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敬語

「拝借」の意味と使い方
お知恵を拝借の例文・言い換え一覧

結論:「拝借(はいしゃく)」は「借りる」をへりくだって言う謙譲語です。目上の相手から、物・知恵・時間・名前などを借りるときに使います。いちばん使う一文は「◯◯の件で、お知恵を拝借できますでしょうか。」。守ることは3つだけです。①自分が借りるときだけ使う(相手には「お使いください」) ②「ご拝借」と「ご」を付けない ③返さない物には使わず「頂戴する」にする。このページでは、何に使えるかの一文例、そのまま使えるメール例文、言い換えの比較表、送信前のチェックリストまで並べました。

更新: 2026-11-04読了:約10分PRODUCER AGENT 編集部

結論

「拝借」は、「拝」(自分の動作をへりくだる字)と「借」(かりる)を合わせた言葉で、自分が相手から借りることをへりくだって言う謙譲語です。読み方は「はいしゃく」。「拝借する」「拝借いたします」「拝借できますでしょうか」のように動詞の形でも使い、物だけでなく、知恵・時間・名前・力(手)など形のないものを借りる場面にも使います。

まず結論:「拝借」早わかり

知りたいこと答え
意味「借りる」の謙譲語。自分を低くして、貸してくれる相手を立てる
読み方はいしゃく
使う人借りる側の自分(自分の会社・身内を含む)
使う相手取引先・お客様・上司など、目上や社外の人
よく使う形お知恵を拝借/お時間を拝借/お名前を拝借/資料を拝借
使わない場面相手が借りるとき・返さない物を受け取るとき・同僚に気軽に借りるとき
迷ったときの言い換えお借りする(社内外どちらでも使いやすい)

「拝借」の意味と成り立ち

「拝」は「拝見」「拝受」「拝読」などにも使われる字で、自分の動作をへりくだり、相手を立てるはたらきがあります。「拝借」も同じ仲間で、借りる側の自分を低くして、貸してくれる相手を敬う言い方です。

「借りる」は、いずれ返すことが前提の言葉です。そのため「拝借」も、資料・備品・会場のように返す物や、知恵・時間・名前のように「使わせてもらう」物に使います。試供品やお土産のようにもらって返さない物は「頂戴する」「いただく」のほうが合います。

Point

「拝借」は、自分が借りるときだけに使う言葉。相手が借りるときは「お使いください」「お持ちください」と言います。同じ「拝」の仲間の使い方は「拝見しました」「拝受しました」の使い分けを見てください。

何を「拝借」できる? 対象別の一文例

「◯◯を拝借」の◯◯に入る言葉ごとに、そのまま使える一文を並べました。メールの用件の行に差し込めます。

借りる物意味そのまま使える一文
お知恵相談に乗ってもらう◯◯の進め方について、お知恵を拝借できますでしょうか。
お知恵(改まった依頼状)同上・より硬く◯◯につきまして、お知恵を拝借できれば幸甚に存じます。
お時間少し時間をもらう10分ほどお時間を拝借してもよろしいでしょうか。
お時間(会議の場で)発言の時間をもらう冒頭で少しお時間を拝借し、◯◯についてご報告いたします。
お名前紹介・推薦で名前を出すご紹介の際、◯◯様のお名前を拝借してもよろしいでしょうか。
お力手伝ってもらう当日の受付が手薄なため、◯◯様のお力を拝借できるとありがたく存じます。
お手手締めで一緒に手を打ってもらうそれでは皆さま、お手を拝借いたします。
資料参考に資料を借りる昨年度の◯◯の資料を拝借できますでしょうか。
備品・機材物を借りる◯日の展示で使う長机を、2台ほど拝借できますでしょうか。
会場・部屋場所を借りる◯◯の会議室を、◯日の午後に拝借できればと存じます。
お言葉相手の言葉を引いて話す◯◯様のお言葉を拝借すると、「◯◯」ということかと存じます。
写真・図資料に載せる◯◯の写真を、社内資料に拝借してもよろしいでしょうか。

注意

写真・図・文章などを資料に載せるときは、言葉が丁寧でも持ち主の許可が要ることに変わりはありません。「拝借してもよろしいでしょうか」と使う前に聞き、使い道(社内資料か、外部に出すか)も添えて確認します。

使える場面・使わないほうがよい場面

場面使い方代わりの言い方・例
取引先・上司に相談したい使えるお知恵を拝借できますでしょうか
資料・備品を借りたい使える◯◯の資料を拝借できますでしょうか
借りた物を返す使える拝借していた◯◯をお返しいたします
紹介や推薦で相手の名前を使いたい使える(必ず事前に許可を取る)◯◯様のお名前を拝借してもよろしいでしょうか
相手に物を貸す使わないどうぞお使いください
試供品・資料のコピーなど、返さない物をもらう使わない頂戴いたします/いただきます
同僚・後輩から借りるかしこまりすぎる借りてもいいですか

注意

同僚にペン一本を借りるような場面で「拝借」を使うと、言葉の重さと用件が釣り合わず、冗談めかして聞こえることがあります。社内の気軽なやりとりでは「お借りしてもよろしいですか」「借りてもいいですか」で十分です。

「お借りする」「借用」「頂戴」との違い

言葉どんな言葉か返す前提向いている場面
拝借する「借りる」の謙譲語。硬めあり社外・目上への依頼、知恵や名前を借りる
お借りする「借りる」の謙譲語。やわらかいあり社内外どちらにも。日常の依頼
借用する敬語ではなく、事務的な言葉あり借用書・貸出の記録など書類
お力を借りる/お知恵を借りる「拝借」をやわらげた言い方—会話・社内のメール
頂戴する「もらう」の謙譲語なし資料・名刺・品物をもらう
拝受する「受け取る」の謙譲語なし書類・メールを受け取った報告

迷ったら、返すなら「お借りする」、返さないなら「頂戴する」と覚えておけば外しません。「拝借」は、その中でも改まった依頼や、知恵・名前など相手にとって大切なものを借りるときに選ぶと、言葉の重さが用件に合います。

言い換え一覧(丁寧さの段階つき)

言い方丁寧さ使いやすい場面
お知恵を拝借できれば幸甚に存じます特に改まった言い方改まった依頼状
お知恵を拝借できますでしょうか改まった言い方取引先・上司への相談のお願い
ご助言をいただけますでしょうか改まった言い方専門的な意見がほしい
ご意見をお聞かせいただけますでしょうか改まった言い方(やわらかい)意見・感想を聞きたい
お力添えいただけますでしょうか改まった言い方手伝い・協力をお願いしたい
お借りしてもよろしいでしょうか丁寧社内外どちらにも使いやすい
ご相談させてください丁寧(社内向け)社内の上司・先輩
借りてもいいですか標準同僚・後輩

協力のお願いは「お力添え」の使い方、教えてもらうお願いは「ご教示ください」の使い方も参考にしてください。

「拝借」を使った依頼メールの組み立て方

  1. 01

    何を借りたいかを一言で書く

    件名と本文の最初に「◯◯の件でご相談のお願い」「◯◯の資料をお借りできますか」と、借りたい物をはっきり書きます。

  2. 02

    なぜその人に頼むのかを添える

    「同様の催しを手がけてこられた◯◯様に」のように、相手を選んだ理由を一文入れると、頼まれた側が引き受けやすくなります。

  3. 03

    「拝借できますでしょうか」で頼む

    依頼の文は一つにまとめ、「拝借できますでしょうか」「拝借してもよろしいでしょうか」と相手に判断をゆだねる形にします。

  4. 04

    期間・返し方・使い道を書く

    物ならいつまで借りて、どう返すか。名前や写真ならどこで使うか。相談なら所要時間と方法(対面・オンライン)を書きます。

  5. 05

    返したあとにお礼を送る

    「拝借していた◯◯をお返しいたしました」と返却の報告と、役に立ったことを伝えて締めます。

場面別のメール例文

取引先に相談をお願いする(お知恵を拝借)

件名:◯◯の運営についてご相談のお願い

株式会社◯◯
◯◯様

いつもお世話になっております。株式会社△△の□□です。
このたび、弊社で初めて◯◯のイベントを開くことになりました。
同様の催しを数多く手がけてこられた◯◯様に、ぜひ一度お知恵を拝借できればと考えております。
ご多用のところ恐縮ですが、◯月中に30分ほどお時間をいただけますでしょうか。オンラインでも構いません。

社内の上司に資料を借りる

件名:◯◯の過去資料をお借りできますか

◯◯部長

お疲れさまです。□□です。
◯◯の企画書を作るにあたり、昨年度の◯◯の報告書を拝借できますでしょうか。
参考にした箇所は企画書の中で明記し、◯日までにお返しいたします。

取引先から機材・備品を借りる

件名:◯日の◯◯で使う機材についてのお願い

株式会社◯◯
◯◯様

いつもお世話になっております。株式会社△△の□□です。
◯日の◯◯にあたり、御社の◯◯(機材名)を1台拝借できますでしょうか。
当日の朝に弊社の者が受け取りに伺い、終了後その日のうちにお返しいたします。
万一の破損に備え、取り扱いは担当者が責任を持って行います。

借りた物を返すときのお礼

件名:拝借していた◯◯の返却について

株式会社◯◯
◯◯様

いつもお世話になっております。株式会社△△の□□です。
先日拝借した◯◯を、本日宅配便にてお返しいたしました。
おかげさまで、◯◯を無事に終えることができました。
ご厚意に心より感謝申し上げます。

相談に乗ってもらったあとのお礼

件名:先日のご相談のお礼

◯◯様

お世話になっております。株式会社△△の□□です。
先日はお忙しいところ、お知恵を拝借する機会をいただき、ありがとうございました。
お話しいただいた◯◯の進め方を取り入れ、社内で計画を練り直しております。
形になりましたら、改めてご報告いたします。

紹介の際に相手の名前を使わせてもらう

件名:◯◯社へのご紹介の件

◯◯様

お世話になっております。株式会社△△の□□です。
先日お話しした××社の××様へご連絡する際、◯◯様からのご紹介であるとお伝えしたく、お名前を拝借してもよろしいでしょうか。
ご了承いただけましたら、××様へのメールにその旨を書き添えます。

会議の冒頭で少し時間をもらう(社内)

件名:明日の定例会議での◯◯のご報告について

◯◯課長

お疲れさまです。□□です。
明日の定例会議の冒頭で、5分ほどお時間を拝借して◯◯の進み具合をご報告してもよろしいでしょうか。
資料は事前に共有フォルダに置いておきます。

研修や勉強会で講師に相談する

件名:◯◯研修の内容についてのご相談

◯◯先生

お世話になっております。株式会社△△の□□です。
◯月の研修について、受講者の経験に差があり、進め方に迷っております。
お忙しいところ恐縮ですが、内容の組み立てについてお知恵を拝借できますでしょうか。
受講者の一覧を添付いたしますので、ご覧いただけますと幸いです。

宴会の締めで「お手を拝借」と言う

それでは、本日の会の成功と皆さまのますますのご活躍を祈念いたしまして、一本締めで締めたいと思います。
皆さま、お手を拝借いたします。よーお!(パン)
ありがとうございました。

「お手を拝借」は「一緒に手を打ってください」という意味の掛け声です。締めの挨拶全体の流れは締めの挨拶の例文にまとめています。

よくある間違い

書きがちな言い方気になる点直し方
ご拝借ください/ご拝借ありがとうございます「拝借」は自分の動作に使う謙譲語で、「ご」を付けて相手の動作にはしないどうぞお使いください/お貸しいただき、ありがとうございます
弊社の資料を拝借してください相手が借りる場面には使わない弊社の資料をお使いください
サンプルを拝借いたしました(返さない物)「借りる」は返す前提の言葉サンプルを頂戴いたしました
拝借させていただきます「拝借」だけでへりくだる意味があり、許可をもらう場面でなければくどく感じる人もいる拝借します/お借りします
(同僚に)ペンを拝借言葉が重く、改まった場面でなければ浮くペンを借りてもいいですか
(許可を取らずに)◯◯様のお名前を拝借しました言葉が丁寧でも、無断で名前を出したことになる事前に「お名前を拝借してもよろしいでしょうか」と聞く

「させていただく」は、文化審議会の「敬語の指針」で、相手の許可を受けて行い、そのことで恩恵を受ける場合に使われる形と説明されています。名前の使用を許してもらった場面などでは「拝借させていただきます」と言う人もいますが、迷ったら「拝借します」「お借りします」と短くしておけば足ります。詳しくは「させていただく」の使い方と二重敬語の一覧を見てください。

送る前のチェックリスト

  • 「拝借」を使っているのは自分(自社)が借りる場面か
  • 「ご拝借」「拝借してください」のように相手の動作にしていないか
  • 借りる物は返す物、または使わせてもらう物か(返さない物なら「頂戴」)
  • 名前・写真・文章を使うときは、使う前に許可を取り、使い道を書いたか
  • 物を借りるときは、期間と返し方を書いたか
  • 相談のお願いでは、所要時間と方法を書いたか
  • 同僚への気軽な依頼で、大げさになっていないか
  • 一通の中で「拝借」を何度も繰り返していないか(二度目からは「お借りする」で十分)

「お知恵を拝借したい」と頼まれたときの返事

相談を頼まれた側は、引き受けられるかどうかと、都合のよい日時や方法を返します。「お役に立てるかわかりませんが」と一言添えると、相手の気持ちを軽くできます。

◯◯様

お世話になっております。株式会社△△の□□です。
ご相談の件、承知いたしました。どこまでお役に立てるかわかりませんが、喜んでお話しいたします。
◯月◯日(◯)◯時以降でしたら時間を取れますので、ご都合をお知らせください。

物を貸してほしいと頼まれたとき

◯◯様

お世話になっております。株式会社△△の□□です。
◯◯の件、承知いたしました。どうぞお使いください。
◯日までにご返却いただければ問題ございません。受け渡しの方法はご都合に合わせます。

借りた物を返されたら、「お役に立てて何よりです」と短く返せば十分です。

この記事の要点

  • 「拝借」は「借りる」の謙譲語。読みは「はいしゃく」。
  • 相談のお願いは「お知恵を拝借できますでしょうか」。
  • 自分が借りるときだけ使う。相手には「お使いください」。
  • 返さない物は「頂戴する」。迷ったら返すなら「お借りする」。
  • 「ご拝借」とは言わない。名前や写真を借りるときは必ず事前に許可を取る。

FAQ

よくある質問

01「拝借」はどういう意味ですか?

「借りる」をへりくだって言う謙譲語です。目上の人から物や知恵、時間、名前などを借りるときに、自分を低くして相手を立てる言い方です。

02「拝借」の読み方は?

「はいしゃく」と読みます。

03「拝借」は目上の人に使えますか?

使えます。目上の人から借りるときにこそ使う言葉です。ただ、同僚との気軽なやりとりでは大げさに聞こえることがあります。

04「お知恵を拝借」とはどういう意味ですか?

相手の知識や考えを貸してもらう、つまり相談に乗ってもらうことをへりくだって言う言い方です。「お知恵を拝借できますでしょうか」の形で、相談のお願いに使います。

05「拝借」と「お借りする」はどう違いますか?

どちらも「借りる」の謙譲語です。「拝借」のほうが硬く改まった響きがあり、社外への依頼状や、知恵・名前を借りる場面に向いています。日常のメールでは「お借りする」で十分です。

06「拝借いたします」は使っても大丈夫ですか?

へりくだる言葉の「拝借」に、改まって述べる「いたす」を添えた形で、「拝見いたします」と同じ組み立てです。ビジネスメールでも使われている言い方ですが、硬いと感じる人もいるので、気になる場合は「拝借します」「お借りします」とします。

07もらった物に「拝借」を使ってもいいですか?

返さない物には合いません。「借りる」は返すことが前提の言葉なので、試供品や資料のコピーなどもらう物には「頂戴いたします」「いただきます」を使います。

08「お手を拝借」とはどういう意味ですか?

宴会や式の締めで手締めをするときの掛け声で、「皆さんの手を貸してください(一緒に手を打ってください)」という意味です。

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