ビジネスの慣用句
足並みをそろえるの意味と使い方
場面別の例文20と言い換え
結論:「足並みをそろえる」は、複数の人や組織が、考え方・進め方・行動の時期を合わせることです。読み方は「あしなみをそろえる」。使った一文は「新しい受付の手順は、全店舗で足並みをそろえて来月から始めます。」。悪い意味はないので目上の人や取引先にも使えますが、相手に求める言い方は指図に聞こえないよう提案の形にします。このページでは、もとの意味と由来、「足並みがそろう」との違い、そのまま使える場面別の例文20、言い換え・反対語・英語、合わせる前に決めておくことのチェックリストをまとめました。
結論
「足並みをそろえる」は、立場の違う人どうしが、方針や手順、動き出す時期を一つに合わせることを表す慣用句です。「足並みをそろえる」「足並みがそろう」「足並みが乱れる」の形で使われます。
30秒でわかる「足並みをそろえる」
| 項目 | 答え |
|---|---|
| 意味 | 複数の人や組織が、考え方・進め方・行動の時期を合わせること |
| 読み方・表記 | あしなみをそろえる(漢字で「足並みを揃える」とも書く) |
| もとの意味 | 並んで歩く人たちが、足を出す調子を合わせること |
| よい意味か | よい意味。協力して一緒に進む様子を表す |
| 目上・社外に | 使える。ただし求める形は「〜進められますと幸いです」とやわらげる |
| 言い換え | 歩調を合わせる/足並みがそろう/連携する/一丸となる |
| 反対の表現 | 足並みが乱れる/足並みがそろわない/ばらばらに動く |
| 英語 | keep in step with/be on the same page/act together |
「足並みをそろえる」の意味と由来
「足並み」は、何人かで並んで歩くときの、足を前に出す調子(歩調)を指す言葉です。もとの意味では、行進のように全員が同じ調子で歩くことを「足並みをそろえる」と言います。
そこから意味が広がり、仕事や活動で、関係者の考え・方針・進み具合を合わせることを指すようになったと説明されることが多い言葉です。今のビジネスの場面では、ほとんどがこの比喩の意味で使われます。
| 使い方 | 意味 | 例 |
|---|---|---|
| もとの意味(字義) | 歩く調子を合わせる | 行進では、全員が足並みをそろえて歩く。 |
| 比喩の意味(仕事・社会) | 考え・方針・時期を合わせる | 各支店が足並みをそろえて新料金を案内する。 |
仕事では、部署どうし・会社どうし・店舗どうしのように、複数の立場の人がいる場面でよく使われます。逆に、考えや行動がばらばらになることは「足並みが乱れる」「足並みがそろわない」と言います。
Point
何を合わせるのか(方針・時期・対応の仕方・伝える文面)を具体的に添えると、「足並みをそろえる」は掛け声で終わらず、指示として伝わります。
「足並みをそろえる」「足並みがそろう」「足並みが乱れる」の違い
| 形 | 誰が・どうなる | 例文 |
|---|---|---|
| 足並みをそろえる | 人が意識して合わせる(働きかけ) | 全員で足並みをそろえて準備を進めます。 |
| 足並みがそろう | 結果として合っている(状態) | ようやく各部署の足並みがそろいました。 |
| 足並みがそろわない | 合っていない(状態) | 支店ごとに足並みがそろわず、案内が遅れています。 |
| 足並みが乱れる | 合っていたものがばらばらになる(変化) | 途中で方針が変わり、チームの足並みが乱れた。 |
| 足並みを乱す | ある人の行動がまとまりを崩す(非難の響き) | 一人だけ先に発表して足並みを乱した。 |
注意
「足並みを乱す」は特定の人を責める響きになります。会議や報告では、人ではなく状況を主語にした「足並みがそろっていない」のほうが角が立ちません。
そのまま使える例文20(場面別)
会議で(部署をまたいで)
お客様への案内の文面は、営業部と事務局で足並みをそろえておきたいので、送る前に一度すり合わせの時間をいただけますか。
開始日は各部署で足並みをそろえたいので、今日の会議で日付だけ先に決めてしまいましょう。
この件は広報と法務の足並みがそろってから公表する、という進め方でよろしいでしょうか。
注意
依頼や確認の形にしているので、他部署の上長がいる会議でも使えます。方針を合わせる話し合いの進め方はコンセンサス(合意形成)の意味にまとめています。
上司への報告で
値上げの時期について、各支店の足並みがそろわず、案内の日程がまだ決まっていません。
三つの店舗のうち二店舗は準備が整いましたが、残る一店舗の足並みがそろうまで、あと一週間ほどかかる見込みです。
先方の担当者が替わり、両社の足並みが少し乱れています。来週の定例で進め方を確認し直します。
注意
うまくいっていない状況は、原因と次の手を一緒に伝えると、上司が判断しやすくなります。
朝礼・全体への呼びかけで
今週から新しい受付の手順に切り替わります。お客様が戸惑わないよう、全員で足並みをそろえていきましょう。
繁忙期に入ります。休みの申請は早めに出していただき、チーム全体で足並みをそろえて乗り切りましょう。
新しい制度の説明は、各課長から今週中に同じ資料で行います。課ごとの足並みをそろえるため、質問は共通の窓口に集めます。
注意
「〜していきましょう」と自分も含めて言うと、押しつけに聞こえにくくなります。
面談・1on1で(上司から部下へ)
◯◯さんの進め方は早くて助かっています。ただ、チームの足並みをそろえるために、決めたことは一度共有してから動いてもらえますか。
新しく入った人が多いので、作業の手順は◯◯さんが基準になって足並みをそろえてもらえると心強いです。
注意
相手の良い点を先に伝えてから頼むと受け取ってもらいやすくなります。こまめな共有のしかたは報連相の意味も参考になります。
チャットで(同僚どうし)
先方への回答、私と◯◯さんで言っていることがずれないよう、足並みをそろえておきたいです。今日の午後に少し話せますか?
明日のお客様対応、説明の順番だけ足並みをそろえておきませんか。たたき台をここに貼っておきます。
メールで(社内の上司へ)
件名:◯◯の案内時期についてのご相談
◯◯部長
お疲れさまです。□□です。
◯◯の案内時期について、各支店で足並みをそろえて進めたく、ご相談いたします。
現在、支店ごとに予定が異なっているため、◯月◯日(◯)に一斉に案内する案をまとめました。
資料を添付いたしますので、ご確認いただけますでしょうか。
メールで(取引先へ)
件名:◯◯の共同告知について
株式会社◯◯
◯◯様
いつもお世話になっております。株式会社△△の□□です。
◯◯の告知について、両社で足並みをそろえて進められますと幸いです。
つきましては、公開日と掲載する文面について、事前にすり合わせのお時間をいただけますでしょうか。
ご都合のよい日時をお知らせいただけますと幸いです。
御社と足並みをそろえ、弊社でも◯月から新しい手順で対応してまいります。
注意
取引先には「足並みをそろえてください」と求める形を避け、「〜進められますと幸いです」「すり合わせのお時間をいただけますでしょうか」のように一緒に進める提案の形にします。
社外への案内・文書で
グループ各社で足並みをそろえ、◯月◯日より受付時間を変更いたします。
業界団体の加盟各社と足並みをそろえて、今回の取り組みに参加いたします。
日常・ニュースで見かける使い方
各国が足並みをそろえて対応する必要がある、という論調が目立った。
家族で足並みをそろえて、朝の支度を始める時間を早めることにした。
イベントの仕事での使い方
イベントの準備は、主催者・運営会社・会場・施工・音響照明・警備・出演者側など、立場の違う関係者が同じ本番日に向かって動く仕事です。そのため「足並みをそろえる」は、イベントの現場で特に出番の多い言葉です。ここでは、何を・誰と・いつまでに合わせるのかが伝わる例文を、連絡の手段ごとに示します。
| 場面 | 足並みをそろえる対象の例 | 相手 |
|---|---|---|
| 協力会社への準備の連絡 | 搬入の時間帯・図面の版・連絡窓口 | 施工・音響照明・警備などの協力会社 |
| キックオフでの挨拶 | 本番までの進め方・決める順番・共有の場所 | プロジェクトの関係者全員 |
| 主催者と運営会社の情報共有 | 告知の公開日・参加者への案内文・問い合わせ対応 | 主催者の担当者 |
| 進捗会議 | 締め切り・遅れている作業・変更点の伝え方 | 社内の各担当・協力会社 |
例文(イベントの準備・運営で)
【メール・協力会社へ】
件名:搬入スケジュール確定版の共有
各社ご担当者様
いつもお世話になっております。運営事務局の□□です。
前日の搬入について、各社の足並みをそろえるため、確定版のタイムテーブルを添付いたします。
搬入口を各社で共用するため、記載の時間帯から前後する場合は、◯日(◯)までに事務局へご連絡いただけますと幸いです。
【口頭・キックオフでの挨拶】
本日はお集まりいただきありがとうございます。本番まで、会場・制作・受付・配信と多くのチームが並行して動きます。決まったことは共有フォルダの進行表に必ず反映し、全チームで足並みをそろえて準備を進めていきましょう。
【メール・主催者へ】
参加者への案内メールと公式サイトの告知内容について、御社と弊社で足並みをそろえて進められますと幸いです。公開前に文面をお送りしますので、◯日(◯)までにご確認いただけますでしょうか。
【口頭・進捗会議で】
会場図面の修正が入り、施工と音響照明で参照している版が分かれています。今日の会議で最新版を一つに決め、両社の足並みをそろえてから発注に進みたいと思います。
【チャット・社内の運営チームへ】
当日の受付で、招待客と一般参加者の案内の仕方が担当ごとにずれないよう、足並みをそろえておきたいです。案内の言い回しをここに貼るので、明日のリハーサルまでに目を通してもらえますか?
【メール・協力会社へ(変更の連絡)】
開場時間が早まることになりました。警備・受付・誘導の各社で足並みをそろえるため、変更後の人員配置表を本日中にお送りします。ご不明点は事務局の□□までお問い合わせください。
注意
イベントでは、変更が一部の関係者にだけ伝わっていると、当日の動きがばらばらになりやすくなります。「足並みをそろえる」と書くときは、合わせる資料(進行表・図面・案内文など)と期限を必ず添えると、相手が何をすればよいかがはっきりします。
言い換え・類語・反対の表現・英語
| 表現 | 意味・ニュアンス | 使いやすい場面 |
|---|---|---|
| 足並みをそろえる | 複数の人や組織が、考え・方針・進み具合を合わせる | 社内外どちらでも |
| 歩調を合わせる | 相手の進み方や方針に合わせて進む(合わせる側の動きに重き) | 社内外どちらでも |
| 足並みがそろう/歩調が合う | 結果として考えや動きが合っている状態 | 報告・状況の説明 |
| 連携する | 役割を分けながら協力して進める | 社内外の文書全般 |
| 手を組む | 目的のために協力関係を結ぶ(会社どうしなど) | 提携・協力の話 |
| 一丸となる | 全員が一つにまとまる(気持ちの面に重き) | 朝礼・決起の呼びかけ |
| すり合わせる | 考えや条件の違いを話し合って調整する | 合わせる前の話し合いの段階 |
| 横並び | 周りと同じにすること(主体性がない、という否定的な響きで使われることもある) | 比べる・評する文脈 |
| 足並みが乱れる・そろわない(反対) | 考えや行動がばらばらになる | うまくいっていない状況の報告 |
| 独断で進める・抜け駆けする(反対) | 周りに相談せず、一人だけ先に動く | 注意を促す文脈(強い響き) |
「足並みをそろえる」は一緒に進むことに重きがあり、「横並び」は周りと同じにすることに重きがあります。「横並びの対応」は独自の判断がないという批判で使われることもあるので、ほめる場面では「足並みをそろえる」を選びます。
英語で言うと
| 英語 | 近い意味 | 例 |
|---|---|---|
| keep in step (with) | 歩調を合わせる(もとの意味にも近い) | We need to keep in step with the sales team. |
| be on the same page | 認識や方針がそろっている | Let's make sure we're all on the same page before the launch. |
| act together / in concert | 一緒に行動する(やや硬い) | The branches will act together to introduce the new prices. |
よくある間違いと注意点
| ありがちな言い方 | 気になる点 | 一般的な言い方 |
|---|---|---|
| 足元をそろえる | 「足並み」と「足元」の言い間違い | 足並みをそろえる |
| 足並みを合わせる | 「歩調を合わせる」と混ざった言い方として見かけることがある。受け止め方が人によって揺れる | 文書では「足並みをそろえる」「歩調を合わせる」が無難 |
| 全員の意見を同じにするために足並みをそろえる | 考えの違いを消すことと受け取られることがある | 進め方と時期について足並みをそろえる |
| (取引先に)足並みをそろえてください | 相手に指図しているように聞こえやすい | 足並みをそろえて進められますと幸いです |
| (特定の人に)足並みを乱さないでください | 名指しで責める響きになる | 進め方を一度そろえさせてください |
| 何を合わせるか言わずに「足並みをそろえましょう」 | 掛け声だけで、誰も動き方が変わらない | 開始日と案内の文面について足並みをそろえましょう |
表記は「足並みをそろえる」「足並みを揃える」のどちらも見られます。ひらがなの「そろえる」のほうがやわらかく読みやすいので、社外向けの文書ではひらがなにしておくと無難です。
目上・社外に使うときの言い方
「足並みをそろえる」には悪い意味がないので、目上の人や取引先との話でもそのまま使えます。気をつけたいのは、相手に合わせるよう求める言い方だけです。
| 相手・場面 | おすすめの言い方 |
|---|---|
| 上司に方針の統一を相談する | 各部署で足並みをそろえて進めたく、ご相談いたします |
| 取引先と共同で何かを進める | 両社で足並みをそろえて進められますと幸いです |
| 相手の方針に自分たちが合わせる | 御社のご方針に歩調を合わせて進めてまいります |
| 取引先に予定の確認を頼む | 足並みをそろえるため、公開日を事前にご共有いただけますでしょうか |
| 社内の同僚・チーム | 足並みをそろえておきましょう |
足並みをそろえる前に決めておくことチェックリスト
「足並みをそろえる」と言ったあと、実際にそろうかどうかは何を合わせるかを先に決めたかどうかで変わります。話し合いの前に、次の項目を埋めておきます。
- 合わせる対象を一つずつ書き出した(開始日・手順・案内の文面・価格など)
- 合わせる範囲(どの部署・店舗・会社まで)を決めた
- いつまでにそろえるか、期限を決めた
- そろったことを誰が確認するか、担当を決めた
- 合わせなくてよいこと(各部署に任せること)も決めた
- 決めた内容を一か所に書いて、全員が見られるようにした
- 途中で変更が出たときの連絡の流れを決めた
議題の立て方は会議のアジェンダの作り方を見てください。
この記事の要点
- 「足並みをそろえる(あしなみをそろえる)」は複数の人や組織が、考え・方針・進み具合を合わせること。
- もとは大勢で歩くときの歩く調子(足並み)を合わせること。
- 「そろえる」は意識して合わせること、「そろう」は結果の状態。反対は「足並みが乱れる」「そろわない」。
- 「足並みを合わせる」は揺れがあるので、文書では「足並みをそろえる」「歩調を合わせる」が無難。
- 取引先には「足並みをそろえて進められますと幸いです」と提案の形にし、何を合わせるかを具体的に添える。
FAQ
よくある質問
複数の人や組織が、考え方・進め方・行動の時期を合わせることです。読み方は「あしなみをそろえる」です。もとは大勢で歩くときに歩く調子を合わせることを指します。
使えます。悪い意味はありません。ただし「足並みをそろえてください」と求める形は指図に聞こえやすいので、「足並みをそろえて進められますと幸いです」のように提案の形にすると無難です。
「そろえる」は人が意識して合わせる働きかけ、「そろう」は結果として合っている状態を表します。「足並みをそろえて進める」「ようやく足並みがそろった」のように使い分けます。
「歩調を合わせる」と混ざった言い方として見かけることがあり、受け止め方は人によって揺れます。文書では「足並みをそろえる」または「歩調を合わせる」と書くのが無難です。
考えや行動がばらばらになることを「足並みが乱れる」「足並みがそろわない」と言います。ある人の行動がまとまりを崩す場合は「足並みを乱す」と言いますが、責める響きがあります。
「足並みをそろえる」は一緒に進むために歩調を合わせることで、よい意味で使われます。「横並び」は周りと同じにすることで、独自の判断がないという批判の意味で使われることもあります。
「keep in step with」が近い言い方です。認識や方針がそろっている意味なら「be on the same page」、一緒に行動する意味なら「act together」も使えます。
主催者・運営会社・協力会社など立場の違う関係者が、進行表や図面、案内文、搬入時間などを合わせる場面で使います。「搬入の時間帯について各社の足並みをそろえるため、確定版をお送りします」のように、何をいつまでに合わせるのかを添えると伝わりやすくなります。
どちらも使われます。社外向けの文書では、やわらかく読みやすいひらがなの「そろえる」にしておくと無難です。