文例
餞別の渡し方と表書き
異動・退職する人に添える一言
餞別(せんべつ)は、異動・転勤・退職などで離れていく人へ、はなむけとして贈る品物やお金です。表書きは「御餞別」が基本ですが、目上の人には「御礼」「記念品」にすると無難です。水引は紅白の蝶結び。渡すのは最終出社日より前、相手が荷物を持ち帰りやすい時に、一言添えます。
添える一言の短い形は「新しい職場でのご活躍をお祈りしています。これまで本当にありがとうございました。」。部署一同で記念品を贈るときの集金や品選びは会社の送別プレゼント・記念品にまとめているので、ここでは個人や少人数で渡す餞別と、取引先の担当者に渡す場合を扱います。
結論
餞別の表書きは①相手との関係(同僚・部下か、目上か) ②離れる理由(異動・転勤・退職)で選びます。「餞別」は目上の人に使うと失礼とされることがあるため、上司には「御礼」「記念品」を使います。社内で贈答の決まりがある場合や、取引先が贈答を受け取らない場合は会社の決まりに従います。金額の目安は社内の慣習や関係により異なるので、このページでは書きません。
渡す時期とタイミング
| 相手 | 渡す時期 | タイミングの例 |
|---|---|---|
| 社内の異動・転勤 | 異動の発表後から最終出社日まで | 送別会、または最終日の業務の終わりごろ |
| 社内の退職 | 最終出社日まで | 送別会、または最終日の挨拶のあと |
| 取引先の担当者の異動 | 最後の打ち合わせ・挨拶の訪問のとき | 挨拶が済んでから |
| 送別会に出られないとき | 送別会の前に | 個別に声をかけて渡す、または幹事に預ける |
最終日は挨拶回りや荷物の整理で忙しいので、最終日より少し前に渡すと相手の負担が少なくなります。転勤で引っ越しを伴う場合は、荷物にならない小さなものを選ぶか、新しい住所に送る方法もあります(本人に確認します)。
Point
部署一同の記念品と、個人の餞別が重ならないようにしてください。部署で記念品を贈る場合は、個人の餞別は控えるか、お菓子など気をつかわせない程度にとどめると、相手のお返しの負担が増えません。
表書きと水引
| 相手 | 表書きの例 | 水引 |
|---|---|---|
| 同僚・部下(異動・転勤・退職) | 御餞別/おはなむけ | 紅白の蝶結び |
| 上司・目上の人 | 御礼/記念品 | 紅白の蝶結び |
| 定年退職する人 | 御礼/記念品 | 紅白の蝶結び |
| 結婚を機に退職する人 | 御結婚御祝 | 紅白の結び切り |
| 取引先の担当者 | 御礼/記念品 | 紅白の蝶結び |
名入れは個人なら自分の氏名、少人数なら連名、人数が多ければ「◯◯部有志」とします。お金を包む場合は、のし袋の中袋に金額と住所・氏名を書きます。表書きの考え方は地域や相手の事情で違うこともあるので、迷ったら購入する店に用途を伝えて相談してください。のし紙はのし紙作成ツールで作れます。
注意
結婚を機に退職する人には、餞別よりも結婚のお祝いとして贈ることが多いです。書き方は結婚祝い・出産祝いを会社から贈るを参照してください。
渡すときに添える一言(相手別)
異動する同僚へ
◯◯さん、これまで本当にありがとうございました。
新しい部署でも◯◯さんらしく活躍されることを楽しみにしています。
ささやかですが、気持ちです。
転勤する上司へ
◯◯部長、これまでご指導いただき、ありがとうございました。
◯◯でのご活躍とご健康をお祈りしております。
心ばかりのお礼のしるしです。どうぞお納めください。
退職する先輩へ
◯◯さん、長い間お世話になりました。
◯◯のときに助けていただいたことは忘れません。
新しい道でのご活躍をお祈りしています。
定年退職する人へ
長年にわたり、本当にお疲れさまでした。
◯◯さんに教えていただいたことを、これからも大切にしていきます。
どうぞお体を大切に、これからの時間を楽しんでください。
異動する部下・後輩へ
◯◯さん、いつも助けてくれてありがとう。
新しい部署でもきっと力を発揮できると思います。
困ったことがあれば、いつでも連絡してください。
異動する取引先の担当者へ
◯◯様には長いあいだ大変お世話になり、誠にありがとうございました。
新しいご部署でのご活躍を心よりお祈り申し上げます。
心ばかりではございますが、お礼のしるしでございます。
寄せ書きと一緒に渡す場合のメッセージは送別の寄せ書き、定年退職の人へのメッセージは定年退職のメッセージに例文が多くあります。
品物を送るときのメールの件名
会えずに品物を送る場合や、自宅・新しい職場に送る場合は、送ったことをメールで知らせておくと相手が受け取りやすくなります。
| 場面 | 件名の例 |
|---|---|
| 社内の異動・転勤者に送った | ささやかな餞別をお送りしました(◯◯部 □□) |
| 上司に送った | これまでのお礼(◯◯部 □□) |
| 取引先の担当者に送った | これまでのお礼と、ささやかな品のご案内(株式会社△△) |
| 送り先を確認したい | 【ご確認】お品物のお届け先について |
| 送った品物について訂正する | 【お詫び】先日お送りした品物について |
渡す前のチェックリスト
- 部署一同の記念品と重なっていないか
- 相手が目上なら、表書きを「御礼」「記念品」にしたか
- 結婚退職なら、結び切りの結婚祝いにしたか
- 転勤なら荷物にならない大きさか、送る方法を相談したか
- 取引先の会社に贈答を受け取らない決まりがないか
- 自社の贈答の決まり(取引先に贈るときの承認など)を確認したか
- 相手が気をつかうほど高価になっていないか
- 渡すタイミングが最終日の直前すぎないか
場面別の例文(メール・件名つき)
あまり話したことのない他部署の人へ(初めて連絡する)
件名:ささやかな餞別をお送りしました(◯◯部 □□)
◯◯部 ◯◯さん
お疲れさまです。◯◯部の□□です。
直接お話しする機会は多くありませんでしたが、◯◯の件では大変助けていただきました。
異動されると伺い、ささやかですがお礼の品を社内便でお送りしました。
新しい部署でのご活躍をお祈りしています。
長く担当してくれた取引先の担当者へ
件名:これまでのお礼と、ささやかな品のご案内(株式会社△△)
株式会社◯◯
◯◯様
いつも大変お世話になっております。株式会社△△の□□です。
このたびのご異動のお知らせ、拝見いたしました。
長いあいだ、◯◯の件で細やかにご対応いただき、誠にありがとうございました。
心ばかりではございますが、お礼のしるしをお送りいたしました。
新しいご部署でのご活躍を心よりお祈り申し上げます。
注意
取引先の担当者が異動するときの挨拶メールの返し方は異動の挨拶メールの返信例も参考になります。
上司へ(送別会に出られなかったとき)
件名:これまでのお礼(◯◯部 □□)
◯◯部長
お疲れさまです。□□です。
送別会に伺えず、大変失礼いたしました。
これまでのご指導へのお礼として、ささやかな品をお送りしましたので、お納めください。
◯◯でのご活躍とご健康をお祈りしております。
急に異動が決まった同僚へ(最終日が近い)
件名:餞別をお渡ししたいのですが(□□)
◯◯さん
お疲れさまです。□□です。
異動のこと、急なことで驚きました。
最終日までお忙しいと思うので、ささやかですが今のうちにお渡ししたいと思っています。
明日の昼休みに、少しだけお時間をいただけますか。
新しい住所に送るため、送り先を確認したいとき
件名:【ご確認】お品物のお届け先について
◯◯さん
お疲れさまです。□□です。
ささやかな餞別をお送りしたいので、差し支えなければ届け先を教えていただけますか。
新しい職場宛てでも構いません。
お忙しいところすみませんが、よろしくお願いします。
送った品物の表書きを誤ったとき(訂正)
件名:【お詫び】先日お送りした品物について
◯◯部長
お疲れさまです。□□です。
先日お送りした品物ののし紙に「御餞別」と書いてしまいました。
本来は「御礼」とするところ、確認が足りず、申し訳ございませんでした。
改めて、これまでのご指導に心より御礼申し上げます。
避けたい言い方・渡し方
| 避けたいこと | 理由 | 代わりにすること |
|---|---|---|
| 上司に「御餞別」と書く | 目上の人には失礼とされることがある | 「御礼」「記念品」 |
| 「寂しくなります」だけで終わる | 相手の新しい門出への言葉がない | 「新しい職場でのご活躍をお祈りしています」と添える |
| 「落ち着いたらお返しは結構ですから」と何度も言う | かえって相手が気にする | 一度だけ「お気遣いなく」と添える |
| 退職理由や異動の事情を詮索する | 相手が答えにくい | これまでのお礼と今後への励ましにとどめる |
| 最終日の帰り際に大きな品物を渡す | 持ち帰りの負担になる | 前もって渡すか、送る |
注意
「ご活躍をお祈り申し上げます」は目上の相手にも使えます。「頑張ってください」は目上の人には軽く聞こえることがあるので、上司には「ご活躍をお祈りしております」とします。
後日のフォロー
相手からお礼が届いたときの返信
件名:Re:お品物のお礼
◯◯さん
ご丁寧にありがとうございます。
喜んでいただけてうれしいです。
新しい部署でもお体に気をつけて、どうぞお元気で。また何かあれば声をかけてください。
異動先で落ち着いたころの一言(こちらから)
件名:お元気ですか(◯◯部 □□)
◯◯さん
お疲れさまです。□□です。
新しい部署には慣れましたか。
こちらは◯◯の件が無事に進んでいます。◯◯さんが整えてくださった資料に、今も助けられています。
お近くに来られることがあれば、ぜひ声をかけてください。
餞別を受け取った側のお礼の書き方は退職祝い・記念品のお礼と送別会のお礼にまとめています。餞別には基本的にお返しは不要とされることが多く、新しい職場から近況を知らせる便りがお礼の代わりになります。
この記事の要点
- 餞別の表書きは「御餞別」、目上の人には「御礼」「記念品」。
- 水引は紅白の蝶結び。結婚退職は結び切りの結婚祝いに。
- 渡すのは最終出社日より少し前。転勤なら荷物にならないものを。
- 部署一同の記念品と重ならないようにする。
- 取引先には会社の決まりを確認してから。添える言葉はお礼と今後の活躍を祈る一言。
FAQ
よくある質問
同僚や部下には「御餞別」「おはなむけ」、上司や目上の人には「御礼」「記念品」と書くのが無難です。水引は紅白の蝶結びを使います。結婚を機に退職する人には、結び切りの水引で「御結婚御祝」とします。
異動や退職の発表後から最終出社日までに渡します。最終日は挨拶や片づけで忙しいので、少し前に渡すと相手の負担が少なくなります。送別会がある場合は、その場で渡すこともあります。
「餞別」は目上の人に使うと失礼とされることがあるため、上司には「御礼」「記念品」としておくと無難です。気になる場合は、購入する店に用途を伝えて相談してください。
長くお世話になった担当者に、お礼のしるしとして渡すことはあります。ただし、相手の会社に贈答を受け取らない決まりがある場合や、自社にも取引先への贈答の決まりがある場合は、会社の決まりに従ってください。表書きは「御礼」「記念品」が無難です。
餞別には基本的にお返しは不要とされることが多いです。受け取った側は、最終日までにお礼を伝え、新しい職場で落ち着いたら近況を知らせる便りを送ると丁寧です。