手順
会議で意見をまとめる方法
多数決・合意・決定者・保留の使い分け
会議で意見がまとまらない原因の多くは、意見の中身ではなく「どうやって決めるか」が決まっていないことにあります。結論から言うと、議論に入る前に決め方を宣言しておくのがいちばんの近道です。決め方は大きく四つ。決定者が決める、全員の合意を目指す、多数決をとる、いったん保留する。場面に合った決め方を選び、「今日はこの決め方でいきます」と最初に伝えるだけで、議論が着地しやすくなります。このページでは、決め方の選び方と、まとめるときの言い方を場面別に並べました。「合意形成」「コンセンサス」という言葉の意味はコンセンサスとはで説明しています。
結論
意見をまとめる手順は①決め方を宣言する ②出た意見を並べて、違う点だけを取り出す ③決め方に沿って決める ④決まったことと残った懸念を読み上げるの四段階です。決まらないときも、「次に決めるために、誰が何を調べるか」を決めて終われば、その会議は前に進んだことになります。
結論:決め方は四つ、先に宣言する
| 決め方 | 向いている場面 | 宣言の言い方 |
|---|---|---|
| 決定者が決める | 急ぐとき・責任者がはっきりしているとき | 今日は皆さんの意見を伺ったうえで、最後は◯◯さんに決めていただきます。 |
| 全員の合意を目指す | 全員の協力がないと進まないこと | 全員が納得できる案を探したいので、反対の方は理由も含めて教えてください。 |
| 多数決 | 選択肢が並んでいて、どれでも大きな問題がないとき | 候補が三つあるので、最後は多数決で決めます。 |
| 保留して持ち越す | 判断の材料が足りないとき | 今日は決めずに、◯◯を確認してから次回決めます。 |
Point
多数決は「早く決まる」代わりに「少数側の納得」が残りにくい決め方です。後で実行する人が少数側にいる場合は、多数決の前に懸念を聞き取り、その懸念への手当てを一緒に決めておくと、決めた後に止まりません。
会社によっては、金額や内容に応じて誰が決めてよいかが規程で決まっています。その場合は会社の決まりに従って決定者を選んでください。
意見をまとめる手順
- 01
決め方を宣言する
議題に入る前に、上の四つのどれで決めるかを伝えます。決定者が決める場合は、その人の名前も言います。
- 02
意見を全部出してもらう
途中で否定せず、まずは出し切ってもらいます。出た意見はホワイトボードや共有画面に書き出します。
- 03
同じ点と違う点を分ける
「目的は全員同じで、違うのは◯◯の部分ですね」と、対立している点だけを取り出します。
- 04
判断の基準をそろえる
費用・期限・手間など、何を優先して比べるかを確認します。基準がそろうと、意見の違いが小さくなることがよくあります。
- 05
決める・読み上げる
宣言した決め方で決め、決まったこと・残った懸念・宿題を読み上げます。
まとめるときの言い方(場面別)
意見が二つに割れたとき
今出た意見は、大きく「◯◯案」と「◯◯案」の二つですね。どちらも◯◯を良くしたいという点は同じで、違うのは◯◯の部分だと思いますが、この整理で合っていますか。
判断の基準をそろえる
今回は期限を最優先に考える、ということで皆さんよろしいですか。そうすると、◯◯案のほうが合っていそうです。
多数決をとる
意見は出そろいましたので、多数決で決めます。◯◯案に賛成の方は挙手をお願いします。……ありがとうございます。では、◯◯案で進めます。◯◯案を推した方の懸念だった◯◯については、◯◯さんに対応をお願いします。
決定者に決めてもらう
両案の良い点と懸念は以上です。◯◯部長、この内容を踏まえて、ご判断をお願いできますか。
全員の合意を確かめる
◯◯案で進めることに、反対の方はいらっしゃいますか。……懸念が残っている方は、今のうちにおっしゃってください。
保留して持ち越す
今日は結論を出さずに、次回決めることにします。それまでに、◯◯さんが◯◯の費用を確認し、◯日までに共有をお願いします。
注意
保留にするときは「何がそろえば決められるか」「誰がいつまでにそろえるか」をセットで決めます。これがないと、次の会議でも同じ議論を繰り返します。
よくある失敗と直し方
| よくある失敗 | なぜ困るか | 直し方 |
|---|---|---|
| 決め方を決めずに議論を始める | いつまでも話が終わらない | 議題に入る前に「今日は◯◯で決めます」と宣言する |
| 声の大きい人の意見で決まる | ほかの人が後から反対し、実行で止まる | 全員から一言ずつ意見を聞いてから決める |
| 多数決の後、少数側を放っておく | 納得していない人が動かない | 少数側の懸念を一つ拾い、対応を決める |
| 「持ち帰ります」で終わる | 次回も同じ議論になる | 誰が、何を、いつまでに確認するかを決める |
| 決まったことを読み上げない | 人によって違う理解のまま終わる | 最後に決定事項を声に出して確認する |
避けたい言い方と言い換え
| 避けたい言い方 | 理由 | 言い換え |
|---|---|---|
| 反対の人はいませんよね | 反対を言いにくくする聞き方 | 懸念のある方は、今のうちに教えてください |
| それは違うと思います | 人を否定しているように聞こえる | その点は、◯◯の理由で別の見方もありそうです |
| とりあえずこれでいきましょう | 何が決まったのかがあいまい | ◯◯の案で進めます。◯月に一度見直します |
| 部長がそう言うなら | 決定の理由が残らない | ◯◯部長のご判断で、◯◯の理由から◯◯案に決めました |
反対意見の伝え方そのものは会議で反対意見を言うときの言い方にまとめています。
会議の後のフォロー(お礼・お詫び)
少数側だった人へのひと言(社内)
今日はご意見ありがとうございました。◯◯さんが挙げてくださった◯◯の懸念は、私のほうで対応を考えて、来週ご相談させてください。
決定を共有するメール
本日の会議で、◯◯は◯◯案で進めることに決まりました。判断の理由は◯◯です。なお、◯◯の点については◯◯さんが◯日までに確認します。
まとめきれなかったことへのお詫び
本日は結論まで進められず、申し訳ありませんでした。次回までに◯◯の資料をそろえ、冒頭で決められるようにします。
決定事項の書き残し方は議事録の書き方を参照してください。
この記事の要点
- 議論の前に決め方(決定者・合意・多数決・保留)を宣言する。
- 意見は全部出してから、同じ点と違う点を分ける。
- 多数決のあとは少数側の懸念を一つ拾う。
- 保留にするなら誰が・何を・いつまでに確認するかを決める。
- 最後に決まったことを声に出して読み上げる。
FAQ
よくある質問
選択肢が並んでいて、どれを選んでも大きな問題がない場合には便利な決め方です。ただし、少数側の納得は残りにくいので、決めた後に実行する人が少数側にいる場合は、多数決の前に懸念を聞いておくのがおすすめです。社内の規程で決め方が定められている会議は、その定めに従ってください。
まず両方の意見に共通する目的を確認し、違いがどこにあるかを一点に絞ります。そのうえで、費用・期限など何を優先するかの基準をそろえると、どちらかに寄ることがあります。それでも決まらない場合は、決定者に判断を委ねるか、材料をそろえて次回決めます。
判断の材料が足りないときに保留するのは、悪いことではありません。大事なのは、何がそろえば決められるか、誰がいつまでにそろえるかを決めておくことです。それがないまま保留にすると、次回も同じ議論になります。
言って構いませんが、進行役の意見は場の流れを左右しやすいので、全員の意見が出た後に「一参加者としての意見ですが」と断ってから言うのがよいでしょう。