮」または「お歳暮」 | 時期を過ぎたら「御年賀」「寒中御見舞」 |
| 名入れ(下段)・会社名のみ | 株式会社△△ | 会社として贈る場合。もっとも簡潔な形 |
| 名入れ・会社名と代表者名 | 右に小さく会社名、中央に代表者の氏名 | 改まった相手や、代表者として挨拶する場合 |
| 名入れ・部署から | 株式会社△△ 営業部一同 | 部署として日頃お世話になっている相手に |
社名は「株式会社」を略さずに書きます。「(株)」は正式な書き方ではないとされます。生鮮の魚介や肉を贈るときは、のし(右上の飾り)のない掛け紙を使うとされることがあります。迷ったら注文する店に相談してください。
内のしと外のし
- 配送で贈る場合は内のし(包装紙の内側にのし紙をかける)が多いとされる。配送中にのし紙が汚れたり破れたりしにくい。
- 持参して手渡す場合は外のし(包装紙の外側にかける)にすると、ひと目で贈り物の目的が伝わる。
- どちらにするかは地域や店の扱いでも違うので、注文時に店に相談してよい。
喪中の相手に贈るとき
お歳暮は日頃のお礼として贈るものなので、相手や自分が喪中でも贈ってよいとされることが多いです。その場合は紅白の水引を避け、白無地の奉書紙や短冊に「御歳暮」と書く形がよく案内されています。四十九日を過ぎていない場合などは、時期をずらして寒中見舞いにする考え方もあります。相手の事情に応じて判断してください。
のし紙はのし紙作成ツールで表書きと名入れを入れてA4で印刷できます。
会社あての宛名と送り先
| 贈る相手 | 宛名の書き方 |
|---|---|
| 会社全体(部署の皆さんで) | 株式会社◯◯ 御中、または 株式会社◯◯ ◯◯部 御中 |
| 支店・営業所 | 株式会社◯◯ ◯◯支店 御中、または 支店長あてに「◯◯支店 支店長 ◯◯◯◯様」 |
| 担当者個人の名前で | 株式会社◯◯ ◯◯部 ◯◯◯◯様(「御中」と「様」は一緒に使わない) |
| 代表者あて | 株式会社◯◯ 代表取締役 ◯◯◯◯様 |
- 部署の皆さんに召し上がってほしいときは、個人名より部署あて(御中)にすると、担当者が不在でも受け取ってもらいやすい。
- 担当者の自宅に送ると、相手の会社の規程や家庭の事情に触れることがあるため、会社あてに送るのが無難。
- 担当者が異動・退職している場合があるので、贈る前に贈答先リストの名前と役職を確かめる。
配送するとき:送り状と発送の連絡
配送で贈るときは、本来なら持参する挨拶を送り状(添え状)で代えます。品物に同梱するか、品物より先に届くよう郵送します。文例はお歳暮の送り状 文例に場面別にまとめています。担当者と日頃メールでやり取りしている相手なら、発送の連絡メールを添えると受け取りの準備をしてもらえます。
例文:発送の連絡メール
件名:年末のご挨拶の品をお送りしました(株式会社△△ 山田)
株式会社◯◯ 営業部 佐藤様
いつもお世話になっております。株式会社△△の山田です。
本年も大変お世話になり、誠にありがとうございました。
日頃の感謝のしるしとして、心ばかりの品を本日お送りいたしました。十二月◯日に御社あてに届く予定です。皆様で召し上がっていただけましたら幸いです。
来年も変わらぬお引き立てのほど、よろしくお願い申し上げます。
例文:年明けに「御年賀」として贈るときの添え文
年末のご挨拶が遅くなり、申し訳ございません。新年のご挨拶のしるしに、心ばかりの品をお送りいたしました。本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。
手渡しするときの渡し方
- 01
事前に訪問の約束をとる
年末は相手も忙しいので、挨拶の訪問は事前に日時を約束し、長居しない。
- 02
紙袋や風呂敷から出して渡す
紙袋は持ち運び用とされるため、品物を出して相手から正面が見える向きにして渡す。屋外や雨の日など、場面によっては紙袋ごと渡すこともある。紙袋は持ち帰るか、相手に処分の手間をかけないよう配慮する。
- 03
一言添える
一年のお礼を伝える(下の例文を参照)。渡したあとの記録は上の「社内の段取り」のとおり。
例文:手渡しのときの一言
| 場面 | 一言の例 |
|---|---|
| 担当者に渡す | 本年も大変お世話になりました。心ばかりの品ですが、皆様で召し上がってください。 |
| 上司と一緒に訪問した | 本年は格別のお引き立てをいただき、ありがとうございました。ささやかですが、年末のご挨拶のしるしにお納めください。 |
| 担当者が不在で受付に預ける | 株式会社△△の山田と申します。年末のご挨拶の品を、営業部の佐藤様にお渡しいただけますでしょうか。 |
| 担当が替わった直後 | 今年から担当しております山田です。行き届かない点もあったかと存じますが、一年間ありがとうございました。来年もどうぞよろしくお願いいたします。 |
受付に預けたときは、あとで担当者にメールで一言伝えると行き違いが防げます。訪問のときの手土産の作法はビジネスの手土産も参照してください。
よくある失敗と防ぎ方
| 失敗 | 起きること | 防ぎ方 |
|---|---|---|
| 辞退の方針を確かめずに送った | 返送や断りの連絡で相手に手間をかける | 前年の記録と相手の案内を確認し、迷えば事前に尋ねる |
| 年末の休業中に届いた | 受け取れず持ち戻りになる。生ものは傷む | 相手の年末の営業日を確かめ、お届け日を指定する |
| 退職した担当者あてに送った | 相手の社内で宛先が宙に浮く | 贈る前に贈答先リストの名前と役職を見直す |
| 御中と様を併用した | 宛名の誤りとして目立つ | 部署あては御中、個人あては様のどちらか一方にする |
| のしに「(株)」と書いた | 略式の印象を与える | 「株式会社」と正式な社名で書く |
| 配送なのに送り状がない | 誰から何の品か伝わりにくい | 送り状を同梱するか、発送の連絡メールを送る |
| 今年だけで翌年やめた | 取引に変化があったのかと受け取られることがある | 一度だけなら表書きを「御礼」にする |
手配前のチェックリスト
- 相手の会社に贈答品を辞退する方針がないか確かめた
- 相手が公務員・公的機関ではないか確かめた
- 贈答先リストの担当者名・役職・部署名・住所が最新になっている
- 相手の地域の時期と、年末の営業日に合わせてお届け日を決めた
- 個包装・常温・日持ちなど、部署で分けやすい品を選んだ
- 相手の業種の競合品になっていない
- のしは紅白の蝶結び・表書き「御歳暮」・名入れは正式な社名
- 配送は内のし、手渡しは外のしにした
- 宛名で御中と様を併用していない
- 送り状か発送の連絡メールを用意した
- 贈ったあと、贈答先リストに記録した
この記事の要点
- まず相手の会社が贈答品を受け取れるかを確かめる。辞退なら挨拶状やメールでお礼を伝える。公務員には品物を贈らない。
- 時期は地域で違う。相手の地域の慣習と、相手の年末の営業日に合わせる。
- 品物は個包装・常温・日持ちなど部署で分けやすいもの。相手の業種の競合品は避ける。
- のしは紅白の蝶結び・表書き「御歳暮」。名入れは会社名のみ、または会社名と代表者名。宛名は御中か様のどちらか。
- 配送は内のし+送り状、手渡しは外のし+一言。時期を過ぎたら「御年賀」→「寒中御見舞」。
FAQ
よくある質問
会社として贈る場合は、下段に会社名だけを書く形で構いません。改まった相手や、代表者として挨拶する場合は、会社名を右に小さく、代表者の氏名を中央に書きます。「株式会社」は略さずに書きます。
十二月上旬から二十日ごろまでを目安とする説明が多いですが、関東と関西で始まりが違うと言われるなど、地域や会社の慣習で差があります。相手の地域の慣習に合わせ、相手の年末の休業に入る前に届くよう手配します。
部署や会社全体にあてるなら「御中」、担当者や代表者など個人にあてるなら「様」です。「◯◯部御中 ◯◯様」のように両方を使うのは誤りです。
品物は贈らず、歳末の挨拶状や年末の挨拶メールで一年のお礼を伝えます。前年に辞退の連絡があった相手は社内の贈答先リストに記録し、翌年も誤って送らないようにします。
国家公務員は、国家公務員倫理規程で利害関係者から物品の贈与を受けることが禁じられています。地方公務員や公的機関にもそれぞれ決まりがあるため、品物は贈らず挨拶状にするのが安全です。
お歳暮は毎年続けて贈る前提で考えられているため、一度だけなら表書きを「御礼」にして贈る方法があります。
手渡しの挨拶の代わりになるので、添えるのが丁寧です。品物に同梱するか、品物より先に届くよう郵送します。日頃メールでやり取りしている相手には、発送の連絡メールでも構いません。
年が明けてから表書きを「御年賀」にして松の内に贈るか、松の内を過ぎたら「寒中御見舞」として贈ります。松の内の期間は地域で違うので、相手の地域に合わせてください。