手順
根回しの仕方
会議前の事前相談の手順と、そのまま使える言い方
根回しは、会議の場で初めて案を出さず、関係する人に先に見せて意見を聞いておくことです。こっそり話を決めてしまうことではなく、相手に「聞いていない」と思わせないための事前相談と考えると進めやすくなります。やり方の要点は、まず直属の上司に話す、関わる人の順番を決める、案を一枚にして持って行く、意見を聞いて案に取り込むの四つです。見本の言い方は「◯◯さん、来週の会議で◯◯の変更を提案する予定です。◯◯部の作業にも関わるので、その前にご意見を伺っておきたくて、◯分ほどお時間をいただけますか」。言葉の意味や「コンセンサス」との違いはコンセンサスの意味にまとめているので、このページでは根回しの手順と言い方に絞ります。
結論
根回しの手順は①直属の上司に相談する ②関わる人と話す順番を決める ③案を一枚にまとめて一人ずつ相談する ④出た意見を案に取り込む ⑤会議の前に、変えた点を伝え直すの五つです。相談するときは「決めたので了解してください」ではなく「意見を伺いたい」という形にします。
根回しの手順
- 01
直属の上司に相談する
最初に話すのは直属の上司です。「誰に、どの順で話しておくべきか」を上司に相談します。上司を飛ばして他部署に話すと、上司が知らない話が社内に広がってしまいます。
- 02
関わる人を書き出し、順番を決める
案で仕事が増える人、やり方が変わる人、決める人を書き出します。順番は職場の慣習によって違うので、上司と決めます。一般には、担当者から先に話し、その上長、決める人の順にすることが多いです。
- 03
案を一枚にまとめて持って行く
口頭だけだと人によって受け取り方が変わります。同じ一枚を見せながら話すと、伝わる内容がそろいます。
- 04
意見を聞き、その場で反論しない
気になる点を言われたら、まずメモを取ってお礼を言います。その場で言い返すと、相談ではなく説得になってしまいます。
- 05
意見を案に取り込み、伝え直す
取り入れた点、取り入れられなかった点とその理由を、会議の前に相談した人へ伝えます。自分の意見がどう扱われたか分かると、会議で反対されにくくなります。
- 06
会議では、相談した経緯を一言添える
会議の冒頭で「事前に◯◯部の皆さんにもご意見を伺い、◯◯の点を直しました」と添えると、議論が進みやすくなります。
Point
根回しは、会議を形だけにするためのものではありません。正式に決めるのは会議や決裁の場で、根回しはそのための材料集めです。会議で出た意見も、事前に聞いた意見と同じように扱ってください。
誰に・どんな順で話すか
| 相手 | 話すこと | ねらい |
|---|---|---|
| 直属の上司 | 案の中身と、誰に話すべきか | 話の通し方を一緒に決めてもらう |
| 影響を受ける部署の担当者 | 仕事がどう変わるか、困ることはないか | 現場で困る点を先に見つける |
| その部署の上長 | 担当者と話した内容、部署としての意見 | 担当者の頭越しにならないようにする |
| 反対しそうな人 | 気になっている点を先に聞く | 会議で初めて反対が出るのを避ける |
| 決める人 | 関係者の意見と、それを受けて直した点 | 判断に必要な材料をそろえる |
この順番は一つの例です。どの順で話すのがよいかは職場によって違うので、上司や、その部署をよく知っている人に確かめてください。決裁の範囲や手続きは会社の決まりに従います(決済と決裁の違い)。
そのまま使える言い方(場面別)
直属の上司に、根回しの順番を相談する
◯◯課長、来週の会議で◯◯の変更を提案したいと考えています。
◯◯部と◯◯部の作業にも関わるので、会議の前にご意見を伺っておきたいのですが、
どなたから先にお話しするのがよいでしょうか。
他部署の担当者に事前相談する
◯◯さん、お疲れさまです。◯◯部の◯◯です。
来週の会議で、◯◯の手順を変える案を出す予定です。
◯◯部の作業にも関わるので、その前にご意見を伺いたくて来ました。
こちらが案です。困る点や気になる点があれば、教えていただけますか。
他部署の上長に話す
◯◯部長、お時間をいただきありがとうございます。
◯◯の手順の変更について、先日◯◯さんにご意見を伺い、◯◯の点を直しました。
部としてご懸念がないか、伺えればと思います。
注意
担当者と話した後に上長へ行くときは、担当者と話した内容を正直に伝えます。担当者に話したことと上長に話したことが違うと、信頼を失います。
反対しそうな人に、先に意見を聞く
◯◯さんは、以前◯◯の件でこの手順を作られたと伺いました。
今回の案で、気になる点があれば先に伺っておきたいと思っています。
率直なご意見をいただけると助かります。
チャットで事前相談をお願いする
◯◯さん
お疲れさまです。◯◯部の◯◯です。
◯日の会議で◯◯について提案する予定で、◯◯部にも関わるため、事前にご意見を伺えればと思っています。
今週中に◯分ほどお時間をいただけますか。案を添付します。
意見を取り入れられなかったことを伝える
◯◯さん、先日はご意見をありがとうございました。
◯◯の点は案に取り入れました。
◯◯の点は、◯◯の事情で今回は見送りましたが、試した後に改めて見直す項目として残しています。
取り入れなかった意見ほど、理由と今後の扱いを本人に伝えます。伝えずに会議を迎えると、相談したことがかえって逆効果になります。
よくある失敗と直し方
| よくある失敗 | 困ること | 直し方 |
|---|---|---|
| 直属の上司より先に他部署へ話す | 上司が知らないまま話が広がる | 最初に上司に話し、順番を相談する |
| 上長だけに話し、担当者を飛ばす | 現場の担当者が「頭越しだ」と感じる | 担当者と上長の両方に話す |
| 人によって話す内容を変える | 後で食い違いが分かり、信頼を失う | 同じ一枚を見せて話す |
| 相談のつもりが説得になる | 相手が意見を言いにくくなる | まず聞いてメモを取り、その場で反論しない |
| 会議の直前に話す | 相手が考える時間がなく、反対に回りやすい | 会議まで余裕のある時期に話す |
| 聞いた意見をどう扱ったか伝えない | 相談した意味が伝わらない | 取り入れた点・見送った点を伝え直す |
言ってはいけない・避けたい言い方
| 避けたい言い方 | 気になる点 | こう言う |
|---|---|---|
| もう決まったことなので、了解だけお願いします | 相談ではなく通告になる | 会議の前に、ご意見を伺いたいと思っています |
| 部長はもう賛成しています | 上の人の名前で押し切ろうとしているように聞こえる | ◯◯部長にもご相談し、◯◯の点を直しました |
| ここだけの話ですが | 話していない人を外しているように受け取られる | 会議の前に、関わる方にお話ししています |
| ◯◯部長が申されたとおり | 「申す」は謙譲語で、相手側の人には使わない | ◯◯部長がおっしゃったとおり |
| ご意見をお聞かせさせてください | 「させて」を重ねて回りくどい | ご意見をお聞かせください |
根回しで上の人の名前を出すときは、押し切るためではなく、経緯を伝えるために使います。言葉としての「ネゴ」「根回し」の違いはネゴの意味も参考にしてください。
後日のフォロー(お礼・報告・お詫び)
事前相談に乗ってもらったお礼
◯◯さん
お疲れさまです。◯◯部の◯◯です。
本日はお忙しいところ、ご意見をいただきありがとうございました。
ご指摘の◯◯の点を直した案を、会議の前に改めてお送りします。
会議の結果を報告する
◯◯さん
先日はご相談に乗っていただき、ありがとうございました。
◯日の会議で、◯◯の案は◯月から試すことに決まりました。
◯◯部の作業に関わる点は、◯◯さんにご相談しながら進めます。引き続きよろしくお願いいたします。
話す順番を間違えたときのお詫び
◯◯部長
◯◯の件、本来は先に部長にご相談すべきところ、担当の◯◯さんとだけ話を進めておりました。申し訳ありません。
改めて案の中身をご説明させてください。ご都合のよいお時間を伺えますでしょうか。
注意
順番を飛ばしてしまったと気づいたら、できるだけ早く本人に直接お詫びし、改めて説明の時間をもらいます。会議の結果を相談した人に伝えるのを忘れないようにしてください。会議の準備全体は会議の準備チェックリストにまとめています。
この記事の要点
- 根回しは会議の前に関係者へ案を見せ、意見を聞く事前相談。
- 最初に直属の上司に話し、誰にどの順で話すかを相談する。
- 同じ一枚を見せ、人によって話を変えない。
- その場で反論せず、聞いた意見をどう扱ったかを伝え直す。
- 会議の後は、相談した人に結果を報告する。
FAQ
よくある質問
会議の外で物事を決めてしまうのはよくありませんが、関係する人に先に案を見せて意見を聞くことは、会議を実りあるものにするための準備です。正式に決めるのは会議や決裁の場だと意識し、会議で出た意見もきちんと扱えば、後ろめたいものではありません。
相手が考えたり、自分の上長に相談したりする時間が取れるよう、会議まで余裕のある時期に始めます。何日前がよいかは案の大きさや職場によって違うので、上司に相談して決めてください。
会議の場で初めて案を聞いた人が「聞いていない」と感じたり、気になる点を確かめる時間がなかったりして、反対や持ち帰りになりやすくなります。案の中身がよくても、決まるまでに時間がかかることがあります。
説得しようとする前に、何が気になっているのかを聞いてください。手間が増える、責任が変わる、前のやり方に理由があった、など理由が分かれば、案を直せることがあります。直せない点は理由を正直に伝えます。
案を送るのはチャットやメールで構いませんが、意見を聞く部分は、短くても顔を合わせるかオンラインで話すほうが、相手の気になる点を聞き取りやすくなります。相手が文章でのやり取りを好む場合は、それに合わせます。