言葉の使い分け
対象・対照・対称の違い
使い分けと例文、覚え方
結論から言うと、何かを向ける相手・目当てなら「対象」、二つを照らし合わせて比べる(違いが際立つ)なら「対照」、形や位置がつり合っているなら「対称」と書くのが一般的です。ビジネスのメールで最もよく使うのは「対象」です。見分け方のコツは、「誰・何に向けるか」なら対象、「比べる」なら対照、「左右・上下がそろっている」なら対称。たとえば「今回の研修は、入社◯年目までの社員を対象としています」、「改定前後の条文を新旧対照表にまとめました」、「会場のレイアウトは、ステージを中心に左右対称にしています」と書き分けます。このページでは、それぞれの意味、早見表、メールの例文、迷いやすい書き方、覚え方をまとめました。
結論
対象は、意識や行為が向けられる相手・目当てとなるもの。対照は、二つのものを照らし合わせて比べること。また、比べたときに違いがはっきりしていること。対称は、二つのものが互いにつり合い、向き合っていること。とくに図形などが、ある線や点を境に同じ形で向き合っていることを言います。辞書によって説明の言い回しは少しずつ違いますが、おおむねこの区別で使われています。
「対象」「対照」「対称」それぞれの意味
対象:働きかける相手・目当て
「対象」は、意識や行為が向けられる相手・目当てのことです。「対象者」「対象外」「調査の対象」「割引の対象」「◯◯を対象とする」のように使います。案内文やお知らせで「誰に向けたものか」「何が含まれるか」を示すときによく出てきます。
対照:照らし合わせて比べる・違いが際立つ
「対照」は、二つのものを照らし合わせて比べることです。「新旧対照表」「比較対照」「原本と対照する」のように使います。また、比べたときに違いがはっきりしていることも表し、「対照的な性格」「好対照をなす」のように使います。研究の分野では、比べるための基準として置く群を「対照群」と言います。
対称:つり合って向き合う
「対称」は、二つのものが互いにつり合い、向き合っていることです。「左右対称」「線対称」「点対称」「非対称」のように、主に形・配置・デザインについて使います。「情報の非対称」のように、双方が持っているものがつり合っていない状態を表す言い方もあります。
Point
向ける相手なら対象、比べるなら対照、つり合っているなら対称。案内・お知らせで「誰向けか」を書くときは、ほぼ「対象」です。
使い分けの早見表
| 言葉 | 意味 | よく組む語 | 例文 |
|---|---|---|---|
| 対象 | 意識や行為が向けられる相手・目当て | 対象者・対象外・対象期間・調査の対象・◯◯を対象とする | 本キャンペーンは、◯月◯日までにお申し込みの方が対象です。 |
| 対照 | 照らし合わせて比べること/違いが際立つこと | 新旧対照表・比較対照・対照的・好対照 | 前回と今回の結果を対照すると、違いがよく分かります。 |
| 対称 | つり合って向き合っていること | 左右対称・線対称・点対称・非対称 | 受付の机は、入口から見て左右対称に並べます。 |
ビジネス文書・メールでの例文(場面別)
研修の対象者を案内する(社内)
件名:◯◯研修のご案内
社員各位
お疲れさまです。人事部の□□です。
下記のとおり◯◯研修を行います。
・対象:入社◯年目までの社員
・日時:◯月◯日(◯)◯時から
対象の方には、別途ご案内をお送りします。
割引の対象外をお知らせする(社外)
誠に恐れ入りますが、ご注文いただいた◯◯は、今回のキャンペーンの対象外となっております。
規程の改定内容を共有する(社内)
件名:◯◯規程の改定について
各位
お疲れさまです。総務部の□□です。
◯月◯日付で◯◯規程を改定します。
改定前と改定後の条文を新旧対照表にまとめましたので、添付をご確認ください。
二つの案を比べて報告する(社内)
A案とB案は、費用と準備期間の点で対照的です。A案は費用を抑えられる一方、準備に時間がかかります。B案はその逆です。
書類の内容を照らし合わせる(社内)
請求書の金額は、発注書と対照して、相違がないことを確認しました。
会場のレイアウトを説明する(社外)
会場は、正面のステージを中心に、客席を左右対称に配置する予定です。詳しくは添付の配置図をご覧ください。
注意
規程の改定の書き方は改定・改訂の違い、社内のお知らせ全体は社内通知の書き方と例文、配置の考え方は会場レイアウトの決め方を参考にしてください。
迷いやすい例と一般的な書き方
| 迷いやすい書き方 | 気になる点 | 一般的な書き方 |
|---|---|---|
| 対照者・対称者 | 研修や調査を向ける相手なので「象」が一般的 | 対象者 |
| 新旧対象表 | 改定前後を比べる表なので「照」が一般的 | 新旧対照表 |
| 対象的な二人 | 違いが際立つことを言うなら「照」が一般的 | 対照的な二人 |
| 左右対照のデザイン | 形がつり合っていることを言うなら「称」が一般的 | 左右対称のデザイン |
| 対称的な結果(違いが際立つ意味で) | 違いが際立つなら「照」、つり合っているなら「称」 | 対照的な結果 |
「対照的」と「対称的」は、どちらも使われる言葉ですが意味が違います。違いがはっきりしているなら「対照的」、形や配置がつり合っているなら「対称的」です。「対象的」という書き方は、一般的ではありません。
覚え方
Point
「象」は目当ての姿、「照」は照らし合わせる、「称」はつり合う。相手・目当てなら対象、照らし合わせて比べるなら対照、天秤のようにつり合うなら対称。
もう一つの目安は、組み合わせごと覚えることです。「対象者・対象外」、「新旧対照表・対照的」、「左右対称・非対称」の三つを押さえておけば、ビジネス文書で迷う場面はかなり減ります。
この記事の要点
- 働きかけや調査の相手・目当てなら「対象」。案内・お知らせで最もよく使う。
- 照らし合わせて比べる、違いが際立つなら「対照」。
- 形・配置がつり合っているなら「対称」。
- 違いが際立つなら「対照的」、つり合っているなら「対称的」。
- 「対象者」「新旧対照表」「左右対称」を組み合わせごと覚える。
FAQ
よくある質問
違いがはっきりしているという意味なら「対照的」、形や配置がつり合っているという意味なら「対称的」です。「性格が対照的」「左右対称的な配置」のように使い分けます。
改定前と改定後を照らし合わせて比べる表なので、「新旧対照表」と書くのが一般的です。
割引やサービスの範囲に入らないという意味なので、「対象外」と書きます。
「誰に向けるか」「何が含まれるか」を言うなら対象、二つのものを「比べる」なら対照です。「◯◯を対象とする」「◯◯と対照する」のように、前に来る助詞も目安になります。
つり合っていない、向き合う形がそろっていないという意味です。デザインの左右がそろっていないことのほか、「情報の非対称」のように、双方の持っている情報に差があることを言うときにも使われます。