手順
ダブルチェックの方法
確かめ方の種類・手順と、確認の頼み方の例文
結論:ダブルチェックは「①作った人が元の資料と突き合わせる → ②別の人が、説明を聞く前に資料だけで確かめる → ③直した所をもう一度見る」の順で進めます。確認を頼むときは「何と比べて、どこを見てほしいか」を必ず伝えます。
頼み方の見本:「◯◯社の請求書のダブルチェックをお願いできますか。注文書と比べて、品名・数量・金額・振込先が合っているかを見ていただきたいです。私のほうでは一度確認済みです。」
このページでは、確かめ方の種類と向いている作業、書類別のチェック項目、頼み方・結果の伝え方の例文、ダブルチェックでも見落とす原因と対策をまとめました。チェックリストそのものの作り方はチェックリストの作り方を見てください。
結論
ダブルチェックは、同じ作業の結果を二度、できれば別の人の目で確かめて誤りを見つけるやり方です。①元の資料との突き合わせ ②二人での読み合わせ ③指差しと声に出しての確認 ④時間を置いた見直し ⑤別の人による確認などがあります。似た言葉に、立場や知識の違う人がそれぞれの観点で確かめるクロスチェック、三度確かめるトリプルチェックがあります。どのやり方を使うか、確認者を誰にするかは、作業の内容と会社や部署の決まりに従って決めます。
まず結論:作業別のおすすめのやり方
迷ったら、下の表から作業に近いものを選んでください。くわしい進め方は次の見出しから説明します。
| 作業 | おすすめのやり方 | 特に見る所 |
|---|---|---|
| 請求書・見積書・発注書 | 元の注文書と突き合わせ+別の人による確認 | 宛先、品名、数量、単価、合計、税の扱い、振込先 |
| 振込・支払いの手続き | 作る人と確かめる人を分け、元の請求書と突き合わせ | 振込先の名義と口座、金額、支払日 |
| 名簿・データの入力 | 二人での読み合わせ、または元データと突き合わせ | 名前の字、ふりがな、連絡先、件数 |
| 社外へのメール送信 | 指差しと声に出しての確認(一人でも可) | 宛先、CC・BCC、添付ファイル、相手の名前、日付 |
| 発送・郵送 | 指差しと声に出しての確認+中身と宛名の突き合わせ | 宛名と中身の組み合わせ、同封物、切手・送り方 |
| 企画書・報告書・社外への文書 | 時間を置いた見直し+別の人による確認(観点を分ける) | 誤字、数字、固有名詞、結論と根拠のつながり |
| 日程・会場の連絡 | 元の予定表やカレンダーと突き合わせ | 日付と曜日、時刻、場所、集合場所 |
ダブルチェックの進め方(基本の手順)
- 01
確かめる項目を決める
名前・日付・金額・数量・宛先など、間違えると困るところを先に決めます。項目の決め方はチェックリストの作り方が参考になります。
- 02
作った人が自分で確かめる
「次の人が見るから」と思わず、一人で出すつもりで確かめます。作った直後より、別の作業を挟んでから見るほうが誤りに気づきやすくなります。
- 03
元の資料と突き合わせる
注文書、見積書、名刺、前回の資料など、正しいと分かっているものと一項目ずつ比べ、合っていたら印を付けます。記憶と比べないことが大切です。
- 04
確認者と観点を決めて頼む
確認する人には何と比べて、どこを見てほしいか、いつまでに必要かを伝え、元の資料も一緒に渡します。
- 05
確認者は資料だけで見る
作った人の説明を先に聞くと同じ思い込みをしやすいので、まず資料だけで確かめ、気になる所に印を付けます。
- 06
誤りを直し、直した所をもう一度見る
直した箇所と、その前後や合計など直したことで変わる所まで確かめます。
- 07
確認した印を残す
確認者の名前と日付を残しておくと、後で誰がどこまで見たかが分かります。記録の残し方は会社の決まりに従ってください。
確かめ方の種類と向いている作業
| やり方 | 進め方 | 向いている作業 |
|---|---|---|
| 突き合わせ | 元の資料と完成品を並べ、一項目ずつ印を付けながら比べる | 請求書・見積書・発注書、名簿、データの入力 |
| 読み合わせ | 一人が元の資料を読み上げ、もう一人が完成品を目で追って確かめる | 文書の校正、名簿、数字の多い表 |
| 二人で順番に確かめる | 作った人が確かめた後、別の人が同じ項目を確かめる | ほとんどの書類。いちばん基本の形 |
| 二人が別々に作って比べる | 同じ元の資料から二人がそれぞれ作り、結果が一致するかを比べる | 集計、計算、データの入力など答えが一つに決まる作業 |
| 逆向きに確かめる | 元の資料→完成品の順で見た後、完成品→元の資料の順でも見る | 入れ忘れと余分な記載の両方が心配な一覧・明細 |
| 指差しと声に出しての確認 | 確かめる所を指で差し、「宛先、◯◯社、よし」と声に出す | メールの送信前、発送前の宛名、操作の手順 |
| 時間を置いた見直し | 作った後に別の作業を挟み、改めて見る | 企画書、報告書、社外への文書 |
| 見方を変えた見直し | 印刷して見る、文字を大きくする、末尾から読む | 長い文書、誤字の見落とし |
| クロスチェック | 立場や知識の違う人が、それぞれの観点で確かめる | 契約や金額、専門的な内容を含む文書 |
Point
二人で確かめると、どちらも確認が浅くなることがあります。「相手が見てくれる」と思うと、一人で確かめるときより確認が甘くなりがちです。二人とも、自分が最後の確認者のつもりで見ます。
一人目と二人目で見る観点を分ける
二人が同じ所を同じ見方で見ると、同じ所で見落とします。観点を分けて頼むと、見落としが重なりにくくなります。
| 書類 | 一人目(作った人)の観点 | 二人目(確認者)の観点 |
|---|---|---|
| 請求書 | 元の注文書と一項目ずつ合っているか | 合計が明細の合計と合うか、宛先と振込先が正しいか |
| 社外への文書 | 誤字、名前の字、日付と曜日 | 内容が相手の依頼に合っているか、言い回しが失礼でないか |
| 集計表 | 元データの件数と入力件数が合うか | 合計・平均などの計算が合うか、極端な値がないか |
| 案内メール | 日時・場所・持ち物が予定表と合うか | 初めて読む人が迷わないか、問い合わせ先があるか |
書類別:そのまま使えるチェック項目
請求書・見積書
- 宛先の会社名・部署名・担当者名が、名刺や注文書と同じ字になっている
- 品名・数量・単価が、注文書や見積書と一項目ずつ合っている
- 明細を足した額と合計金額が合っている
- 税の扱い(税込か税抜か)が取り決めどおりになっている
- 発行日・支払期日・振込先が正しい
社外へのメール送信前
- 宛先・CC・BCCの入れ先が正しく、送ってはいけない人が入っていない
- 相手の会社名・名前の字が正しい
- 添付ファイルが正しい版で、開けることを確かめた
- 日付と曜日が合っている
- 本文で触れた添付やリンクが、実際に付いている
名簿・データの入力
- 元の資料の件数と、入力した件数が合っている
- 名前の字・ふりがなが元の資料と同じ
- 電話番号やメールアドレスを一字ずつ確かめた
- 同じ人が二重に入っていない
発送・郵送
- 宛名と中身の組み合わせが合っている
- 同封するものがすべて入っている
- 送り方(普通・速達など)と送る日が予定どおり
注意
項目は作業に合わせて足し引きしてください。毎回使う項目は、チェックリストにしておくと確認の質がそろいます。
読み合わせで聞き違いを防ぐ読み方
読み合わせは、読み方を先にそろえておくと聞き違いが減ります。
| 読むもの | 読み方の工夫 |
|---|---|
| 数字 | 一桁ずつ区切って読む。桁の多い金額は「◯万◯千」と位も添える |
| 同じ音の漢字 | 「木へんの◯◯」「◯◯の◯」と字を説明する |
| 英字 | 一字ずつ読み、分かりにくい字は単語を添える |
| 記号・空白 | 「ハイフン」「スペース」と声に出す |
| 読み終わり | 一行ごと、一項目ごとに「よし」と返して区切る |
そのまま使える言い方の見本
同僚に確認をお願いする(口頭)
◯◯さん、今お時間よろしいですか。
◯◯社への見積書のダブルチェックをお願いしたいです。
注文書と比べて、品名・数量・金額が合っているかを見ていただけますか。
私のほうでは一度確認済みです。◯時までに出したいので、それまでにお願いできると助かります。
チャットで確認をお願いする
◯◯さん、お疲れさまです。
◯◯社向け請求書のダブルチェックをお願いできますか。
・比べるもの:注文書(添付)
・見てほしい所:品名、数量、合計金額、振込先
・期限:本日◯時
私のほうでは一度確認済みです。よろしくお願いします。
上司に確認をお願いする
◯◯課長
お疲れさまです。◯◯です。
◯◯社へお送りする契約内容の確認書を作成しました。
送付前に、金額と納期の記載をご確認いただけますでしょうか。
元の見積書を一緒にお送りします。◯日の◯時に先方へ送る予定です。
観点を分けてお願いする
◯◯さん、報告書の確認をお願いできますか。
誤字と数字は私のほうで元の資料と突き合わせました。
◯◯さんには、結論と理由のつながりが分かりにくい所がないかを見ていただきたいです。
読み合わせをお願いする
◯◯さん、名簿の読み合わせを手伝っていただけますか。
私が元の申込書を読み上げますので、名簿のほうを目で追って、違うところがあれば止めてください。
確認した結果、問題がなかったと伝える
見積書、注文書と比べて確認しました。品名・数量・金額とも合っていました。
注意
「大丈夫です」だけでなく、何と比べて、どこを見たかを伝えると、頼んだ人が安心して次に進めます。
一部だけ確認できたと伝える
宛名と金額は、注文書と比べて確認しました。本文はまだ確認できていないので、◯時までに見てお戻しします。
誤りを見つけて伝える
◯◯さん、確認しました。二か所気になるところがありました。
・◯ページの品名が、注文書では「◯◯」になっています。
・合計金額が、明細を足した額と合わないようです。
ご確認をお願いします。
誤りを伝えるときは、どこが、何と比べてどう違うかを具体的に書きます。「間違っています」だけだと、相手はまた全部を見直すことになります。
確認をお願いされたが、すぐには見られない
承知しました。今◯◯の作業中のため、◯時からでもよろしいですか。お急ぎでしたら、◯◯さんにお願いしていただくほうが早いかもしれません。
直した後、もう一度見てもらう
ご指摘いただいた二か所を直しました。直した所と合計金額だけ、もう一度見ていただけますか。
ダブルチェックでも見落とす原因と対策
| よくある失敗 | 原因 | 対策 |
|---|---|---|
| 二人で見たのに誤りが残った | お互いに相手が見ると思っていた | それぞれが一人で確かめるつもりで見る |
| 確認者が作った人と同じ所で見落とす | 先に説明を聞いて同じ思い込みをした | 確認者はまず資料だけで見る。観点を分けて頼む |
| 記憶と比べて「合っている」と思った | 元の資料を手元に置いていない | 正しいと分かっている資料と一項目ずつ比べる |
| 急いで見て見落とした | 確認の時間を取っていなかった | 確認の時間を予定に入れ、期限に余裕を持って頼む |
| いつもの作業で見落とした | 慣れて「いつもと同じ」と思い込んだ | 毎回チェックリストに印を付けながら見る |
| 夕方や長時間の作業の後に見落とした | 集中が切れていた | 大事な確認は区切りのよい所で、間を置いてから行う |
| 直した所の周りで新しい誤りが出た | 直した後に見直していない | 直した箇所と、その前後や合計をもう一度見る |
| 確認が形だけになっている | どこを見るかが決まっていない | 確かめる項目を決め、頼むときに伝える |
| 確認する人を増やしたのに誤りが減らない | 人が増えて一人ひとりの責任がぼやけた | 人数を増やすより、誰がどこを見るかを決める |
確認の手間を減らす工夫(やりすぎを防ぐ)
すべての作業を二人で見ると、時間がかかって確認そのものが雑になりがちです。間違えると困る所に絞り、人が見なくてよい所は仕組みに任せます。
- 確認の対象を絞る:金額・宛先・日付など、誤ると取り返しがつかない所を二人で見て、それ以外は作った人の見直しにする
- 表計算で計算させる:合計は手で打たずに計算式で出し、元データとの件数の差を式で確かめる
- 入力の形を決める:日付や番号の書き方をそろえ、選ぶだけで入力できるようにする
- ひな形を使う:毎回同じ書類は、決まった形のひな形から作る
- 校正の機能を使う:文書作成ソフトの校正機能などで誤字や表記の揺れを先に拾う
- 確認の記録が残る仕組みを使う:申請や承認を記録できる仕組みがあれば、誰がいつ確かめたかが残る(使えるものは会社の決まりに従う)
注意
道具で拾えるのは形の誤りが中心です。内容が相手の依頼に合っているか、金額の根拠が正しいかは、人が確かめます。
言ってはいけない・避けたい言い方
| 避けたい言い方 | 理由 | こう言う |
|---|---|---|
| 一応見ておいてください | どこを何と比べればよいか分からない | 注文書と比べて、金額と数量を見ていただけますか |
| たぶん大丈夫だと思います | 確認したのかどうかが伝わらない | 見積書と比べて、金額と品名を確認しました |
| ざっと見ました | 確認の範囲が分からない | 宛名と金額は確認しました。本文はまだ見ていません |
| ◯◯さんが確認したので間違いないはずです | 自分の確認を省き、人のせいにも聞こえる | ◯◯さんと私の二人で、注文書と突き合わせて確認しました |
確認した結果を伝えるときは、見た範囲と見ていない範囲をはっきり分けます。
後日のフォロー(お礼・お詫び)
確認してくれた人へのお礼
◯◯さん
お疲れさまです。◯◯です。
先ほどは見積書の確認をありがとうございました。
ご指摘いただいた品名を直して、◯◯社にお送りしました。
確認したのに誤りが出てしまったときのお詫び(社外)
◯◯様
お世話になっております。株式会社△△の◯◯です。
先日お送りした請求書に、金額の誤りがございました。
確認が行き届いておらず、大変申し訳ございません。
正しい請求書を本日お送りいたしますので、先にお送りしたものは破棄していただけますでしょうか。
出す前の最終チェックリスト
- 作った人が、元の資料と一項目ずつ突き合わせた
- 確認者に、何と比べてどこを見てほしいかを伝えた
- 確認者は、説明を聞く前に資料だけで見た
- 見つかった誤りを直し、直した所と合計をもう一度見た
- 見た範囲と見ていない範囲を、頼んだ人に伝えた
- 確認した人の名前と日付を残した
この記事の要点
- まず作った人が自分で、元の資料と突き合わせて確かめる。
- 確認を頼むときは何と比べて、どこを見てほしいかを伝える。
- 確認者は説明を聞く前に資料だけで見て、二人で観点を分ける。
- 二人とも自分が最後の確認者のつもりで見る。人数を増やすより担当範囲を決める。
- 結果は見た範囲と見ていない範囲を分けて伝える。
FAQ
よくある質問
作った人がまず元の資料と突き合わせて確かめ、次に別の人が説明を聞く前に資料だけで確かめます。確認を頼むときは、何と比べて、どこを見てほしいかを伝えます。見つかった誤りは作った人が直し、直した箇所をもう一度見ます。
一人が元の資料を読み上げ、もう一人が完成した資料を目で追いながら、違うところがないかを確かめる方法です。名簿や数字の多い表、文書の校正に向いています。数字は一桁ずつ区切って読むなど、聞き違いが起きない読み方をそろえておきます。
ダブルチェックは同じ作業の結果を二度確かめること、クロスチェックは立場や知識の違う人がそれぞれの観点で確かめることを指して使われます。社内で言葉の使い方が決まっている場合は、それに合わせてください。
二人とも「相手が見てくれる」と思って確認が浅くなる、確認者が作った人の説明を聞いて同じ思い込みをする、記憶と比べてしまう、急いで見る、といったことが原因になりやすいです。確かめる項目と観点を決め、元の資料と一項目ずつ比べるようにします。
人数を増やしても、一人ひとりが「ほかの人も見る」と思えば確認は浅くなります。人数より、誰が何と比べてどこを見るかを決めることが大切です。何人で確かめるかは、会社や部署の決まりに従ってください。
時間を置いてから見直す、印刷して見る、末尾から読む、逆向きに突き合わせる、指で差して声に出す、など見方を変えて二回確かめます。金額や宛先など間違えると困るものは、上司や同僚に短時間だけでも見てもらえないか相談します。
誤ると困る所に絞って二人で見る、合計は計算式で出す、ひな形を使うなど、人が見なくてよい所を減らします。確認の時間をあらかじめ予定に入れておくと、急いで見て見落とすことも減ります。
作った人とは別の、その作業の内容が分かる人に頼むのが基本です。確認者が決まっている作業もあるので、会社や部署の決まりに従ってください。決まりがない場合は、上司に誰に頼めばよいかを確かめます。