敬語
「ご一読ください」の意味と使い方
「ご高覧」との違いとメール例文
「ご一読ください」は、文章や資料をひととおり読んでほしいときの丁寧な頼み方です。取引先・お客様・上司など目上の相手にも使えます。そのまま使える一文は「お手すきの際に、添付の資料をご一読いただけますと幸いです。」。もっと改まった場面や、作品・展示を見てもらうときは「ご高覧」を使います。中身を確かめて受け取ってほしい請求書や契約書なら「ご査収ください」のほうが合います。このページでは、二つの言葉の違い、使える場面の表、丁寧さ別の言い換え、場面別のメール例文をまとめました。
結論
「一読」は一度ひととおり読むことで、相手の行為に「ご」を付けた「ご一読」は「読んでいただくこと」を丁寧に言う言い方です。読み方は「ごいちどく」。「高覧」は相手が見ることを高めて言う言葉で、「ご高覧」(ごこうらん)は「ご覧」よりさらに改まった言い方です。メールでは「ご一読ください」「ご一読いただけますと幸いです」「ご高覧いただけますと幸いです」「ご高覧賜りますようお願い申し上げます」の形で使います。
「ご一読」と「ご高覧」の意味
「一読」は、文章を一度通して読むことです。「ざっと目を通す」に近く、細部まで検討してほしいというより、内容を一度知っておいてほしいときに向いています。読むもの、つまり文章・資料・報告書・規程などに使います。
「高覧」の「高」は相手を高める字で、「ご高覧」は相手が見ることを敬って言う言葉です。読む文章だけでなく、作品・展示・カタログ・サイトなど、見てもらうもの全般に使えます。「ご覧ください」より格式が高く、案内状や改まったメールで使われます。
Point
文章をひととおり読んでほしいなら「ご一読」、改まった場で見てほしいなら「ご高覧」。どちらも相手の行為に使う言葉で、自分が読むときは「拝読」「拝見」を使います。
「ご一読」「ご高覧」「ご査収」「ご笑覧」の違い
| 言葉 | 表す内容 | 使いやすい場面 |
|---|---|---|
| ご一読 | ひととおり読んでもらう | 会議資料・企画書・報告書・規程 |
| ご高覧 | 見てもらう(改まった言い方) | 案内状・作品展・カタログ・改まった資料 |
| ご覧 | 見てもらう(標準の敬語) | どの場面にも使いやすい |
| ご査収 | 中身を確かめて受け取ってもらう | 請求書・見積書・契約書 |
| ご笑覧 | 自分の側のものを、へりくだって見てもらう | 親しい相手への作品や記念品の紹介 |
「ご笑覧」は「つまらないものですが笑ってご覧ください」というへりくだりを含む言葉です。親しい間柄では温かく響きますが、取引先への正式な資料に使うと、軽く聞こえると受け取る人もいます。仕事の資料には「ご一読」「ご高覧」を選ぶのが無難です。受け取りの確認が要るときの言い方は「ご確認のほど」の使い方も参考にしてください。
使える場面・使わないほうがよい場面
| 場面 | 合う言い方 | 注意点 |
|---|---|---|
| 会議の前に資料を読んでおいてもらう | ご一読ください | 読んでほしい期限を添える |
| 企画書・提案書を送る | ご一読いただけますと幸いです | 要点を本文に二、三行で書く |
| 社内規程の改定を周知する | ご一読ください | 変更箇所を明記する |
| 作品展・展示会への招待 | ご高覧いただけますと幸いです | 案内状では「ご高覧賜りますよう」 |
| カタログ・会社案内を送る | ご高覧ください/ご覧ください | どちらでもよい |
| 請求書・契約書を送る | 合わない | ご査収ください |
| 内容の判断や返答がほしい | 合わない(一読だけで終わる) | ご確認のうえ、ご意見をお聞かせください |
注意
「ご一読」は読んでもらうことだけを頼む言葉です。読んだうえで承認や返答がほしい場合は、「ご一読のうえ、◯月◯日までにご意見をお聞かせいただけますでしょうか」のように、読んだあとにしてほしいことを続けて書きます。
言い換え一覧(丁寧さの段階つき)
| 言い方 | 丁寧さ | 使いやすい場面 |
|---|---|---|
| ご高覧賜りますようお願い申し上げます | 最も改まった言い方 | 案内状・式典や展示会の招待 |
| ご高覧いただけますと幸いです | 改まった言い方 | 取引先への作品・資料の案内 |
| ご一読賜りますようお願い申し上げます | 改まった言い方 | 役員・大切なお客様への文書 |
| ご一読いただけますでしょうか | 丁寧 | 取引先・上司へのお願い |
| ご一読いただけますと幸いです | 丁寧(やわらかい) | 急ぎでない資料の送付 |
| ご一読ください/ご覧ください | 丁寧(簡潔) | 社内周知・案内文 |
| 目を通しておいてください | 標準 | 社内の同僚・後輩 |
急がない資料なら、「お手すきの際に」と組み合わせると押しつけがましさが和らぎます。反対に、会議までに読んでほしいなど期限があるなら、「◯月◯日の会議までにご一読いただけますでしょうか」と日付をはっきり書きます。
場面別のメール例文
会議の前に資料を読んでおいてもらう(社外)
件名:◯月◯日お打ち合わせの事前資料のご送付
株式会社◯◯
◯◯様
いつもお世話になっております。株式会社△△の□□です。
◯月◯日(◯)のお打ち合わせに先立ち、検討いただきたい論点を資料にまとめました。
お忙しいところ恐れ入りますが、当日までにご一読いただけますと幸いです。
・添付:◯◯の進め方(案)
・特にご意見をいただきたい箇所:◯ページの予算配分
どうぞよろしくお願いいたします。
企画書を送る
件名:◯◯イベントの企画書のご送付
◯◯様
お世話になっております。株式会社△△の□□です。
先日お話しいただいた◯◯イベントについて、企画書をお送りいたします。
来場者の導線と、当日の進行を中心にまとめております。
ご一読のうえ、気になる点がございましたらお聞かせいただけますでしょうか。
引き続きどうぞよろしくお願いいたします。
社内規程の改定を周知する
件名:【ご一読ください】経費精算規程の改定について
社員各位
お疲れさまです。総務部の□□です。
◯月◯日付で、経費精算規程を一部改定いたしました。
主な変更点は、交通費の申請期限と、領収書の提出方法の二点です。
改定後の規程を添付しておりますので、ご一読ください。
ご不明な点は、総務部□□までお問い合わせください。
上司に報告書を読んでもらう
件名:◯◯展示会の報告書
◯◯部長
お疲れさまです。□□です。
先週の◯◯展示会の報告書がまとまりましたので、お送りいたします。
名刺交換の件数と、商談につながりそうな企業の一覧を最初のページにまとめております。
お手すきの際にご一読いただけますでしょうか。
作品展・展示会に招待する(ご高覧)
件名:◯◯作品展のご案内
◯◯株式会社
◯◯様
いつも大変お世話になっております。株式会社△△の□□です。
このたび、弊社デザイン部による作品展を下記のとおり開催いたします。
ご多用のところ恐縮ではございますが、ぜひご高覧いただけますと幸いです。
・会期:◯月◯日(◯)から◯月◯日(◯)まで
・会場:◯◯ギャラリー(◯◯駅から徒歩◯分)
会社案内・カタログを送る
件名:弊社会社案内のご送付
株式会社◯◯
◯◯様
お世話になっております。株式会社△△の□□です。
先日はお時間をいただき、ありがとうございました。
お話にあった弊社の実績をまとめた会社案内を、本日別便でお送りいたしました。
ご高覧いただけますと幸いです。
今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
注意
資料を添付して送るメール全体の組み立て(件名の付け方、添付の書き方、ファイル名)は資料送付メールの例文にまとめています。
よくある間違い
| 書きがちな言い方 | 気になる点 | 直し方 |
|---|---|---|
| ご一読してください | 「ご〜する」は自分の行為をへりくだる形で、相手への依頼には合わない | ご一読ください/ご一読いただけますでしょうか |
| 資料を一読させていただきました(目上への報告) | 「一読」は「ざっと読んだ」と受け取られることがある | 資料を拝読いたしました |
| 請求書をご一読ください | 読むだけでなく、確かめて受け取ってほしい書類 | 請求書をご査収ください |
| (取引先への正式な資料で)ご笑覧ください | へりくだりが強く、軽く聞こえると受け取る人もいる | ご高覧ください/ご一読ください |
| ご一読いただき、ご確認いただき、ご検討いただき | 依頼が重なって読みにくい | ご一読のうえ、ご検討いただけますでしょうか |
「ご一読ください」と言われたときの返事
読んでほしいと頼まれたら、読んだことを伝えます。目上の相手には「拝読しました」(文章を読んだとき)、「拝見しました」(資料・写真・作品を見たとき)が使えます。違いは「拝見」と「拝読」の使い分けにまとめています。
◯◯様
お世話になっております。株式会社△△の□□です。
お送りいただいた企画書、拝読いたしました。
来場者の導線がとても分かりやすく、社内でも好評でした。
一点、当日の受付の人数について伺いたいことがございますので、次回のお打ち合わせでご相談させてください。
すぐに読めない場合は、受け取ったことと、いつまでに読むかを先に返しておくと相手が安心します。「資料をお送りいただき、ありがとうございます。◯日までに拝読し、改めてご連絡いたします」で十分です。
この記事の要点
- 「ご一読」は文章をひととおり読んでもらうこと。読みは「ごいちどく」。
- 「ご高覧」は見てもらうことの改まった言い方で、作品や展示にも使える。
- 請求書や契約書には「ご査収」、仕事の資料に「ご笑覧」は避けるのが無難。
- 読んだあとにしてほしいことがあるなら「ご一読のうえ、◯◯」と続けて書く。
- 読んだ側は「拝読しました」「拝見しました」と返す。
FAQ
よくある質問
使えます。取引先・お客様・上司のどなたにも使える丁寧な言い方です。命令形の響きが気になる場合は「ご一読いただけますでしょうか」「ご一読いただけますと幸いです」とするとやわらかくなります。
「ご一読」は文章をひととおり読んでもらうこと、「ご高覧」は相手が見ることを高めて言う改まった言葉です。文章の資料ならどちらも使えますが、作品や展示など読むものではないときは「ご高覧」を使います。
「ごこうらん」と読みます。
誤りではありませんが、「ざっと読んだだけ」と受け取られることがあります。目上の相手への報告では「拝読いたしました」とするのが無難です。
「ご一読」は読んでもらうことだけを頼む言葉なので、返事がほしいなら「ご一読のうえ、◯月◯日までにご意見をお聞かせいただけますでしょうか」のように、してほしいことと期限を書き添えます。