敬語
「ご清栄」「ご健勝」「ご盛栄」の使い分け
会社・個人など相手別の例文
「ご清栄」「ご健勝」「ご盛栄」は、手紙や挨拶状の書き出し(前文)で相手の無事や繁栄を喜ぶときに使う言葉です。選び方は宛てる相手が会社か、お店か、個人かで決まります。迷ったときは、会社にも個人にも使える「ご清栄」を選べば外れません。そのまま使える一文は「時下ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。」。前文の組み立て全体は手紙の前文と末文の書き方に、季節の言葉は時候の挨拶 一覧に、頭語と結語は頭語と結語の組み合わせ一覧にまとめているので、このページでは三つの言葉の違いと相手別の選び方に絞って解説します。
結論
「ご清栄(ごせいえい)」は相手が健康で栄えていること、「ご健勝(ごけんしょう)」は相手が健康で元気なこと、「ご盛栄(ごせいえい)」は商売や事業が盛んで栄えていることを、それぞれ敬って言う言葉です。手紙では「ますます〇〇のこととお慶び申し上げます」の形で、頭語と時候の挨拶のあとに置きます。
三つの言葉の意味
「清栄」は「清く栄える」と書き、相手の健康と繁栄の両方を喜ぶ言葉です。宛てる相手を選ばないので、会社宛ての文書にも、個人宛ての手紙にも使えます。
「健勝」は体が丈夫で元気なことです。健康を喜ぶ言葉なので、人に対して使います。乾杯のあいさつの「皆さまのご健勝を祈念して」も同じ意味です。
「盛栄」は商売や事業が盛んに栄えることです。そのため会社・お店・団体に宛てるときに使います。「清栄」と「盛栄」はどちらも「せいえい」と読むので、変換の取り違えに注意してください。
Point
会社・個人どちらにも「ご清栄」、人には「ご健勝」、会社・お店には「ご盛栄」。迷ったら「ご清栄」を選びます。
相手別の使い分け
| 言葉 | 読み方 | 喜ぶ内容 | 会社・団体宛て | 個人宛て |
|---|---|---|---|---|
| ご清栄 | ごせいえい | 健康と繁栄 | 使える | 使える |
| ご盛栄 | ごせいえい | 商売・事業の繁盛 | 使える(特にお店・商売) | 合わない |
| ご健勝 | ごけんしょう | 健康で元気なこと | 合わない(「皆様の」と人に向ければ使える) | 使える |
| ご清祥 | ごせいしょう | 健康で幸せに暮らしていること | 合わない | 使える |
| ご隆盛 | ごりゅうせい | 勢いが盛んなこと | 使える | 合わない |
| ご発展 | ごはってん | さらに伸びていくこと | 使える | 合わない |
会社宛ての文書で、会社とあわせて担当者や社員の健康にも触れたいときは、「貴社ますますご盛栄のこととお慶び申し上げます」のあとに、結びで「皆様のご健勝をお祈り申し上げます」と人に向けて添えると、両方を自然に入れられます。
使える場面・使わないほうがよい場面
| 場面 | 合う言葉 | 補足 |
|---|---|---|
| 取引先への案内状・お知らせ文書 | ご清栄/ご盛栄/ご発展 | 「時下」を付ければ季節を問わず使える |
| お店・商店への手紙 | ご盛栄 | 商売の繁盛を喜ぶ |
| 恩師・個人のお客様への手紙 | ご健勝/ご清祥/ご清栄 | 健康を気づかう言葉と合わせる |
| 社外への改まったメール(挨拶状を兼ねる) | ご清栄 | ふだんのメールは「お世話になっております」で十分 |
| お見舞いの手紙 | 合わない | 前文を省いて本題から書くのが一般的とされる |
| お悔やみの手紙 | 合わない | 慶びの言葉は避け、本題から書く |
| お詫びの文書 | 使われることもあるが、慎重に | 「お慶び申し上げます」が場にそぐわないと感じる人もいる |
注意
お詫びの文書は、会社の定型として「ご清栄のこととお慶び申し上げます」から始めるものもありますが、相手に迷惑をかけた直後に「お慶び」と書くのは落ち着かないと受け取る人もいます。迷うときは頭語のあとに前文を省き、すぐにお詫びの本題に入るほうが無難です。
前文の言い方一覧(丁寧さの段階つき)
| 言い方 | 丁寧さ | 使いやすい場面 |
|---|---|---|
| 謹啓 時下ますますご清栄のこととお慶び申し上げます | 特に改まった言い方 | 式典の案内・役員宛ての文書 |
| 拝啓 ◯◯の候、貴社ますますご盛栄のこととお慶び申し上げます | 改まった言い方 | 取引先・お店への文書 |
| 拝啓 ◯◯の候、◯◯様にはますますご健勝のこととお慶び申し上げます | 改まった言い方 | 個人宛ての手紙 |
| 拝啓 ◯◯の候、ますますご清祥のこととお喜び申し上げます | 改まった言い方 | 個人のお客様・恩師への手紙 |
| いつもお世話になっております | 丁寧 | ふだんのメール |
「時下(じか)」は「このところ」という意味で、季節の言葉の代わりに使えます。季節に合わせて書くときは「◯◯の候」を入れます。季節ごとの言葉は時候の挨拶 一覧から選んでください。
「お慶び」と「お喜び」はどちらも使われますが、改まった文書では祝う意味を込めて「お慶び」と書くことが多く見られます。
相手別の例文
取引先への案内状(会社宛て)
件名:◯◯展示会のご案内(株式会社△△)
株式会社◯◯
◯◯様
拝啓 時下ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。平素は格別のお引き立てを賜り、厚く御礼申し上げます。
さて、弊社では下記のとおり◯◯展示会を開催する運びとなりました。
ご多用のところ恐縮ですが、ぜひご来場いただけますと幸いです。
敬具
お店・商店への手紙(商売の繁盛を喜ぶ)
拝啓 ◯◯の候、貴店ますますご盛栄のこととお慶び申し上げます。
日頃は弊社商品をお取り扱いいただき、誠にありがとうございます。
さて、このたび新商品◯◯の発売にあたり、見本をお送りいたしました。
店頭でのご紹介をご検討いただけますと幸いです。
敬具
個人宛ての手紙(恩師・講師へのお礼)
拝啓 ◯◯の候、◯◯先生にはますますご健勝のこととお慶び申し上げます。
先日は弊社研修にて貴重なご講演をいただき、誠にありがとうございました。
受講した社員からも、明日からの仕事に生かしたいとの声が多く寄せられております。
季節の変わり目でございますので、どうぞご自愛ください。
敬具
個人のお客様への挨拶状
拝啓 ◯◯の候、◯◯様にはますますご清祥のこととお喜び申し上げます。
平素より当店をご愛顧いただき、心より御礼申し上げます。
さて、このたび当店は開店◯周年を迎えることとなりました。
日頃の感謝を込めまして、ささやかな記念の催しをご用意いたしました。
敬具
結びで会社と人の両方に触れる
拝啓 時下ますますご盛栄のこととお慶び申し上げます。
(本文)
末筆ながら、貴社のますますのご発展と皆様のご健勝を心よりお祈り申し上げます。
敬具
注意
結びの言葉の続け方は「末筆ながら」の使い方に、相手の健康を気づかう言葉は「ご自愛ください」の使い方にまとめています。
よくある間違い
| 書きがちな言い方 | 気になる点 | 直し方 |
|---|---|---|
| ◯◯様にはますますご盛栄のことと | 「盛栄」は商売の繁盛を表すので、個人宛てには合わない | ◯◯様にはますますご健勝のことと |
| 貴社ますますご健勝のことと | 「健勝」は人の健康を表すので、会社そのものには合わない | 貴社ますますご清栄(ご盛栄)のことと |
| (変換ミスで)ご清栄とご盛栄を取り違える | 読みが同じ「せいえい」なので起きやすい | 送る前に宛先と字を照らし合わせる |
| (お見舞いの手紙で)ご清栄のこととお慶び申し上げます | 相手が困っているときに慶びの言葉は合わない | 前文を省き、お見舞いの言葉から書く |
| ふだんのメールに毎回「ご清栄」を入れる | 改まりすぎて、かえって形式的な印象になる | いつもお世話になっております |
「ご清栄」で始まる手紙・案内状への返事
改まった案内状に返事を書くときは、同じくらい改まった前文で書き出すと釣り合います。返信の頭語は「拝復」を使い、相手の言葉に合わせて「ご清栄」「ご盛栄」を選びます。
拝復 時下ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。
このたびは◯◯展示会のご案内をいただき、誠にありがとうございました。
当日は◯◯と□□の二名で伺います。
まずは書中にてご返事申し上げます。
敬具
メールで返事をするときは、前文を省いて「ご案内をいただき、ありがとうございます」から書き始めても失礼にはあたりません。
この記事の要点
- 「ご清栄」は会社にも個人にも使える。迷ったらこれを選ぶ。
- 「ご健勝」は人の健康を喜ぶ言葉。会社そのものには使わない。
- 「ご盛栄」は会社・お店の繁盛を喜ぶ言葉。個人宛てには使わない。
- 個人宛てには「ご清祥」、会社宛てには「ご発展」「ご隆盛」も使える。
- お見舞い・お悔やみの手紙では慶びの前文を省く。
FAQ
よくある質問
どちらも「ごせいえい」と読みます。意味が違うので、変換のときに字を取り違えないよう注意してください。
使えます。「ご清栄」は健康と繁栄の両方を喜ぶ言葉なので、会社にも個人にも使えます。健康をより強く気づかいたいときは「ご健勝」「ご清祥」を選びます。
「ご健勝」は人の健康を表すので、「貴社ますますご健勝」とはしません。会社には「ご清栄」「ご盛栄」「ご発展」を使い、社員の方々の健康には「皆様のご健勝」と人に向けて使います。
「このところ」「目下」という意味で、季節の言葉の代わりに使えます。「時下ますますご清栄のこととお慶び申し上げます」は季節を問わず使える前文です。
ふだんの業務メールでは「お世話になっております」で十分です。挨拶状を兼ねた改まったメールや、案内状をメールで送るときに使います。