社内文書
出張報告書の書き方と例文
テンプレート・所感の例つき
出張報告書は、出張に行かなかった上司や同僚が「行った意味」を判断し、次の仕事に使うための文書です。移動や食事の記録ではなく、目的に対して何が分かったか、次に何をするかを書きます。このページでは、そのまま使えるテンプレート、項目ごとの記入例、場面別の例文(商談・工場見学・展示会・セミナー・日帰り)、所感の例文を並べました。社内イベントを開いた後の報告はイベント報告書の書き方にまとめています。
結論
出張報告書は①目的 ②日程・訪問先・面談者 ③内容 ④成果 ⑤所感 ⑥今後の対応の順に書きます。冒頭に成果を一文で置きます。例:「◯◯社への訪問で、来期も取引を継続いただける見込みとなりました。新サービスは先方で検討いただけます。」この一文のあとに、各項目を箇条書きで続けると読みやすくなります。
コピーして使える出張報告書のテンプレート
社内に決まった様式がない場合は、次の型をそのまま使えます。◯の部分を埋め、不要な行は消してください。
◯年◯月◯日
◯◯部長
◯◯部 ◯◯(氏名)
件名:◯◯(訪問先・行事名)出張報告
1. 結論:◯◯(成果を一文で)
2. 目的:◯◯のため
3. 日程:◯月◯日(◯)〜◯月◯日(◯)
4. 出張先:◯◯株式会社 ◯◯支店(◯◯県◯◯市)
5. 面談者:◯◯部 部長 ◯◯様、◯◯様/同行者:◯◯
6. 内容:
・◯◯について(先方の説明・要望)
・◯◯について(当社からの提案)
7. 成果:◯◯
8. 所感:◯◯
9. 今後の対応:◯◯(担当:◯◯、期限:◯月◯日)
10. 添付資料:◯◯(先方の資料、写真など)
以上
注意
経費の精算は、報告書とは別に経費精算の手続きで行う会社が多いです。報告書に費用の欄を設けるか、精算書に報告を添付するかは会社ごとに違うので、社内の規程や様式を確認してください。
項目ごとの書き方と記入例
| 項目 | 書くこと | 記入例 | よくある失敗 |
|---|---|---|---|
| 件名 | 訪問先・行事名+出張報告 | ◯◯株式会社 大阪支店訪問の出張報告 | 日付だけで、どこに行ったか分からない |
| 目的 | 何のために行ったかを一文で | 来期の取引条件の打ち合わせと新サービスの紹介のため | 目的がなく、成果の良し悪しが判断できない |
| 日程・出張先 | 日付(曜日)、訪問先と所在地 | ◯月◯日(火)〜◯日(水) ◯◯株式会社(大阪市) | 宿泊を伴うのに期間が書かれていない |
| 面談者 | 会社名・部署・役職・氏名 | 営業部 部長 ◯◯様、課長 ◯◯様 | 役職が抜ける、名前の漢字が違う |
| 内容 | 話したこと・見たことの要点 | 発注予定と納期の要望を伺った。新サービスを資料で説明した | 時系列で全部書いて長くなる |
| 成果 | 目的に対して得られたこと | 継続取引の見込み。新サービスは先方で検討 | 「有意義だった」で終わる |
| 所感 | 自分の考え・社内への提案 | 納期の説明を資料の前半に移したい | 感想文になる |
| 今後の対応 | 誰が・いつまでに・何をするか | ◯月◯日までに見積書を送付(担当:◯◯) | 担当と期限がない |
目的は、成果と対になるように書きます。目的の書き方の例を挙げます。
- 既存取引先との来期の取引条件の確認のため
- 新規の外注先候補の生産体制と品質管理を確認するため
- ◯◯展で業界の新製品の動向を調べ、来年の出展の参考にするため
- ◯◯セミナーに参加し、◯◯制度への対応方法を把握するため
- 納品済み設備の不具合について、現地で状況を確認し対応を決めるため
商談・取引先訪問の出張報告書 例文
件名:◯◯株式会社 大阪支店訪問の出張報告
結論:来期も継続して取引いただける見込みです。新サービスは先方の社内で検討いただけることになりました。
目的:来期の取引条件についての打ち合わせと、新サービスの紹介
日程:◯月◯日(◯)◯時〜◯時
面談者:◯◯株式会社 営業部 部長 ◯◯様、課長 ◯◯様
内容:来期の発注予定と、納期についての要望を伺いました。部長の◯◯様からは「納期の遅れが一番困る」とのお話がありました。新サービスは資料をもとに説明し、導入費用について質問を受けました。
今後の対応:◯月◯日までに見積書を送付(担当:◯◯)。◯月中に先方の担当者向け説明会の日程を調整します。
注意
商談の報告は、先方の発言と、自分の推測を分けて書きます。「前向き」と書くなら、どの発言からそう判断したかを添えると誤解が減ります。
工場見学の出張報告書 例文
件名:◯◯工場 見学の出張報告
結論:品質管理の面では、委託先として大きな問題は見当たりませんでした。繁忙期の発注時期のみ調整が必要です。
目的:新たな外注先候補である◯◯株式会社の生産体制と品質管理の確認
日程:◯月◯日(◯) 対応者:工場長 ◯◯様、品質管理課 ◯◯様
内容:製造ラインと検査工程を見学しました。検査の結果が工程ごとに記録されており、不良品が出たときに原因をさかのぼれる仕組みになっていました。
所感:品質管理の考え方は当社の基準と近いと考えます。一方で、繁忙期の生産能力には余裕が少ないとの説明があったため、発注時期の調整が必要です。
今後の対応:見積もりの依頼と、繁忙期の対応についての確認を◯月◯日までに行います(担当:◯◯)。
展示会視察の出張報告書 例文
件名:◯◯展 視察の出張報告
結論:◯◯分野では、来場者が実際に操作できる体験型の展示に人が集まっていました。来年の当社出展の方針に反映できます。
目的:業界の新製品の動向調査と、出展各社の展示方法の参考にするため
日程:◯月◯日(◯) 会場:◯◯
内容:◯◯分野の新製品が多く出展されていました。特に◯◯社は、来場者が実際に操作できる展示を中心にしており、説明待ちの列ができるほどでした。
所感:当社が来年出展する際も、パネル展示より体験型の展示を中心にしたほうがよいと考えます。
今後の対応:収集した資料と名刺は共有フォルダに保存しました。名刺交換した◯社にはお礼のメールを送付済みです。
展示会で名刺交換した相手へのお礼はイベントのお礼メール例文、自社が出展する側の準備は展示会のご案内 例文集を参照してください。
セミナー・研修参加の出張報告書 例文
件名:◯◯セミナー(東京)参加の出張報告
結論:◯◯制度への対応として、当社では◯◯の手順を見直す必要があると分かりました。
目的:◯◯制度の変更点と、各社の対応例を把握するため
日程:◯月◯日(◯)◯時〜◯時 会場:◯◯
内容:講師の◯◯氏から、制度の変更点と、準備を早めに始めた会社の事例の説明がありました。質疑では、当社と同じ規模の会社の進め方について質問し、回答を得ました。
今後の対応:◯月◯日の部内会議で内容を共有します。配布資料は共有フォルダに保存しました。
出張を伴わない研修や、研修内容だけを詳しく報告する場合は研修報告書・セミナー報告書の書き方へ。
日帰り出張・メールで報告する場合の例文
日帰りの短い出張で、社内で様式が決まっていない場合は、メールで報告することもあります。件名で中身が分かるようにし、本文は結論から書きます。
件名:【出張報告】◯月◯日 ◯◯株式会社 訪問
◯◯部長
お疲れさまです。◯◯です。
本日の◯◯株式会社への訪問についてご報告します。
■結論
試作品は先方の評価基準を満たしており、来月から量産の準備に入ることで合意しました。
■面談者
開発部 課長 ◯◯様
■内容
・試作品の評価結果の説明を受けました
・量産の開始時期と数量について打ち合わせました
■今後の対応
・◯日までに量産のスケジュール案を送付します(担当:◯◯)
詳細は明日の朝会でもご説明します。
よろしくお願いいたします。
所感の書き方と例文5つ
所感は「楽しかった」「勉強になった」という感想ではなく、見聞きしたことを、自社の仕事にどう生かすかを書く欄です。次の型で書くとまとまります。
- 01
分かったこと
見たこと・聞いたことのうち、いちばん重要な一点。
- 02
自社との比較
自社のやり方と同じか、違うか。
- 03
提案
それを受けて、自社で何をするとよいか。
【商談】今回の訪問で、先方が発注の判断で最も重視しているのは納期の確実さだと分かりました。当社は価格の説明に時間を割いてきましたが、今後は納期の管理体制を資料の前半で説明するよう、営業資料を見直したいと考えます。
【工場見学】先方の工場では、検査の記録を工程ごとに残し、不良の原因をその日のうちに確認していました。当社は週ごとにまとめて確認しているため、まずは一つのラインで日ごとの確認を試したいと考えます。
【展示会】来場者が足を止めていたのは、製品に触れられるブースでした。当社の過去の出展はパネル中心だったため、次回は実機を一台置き、説明員が操作して見せる形を提案します。
【セミナー】制度の変更は、準備を早めに始めた会社ほど負担が少ないと講師から説明がありました。当社は対応の担当者がまだ決まっていないため、来月中に担当を決め、作業の洗い出しを始めることを提案します。
【成果が出なかったとき】今回は先方の予算の都合で、新サービスの採用は見送りとなりました。ただし、先方の課題が◯◯の手間にあることが分かったため、その点に絞った小さな提案を、来期の予算検討の前に改めて行いたいと考えます。
注意
成果が出なかった出張も、なぜそうなったかと次に何をするかを書けば報告として役に立ちます。事実と違う書き方で成果を大きく見せるのは避けてください。
出張報告書を早く書くコツ
- 01
出張前に半分書いておく
件名・目的・日程・出張先・面談者の欄は、出張前に埋められます。目的を先に書いておくと、現地で何を聞くべきかもはっきりします。
- 02
現地ではその日のうちにメモを整理する
面談のあとは、先方の発言、自分の気づき、宿題の三つに分けてメモします。展示や設備は、撮影してよいか確認してから写真に残します。
- 03
戻ったら結論から書く
まず結論の一文と今後の対応を書き、内容はそれを支える要点だけに絞ります。時系列の記録は、必要なら添付に回します。
提出期限が社内で決まっている場合はそれに従います。決まっていない場合も、記憶が新しいうちに出すと、内容の正確さが保てます。
提出前のチェックリスト
- 冒頭に結論(成果)が一文で書いてある
- 目的と成果が対応している
- 面談者の会社名・役職・氏名が正しい
- 先方の発言と自分の推測を分けて書いた
- 今後の対応に担当者と期限がある
- 日付と曜日が合っている
- 社外秘の情報を、共有範囲の広い場所に貼っていない
この記事の要点
- 出張報告書は目的・日程・内容・成果・所感・今後の対応。
- 冒頭に成果を一文で置く。
- 所感は感想ではなく、自社の仕事への持ち帰りを書く。
- 先方の発言と自分の推測は分けて書く。
- 件名・目的・日程は出張前に書いておくと早い。
FAQ
よくある質問
目的、日程・出張先・面談者、内容、成果、所感、今後の対応です。冒頭に成果を一文で置き、内容は時系列の記録ではなく要点に絞ります。
「今回の訪問で、先方が発注の判断で最も重視しているのは納期の確実さだと分かりました。今後は納期の管理体制を資料の前半で説明するよう、営業資料を見直したいと考えます」のように、分かったこと・自社との比較・提案の順で書きます。
目的(委託先の品質確認など)、対応者、見学した工程の要点、品質や生産体制についての評価、懸念点、今後の対応を書きます。良かった点だけでなく、確認が必要な点も書いておくと判断に使えます。
社内で期限が決まっていればそれに従います。決まっていない場合も、出張から戻ってなるべく早く出すと、記憶が新しいうちに正確な内容を残せます。
社内で様式が決まっていなければ、日帰りの短い出張などはメールで報告することもあります。件名に「出張報告」と訪問先を入れ、結論・面談者・内容・今後の対応の順で書きます。
成果がなかったことをそのまま書き、理由と、次に何をするかを添えます。先方の課題や判断の時期が分かったなら、それも得られた情報として書いておきます。