ビジネスの慣用句
気が置けないの意味とは?
油断できないとの違い・例文20と言い換え
結論から言うと、「気が置けない」は相手に対して気配りや遠慮をしなくてよい、打ち解けて付き合えるという意味です。読み方はきがおけない。「学生時代からの気が置けない仲間と、久しぶりに食事をした。」のように、親しい相手をほめる方向で使います。「〜ない」という形から「油断できない」「気を許せない」の意味だと思われがちですが、それは本来の意味とは逆です。このページでは、30秒でわかる早見表、由来と文化庁の調査結果、場面別の例文20、言い換えと反対の表現、目上の人や社外に使うときの判断手順、使う前のチェックリストをまとめました。
結論
「気が置けない」は、気を遣う必要がなく、心から打ち解けられることを表します。「気の置けない仲間」「気が置けない間柄」のように、親しい友人・同僚・家族との関係について使います。
30秒でわかる「気が置けない」
| 知りたいこと | 答え |
|---|---|
| 読み方 | きがおけない(「気の置けない」は、きのおけない) |
| 本来の意味 | 相手に気配りや遠慮をしなくてよい。打ち解けて付き合える |
| 言葉の向き | ほめる・好ましい方向(「〜ない」でも悪い意味ではない) |
| 取り違えやすい意味 | 油断できない/気を許せない(本来の意味とは逆) |
| 見分け方 | 「遠慮がいらない」に置き換えて文が通れば正しい使い方 |
| 使う相手 | 自分の友人・同期・チーム・家族など、親しい間柄 |
| 目上・社外の方には | 気さくな方/親しみやすい方/懇意にしていただいている |
意味と由来:「気を置く」ことが要らない
「気を置く」は、相手に遠慮する、気を遣うという意味の言い方です。それが「置けない」、つまり遠慮や気遣いをする必要がない、という意味になったと説明されます。否定の形ですが、相手との関係の近さをほめる言葉です。
「気が置けない」と「気の置けない」は、どちらも同じ意味で使われます。「気の置けない仲間」のように、名詞の前に置くときは「の」の形もよく見られます。
Point
見分け方:「気が置けない」を「遠慮がいらない」に置き換えます。「遠慮がいらない仲間」と通じれば本来の意味。「遠慮がいらない取引先だから、条件はよく確認しよう」のように前後がかみ合わなければ、言いたいのは「油断できない」です。
文化庁の調査:本来の意味を選んだ人は4割台
文化庁「国語に関する世論調査」(平成24年度)では、例文「その人は気が置けない人ですね。」の意味を尋ねています。辞書等で本来の意味とされる方より、そうではない方を選んだ人が多い結果でした。
| 選択肢 | 回答 |
|---|---|
| (ア)相手に対して気配りや遠慮をしなくてよい(本来の意味) | 42.7% |
| (イ)相手に対して気配りや遠慮をしなくてはならない | 47.6% |
つまり、聞き手の半数近くは逆の意味で受け取る可能性があるということです。ほめるつもりで使ったのに「付き合いにくい人」と言ったように伝わることがあるため、誤解されると困る場面では、意味が一つに決まる言い方を選ぶのが確実です。
注意
出典:文化庁「国語に関する世論調査」(平成24年度)の結果の概要(問17)。文化庁のウェブサイトで原文を確認しています。
そのまま使える例文20(場面別)
友人・家族について(4例)
- 学生時代からの気が置けない仲間と、久しぶりに食事をしました。
- 彼とは気が置けない間柄なので、思ったことをそのまま言い合えます。
- 気の置けない友人と過ごす休日が、何よりの息抜きです。
- 姉とは何でも話せる、気が置けない関係です。
職場の同僚・チームについて(5例)
- 同期とは入社以来の気が置けない付き合いで、困ったときはまず相談しています。
- 今日の打ち合わせは気が置けないメンバーだけなので、まとまっていない案でも気軽に出してください。(社内チャット)
- 社内に気が置けない相談相手が一人いるだけでも、仕事はずいぶん進めやすくなります。(面談で上司から部下へ)
- このプロジェクトのメンバーとは、すっかり気の置けない仲になりました。
- 気が置けない雰囲気のチームなので、新しく入った人もすぐになじんでいます。
朝礼・挨拶・スピーチで(4例)
- 週末、学生時代からの気が置けない友人とキャンプに行ってきました。気を遣わずに話せる時間は、いい気分転換になります。(朝礼)
- このチームは気が置けないメンバーばかりですので、困ったことがあれば遠慮なく声をかけてください。(歓迎会で先輩から)
- 皆さんとは、気が置けない仲間として三年間一緒に走ってきました。本当にありがとうございました。(送別会で異動する本人から)
- 新郎の◯◯さんとは高校時代からの気が置けない友人で、今日まで何でも話し合ってきました。(結婚式の友人代表スピーチ)
取引先との関係を社内で話すとき(3例)
- 来週の打ち合わせは、先方も気が置けない顔ぶれなので、雑談から入って大丈夫です。(社内チャット)
- 気が置けない関係の取引先でも、見積もりの条件は書面で確認しておきましょう。
- 先方とは気が置けない関係になったからこそ、言葉遣いは丁寧なままにしています。
注意
取引先について使うのは、社内の会話で、自分たちとの関係を説明するときにとどめます。先方に向けて直接「気が置けない方」と言うのは避けます(次の例文を参照)。
目上の人・社外の方へ(言い換えた形・4例)
- ◯◯様にはいつも気さくにご相談に乗っていただき、心より感謝申し上げます。(社外へのメール)
- 日頃より懇意にしていただき、誠にありがとうございます。(取引先への挨拶)
- ◯◯部長は気さくな方なので、初めての方も安心してご相談ください。(社内向けの紹介)
- いつも打ち解けた雰囲気でお話しくださるので、私どもも率直にご相談できております。(社外の方へのお礼)
注意
社外の方や目上の人を「気が置けない方」と言うと、本来の意味でもなれなれしく聞こえたり、逆の意味で受け取られたりするおそれがあります。朝礼で話すネタの組み立ては朝礼スピーチの例文とネタ、歓迎会の挨拶全体は歓迎会の挨拶の例文にあります。
言い換え・類語と反対の表現
言い換え・類語
| 表現 | 意味 | 使い方の目安 |
|---|---|---|
| 気心の知れた | 互いの性格や考えをよく分かっている | 社内の同僚にも使いやすい |
| 打ち解けた | 隔てがなく、親しくなった | 関係が近くなったことを言うとき |
| 腹を割って話せる | 本音を隠さずに話し合える | 信頼関係を強調したいとき |
| 気兼ねなく(話せる) | 遠慮せずに | 相手に遠慮しないでほしいと伝えるとき |
| 気安い | 遠慮がいらない、気楽な | 親しさを表すが、「気安く呼ぶ」のようになれなれしさも含みうる |
| 懇意にしている | 親しく付き合っている | 取引先との関係など改まった場面。社外の方にも使える |
| 気さくな | 人柄が親しみやすく、こだわりがない | 目上の人の人柄をほめるとき |
反対の表現と、取り違えやすい言葉
| 表現 | 意味 | 「気が置けない」との関係 |
|---|---|---|
| 気を遣う | 相手に配慮する、遠慮する | 反対の状態 |
| 気詰まりな | 遠慮があって、窮屈に感じる | 反対の状態 |
| 油断できない/気が抜けない | 注意を緩められない | 「気が置けない」と取り違えやすい |
| 気が許せない | 安心して心を開けない | 「気が置けない」と取り違えやすい |
「油断できない」「気が許せない」と言いたいときは、そのまま「油断できない」と言うほうが確実です。
英語で言うと
| 英語の表現 | ニュアンス |
|---|---|
| a close friend I can be myself with | 自分らしくいられる親しい友人 |
| someone I feel at ease with | 一緒にいて気が楽な人 |
| We're on easy terms. | 気兼ねのない間柄だ |
英語には一語で対応する言い方がないため、「気楽でいられる」「自分らしくいられる」を表す言い方で伝えます。
よくある間違いと直し方
| ありがちな言い方 | 気になる点 | 直し方 |
|---|---|---|
| あの取引先は気が置けないから、条件はよく確認しよう(油断できない、のつもり) | 本来の意味では「遠慮のいらない相手」になり、逆の意味になる | あの取引先との交渉は油断できないから、条件はよく確認しよう |
| 気が置けない相手なので、つい緊張してしまう | 本来の意味では「緊張しなくてよい相手」になり、前後が合わない | 気を遣う相手なので、つい緊張してしまう |
| 彼は気が置けない人だから、言葉選びに気をつけて | 「遠慮のいらない人」なのに言葉に気をつける、という矛盾した文になる | 彼は気難しいところがあるから、言葉選びに気をつけて |
| 気の置けない上司なので、相談しにくい | 本来の意味では「遠慮のいらない上司」で、相談しにくい理由にならない | 気軽に話しかけにくい上司なので、相談しにくい |
| (目上の人に)◯◯部長は気が置けない方ですね | 本来の意味でも、目上の人を「遠慮のいらない相手」と言うとなれなれしく聞こえることがある | ◯◯部長は気さくな方ですね |
使う前のチェックリスト
- 言いたいのは「遠慮がいらない、打ち解けている」ことか(注意を促すなら「油断できない」へ)
- 「遠慮がいらない」に置き換えても文の前後がかみ合うか
- 相手は自分の友人・同期・チームなど、親しい間柄か
- 目上の人や社外の方について言っていないか(言うなら「気さくな方」「懇意にしていただいている」へ)
- 逆の意味で受け取られると困る文書(社外メール・挨拶状など)ではないか
- 前後の文で、好ましい意味だと分かるようにしてあるか
目上の人・社外に使うときの判断手順
- 01
相手を確かめる
自分の友人・同期・チームのことなら「気が置けない」をそのまま使えます。
- 02
目上・社外なら言い換える
人柄をほめるなら「気さくな方」、関係を言うなら「懇意にしていただいている」にします。
- 03
意味が伝わるか考える
聞き手が逆の意味で受け取りそうなら、「遠慮なく話せる」「打ち解けた」と言い換えます。
- 04
前後で補う
使うときは「何でも話せる」「気を遣わずに済む」などを添え、好ましい意味だと分かるようにします。
| 場面 | おすすめの言い方 |
|---|---|
| 友人・同期・チームについて話す | 気が置けない仲間/気の置けない友人 |
| 目上の人の人柄をほめる | 気さくな方/親しみやすい方 |
| 取引先への挨拶・お礼 | 日頃より懇意にしていただき/いつも気さくにご相談に乗っていただき |
| 注意を促したい | 油断できない/慎重に進めたい |
目上の人への相づちや受け答えで迷ったら、「なるほど」の言い換えもあわせて確認してください。
この記事の要点
- 「気が置けない(きがおけない)」は遠慮や気遣いをしなくてよいという好ましい意味。
- 「気を置く(遠慮する)」ことができない、つまり遠慮がいらないと説明される。
- 文化庁「国語に関する世論調査」(平成24年度)では、本来の意味を選んだ人は42.7%で、逆の意味(47.6%)を下回った。
- 迷ったら「遠慮がいらない」に置き換えて文が通るかで確かめる。
- 目上の人・社外の方には「気さくな方」「懇意にしていただいている」と言い換える。
FAQ
よくある質問
相手に対して気配りや遠慮をしなくてよい、打ち解けて付き合えるという意味です。親しい友人や仲間について使います。
本来は良い意味で、「遠慮しなくてよい、気楽に付き合える人」を指します。「油断できない人」という意味で使うのは、本来の意味とは逆です。
文化庁「国語に関する世論調査」(平成24年度)では、本来の意味を選んだ人が42.7%、逆の意味を選んだ人が47.6%でした。逆の意味で受け取られる可能性があるため、誤解されると困る場面では言い換えると確実です。
どちらも同じ意味で使われます。「気の置けない仲間」のように名詞の前に置く形もよく見られます。
本来は良い意味ですが、目上の人を「遠慮のいらない相手」と言うとなれなれしく聞こえることがあり、逆の意味で受け取られるおそれもあります。「気さくな方」「親しみやすい方」と言い換えるのが無難です。
社内の会話で「先方とは気が置けない関係です」と説明するのは問題ありません。先方に向けて言うときは「日頃より懇意にしていただき」のように改まった言い方にします。
「気を遣う」「気詰まりな」などが反対の状態を表します。「油断できない」「気が許せない」は、「気が置けない」と取り違えやすい言葉です。