敬語
「お疲れ様」と「ご苦労様」の違い
目上にはどっち?相手別の早見表と例文
結論から言うと、上司・先輩・取引先には「お疲れ様です」「お疲れ様でございました」を使い、「ご苦労様」は避けます。文化審議会の答申「敬語の指針」は、「御苦労様」を自分側のために仕事をしてくれた人へのねぎらいと説明し、目上の人には用いない方が良いとしています。一方で「お疲れ様」は、一緒に働いた人どうしで声を掛け合う言葉で、丁寧な形にすればだれに対しても使えるとされています。ただし、仕事を教えてもらった・助けてもらったときは、ねぎらいより「ありがとうございました」のほうが気持ちが伝わります。このページでは、相手別の早見表、言い換え、そのまま使える例文を場面ごとにまとめました。
結論
「お疲れ様」は働いたあとの相手の疲れをいたわる言葉で、一緒に働いた人どうしが掛け合うあいさつとしても使われます。「ご苦労様」は自分側のためにしてくれた仕事をねぎらう言葉で、仕事を頼んだ側・受けた側の関係で使われやすい言い方です。
30秒でわかる結論:迷ったらこの3つ
| 状況 | 使う言葉 | 理由 |
|---|---|---|
| 一緒に働いた上司・先輩・取引先 | お疲れ様です/お疲れ様でございました | 丁寧な形なら、だれに対しても使える言葉とされている |
| 教えてもらった・手伝ってもらった | ありがとうございました(大変助かりました) | 相手は自分のために動いてくれた人。ねぎらいより感謝が合う |
| 自分のために作業をしてくれた人(配達・部下への依頼など) | ありがとうございます/(部下へ)ご苦労様でした | 「ご苦労様」はこの関係で使う言葉。目上には使わない |
Point
「ご苦労様」を目上に使わない。迷ったら「お疲れ様です」、助けてもらったら「ありがとうございました」。この2つで、ほとんどの場面は失礼になりません。
意味の違い:何をねぎらう言葉か
| お疲れ様 | ご苦労様 | |
|---|---|---|
| ねぎらう対象 | 働いたあとの相手の疲れ | 自分側のためにしてくれた仕事 |
| よく使う関係 | 一緒に働いた人どうし(上下を問わない) | 仕事を頼んだ側から、してくれた側へ |
| 目上の人へ | 使える(「お疲れ様でございました」ならより丁寧) | 用いない方が良いとされる |
| 仕事以外の場面 | 遊びや移動のあとにも使える | あまり使わない |
| 社外メールの書き出し | 合わない(「お世話になっております」) | 合わない |
「お疲れ様」は、相手が疲れているだろうことをいたわる言葉です。だから、仕事のあとだけでなく、長時間の移動や行事のあとにも使えます。社内では「お疲れ様です」がメールやチャットの書き出しのあいさつとしても定着しています。
「ご苦労様」は、相手が自分側のためにしてくれた仕事をねぎらう言葉です。自分のために動いてもらった側が言う形になるため、上司や取引先に向けると、相手を「自分のために働いた人」として扱うように聞こえることがあります。
根拠:「敬語の指針」と文化庁の世論調査
文化審議会の答申「敬語の指針」(平成19年2月2日)は、時間外に仕事を教えてくれた上司に「御苦労様でした」と言ってしまった、という相談を取り上げています。示されている考え方は次のとおりです。
- 「御苦労様」は、自分側のために仕事をしてくれた人(例:配達をしてくれた店員)へのねぎらい。この場面で「お疲れ様」と言うのは不自然とされる。
- ねぎらいは上位者から下位者に向けたものになるため、目上の人には「御苦労様(でした)」を用いない方が良い。
- 「お疲れ様」は、一緒に仕事をしたあとにお互いに声を掛け合う場面でも多く使われ、「お疲れ様でございました」のような丁寧な言い方なら上司にも使える。
- 仕事を教えてくれた上司には、ねぎらいではなく「ありがとうございました」と感謝を伝える方が良い。
実際にどう言っているかは、文化庁の平成17年度「国語に関する世論調査」が、会社で一緒に仕事をした人に仕事が終わったときに掛ける言葉を尋ねています。
| 相手 | お疲れ様(でした) | 御苦労様(でした) | ありがとう(ございました) |
|---|---|---|---|
| 自分より職階が上の人 | 69.2% | 15.1% | 11.0% |
| 自分より職階が下の人 | 53.4% | 36.1% | 5.0% |
相手・場面別の早見表
| 相手・場面 | おすすめ | 避けたい言い方 |
|---|---|---|
| 退勤する上司・先輩へ | お疲れ様でした/お疲れ様でございました | ご苦労様でした |
| 先に帰る自分から | お先に失礼します | ご苦労様です |
| 同僚へ | お疲れ様です | ご苦労様(上から目線に聞こえやすい) |
| 部下・後輩へ | お疲れ様/ありがとう/ご苦労様でした | - |
| 仕事を教えてくれた上司へ | ありがとうございました。大変助かりました | ご苦労様でした |
| 研修の講師・講演者へ | ありがとうございました。大変勉強になりました | ご苦労様でした(「お疲れ様でした」だけで終えるのも物足りない) |
| 一緒にイベントを終えた協力会社へ | お疲れ様でございました+お礼 | ご苦労様でした |
| 社外メールの書き出し | お世話になっております | お疲れ様です |
| 配達・修理に来た人へ | ありがとうございます | お疲れ様です(自分のための作業には不自然とされる) |
| 出張・長旅から戻った人へ | 出張お疲れ様でした | - |
| 朝いちばん | おはようございます | お疲れ様です(違和感を持つ人もいる) |
| 定年退職・異動する上司へ | 長い間お世話になりました。ありがとうございました | ご苦労様でした(受け取り方は人による) |
ねぎらいの言い換え(丁寧さの段階つき)
| 言い方 | 丁寧さ | 使いやすい場面 |
|---|---|---|
| 大変お世話になりました。心より御礼申し上げます | 最も改まった言い方 | 取引先・役員へのお礼 |
| お疲れ様でございました | 改まった言い方 | 上司・社外の人へのねぎらい |
| お疲れ様でした | 丁寧 | 上司・同僚へのねぎらい、仕事の終わり |
| お疲れ様です | 丁寧 | 社内メール・チャットの書き出し、社内のあいさつ |
| ありがとうございました。おかげで助かりました | 丁寧 | 教えてもらった・手伝ってもらったとき |
| ご苦労様でした | 丁寧(上から下へ) | 上司から部下へ、依頼した作業へのねぎらい |
| お疲れ | くだけた言い方 | 親しい同僚・後輩 |
目上の人をねぎらいたいときは、相手のしてくれたことを具体的に書くと、定型のあいさつより気持ちが伝わります。たとえば「おかげで、◯◯の進め方がわかるようになりました」のように、自分がどう助かったかを添えます。気遣いの言葉の選び方は「お心遣い」「お気遣い」の違いも参考にしてください。
そのまま使える一言(口頭・チャット)
| 場面 | 上司・先輩へ | 同僚・部下へ |
|---|---|---|
| 退勤時 | お疲れ様でした。お先に失礼します | お疲れ様。また明日 |
| 会議のあと | お疲れ様でした。資料は本日中にまとめてお送りします | お疲れ様。議事録をお願いできる? |
| 残業を一緒にしたあと | 遅くまでお疲れ様でございました | 遅くまでありがとう。気をつけて帰ってね |
| 出張から戻ったとき | 出張お疲れ様でした。不在中の件をまとめておきました | 出張お疲れ様。移動大変だったね |
| 手伝ってもらったあと | ありがとうございました。おかげで間に合いました | 助かったよ、ありがとう |
| イベント終了直後 | お疲れ様でした。無事に終えられたのは◯◯さんのおかげです | みんなお疲れ様。片付けまでよろしく |
| チャットの書き出し | お疲れ様です。□□です。◯◯の件でご相談です | お疲れ様です。◯◯の件、確認お願いします |
場面別のメール例文
上司への報告メールの書き出し(社内)
件名:◯◯の進捗のご報告
◯◯部長
お疲れ様です。□□です。
◯◯の進捗についてご報告します。
予定していた作業は、◯月◯日(◯)までにすべて終える見込みです。
詳しくは添付の資料をご確認ください。
仕事を教えてくれた上司へのお礼(社内)
件名:昨日のご指導のお礼
◯◯課長
お疲れ様です。□□です。
昨日は業務時間外にもかかわらず、◯◯の集計方法を教えていただき、ありがとうございました。
おかげで、本日の資料は一人で仕上げることができました。
引き続きよろしくお願いいたします。
出張から戻った上司へ(社内チャット)
◯◯部長
出張お疲れ様でした。
不在中にいただいた◯◯社からの電話の件、メモを机に置いております。お手すきのときにご確認ください。
部下・後輩をねぎらう(社内)
件名:◯◯の資料作成ありがとう
◯◯さん
お疲れ様です。□□です。
急ぎの資料作成、ご苦労様でした。
図の見せ方がわかりやすく、先方からも好評でした。引き続きよろしくお願いします。
研修の講師へのお礼(社外)
件名:◯月◯日の研修のお礼
◯◯株式会社
◯◯様
お世話になっております。株式会社△△の□□です。
本日は、長時間にわたりご登壇いただき、ありがとうございました。
特に◯◯の事例は、参加者から「すぐに使える」という声が多く上がっていました。
取り急ぎ、御礼申し上げます。
イベント後、協力会社にお礼を伝える(社外)
件名:◯◯イベント終了のお礼
◯◯株式会社
◯◯様
いつもお世話になっております。株式会社△△の□□です。
昨日の◯◯イベントでは、早朝の設営から夜の撤収まで、本当にお疲れ様でございました。
スタッフの皆さまに丁寧にご対応いただき、無事に終えることができました。
心より御礼申し上げます。
イベント後、社内のスタッフ全員に送る
件名:◯◯イベントお疲れ様でした
スタッフの皆さん
お疲れ様です。□□です。
昨日の◯◯イベント、皆さん本当にお疲れ様でした。
受付の混雑にもすぐに対応してもらい、来場者の方から「案内がわかりやすかった」という声もいただきました。
振り返りの会を◯月◯日(◯)に予定していますので、気づいたことをメモしておいてください。
異動・退職する上司へ(社内)
件名:これまでのお礼
◯◯部長
お疲れ様です。□□です。
このたびのご異動にあたり、これまでのお礼をお伝えしたくご連絡しました。
◯◯の案件では、何度も相談に乗っていただき、本当にありがとうございました。
新しい部署でのご活躍をお祈りしております。
注意
退職のあいさつ全体は退職の挨拶の例文、仕事納めのあいさつは仕事納めの挨拶の例文、幹事をしてくれた人へのお礼は幹事へのお礼の例文にまとめています。
よくある間違いと直し方
| 書きがちな言い方 | 気になる点 | 直し方 |
|---|---|---|
| 部長、ご苦労様です | 目上の人には用いない方が良いとされる言葉 | 部長、お疲れ様です |
| (教えてくれた先輩に)ご苦労様でした | 自分のために動いてくれた人には、ねぎらいより感謝が合う | ありがとうございました。助かりました |
| (講師に)お疲れ様でした(だけ) | お礼がないと、気持ちが伝わりにくい | ありがとうございました。大変勉強になりました |
| (初めての取引先へのメールで)お疲れ様です | 社外の人への書き出しとしては、違和感を持たれやすい | お世話になっております/はじめてご連絡いたします |
| (朝の出社時に)お疲れ様です | まだ働いていない時間のあいさつとして、合わないと感じる人もいる | おはようございます |
| お疲れ様です(名乗りなし) | 社内メールでも、だれからの連絡かがすぐ分からない | お疲れ様です。□□です。 |
| (取引先の担当者に)ご苦労様でした | 相手を自分のために働いた人として扱うように聞こえる | ありがとうございました/お疲れ様でございました |
表記は「お疲れ様」「お疲れさま」、「ご苦労様」「ご苦労さま」のどちらも見かけます。社内のテンプレートではどちらかにそろえておくと読みやすくなります。
送る前のチェックリスト
- 相手は目上(上司・先輩・取引先・講師)か。目上なら「ご苦労様」を使っていない
- 相手は自分のために動いてくれた人か。そうなら「ありがとうございました」を入れた
- 社外の人へのメールの書き出しは「お世話になっております」にした
- 社内メール・チャットでも「お疲れ様です。□□です。」と名乗った
- 朝のあいさつに「お疲れ様です」を使っていない
- ねぎらいの言葉に、相手のしてくれたことを具体的に一言添えた
「お疲れ様です」「ご苦労様」と言われたときの返事
「お疲れ様です」と声をかけられたら、「お疲れ様です」と同じ言葉で返すのが自然です。先に帰るときは「お先に失礼します」と言い、残る側が「お疲れ様でした」と返します。
上司から「ご苦労様」とねぎらわれたときは、「ありがとうございます」と受けるのがいちばん素直な返し方です。部下や後輩が上司に「ご苦労様です」と言ってしまったのを聞いたときは、その場で指摘するより、あとで「上の人には『お疲れ様です』が安心だよ」と伝えるほうが角が立ちません。
◯◯部長
ありがとうございます。◯◯社への資料は、明日の午前中にお送りする予定です。
この記事の要点
- 目上の人には「お疲れ様です」「お疲れ様でございました」。
- 「ご苦労様」は自分のために仕事をしてくれた人へのねぎらいで、目上には用いない方が良いとされる(敬語の指針)。
- 教えてもらった・助けてもらったときは「ありがとうございました」。
- 社外メールの書き出しは「お世話になっております」。
- 社内メールでも「お疲れ様です。□□です。」と名乗りを添える。
FAQ
よくある質問
「お疲れ様」は働いたあとの相手の疲れをいたわる言葉で、一緒に働いた人どうしで上下を問わず使われます。「ご苦労様」は自分側のために仕事をしてくれた人へのねぎらいで、目上の人には用いない方が良いとされています。
文化審議会の「敬語の指針」は、ねぎらいは上位者から下位者に向けたものになるため、目上の人には「御苦労様(でした)」を用いない方が良いとしています。上司には「お疲れ様です」「お疲れ様でございました」を使いましょう。
「敬語の指針」は、「お疲れ様でございました」のような丁寧な言い方なら、仕事上の上司にも使えるとしています。社内のあいさつとしての「お疲れ様です」も広く使われています。
メールの書き出しには「お世話になっております」を使うのが基本です。一緒にイベントや作業を終えたあとに、本文の中で「お疲れ様でございました」とねぎらうのは自然です。
ねぎらいより感謝を伝えます。「ありがとうございました。大変勉強になりました」のように、どう役に立ったかを添えると気持ちが伝わります。
「敬語の指針」は、配達をしてくれた店員のような相手へのねぎらいとして「御苦労様」を挙げ、この場面での「お疲れ様」は不自然としています。迷うなら「ありがとうございます」が最も無難です。
そう言う場面を見かけることもありますが、相手が目上である以上、気にする人もいます。「長い間お世話になりました。本当にありがとうございました」とお礼にしておくと確実です。
「お疲れ様です」をより改まって言う形です。「敬語の指針」でも「お疲れ様でございました」が丁寧な言い方として挙げられています。毎回の社内メールの書き出しなら「お疲れ様です」で十分です。