ビジネス文書
委任状の書き方と例文
社内・取引で使う書式と記載項目
委任状は、自分(または自社)がすべき手続きを、ほかの人に代わりにしてもらうときに、そのことを示す書面です。書く項目は①代理人(誰に) ②委任事項(何を) ③委任者(誰が) ④日付の四つが基本です。決まりごとは、委任事項をできるだけ具体的に書くことと、空欄を残したまま渡さないこと。下に、そのまま使える見本を置きました。ただし、委任状は提出先によって決まった様式や、押印・本人確認書類の添付を求められることがあります。提出先の様式や指定があるときは、必ずそちらに従ってください。株主総会で議決権の行使を任せる委任状は株主総会の委任状で扱っています。
結論
委任状は、委任する人(委任者)が、任される人(代理人・受任者)に対して、どの手続きを任せたのかを書いて示す書面です。会社の手続きでは、会社(代表者)が社員や外部の人に、届出の提出や書類の受け取りなどを任せるときによく使われます。委任状がどのような効力を持つか、どこまで代理が認められるかは、手続きの種類や提出先によって違います。このページでは書き方の一般的な形を扱い、法的な扱いの判断はしていません。
結論:委任状の決まりごとと見本
Point
誰に・何を・誰が・いつ。四つをそろえ、委任事項は「どの手続きの、どの書類か」まで具体的に書きます。提出先の様式があれば、そちらが優先です。
会社が社員に、役所への届出の提出を任せるときの見本です(横書き)。
(中央)委任状
(右寄せ)令和◯年◯月◯日
(代理人)
住所 ◯◯県◯◯市◯◯町◯丁目◯番◯号
氏名 ◯◯◯◯
当社は、上記の者を代理人と定め、下記の事項を委任します。
(中央)記
一 ◯◯市役所に対する◯◯届の提出
二 前号の届出に関する受付の控えの受け取り
(右寄せ)以上
(委任者)
所在地 ◯◯県◯◯市◯◯町◯丁目◯番◯号
会社名 株式会社△△
代表者 代表取締役 □□□□ (印)
代理人の欄と委任者の欄の順番は書式によって違い、委任者を先に書いてから代理人を書く形もよく使われます。どちらの順でも、四つの項目がそろっていれば内容は伝わります。日付は見本のように右上に置くほか、本文と委任者の欄のあいだに置く形もあります。委任状は横書きが一般的ですが、縦書きにする場合は、右の行から表題・本文・記書き・日付・委任者・代理人と並べ、日付は少し下げ、委任者の名前は行の下に寄せて書きます。「記」と「以上」の書き方は記書きの書き方を見てください。
委任状の決まりごと一覧
| 項目 | 書くこと | 気をつけたいこと |
|---|---|---|
| 表題 | 「委任状」 | 上の中央に書く |
| 日付 | 委任状を作った日 | 提出先が「作成から◯か月以内」などと期間を決めていることがあるので確かめる |
| 代理人(受任者) | 住所・氏名 | 提出先が求めれば生年月日や電話番号も。社員なら会社の住所でよいかも確かめる |
| 本文 | 「上記の者を代理人と定め、下記の事項を委任します」 | 委任者が個人なら「私は」、会社なら「当社は」で始めることが多い |
| 委任事項 | どの手続きの、どの書類か | 「◯◯に関する一切の件」のように広く書くと、任せた範囲があいまいになる |
| 期間(任意) | いつからいつまで任せるか | 続けて任せる手続きなら書いておくと、終わりが分かる |
| 委任者 | 個人:住所・氏名/会社:所在地・会社名・代表者の役職と氏名 | 会社の手続きは代表者名で出すことが多い。社内規程で別の人に権限がある場合は確かめる |
| 押印 | 提出先の指定に従う | 実印や印鑑証明書を求める提出先もあれば、署名でよい提出先もある |
押印が必要か、どの印鑑か、手書きの署名が必要か、本人確認書類を添えるかは、手続きと提出先によって違います。このページの見本は一般的な形の例なので、提出前に提出先の案内や窓口で確かめてください。
場面別の委任状の例文
見本と同じ形で、委任事項の部分を書き換えて使います。提出先に様式があれば、その様式の委任事項の欄に同じ内容を書きます。
役所・公的機関への届出の提出を社員に任せる
当社は、上記の者を代理人と定め、下記の事項を委任します。
記
一 ◯◯事務所に対する◯◯の申請書の提出
二 前号の申請に関し、窓口で求められた書類の補正
以上
証明書・書類の受け取りを任せる
当社は、上記の者を代理人と定め、下記の事項を委任します。
記
一 ◯◯の証明書の交付申請および受け取り(◯通)
以上
入札・見積に関する手続きを支店長に任せる
当社は、上記の者を代理人と定め、◯◯(発注者名)が発注する案件について、次の権限を委任します。
記
一 入札および見積に関すること
二 契約の締結に関すること
三 代金の請求および受領に関すること
委任期間 令和◯年◯月◯日から令和◯年◯月◯日まで
以上
入札に参加するときの委任状は、発注する機関が様式と書く事項を決めていることが多いので、まず発注者の案内を確かめます。様式がある場合は、上のような文面を自分で作らず、その様式に記入します。
取引先との打ち合わせ・交渉の窓口を外部の人に任せる
当社は、上記の者を代理人と定め、下記の事項を委任します。
記
一 株式会社◯◯との間の◯◯に関する打ち合わせへの出席および条件の協議
二 ただし、契約の締結および金額の最終決定は当社が行う
委任期間 令和◯年◯月◯日から令和◯年◯月◯日まで
以上
注意
外部の人に任せるときは、任せないこと(契約の締結や金額の決定など)もはっきり書いておくと、相手先も代理人も迷いません。
業界団体・組合の総会の議決を任せる
(中央)委任状
令和◯年◯月◯日
◯◯協同組合
理事長 ◯◯◯◯様
当社は、◯◯◯◯(代理人の氏名)を代理人と定め、令和◯年◯月◯日開催の◯◯協同組合 通常総会における議決権の行使に関する一切の権限を委任します。
(右寄せ)所在地 ◯◯県◯◯市◯◯町◯丁目◯番◯号
(右寄せ)会社名 株式会社△△
(右寄せ)代表者 代表取締役 □□□□ (印)
団体の総会の委任状は、案内状と一緒に出欠の返信はがきや決まった用紙が届くことが多いので、届いた用紙に書くのが基本です。代理人の欄を空けたまま「議長に一任」とする形が用意されていることもあり、扱いは団体の定めによります。株式会社の株主総会の場合は株主総会の委任状を見てください。
個人として、書類の受け取りを家族や同僚に任せる
私は、上記の者を代理人と定め、下記の事項を委任します。
記
一 株式会社◯◯ 総務部に対する、私の◯◯証明書の受け取り
以上
(右寄せ)住所 ◯◯県◯◯市◯◯町◯丁目◯番◯号
(右寄せ)氏名 □□□□
よくある間違い
| ありがちな書き方 | 気になる点 | 直し方 |
|---|---|---|
| 委任事項が「◯◯業務に関する一切の件」 | 任せた範囲があいまいで、思った以上のことに使われるおそれがある | 「◯◯届の提出」のように、手続きと書類を特定する |
| 代理人の欄や委任事項を空けたまま渡す | あとから誰でも、何でも書き込めてしまう | 空欄を残さず、自分で書き込んでから渡す |
| 日付を書き忘れる | いつ任せたのかが分からず、提出先で受け付けられないことがある | 作った日を書く。期間があれば期間も書く |
| 会社の手続きなのに担当者個人の名前で出す | 会社として任せたことにならない場合がある | 会社名と代表者の役職・氏名で出すのが一般的。社内の権限の定めも確かめる |
| 提出先の様式を確かめずに自作する | 書く事項が足りず、出し直しになる | 提出先の案内・窓口で様式と添付書類を確かめる |
| 頼まれていないのに捨印を押す | 訂正に使う印だが、あとから書き換えに使われるおそれもある | 提出先から求められた場合に限るのが無難 |
委任状の内容をめぐって相手ともめそうなときや、契約・財産に関わる大きな手続きを任せるときは、書く前に弁護士・司法書士など専門家に相談してください。
この記事の要点
- 委任状は代理人・委任事項・委任者・日付の四つが基本。
- 委任事項は手続きと書類を特定して具体的に。「一切の件」は範囲があいまいになる。
- 空欄を残して渡さない。頼まれていない捨印は押さない。
- 会社の手続きは会社名と代表者の役職・氏名で出すのが一般的。
- 押印・様式・添付書類は提出先の指定に従う。
FAQ
よくある質問
提出先によって違います。押印を求めない提出先もあれば、実印の押印と印鑑証明書の添付を求める提出先もあります。提出先の案内や窓口で確かめ、その指定に従ってください。
一般的な委任状はパソコンで作ってもかまいませんが、提出先によっては委任者の自署を求められることがあります。様式や署名の決まりがあるかどうかを、提出先に確かめてください。
会社として手続きを任せる場合は、会社名と代表者の役職・氏名で出すのが一般的です。社内の規程で支店長などに権限が与えられていて、その人の名前で出せる手続きもあります。提出先と社内の定めの両方を確かめてください。
委任状そのものに期間を書くこともでき、続けて任せる手続きなら書いておくと終わりがはっきりします。また、提出先が作成日から一定の期間内のものに限るとしていることがあるので、提出先の案内を確かめてください。
社員に会社の手続きを任せる場合は、会社の住所でよいとする提出先もあります。本人確認のために代理人の自宅住所を求める提出先もあるので、指定に合わせてください。