敬語
「ご無理を申し上げ」の意味と使い方
無理なお願いをするときのメール例文
「ご無理を申し上げ」は、相手にとって難しいと分かっているお願いをするときの、へりくだったお詫びの言葉です。取引先・上司・お客様など目上の相手に使えます。そのまま使える一文は「ご無理を申し上げますが、◯月◯日までにご対応いただくことは可能でしょうか。」。相手の負担が普段の範囲に収まる依頼に使うと大げさに聞こえるので、そのときは「お手数をおかけしますが」で十分です。このページでは、使える場面の表、丁寧さ別の言い換え、場面別のメール例文、引き受けてもらったあとのお礼までまとめました。
結論
「無理」は相手の都合や条件ではかなえにくいこと、「申し上げる」は「言う」の謙譲語です。「ご無理を申し上げ」は、相手に難しいことを頼む自分の行為をへりくだって言い、お詫びの気持ちを添える言い方です。「ご」を付けない「無理を申し上げ」も使われます。
「ご無理を申し上げ」の意味と成り立ち
「ご無理を申し上げ」は、「無理を言う」を目上の相手に向けて丁寧にした言い方です。「言う」を謙譲語の「申し上げる」にして、自分がお願いする立場であることを示しています。
使う時点で形が変わります。お願いする前は「ご無理を申し上げますが」、断られたり引き受けてもらったりしたあとは「ご無理を申し上げ、申し訳ございませんでした」、引き受けてもらったお礼は「ご無理を聞いていただき、ありがとうございました」です。
Point
「ご無理を申し上げますが」は、お願いの重さを自分から認める前置き。そのあとに理由と、相手が断れる余地を書き添えると、押しつけに聞こえにくくなります。
使える場面・大げさになる場面
| 場面 | 「ご無理を申し上げ」 | 代わりに使う言葉 |
|---|---|---|
| 納期を前倒ししてもらう | 使える | ― |
| 通常より短い期間で見積を出してもらう | 使える | ― |
| 支払い期日を延ばしてもらう | 使える | ― |
| 値下げ・条件の変更を相談する | 使える | ― |
| 決まった日程をこちらの都合で変える | 使える(お詫びを添える) | ― |
| イベント当日に人手を増やしてもらう | 使える | ― |
| 資料の送付など、普段どおりの依頼 | 大げさ | お手数をおかけしますが |
| 社内の同僚・後輩への頼みごと | かしこまりすぎ | 無理を言ってごめんなさい |
注意
同じ相手に何度も「ご無理を申し上げますが」と頼むと、言葉が軽く聞こえてしまうことがあります。無理なお願いが続くときは、次回から余裕のある日程で頼むなど、言葉以外の形で埋め合わせることも考えます。
言い換え一覧(丁寧さの段階つき)
| 言い方 | 丁寧さ | 使いやすい場面 |
|---|---|---|
| 誠に勝手なお願いとは存じますが | 最も改まった言い方 | 条件の変更・取引先への正式な依頼 |
| ご無理を申し上げますが | 改まった言い方 | 納期・見積・日程の無理なお願い |
| 無理を承知でお願い申し上げます | 改まった言い方(強め) | 断られても仕方ないと分かっているとき |
| 急なお願いで恐縮ですが | 丁寧 | 急ぎの依頼 |
| 難しいお願いで恐れ入りますが | 丁寧 | 社内外どちらにも使いやすい |
| お手数をおかけしますが | 丁寧 | 普段どおりの手間をかけるとき |
| 無理を言ってすみません | 標準 | 社内の先輩・同僚 |
「無理を承知で」は、断られる可能性が高いと分かっていてもお願いしたいときに使う強めの言い方です。一方で、急ぎであることが主な負担なら「急なお願いで恐縮ですが」が合います。急ぎの依頼の書き方は至急・早急の違いと急ぎの依頼メール、普段の手間をかける前置きは「お手数をおかけしますが」の使い方を見てください。
場面別のメール例文
納期を前倒ししてもらう
件名:【ご相談】◯◯の納品日の前倒しについて
◯◯様
お世話になっております。株式会社△△の□□です。
◯◯の納品日について、ご相談がありご連絡いたしました。
先方の都合でイベントの準備日が早まり、◯月◯日(◯)までに納品いただく必要が出てまいりました。
ご無理を申し上げますが、ご対応いただくことは可能でしょうか。
全数が難しい場合は、一部だけでも先にお送りいただけますと大変助かります。
ご検討のほど、よろしくお願いいたします。
急ぎで見積を出してもらう
件名:【お急ぎ】◯◯のお見積のお願い
◯◯様
お世話になっております。株式会社△△の□□です。
◯◯の件で、お見積をお願いしたくご連絡いたしました。
社内の決裁が◯月◯日(◯)に予定されており、ご無理を申し上げますが、前日までにお見積をいただくことはできますでしょうか。
概算でも構いませんので、難しい場合はお知らせください。
・内容:◯◯
・数量:◯◯
・納期の希望:◯月◯日
こちらの都合で日程を変えてもらう
件名:【お詫び】◯月◯日のお打ち合わせの日程変更のお願い
◯◯様
お世話になっております。株式会社△△の□□です。
◯月◯日(◯)にお約束しておりましたお打ち合わせについて、社内の事情により、日程を変更していただきたくご連絡いたしました。
ご予定を空けていただいていたところ、ご無理を申し上げ、誠に申し訳ございません。
以下の候補日のうち、ご都合のよい日時はございますでしょうか。
・◯月◯日(◯)◯時から
・◯月◯日(◯)◯時から
イベント当日に人手を増やしてもらう
件名:◯◯当日の運営スタッフ増員のご相談
◯◯様
お世話になっております。株式会社△△の□□です。
◯月◯日(◯)の◯◯について、事前の申込者が想定を上回ったため、受付と誘導の人員を増やしたいと考えております。
直前のご相談となり、ご無理を申し上げますが、スタッフを追加で手配いただくことは可能でしょうか。
増員分の費用につきましては、お見積をいただいたうえで弊社にて負担いたします。
値下げを相談する
件名:◯◯のお見積についてのご相談
◯◯様
お世話になっております。株式会社△△の□□です。
先日はお見積書をお送りいただき、ありがとうございました。
社内で検討いたしましたが、今回は予算の上限が決まっており、現在の金額ではお願いすることが難しい状況です。
誠に勝手なお願いとは存じますが、◯◯の仕様を見直すことで、ご調整いただける余地はございますでしょうか。
ご無理を申し上げているのは承知しておりますので、難しい場合は率直にお知らせください。
引き受けてもらったあとのお礼
件名:◯◯の前倒し納品のお礼
◯◯様
お世話になっております。株式会社△△の□□です。
このたびは納品日の前倒しについて、ご無理を聞いていただき、誠にありがとうございました。
おかげさまで、◯◯の準備を予定どおり進めることができました。
次回は余裕のある日程でご相談できるよう、早めにご連絡いたします。今後ともよろしくお願いいたします。
注意
値下げの相談全体の組み立ては値下げ交渉のお願いメール、支払いを待ってもらうお願いは支払い期日の延長のお願いメール、依頼メールの基本の型は依頼メールの例文にまとめています。
よくある間違い
| 書きがちな言い方 | 気になる点 | 直し方 |
|---|---|---|
| ご無理をおかけしますが | 「無理」は「申し上げる」「言う」と組むのが一般的で、「おかけする」と合わせると落ち着かないと感じる人もいる | ご無理を申し上げますが/ご負担をおかけしますが |
| ご無理を申し上げますが、必ず◯日までにお願いいたします | へりくだった前置きのあとに、断る余地のない言い方が続き、押しつけに聞こえることがある | ◯日までにご対応いただくことは可能でしょうか |
| 理由を書かずに「ご無理を申し上げますが」だけ | 相手がなぜ無理をしなければならないのか分からない | 事情を一文で添える |
| 資料一枚の送付にも「ご無理を申し上げますが」 | 負担と言葉の重さが釣り合わず、大げさに聞こえる | お手数をおかけしますが |
| (取引先に)ご無理を言ってすみません | 話し言葉寄りで、改まったメールでは軽く聞こえることがある | ご無理を申し上げ、申し訳ございません |
「ご無理を申し上げますが」と頼まれたときの返事
引き受けるときは、できることと条件をはっきり返します。全部は難しいときは、どこまでならできるかを示すと、相手も次の手を考えやすくなります。
□□様
お世話になっております。株式会社◯◯の◯◯です。
納品日の件、承知いたしました。
全数の前倒しは難しいのですが、◯◯個であれば◯月◯日(◯)にお届けできます。残りは当初の予定どおり◯月◯日のお届けとなります。
この内容でよろしければ、手配を進めます。
断るときは、お願いしてくれたことへのお礼と、できない理由を短く伝えます。断りのメールの書き方は断りのメールの例文を見てください。
この記事の要点
- 「ご無理を申し上げ」は相手に難しいお願いをするときの、へりくだったお詫び。
- 前は「ご無理を申し上げますが」、あとは「ご無理を聞いていただき、ありがとうございました」。
- 理由と、断ってもよい余地を必ず添える。
- 普段どおりの依頼には大げさなので「お手数をおかけしますが」。
- 引き受けてもらったら、次は余裕を持って頼むと一言添える。
FAQ
よくある質問
どちらも使われています。「ご」を付けたほうが、やや改まった印象になります。迷ったら「ご無理を申し上げますが」で問題ありません。
使えます。取引先や上司に難しいお願いをするときの丁寧な前置きです。社内の同僚や後輩にはかしこまりすぎるので、「無理を言ってごめんなさい」程度で十分です。
「無理を承知で」は、断られる可能性が高いと分かっていてもお願いしたいという気持ちを強く出す言い方です。「ご無理を申し上げますが」のほうが控えめで、幅広い場面で使えます。
「ご無理を聞いていただき、誠にありがとうございました」と伝え、おかげで何ができたかを一言添えます。次回は余裕を持って相談する旨を書くと、相手の負担を気にかけていることが伝わります。
「ご検討いただき、ありがとうございました。こちらこそ無理なお願いをして申し訳ございませんでした」と、検討してくれたことへのお礼を伝えます。代わりの方法があれば、改めて相談します。