敬語
「とんでもございません」の意味と使い方
目上への返し方・場面別の例文と言い換え
結論:「とんでもございません」は「そんなことはありません(私にはもったいないお言葉です)」という意味の謙遜の返事です。褒められたとき・お礼を言われたとき・謝られたときに使い、上司・取引先・お客様など目上の相手にも使えます。そのまま使える一文は「とんでもございません。そう言っていただけて、励みになります。」。「正しい日本語ではない」と聞いて迷う人もいますが、文化審議会答申「敬語の指針」は、褒めや賞賛を軽く打ち消す場面で使うことは問題がないと解説しています。このページでは、場面別の一言例文とメール例文、丁寧さ別の言い換え、英語での言い方、使わないほうがよい場面までまとめました。
結論
「とんでもない」は、思いもよらない・あってはならないという意味の形容詞です。褒め言葉やお礼に対して「とんでもないです」「とんでもございません」と返すと、「私などにはもったいないお言葉です」という謙遜の気持ちを表せます。打ち消すだけで終わると、相手の好意を突き返したように聞こえることもあるので、お礼の一言を続けるのが基本です。
30秒でわかる早見表
| 知りたいこと | 答え |
|---|---|
| 意味 | 褒め言葉・お礼・お詫びを「そんなことはありません」と軽く打ち消す謙遜の返事 |
| 目上に使える? | 使える。会話は「とんでもないです」、メールや改まった場面は「とんでもございません」 |
| 正しい日本語? | 褒めや賞賛を打ち消す場面では問題がないと「敬語の指針」が解説 |
| 基本の形 | とんでもございません+お礼の一言(例:励みになります) |
| 避けたい形 | 褒められた場面での「とんでもないことでございます」 |
| 迷ったときの代わり | 恐れ入ります/もったいないお言葉です |
「とんでもない」の意味と、返事として使うときの意味
「とんでもない」には、大きく分けて次の使われ方があります。「とんでもございません」と返事に使うのは、このうち3つ目の、相手の言葉を打ち消す使い方です。
| 使われ方 | 例 | 返事の「とんでもございません」との関係 |
|---|---|---|
| 思いもよらない・程度が並外れている | とんでもない時間に電話が鳴った | この意味では使わない |
| あってはならない・もってのほか | 締切を破るなんてとんでもない話だ | この意味では使わない |
| 相手の言葉を強く打ち消す(そんなことはない) | (褒められて)とんでもないです | この使い方を丁寧にしたもの |
謙遜として使うときは、相手の言葉を否定しているのではなく、自分を低く置いているのがポイントです。そのため、打ち消したあとに「ありがとうございます」「励みになります」と相手の好意を受け止める言葉を添えると、感じのよい返事になります。
Point
「とんでもございません」+お礼の一言が基本の形。打ち消すだけで終わらせないのが、感じよく伝えるコツです。
「とんでもございません」は正しい?「敬語の指針」の解説
「とんでもない」はこれで一つの形容詞なので、「ない」の部分だけを「ございません」に替えるのはおかしい、という意見があります。文化審議会答申「敬語の指針」は、部長に褒められて「とんでもございません」と返した場面を例に、次のように解説しています。
「とんでもございません」(「とんでもありません」)は,相手からの褒めや賞賛などを軽く打ち消すときの表現であり,現在では,こうした状況で使うことは問題がないと考えられる。
(出典:文化審議会答申「敬語の指針」)
同じ箇所では、使わないほうがよいとする立場の理由(一つの形容詞の「ない」だけを替える発想に問題がある)も紹介し、その立場では「とんでもないです」「とんでもないことでございます」「とんでものうございます」が丁寧な形になる、と整理しています。
| 言い方 | 褒められたときの返事として | 補足 |
|---|---|---|
| とんでもございません | 使える | 「敬語の指針」が問題ないと解説 |
| とんでもありません | 使える | 上と同じ扱い。やや軽い |
| とんでもないです | 使える | 会話で使いやすい |
| とんでものうございます | 使えるが、古風で今はあまり聞かない | 日常のビジネスでは不自然に響くことも |
| とんでもないことでございます | 避ける | 「褒めたことがとんでもない」と受け取られるおそれ |
「とんでもないことでございます」は、褒められた場面では「あなたの褒めたことはとんでもないことだ」という意味にも受け取られるおそれがある、と「敬語の指針」は注意しています。一方、ある出来事を「あってはならないことだ」と言いたいときは「とんでもないことでございます」が普通に使え、この意味で「とんでもございません」とは言えない、とも書かれています。意味によって形を使い分ける、と覚えておくと迷いません。
注意
それでも「とんでもございません」が気になる相手もいます。改まった文書や、言葉づかいに厳しいと分かっている相手には、下の言い換えにある「恐れ入ります」「もったいないお言葉です」を選ぶと安心です。
使える場面・使わないほうがよい場面
| 場面 | 「とんでもないです/ございません」 | 代わりに使う言葉 |
|---|---|---|
| 上司に仕事ぶりを褒められた | 使える(お礼を続ける) | ― |
| 取引先からお礼を言われた | 使える | こちらこそありがとうございます |
| お客様に感謝された | 使える | 恐れ入ります |
| 受賞や昇進を祝われた | 使えるが、祝福は素直に受けたほうがよいことも多い | ありがとうございます。身の引き締まる思いです |
| 相手に謝られた | 使える(気にしていないと伝える) | どうかお気になさらないでください |
| 手土産やお心づけを差し出された | 使える(遠慮を示す) | お気遣いいただき恐縮です |
| 身に覚えのない疑いをかけられた | 強く否定できるが、事実で説明を続ける | そのようなことはございません |
| 相手からの頼みを断る | 使わない(強く拒む響きになる) | あいにく〜いたしかねます |
| 相手の話した内容を打ち消す | 使わない | 失礼ですが、◯◯ではないかと存じます |
注意
「とんでもない」は打ち消しの力が強い言葉です。相手の申し出や意見を否定する場面で使うと、きつく聞こえることがあります。断るときの言い方は「あいにく」の使い方を見てください。
そのまま使える一言の例文(会話・電話・チャット)
褒められたとき
- とんでもございません。そう言っていただけて、励みになります。
- とんでもないです。◯◯さんに段取りを教えていただいたおかげです。
- とんでもございません。まだまだ至らない点ばかりですので、引き続きご指導ください。
- とんでもございません。ご覧いただいた点を、次の案件でも生かしていきます。
お礼を言われたとき
- とんでもございません。こちらこそ、ありがとうございました。
- とんでもないです。少しでもお役に立てたならうれしいです。
- とんでもございません。またいつでもお声がけください。
- (電話で)とんでもございません。わざわざお電話をいただき、ありがとうございます。
謝られたとき
- とんでもございません。ご丁寧にありがとうございます。
- とんでもないです。こちらも確認が遅れていましたので。
- とんでもございません。この程度の変更でしたら、すぐに対応できます。
遠慮・恐縮を伝えるとき
- (手土産を受け取って)とんでもございません、お気遣いいただき恐縮です。ありがたく頂戴します。
- (「お忙しいところすみません」と言われて)とんでもございません。お声がけいただけてうれしいです。
- (「わざわざお越しいただいて」と言われて)とんでもございません。こちらこそお時間をいただき、ありがとうございます。
疑いや誤解をはっきり否定するとき
- とんでもございません。そのような発言はしておりません。経緯をご説明させてください。
- とんでもないです。そのような取り扱いは一切しておりませんので、記録をお送りします。
注意
否定するときは「とんでもない」だけで済ませず、事実や次の対応を必ず続けると、感情的な反発ではなく説明として受け取ってもらえます。
言い換え一覧(丁寧さの段階つき)
| 言い方 | 丁寧さ | 使いやすい場面 |
|---|---|---|
| もったいないお言葉をいただき、恐縮しております | 特に改まった言い方 | 役員・取引先の上役からの評価 |
| 過分なお言葉をいただき、ありがとうございます | 改まった言い方 | 表彰・お祝いへの返信 |
| 滅相もございません | 改まった言い方(強めの打ち消し) | 目上から過大な評価や申し出を受けたとき |
| 光栄です | 改まった言い方(素直に受ける) | 名誉な評価・抜擢・指名を受けたとき |
| とんでもございません | 改まった言い方 | 上司・取引先・お客様への返事 |
| 恐縮です | 改まった言い方(短い) | お礼や気遣いを受けたとき |
| 恐れ入ります | 改まった言い方(短い) | 接客、会話でのさっとした返事 |
| とんでもないです | 丁寧 | 上司・先輩との会話 |
| そう言っていただけてうれしいです | 丁寧(素直) | 社内の上司・先輩 |
| いえいえ、そんな | 標準 | 同僚・親しい間柄 |
「滅相もございません」は打ち消しがさらに強く、改まった響きになります。日常の褒め言葉に毎回使うと大げさに聞こえるので、思いがけない評価や、立場の離れた相手からの申し出に絞ると自然です。「光栄です」は打ち消さずに受け止める言い方なので、名誉な評価を素直に喜びたいときに向きます。
「恐れ入ります」は、褒め言葉にもお礼にも使える便利な返事です。使い分けは「恐縮ですが」と「恐れ入りますが」の違いも参考にしてください。
場面別のメール例文
上司から仕事ぶりを褒めるメールが届いた
件名:Re: ◯◯の資料の件
◯◯部長
お疲れさまです。□□です。
資料をご確認いただき、ありがとうございます。
とんでもございません。◯◯さんに数字の確認を手伝っていただいたおかげです。お褒めの言葉、励みになります。
本番に向けて、ご指摘いただいた構成の部分をもう一度見直します。
取引先からお礼のメールが届いた
件名:Re: ◯◯のご対応のお礼
株式会社◯◯
◯◯様
いつもお世話になっております。株式会社△△の□□です。
とんでもございません。
こちらこそ、急なご相談にもかかわらず早めに資料をご用意いただき、ありがとうございました。
引き続き、どうぞよろしくお願いいたします。
お客様から感謝の声が届いた
件名:Re: ◯◯の件ありがとうございました
◯◯様
このたびはご連絡をいただき、誠にありがとうございます。株式会社△△の□□です。
もったいないお言葉をいただき、恐縮しております。
◯◯様にご満足いただけたと伺い、担当一同うれしく思っております。
今後とも、どうぞよろしくお願いいたします。
表彰のお祝いメールに返事をする
件名:Re: 受賞おめでとうございます
◯◯様
お世話になっております。□□です。
お祝いのご連絡をいただき、ありがとうございます。
過分なお言葉をいただき、恐縮しております。
チームの皆と一緒に取り組んできた結果ですので、皆にも伝えます。
これからも気を引き締めて取り組んでまいります。
取引先に謝られたときに「気にしていない」と返す
件名:Re: 【お詫び】資料送付の遅れについて
◯◯様
お世話になっております。株式会社△△の□□です。
ご丁寧にご連絡をいただき、ありがとうございます。
とんでもございません。日程には十分間に合いますので、どうかお気になさらないでください。
資料、確かに受け取りました。
イベントの登壇後に主催者からお礼が届いた
件名:Re: ◯◯セミナーご登壇のお礼
◯◯様
お世話になっております。□□です。
ご丁寧なお礼をいただき、ありがとうございます。
とんでもございません。運営の皆さまが進行を細かく整えてくださったおかげで、落ち着いてお話しできました。
参加者の方からのご質問も、今後の参考にさせていただきます。
また機会がございましたら、どうぞよろしくお願いいたします。
社内チャットで先輩に褒められた
◯◯さん、ありがとうございます!
とんでもないです、当日に◯◯さんが受付を手伝ってくださったので回せました。次回も頑張ります。
注意
お祝いへのお礼状そのものの書き方は受賞のお祝いメッセージ、指摘を受けたときのお礼の返し方は「ご指摘ありがとうございます」の使い方も参考になります。
英語で言うときの表現
英語には「とんでもございません」にそのまま当たる決まり文句はありません。褒められたらまずお礼を言うのが自然で、強く打ち消しすぎると、かえって相手の評価を否定したように聞こえることがあります。
| 場面 | 英語の言い方 | ニュアンス |
|---|---|---|
| 褒められた | Thank you, that's very kind of you. | お礼で受け止める(基本) |
| 褒められた(謙遜を添える) | Thank you. I couldn't have done it without the team. | 周りのおかげと伝える |
| お礼を言われた | You're welcome. / It was my pleasure. | どういたしまして |
| お礼を言われた(軽く) | Not at all. / No problem. | 大したことではない |
| 謝られた | No worries. / Please don't worry about it. | 気にしないでください |
| 謝られた(改まって) | That's quite all right. | まったく問題ありません |
英文メールのお礼の書き方は英語のお礼メールも参考にしてください。
よくある間違い
| 書きがちな言い方 | 気になる点 | 直し方 |
|---|---|---|
| (褒められて)とんでもないことでございます | 「褒めたことがとんでもない」と受け取られるおそれがある | とんでもございません |
| とんでもございません。(だけで終わる) | 好意を突き返したように聞こえることがある | とんでもございません。ありがとうございます |
| (お祝いに)とんでもございません、私など… | 謙遜が過ぎると、祝ってくれた相手が困る | ありがとうございます。励みになります |
| (依頼に)とんでもないです、無理です | 強く拒む響きになる | あいにく今回はお引き受けが難しい状況です |
| (他人の行為を)あの方のなさっていることはとんでもございませんね | 「あってはならない」の意味では「とんでもございません」は使えない | とんでもないことでございますね |
| 毎回「滅相もございません」 | 大げさに聞こえる | 普段は「とんでもございません」「恐れ入ります」 |
| 一通の中で「とんでもない」を何度も | くどく、卑屈に見える | 最初の返事で一度だけ |
返事を送る前のチェックリスト
- 相手の言葉は「褒め・お礼・お詫び」のどれか(依頼や意見への返事ではないか)
- 「とんでもございません」のあとに、お礼や受け止める一言を続けたか
- 褒められた場面で「とんでもないことでございます」と書いていないか
- お祝いには打ち消しより「ありがとうございます」を先にしたか
- 「とんでもない」を一通(一回の会話)で何度も使っていないか
- 言葉づかいに厳しい相手・改まった文書なら「恐れ入ります」「もったいないお言葉です」にしたか
- 誤解を否定するときは、事実や次の対応を続けたか
「とんでもございません」と返されたときの返事
こちらが褒めたりお礼を言ったりして「とんでもございません」と返ってきたら、重ねて褒めすぎないのが自然です。「いえ、本当に助かりました」と一言だけ添えて、用件に戻ります。
◯◯様
ご返信ありがとうございます。
いえ、本当に助かりました。
次回の打ち合わせは◯月◯日(◯)◯時からでお願いできればと存じます。引き続きよろしくお願いいたします。
この記事の要点
- 「とんでもございません」は褒め言葉やお礼を軽く打ち消す謙遜の返事で、目上にも使える。
- 文化審議会答申「敬語の指針」は、褒めや賞賛を打ち消す場面で使うことは問題がないと解説している。
- 打ち消すだけで終わらず、「ありがとうございます」「励みになります」を続ける。
- 褒められた場面で「とんでもないことでございます」は使わない(「あってはならない」と言いたいときの形)。
- 迷う相手には「恐れ入ります」「もったいないお言葉です」、強く打ち消すなら「滅相もございません」。
- 依頼や意見を断る場面では使わず、「あいにく」などで丁寧に断る。
FAQ
よくある質問
「そんなことはありません」「私にはもったいないお言葉です」という意味の謙遜の返事です。褒められたとき、お礼を言われたとき、謝られたときに、相手の言葉を軽く打ち消すのに使います。
文化審議会答申「敬語の指針」は、相手からの褒めや賞賛を軽く打ち消すときの表現として、現在では使うことは問題がないと考えられる、と解説しています。気にする人もいるので、改まった文書では「恐れ入ります」などを選ぶ方法もあります。
上司や取引先に使える丁寧な返事です。会話では「とんでもないです」、メールや改まった場面では「とんでもございません」とすると、場面に合った丁寧さになります。
褒められたときに使うと、「褒めたこと自体がとんでもない」という意味に受け取られるおそれがあると「敬語の指針」は注意しています。褒められたときは「とんでもございません」が合います。
どちらも同じ意味で、「ございません」のほうが改まった響きになります。取引先やお客様には「とんでもございません」、社内の会話では「とんでもないです」「とんでもありません」が使いやすいです。
「滅相もございません」のほうが打ち消しが強く、改まった響きです。過分な評価や申し出を受けたときには合いますが、日常の褒め言葉に毎回使うと大げさに聞こえます。
使えます。「とんでもないです。こちらこそありがとうございます」のように、お礼を返す言葉を続けると自然です。
褒められたときは「Thank you, that's very kind of you.」のようにお礼で受け止めるのが自然です。お礼への返事なら「It was my pleasure.」、謝られたら「Please don't worry about it.」が使えます。