手順
ブレインストーミングのやり方
ルール・進行表・まとめ方・テーマ例
ブレインストーミング(ブレスト)は、批判をせずに、みんなでアイデアをたくさん出し、あとから選ぶ話し合いの方法です。やり方は「問いを決める→一人で書く→出し合って広げる→まとめる→基準を決めて選ぶ→担当を決める」の6段階。このページでは、そのまま使える進行表・進行役の台本・テーマ例・広げる質問・チェックリストまでまとめました。会議の進行全般はファシリテーションの進め方にあります。
結論
ブレストは、アイデアを出す時間(発散)と、選ぶ時間(収束)をはっきり分けて進めます。出す時間のルールは①批判しない ②自由に出す ③質より量 ④人の案に乗っかって広げるの4つ。選ぶ時間に入ってはじめて、良し悪しを話します。
結論:ブレストのやり方は6段階
- 01
問いを決める
「どうすれば〜できるか」の形で、対象と場面を一つに絞った問いを書く。
- 02
一人で書く
最初の数分は黙って各自が付箋に書く。付箋1枚にアイデア1つ。
- 03
出し合って広げる
一人ずつ読み上げて貼る。評価はせず、人の案を変えたり組み合わせたりして足す。
- 04
まとめる
似た案を集めてグループにし、見出しをつける。
- 05
基準を決めて選ぶ
「すぐ試せるか」「効果」などの基準を先に決め、印をつけて投票する。
- 06
担当を決めて終える
選んだ案について、誰が・何を・いつまでに確かめるかを決める。
Point
いちばん大事なのは、出す時間と選ぶ時間を混ぜないこと。 出しているそばから「それは無理」「予算が」と評価が始まると、ほかの人は案を出さなくなります。
そのまま使える進行表(30分版・60分版)
時間を先に区切っておくと、話が広がりすぎず、選ぶ時間も確保できます。下はこのページで用意した目安です。テーマの大きさに合わせて伸び縮みさせてください。
| 段階 | 30分版 | 60分版 | 進行役がすること |
|---|---|---|---|
| テーマとルールの確認 | 3分 | 5分 | 問いを読み上げ、4つのルールを確認する |
| 一人で書く | 5分 | 8分 | 黙って書く時間だと伝え、タイマーを回す |
| 出し合って広げる | 10分 | 20分 | 一人ずつ読み上げてもらい、評価が出たら止める |
| まとめる(グループ分け) | 5分 | 10分 | 似た付箋を集め、見出しを全員で決める |
| 基準を決めて選ぶ | 5分 | 10分 | 基準を確認し、印をつけて投票する |
| 担当と期限を決める | 2分 | 7分 | 誰が・何を・いつまでにを決め、記録する |
注意
時間はタイマーで区切ると、集中が続きます。選ぶ時間が足りなくなりそうなら、出す時間を削ってでも「担当を決める」までは必ず終えます。
ブレインストーミングの4つのルール
| ルール | 意味 | 進行役が言う一言の例 |
|---|---|---|
| 批判しない | 出ている間は、良い悪いを言わない。評価は後で | 「今は良し悪しは置いておきましょう」 |
| 自由に出す | 突飛な案、実現しそうにない案も歓迎する | 「無理そうな案ほど、ほかの案のきっかけになります」 |
| 質より量 | まずは数を出す。良い案は数の中から見つかる | 「まだまだ出せます、もう少し粘りましょう」 |
| 人の案に乗る | ほかの人の案を組み合わせたり、少し変えたりして広げる | 「今の案を少し変えるとしたら?」 |
この4つは、ブレインストーミングを考えた広告会社のアレックス・F・オズボーンが示した考え方として知られています。
| 出す時間に出がちな言葉 | 進行役の言い換え |
|---|---|
| 「それは前にやってだめだった」 | 「やり方を変えるとしたら、どうなりますか」 |
| 「予算的に無理ですね」 | 「予算のことは選ぶ時間に考えましょう。まずは出し切ります」 |
| 「現実的じゃない」 | 「現実的にするなら、どこを変えますか」 |
| 「それ、いいね!」で話し込む | 「いいですね、付箋に書いて次に進みましょう」 |
ブレストは無駄?向いている場面と向かない場面
「ブレストは無駄」と言われるのは、多くの場合、問いがあいまい、選ぶ時間がない、担当が決まらない、のどれかで「出しっぱなし」になったときです。向き不向きを分けて使えば、短い時間で案の幅を広げられます。
| 向いている場面 | 向かない場面 |
|---|---|
| 案の幅を広げたい(企画名、販促、イベントの中身など) | 答えが一つに決まっている(法令・規程の確認など) |
| いろいろな立場の視点を集めたい | 決める人がもう決めていて、形だけ意見を聞く |
| 行き詰まった課題を別の角度から見たい | 事実や数字が足りず、まず調べるべき段階 |
| チームで当事者意識を持って進めたい | 参加者の利害が強くぶつかっている(先に調整が必要) |
| メリット | デメリットと対策 |
|---|---|
| 一人では出ない視点の案が集まる | 声の大きい人に流れやすい→最初に一人で書く時間をとる |
| 人の案に乗ることで、案が組み合わさって広がる | 評価が混ざると止まる→出す時間と選ぶ時間を分ける |
| 決めた案に参加者が納得しやすい | 出しっぱなしになりやすい→担当と期限を決めて終える |
準備:問いの立て方・人数・役割・持ち物
ブレストの出来は、問いでほぼ決まります。「どうすれば〜できるか」の形にし、対象と場面を一つに絞ると案が出やすくなります。
| 場面 | 広すぎる問い | 出やすい問い |
|---|---|---|
| 社内イベント | 社員総会をよくするには | どうすれば若手が社員総会に来たいと思うか |
| 懇親会 | 懇親会を盛り上げたい | どうすれば新入社員が懇親会で一人にならないか |
| 業務改善 | 会議を減らしたい | どうすれば週次の報告会を15分で終えられるか |
| 販促・集客 | 売上を上げたい | どうすれば初めての人が店に一歩入りやすくなるか |
| 商品・サービス名 | いい名前を考えたい | どうすれば一度聞いたら覚えてもらえる名前になるか |
| 採用 | 応募を増やしたい | どうすれば学生に職場の雰囲気が伝わるか |
| 研修・勉強会 | 研修を楽しくしたい | どうすれば研修の翌日に一つ試してもらえるか |
| 顧客対応 | クレームを減らしたい | どうすれば問い合わせ前に答えが見つかるか |
- 人数は少人数(4〜6人ほど)が進めやすい。多いときはグループに分け、最後に持ち寄る(グループ分けはチーム分けツール)
- 参加者は立場や部署が少し違う人を混ぜる。同じ部署だけだと案が似やすい
- 決める権限のある人がいるなら、発言と投票は最後にしてもらうよう事前に頼む
- 役割は進行役・記録係・時間係の3つ。少人数なら進行役が時間係を兼ねてよい
- 発表の順番はルーレットで決めると早い
- 問い(「どうすれば〜」の形)を紙・画面の上に書いた
- 出す時間・選ぶ時間・終わる時刻を決めた
- 付箋(1人あたり多めに)と太めのペン、または共有ボードを用意した
- ホワイトボードや模造紙など、貼る場所を確保した
- 投票用の丸シールやペン(オンラインならスタンプ機能)を用意した
- 選ぶ基準の候補を考えておいた
- 参加者に問いを前日までに伝えた(考えてきてもらうため)
付箋を使ったブレストの進め方と進行役の台本
- 01
テーマとルールを確認する
進行役が問いを読み上げ、4つのルールを確認します。台本例:「今日の問いは『どうすれば◯◯か』です。ここから◯分は出す時間なので、良し悪しは言わずに、とにかく数を出しましょう」
- 02
まず一人で書く
各自が黙って付箋に書きます。付箋1枚にアイデア1つ、一言で。台本例:「◯分間、黙って書く時間です。思いついたものは全部書いてください」
- 03
順番に出して貼る
一人ずつ、付箋を読み上げながら貼ります。説明は一言で、質問や評価はしません。台本例:「では◯◯さんから時計回りに一枚ずつお願いします」
- 04
人の案に乗って広げる
貼られた案を見て、組み合わせたり変えたりした案を追加します。台本例:「この二つを組み合わせたらどうなりますか」「逆にしたら?」
- 05
近い案をまとめる
似ている付箋を集め、グループに見出しをつけます。台本例:「ここから選ぶ時間に入ります。まず似ているものを近くに寄せましょう」
- 06
基準を決めて選ぶ
基準を先に決めてから投票します。台本例:「基準は『今月中に試せるか』と『効果がありそうか』にします。一人◯票です」
- 07
担当と期限を決める
選んだ案ごとに、誰が・何を・いつまでに確かめるかを決めます。台本例:「この案は◯◯さんに、◯日までに◯◯を確かめてもらえますか」
案が止まったときの「広げる質問」(12の視点)
出す時間の後半は案が止まりがちです。進行役が次の問いを一つずつ投げると、別の角度から案が出ます。
| 視点 | 問いかけの例 |
|---|---|
| 前提を外す | 「予算と時間に制限がなかったら?」 |
| 逆にする | 「わざと失敗させるには?その逆は?」 |
| 減らす | 「一つだけ残すとしたら何?」 |
| 足す | 「ほかの案と組み合わせると?」 |
| 大きく・小さく | 「十倍の規模なら?一人向けなら?」 |
| 人を変える | 「子ども・お年寄り・初めての人ならどう感じる?」 |
| 場所を変える | 「オンラインなら?屋外なら?」 |
| 時間を変える | 「朝なら?一日で終えるなら?」 |
| ほかから借りる | 「別の業界ではどうしている?」 |
| 困りごとから | 「今いちばん面倒な場面は?」 |
| 理想から | 「終わった後に何と言われたら成功?」 |
| 極端に | 「誰も思いつかない一番変な案は?」 |
オンライン・一人で行うときのやり方
| 形 | やり方 | 気をつけること |
|---|---|---|
| オンライン | 共有のホワイトボードツールや共有シートに、各自が一斉に書き込む。読み上げは画面を共有して順番に | 黙って書く時間はカメラをつけたまま無音でよいと伝える。発言は順番を決めて、かぶらないようにする |
| ハイブリッド | 会議室の参加者も各自の端末から同じボードに書き込む | 会議室の付箋だけで進めると、オンラインの人が置いていかれる |
| 書いて回す方法(ブレインライティング) | 一人ずつ紙に案を書き、隣に回して前の人の案に書き足していく | 話すのが苦手な人が多いときや、上下関係が強いときに向く |
| 一人ブレスト | 時間を決めて、問いに対して思いつく案を紙やメモに書き出す。次に上の「広げる質問」を一つずつ当てて足す | 書いている間は自分で評価しない。一晩おいてから選ぶと、思い込みに気づきやすい |
| AIと一緒に | 自分で案を出したあと、AIに「この問いで別の角度の案を」と頼んで足す | 最初からAIに頼むと案が似通いやすい。選ぶ・決めるのは人が行う |
AIに案を広げてもらうときの頼み方はイベント準備のAIプロンプトも参考になります。
アイデアのまとめ方と選び方
- 01似た案を集めて見出しをつける:付箋を近い順に寄せてグループにし、グループごとに見出しを書く(KJ法と呼ばれる整理のしかたに近い進め方)。分類すると、抜けている方向も見えてくる
- 02選ぶ基準を先に決める:例「すぐ試せるか」「効果が大きそうか」「予算に収まりそうか」
- 03シールや印で投票する:一人あたりの票数を決め、気に入った案に印をつける。上の立場の人は最後に投票する
- 04効果と手間の表に置く:上位の案を下の4つの枠に置き、「効果が大きく手間が小さい」ものから手をつける
- 05上位の案を具体化する:誰が・いつまでに・何を確かめるかを決める
| 手間が小さい | 手間が大きい | |
|---|---|---|
| 効果が大きい | すぐやる(今週中に試す) | 計画を立てて進める |
| 効果が小さい | ついでにやる | 今回は見送る |
| 選ぶときの基準の例 | 見ること |
|---|---|
| すぐ試せるか | 次の一歩が今週中に踏み出せるか |
| 効果 | 問いに対して、どれくらい効きそうか |
| 手間と費用 | 今ある人と予算で回せるか |
| 新しさ | これまでの延長ではない案か |
| 受け入れられるか | 使う人・関わる人が嫌がらないか |
■ 問い:どうすれば◯◯か
■ 日時・参加者:◯月◯日 ◯◯、◯◯、◯◯
■ 出た案の数:◯件(グループ:◯◯/◯◯/◯◯)
■ 選ぶ基準:◯◯、◯◯
■ 選んだ案と担当
1. ◯◯ … 担当:◯◯ 期限:◯月◯日 まず確かめること:◯◯
2. ◯◯ … 担当:◯◯ 期限:◯月◯日 まず確かめること:◯◯
■ 今回は見送った案(次回の候補):◯◯、◯◯
■ 次回:◯月◯日に結果を共有
選んだ案は、宿題の形で議事録に残します(議事録のまとめ方)。意見が割れたときの決め方は会議で意見をまとめる方法にあります。
よくある失敗と対策
| 失敗 | 起きる理由 | 対策 |
|---|---|---|
| 案が出ない | 問いが広すぎる・あいまい | 問いを狭くする。「もし予算に上限がなかったら」など前提を外す問いを足す |
| 一人が話し続ける | 順番と時間が決まっていない | 一人ずつ1案ずつ出す形にする。最初に各自で書く時間をとる |
| 評価が始まってしまう | 出す時間と選ぶ時間が混ざっている | 進行役が「それは選ぶ時間に」と戻す。評価の意見は別の紙に書いておく |
| 上司がいると出にくい | 上の立場の人の反応を気にする | 上司は最後に発言・投票する。付箋を無記名にする |
| 話が本筋から外れる | 問いが見えていない | 問いを常に見える場所に書き、外れた案は「保留」の枠に貼って戻る |
| 同じような案ばかり | 参加者の立場が似ている | 部署や年次の違う人を混ぜる。「広げる質問」で視点を変える |
| やりっぱなしで何も決まらない | 選ぶ時間と担当決めを省いた | 選ぶ基準と、具体化の担当・期限を決めてから終える |
| 次の会議で誰も覚えていない | 記録が残っていない | 上の記録テンプレートで共有し、次回の冒頭で結果を確認する |
最初の空気が硬いときは、短い会議のアイスブレイクから入ると、発言が出やすくなります。
ブレストのチェックリスト(前・中・後)
- 【前】問いが「どうすれば〜か」の形で、対象が一つに絞れている
- 【前】出す時間・選ぶ時間・終わる時刻を決め、参加者に伝えた
- 【前】立場や部署の違う人を混ぜた
- 【中】最初に一人で書く時間をとった
- 【中】出す時間に評価の言葉が出たら、すぐ戻した
- 【中】案が止まったら「広げる質問」を投げた
- 【中】選ぶ前に、基準を全員で確認した
- 【後】選んだ案ごとに、担当と期限を決めた
- 【後】記録を参加者に共有し、次に結果を確認する日を決めた
この記事の要点
- 出す時間と選ぶ時間を分ける。出す時間は評価しない。
- ルールは批判しない・自由に・質より量・人の案に乗る。
- 問いは「どうすれば〜できるか」にして、対象と場面を絞る。
- 最初に一人で付箋に書く時間をとると、全員の案が出る。
- 案が止まったら前提を外す・逆にする・人を変えるなどの問いで広げる。
- 選ぶときは基準を先に決めてから投票し、担当と期限まで決めて終える。
FAQ
よくある質問
問いを「どうすれば〜できるか」の形で決め、最初に各自が黙って付箋に書き、一人ずつ読み上げて貼りながら人の案に乗って広げます。そのあと似た案をまとめ、基準を決めて投票し、担当と期限を決めて終えます。
批判しない、自由に出す、質より量、人の案に乗っかって広げる、の4つです。アイデアを出している間は良し悪しを言わず、評価は選ぶ時間にまとめて行います。
少人数(4〜6人ほど)が進めやすいです。人数が多いときはグループに分け、最後にグループごとの案を持ち寄ります。
このページの進行表では30分版と60分版を用意しています。どちらの場合も、出す時間だけで終わらせず、まとめる・選ぶ・担当を決める時間を先に確保しておくのがこつです。
問いがあいまいなまま始める、選ぶ時間をとらない、担当を決めない、のどれかで「出しっぱなし」になることが多いためです。問いを絞り、担当と期限まで決めて終えれば、次の行動につながります。
似た案を集めて見出しをつけ、選ぶ基準(すぐ試せるか、効果、手間と費用など)を決めてから、シールや印で投票します。上位の案は効果と手間で並べ、誰が・いつまでに・何を確かめるかまで決めて終えます。
最初に各自が黙って付箋に書く時間をとり(付箋1枚にアイデア1つ)、一人ずつ読み上げながら貼ります。貼られた案を見て組み合わせた案を追加し、最後に似た付箋を集めてまとめます。
できます。共有のホワイトボードツールや共有シートに各自が書き込み、画面を共有しながら順番に読み上げます。発言がかぶらないよう、順番を先に決めておくと進めやすくなります。
できます。時間を決めて思いつく案を全部書き出し、「前提を外す」「逆にする」「人を変える」などの問いを当てて足していきます。書いている間は評価せず、時間をおいてから選ぶと思い込みに気づきやすくなります。
ブレストは案を出すための方法、KJ法は出た案や情報をグループにまとめて整理するための方法として使い分けられます。このページの「まとめ方」は、ブレストで出た付箋を整理する場面での進め方です。