言葉の使い分け
「ください」と「下さい」の違い
使い分け早見表30と場面別の例文
即答:メールや文書の「ご確認ください」「お待ちください」「送ってください」はひらがなで書きます。漢字の「下さい」を使うのは、「資料を下さい」「お時間を下さい」のように物や時間そのものをもらいたいときだけです。見分け方は一つ、「ください」の前に確認・連絡・待つなどの動作があればひらがな。この書き分けは、内閣訓令「公用文における漢字使用等について」と文化審議会の建議「公用文作成の考え方」に示されています。このページでは、根拠、3ステップの見分け方、よく使う言い回し30の早見表、そのまま使える場面別の例文、やわらかい言い換え、よくある失敗をまとめました。敬語としての「くださいませ」の使い方は「くださいませ」の意味と使い方にあります。
結論
「ください」は、「くれる」の尊敬語「くださる」の命令の形で、相手に何かを頼むときに使います。常用漢字表では「下」の訓に「くださる」(例:下さる)が挙がっているので、「下さい」は認められた書き方です。ただし公用文の目安では、「〜てくださる」のように補助的に使うときは仮名、「贈物を下さる」のように実際に物をくれるときは漢字と書き分けます。
結論:前に動作があるかどうかで決まる
| 使い方 | 書き方 | 例 |
|---|---|---|
| 「お(ご)〜」に続けて動作を頼む | ひらがな | ご確認ください/お待ちください/お越しください |
| 「〜て」「〜で」に続けて動作を頼む | ひらがな | 送ってください/読んでください/教えてください |
| 物・時間・返事そのものをもらいたいと頼む | 漢字(ひらがなでも意味は通じる) | 資料を下さい/お時間を下さい/お返事を下さい |
注意
ビジネスメールで使う「ください」は、ほとんどが上の2行(動作に添える使い方)です。動作に添える使い方なら、ひらがなで書けば公用文の目安どおりです。社内に表記ルールがある場合は、そちらを優先してください。
根拠:公用文の目安と常用漢字表
| 資料 | 書かれていること | この記事での使い方 |
|---|---|---|
| 常用漢字表(平成22年内閣告示第2号) | 「下」の訓に「くださる」があり、例として「下さる」が挙がっている | 「下さい」と漢字で書くこと自体は認められている |
| 公用文における漢字使用等について(平成22年内閣訓令第1号) | 原則として仮名で書く語句の例に「・・・てください(問題点を話してください。)」がある | 「〜てください」はひらがな |
| 公用文作成の考え方(文化審議会建議) | 補助的な用法の例に「~(し)て下さる→てくださる」。実際の動作を表す場合は「…贈物を下さる」のように漢字を用いる | 動作に添えるときは仮名、物をくれるときは漢字 |
Point
どれも国の機関が作る文書(公用文)のための目安で、民間のメールに従う義務があるわけではありません。ビジネス文書で表記の拠り所に迷ったときは、この書き分けに合わせておくと説明がつきます。
3ステップで見分ける
- 01
「ください」の前を見る
「ご確認」「お待ち」「送って」「お気をつけ」のように動作を表す言葉がくっついていれば、頼みの意味を添えているだけです。ひらがなで書きます。
- 02
「を」でつながっているか見る
「資料を」「お時間を」「お返事を」のように、物や時間を表す言葉が「を」でつながっていれば、それそのものをもらいたいという意味です。漢字の「下さい」が使えます。
- 03
一通の中でそろっているか見る
漢字とひらがなが混ざって見えるのが気になる場合や、どちらか判断に迷う場合は、ひらがなにそろえます。意味が変わることはありません。
注意
「ご連絡ください」と「ご連絡を下さい」のように、同じ言葉でも「を」の有無で使い方が変わります。「を」を入れずに動作として頼むならひらがな、と覚えると迷いません。
よく使う言い回し30の早見表
| 言い回し | 書き方 | 理由 |
|---|---|---|
| ご確認ください | ひらがな | 確認という動作に添える |
| ご査収ください | ひらがな | 受け取って確かめる動作に添える |
| ご検討ください | ひらがな | 検討という動作に添える |
| ご連絡ください | ひらがな | 連絡という動作に添える |
| ご返信ください | ひらがな | 返信という動作に添える |
| ご記入ください | ひらがな | 記入という動作に添える |
| ご提出ください | ひらがな | 提出という動作に添える |
| ご参照ください | ひらがな | 参照という動作に添える |
| ご了承ください | ひらがな | 了承という動作に添える |
| ご容赦ください | ひらがな | 容赦という動作に添える |
| ご注意ください | ひらがな | 注意という動作に添える |
| ご安心ください | ひらがな | 安心するという状態に添える |
| ご覧ください | ひらがな | 見るの尊敬語に添える |
| お待ちください | ひらがな | 待つという動作に添える |
| お越しください | ひらがな | 来るの尊敬語に添える |
| お申し込みください | ひらがな | 申し込むという動作に添える |
| お問い合わせください | ひらがな | 問い合わせるという動作に添える |
| お知らせください | ひらがな | 知らせるという動作に添える |
| お気をつけください | ひらがな | 気をつけるという動作に添える |
| お休みください | ひらがな | 休むという動作に添える |
| 送ってください | ひらがな | 「〜て」に続く(内閣訓令の例と同じ形) |
| 教えてください | ひらがな | 「〜て」に続く |
| 読んでください | ひらがな | 「〜で」に続く |
| 入れないでください | ひらがな | 「〜ないで」に続く |
| お待ちくださいませ | ひらがな | 「ください」に「ませ」を添えた形 |
| ご来場くださり、ありがとうございます | ひらがな | 来場という動作に添える「くださる」 |
| 資料を下さい | 漢字 | 資料そのものをもらう |
| お時間を下さい | 漢字 | 時間そのものをもらう |
| お返事を下さい | 漢字 | 返事そのものをもらう |
| お品を下さり、ありがとうございます | 漢字 | 品物そのものをくれる「下さる」 |
そのまま使える場面別の例文
取引先へのメール(動作を頼む・ひらがな)
- 企画書を添付いたしましたので、お手すきの際にご確認ください。
- 見積書をお送りいたします。ご査収ください。
- 手続きで分からないところがあれば、担当の◯◯までお問い合わせください。
- 日程の候補を三つお送りします。ご都合のよい日をお知らせください。
- 恐れ入りますが、◯月◯日(◯)までにご返信ください。
- 契約書は2部お送りしますので、1部をご返送ください。
- 料金の内訳は、添付資料の3ページをご参照ください。
- 納品が1日遅れる見込みです。何とぞご了承ください。
お客様・参加者への案内(ひらがな)
- 当日は◯階の受付までお越しください。
- 受付票を印刷して、当日お持ちください。
- お申し込みは◯月◯日までに、こちらのフォームからお願いします。定員になり次第締め切りますので、お早めにお申し込みください。
- 会場内は飲食ができません。ご注意ください。
- 担当者からご連絡しますので、今しばらくお待ちください。
- 冷え込む日が続きますので、どうぞ暖かくしてお過ごしください。
社内の依頼・連絡(ひらがな)
- 会議で使う数字を、本日中に共有フォルダへ入れておいてください。
- 間に合わない場合は、その旨を教えてください。
- 経費精算は月末までに提出してください。
- 修正した箇所は赤字にしてください。
- 外出の予定はカレンダーに入れておいてください。
注意書き・掲示文(ひらがな)
- 会議室をご利用の後は、机と椅子を元の位置に戻してください。
- このドアは開けたままにしないでください。
- 忘れ物にご注意ください。
- ゴミは分別して捨ててください。
物・時間・返事をもらいたいとき(漢字の「下さい」)
- 社内で確認いたしますので、回答まで三日ほどお時間を下さい。
- 来週の会議資料の控えを、一部下さい。
- ご都合のよいときに、お返事を下さい。
- (窓口で)こちらのパンフレットを二部下さい。
- 先日は結構なお品を下さり、ありがとうございました。
注意
取引先に「資料を下さい」と書くと、表記は正しくても頼み方が直接的に響くことがあります。社外には「資料をお送りいただけますでしょうか」のように尋ねる形にすると、やわらかく伝わります。依頼メール全体の組み立ては依頼メールの書き方と例文、「ご査収ください」は「ご査収ください」の意味と使い方、「ご検討ください」は「ご検討ください」の意味と使い方にまとめています。
「ください」のやわらかい言い換え
「ください」は丁寧な言い方ですが、頼む形がはっきりしている分、相手や内容によっては強く聞こえることがあります。目上の人や取引先には、次のように言い換えられます。
| 言い方 | 伝わり方 | 向いている場面 |
|---|---|---|
| ご確認ください。 | はっきり頼む | 案内文、社内、手順の説明 |
| ご確認をお願いいたします。 | お願いする形で少しやわらかい | 取引先へのふだんのメール |
| ご確認いただけますでしょうか。 | 相手に尋ねる形でやわらかい | 目上の人、手間をかける依頼 |
| ご確認いただけますと幸いです。 | 希望を伝える形で控えめ | 急がない依頼、初めての相手 |
| お手数ですが、ご確認のほどよろしくお願いいたします。 | 手間への気づかいを添える | 締め切りのある依頼、再度の依頼 |
注意
「いただく」の書き分けは「いただく」と「頂く」の違い、「幸いです」の使い方は「幸いです」の意味と使い方にあります。
同じ考え方で書き分ける言葉
「公用文作成の考え方」では、「ください」と同じく、補助的に使うときは仮名、実際の動作を表すときは漢字、という例がほかにも挙がっています。
| 補助的に使うとき(仮名) | 実際の動作を表すとき(漢字) |
|---|---|
| ご確認ください/話してくださる | 贈物を下さる |
| 送っていただく | 賞状を頂く |
| 増えていく | 街へ行く |
| 寒くなってくる | 東から来る |
| 試してみる | しっかり見る |
| 確認してほしい | 資格が欲しい |
| 帰ってもよい | 声が良い |
「いたします」も同じ考え方で書き分けられます。詳しくは「致します」と「いたします」の違いをご覧ください。
よくある失敗と直し方
| よくある書き方 | どこが気になるか | 直し方 |
|---|---|---|
| ご確認下さい | 動作に添える使い方なので、公用文の目安ではひらがな | ご確認ください |
| 送って下さい | 「〜て」に続く形は内閣訓令でも仮名書きの例 | 送ってください |
| お待ち下さいませ | 動作に添える使い方 | お待ちくださいませ |
| ご確認してください | 「ご〜する」は自分の動作をへりくだる形で、相手の動作に使うと敬語の誤り | ご確認ください |
| 拝見してください | 「拝見する」は自分が見るときの謙譲語 | ご覧ください |
| 一通の中で「ください」と「下さい」が混ざる | 書き分けに沿っていれば誤りではないが、揺れに見えることがある | ひらがなにそろえる |
| (取引先へ)資料を下さい | 表記は正しいが、頼み方が直接的に聞こえやすい | 資料をお送りいただけますでしょうか |
| パソコンの変換候補をそのまま使う | 「下さい」が先に出ると、動作に添える使い方でも漢字になりやすい | 送る前に「下さい」で検索して見直す |
送信前のチェックリスト
- 「ください」の前に動作(確認・連絡・待つ・送って など)があるものは、ひらがなにした
- 漢字の「下さい」は、「資料を」「お時間を」など物や時間をもらう使い方だけにした
- 一通の中で書き方がそろっている
- 「ご確認してください」「拝見してください」のような敬語の誤りがない
- 取引先や目上の人には、必要に応じて「〜いただけますでしょうか」に言い換えた
- 社内に表記ルールがある場合は、それに合わせた
この記事の要点
- 「ご確認ください」「お待ちください」「送ってください」のように動作に添えて頼むときはひらがな。
- 内閣訓令の例でも「・・・てください」は仮名書き。
- 「資料を下さい」「お時間を下さい」のように物や時間そのものをもらうときは漢字の「下さい」が使える。
- 見分けのコツは前に動作があるか、「を」でつながっているか。
- 迷ったらひらがなにそろえる。社内ルールがあればそちらを優先。
FAQ
よくある質問
誤字ではありませんが、確認という動作に添えて頼む使い方なので、公用文の目安に沿うなら「ご確認ください」とひらがなで書きます。内閣訓令「公用文における漢字使用等について」でも、「・・・てください」は原則として仮名で書く例に挙がっています。
「資料を一部下さい」「三日ほどお時間を下さい」のように、物や時間そのものをもらいたいと頼むときです。「公用文作成の考え方」でも、実際の動作を表す場合は「贈物を下さる」のように漢字を用いるとしています。
時間そのものをもらいたいという意味なので、漢字の「お時間を下さい」が書き分けに沿った形です。ただ、ひらがなで書いても意味は変わらないので、一通の中の表記をひらがなにそろえたい場合は「お時間をください」でもかまいません。
「ご連絡ください」は連絡という動作に添えて頼む形なのでひらがなです。「ご連絡を下さい」は連絡そのものをもらいたいという形ですが、ビジネスメールでは「ご連絡ください」のほうが自然です。迷ったらひらがなで書いてください。
はい。「お待ちくださいませ」「ご来場くださり」のように動作に添えるときはひらがな、「お品を下さり」のように物をくれるときは漢字です。「くださいませ」の敬語としての使い方は「くださいませ」の記事にまとめています。
丁寧な言い方なので失礼ではありません。ただ、頼む形がはっきりしている分、強く聞こえることもあります。取引先や目上の人には「ご確認いただけますでしょうか」のように尋ねる形にすると、よりやわらかく伝わります。
社内の表記ルールがあれば、それに合わせてください。ここで紹介しているのは公用文の目安に沿った書き分けです。
「ご〜する」は自分の動作をへりくだって言う形(謙譲語)なので、相手にしてほしい動作に使うと、相手を低めることになってしまいます。相手の動作を頼むときは「ご確認ください」「ご確認いただけますでしょうか」とします。