敬語
「ご尽力」の意味と使い方
自分に使うときの注意・言い換え・例文
「ご尽力(ごじんりょく)」は、相手が力を尽くして取り組んでくれたことを敬って言う言葉で、主にお礼に使います。取引先・上司・お客様など目上の相手にも使えます。迷ったら「このたびはご尽力いただき、誠にありがとうございました。」。自分のことは「ご」を付けず「尽力いたします」、お願いには「お力添えのほど」を選びます。このページでは、すぐ使える一文の例を場面ごとに並べ、類語・英語との違い、誤用、メールとスピーチの例文までまとめました。
結論
「尽力」はあることのために力を尽くすことです。相手の行為に「ご」を付けた「ご尽力」は、相手が骨を折ってくれたこと、その努力の大きさを敬って言う言い方です。メールでは「ご尽力いただき」「ご尽力を賜り」「ご尽力のおかげで」の形でお礼に使います。
結論:この3つを覚えれば迷わない
| したいこと | そのまま使える言い方 | ポイント |
|---|---|---|
| 相手にお礼を言う | ご尽力いただき、誠にありがとうございました | 何に力を尽くしてもらったかを前に一言添える |
| 自分の決意を言う | 微力ながら尽力いたします | 「ご」を付けない |
| 相手にお願いする | お力添えのほど、よろしくお願いいたします | 「ご尽力のほど」は強く聞こえることがある |
Point
「ご尽力」の「ご」は相手の行為に付けるもの。「ご尽力」はお礼、「尽力」は自分の決意やチームへのねぎらい、と分けると間違えません。
「ご尽力」の意味・読み方・成り立ち
読み方は「ごじんりょく」です。「尽力」は「力を尽くす」をそのまま漢字にした言葉で、持てる力を出し切って物事に取り組むことを表します。「ご尽力」と相手の行為として言うと、結果だけでなく、そこに至るまでの努力をたたえる響きになります。
そのため、ちょっとした手伝いよりも、時間や手間のかかった取り組みへのお礼に向いています。プロジェクトの完了、難しい交渉のまとまり、トラブルへの対応、長年の担当への感謝などが代表的な場面です。メールだけでなく、式典や送別会のあいさつなど口頭でも使えます。
| 形 | 誰の行為 | 使う場面 |
|---|---|---|
| ご尽力いただき/ご尽力くださり | 相手 | お礼(メール・手紙・あいさつ) |
| ご尽力を賜り | 相手 | 改まったお礼状・式典 |
| ◯◯様のご尽力により/のおかげで | 相手 | 結果の報告とお礼を一緒に伝える |
| 尽力いたします/尽力してまいります | 自分 | 抱負・決意・お詫びのあとの改善 |
| 皆さんの尽力 | 部下・チーム | 社内のねぎらい |
そのまま使える一文の例(場面別)
お礼(相手に使う)
- このたびは多大なご尽力をいただき、誠にありがとうございました。
- 短い準備期間の中、日程の調整にご尽力いただき、心より感謝申し上げます。
- ◯◯様のご尽力のおかげで、無事に初日を迎えることができました。
- 皆様のご尽力により、予定どおり工事を終えることができました。
- 急なお願いにもかかわらず、会場の手配にご尽力くださり、ありがとうございました。
- 長年にわたり弊社の担当としてご尽力いただき、厚く御礼申し上げます。
- 関係各所との調整にご尽力を賜りましたこと、深く感謝申し上げます。
- 本件の解決にご尽力いただいたことを、社内でも大変ありがたく受け止めております。
- ご多忙の中、取材先のご紹介にご尽力いただき、誠にありがとうございました。
- ◯◯の立ち上げにご尽力いただいた皆様に、改めて御礼申し上げます。
決意・報告(自分に使う)
- ◯◯の成功に向けて、微力ながら尽力いたします。
- ご期待に沿えるよう、担当一同、尽力してまいります。
- 再発防止に向けて、確認の手順を見直し、品質の向上に尽力いたします。
- 新しい部署でも、これまでの経験を生かして尽力する所存です。
- お客様に安心してご利用いただけるよう、引き続き尽力してまいります。
- 日程の変更に向けて手を尽くしましたが、力及ばず、ご希望に沿うことができませんでした。
- 関係部署と協議を重ねるなど尽力いたしましたが、今回は見送りとなりました。ご期待に沿えず申し訳ございません。
社内・目下へのねぎらい(「ご」なし)
- 皆さんの尽力のおかげで、締め切りに間に合いました。
- ◯◯さんが粘り強く尽力してくれたおかげで、先方の了承が得られました。
「お力添え」「ご支援」「ご協力」との違い
| 言葉 | 目を向けるところ | お礼 | お願い | 例 |
|---|---|---|---|---|
| ご尽力 | 相手が力を出し切った努力の大きさ | ◎ | △(強く聞こえることがある) | ご尽力いただき、ありがとうございました |
| お力添え | 相手がこちらを助けてくれたこと | ◎ | ◎ | お力添えのほど、よろしくお願いいたします |
| ご支援 | 人・物・お金などで継続的に支えてもらうこと | ◎ | ◯ | 日頃のご支援に感謝申し上げます |
| ご協力 | 同じ目的のために一緒に動いてもらうこと | ◯ | ◎ | アンケートへのご協力をお願いいたします |
| お骨折り | 手間をかけて苦労してもらったこと | ◎ | × | お骨折りいただき、恐縮です |
大勢に向けた案内(アンケート回答、会場での整列など)は相手が「力を尽くす」ほどの行為ではないので、「ご協力」が合います。資金や長期の後ろ盾には「ご支援」、一人の担当者が難しい調整をやり遂げてくれたときは「ご尽力」と使い分けると、言葉の重さが行為に釣り合います。お力添えの使い方は「お力添え」の意味と使い方で詳しく説明しています。
使える場面・使わないほうがよい場面
| 場面 | 使い方 | 例 |
|---|---|---|
| プロジェクト・イベントが終わったお礼 | 使える | ご尽力いただき、ありがとうございました |
| トラブル・急な対応へのお礼 | 使える | 迅速なご対応とご尽力に感謝申し上げます |
| 退任・異動する担当者へのお礼 | 使える | 長年にわたるご尽力に感謝申し上げます |
| 式典・送別会のあいさつ | 使える | ◯◯様のご尽力なくして今日はありませんでした |
| 自分の決意・抱負 | 「ご」を付けない | 微力ながら尽力いたします |
| 部下・チームへのねぎらい | 「ご」を付けなくてよい | 皆さんの尽力のおかげです |
| ちょっとした手伝いへのお礼 | 大げさになる | ありがとうございました/助かりました |
| 新しいお願い | 強く聞こえることがある | お力添えのほど |
| 大勢への協力依頼 | 合わない | ご協力をお願いいたします |
言い換え一覧(丁寧さの段階つき)
| 言い方 | 丁寧さ | 使いやすい場面 |
|---|---|---|
| 多大なるご尽力を賜り、厚く御礼申し上げます | 最も改まった言い方 | 正式なお礼状、式典のあいさつ |
| ご尽力を賜り、心より感謝申し上げます | 最も改まった言い方 | 役員・大切なお客様へのお礼 |
| ご尽力いただき、誠にありがとうございました | 改まった言い方 | 取引先・上司へのお礼 |
| ◯◯様のご尽力のおかげで | 改まった言い方 | 結果の報告とお礼を一緒に伝える |
| お骨折りいただき、ありがとうございました | 丁寧(やわらかい) | 手間をかけてもらったことへのお礼 |
| ご対応いただき、ありがとうございました | 丁寧 | 対応の大きさがそれほどでもないとき |
| 頑張ってくれてありがとう | 標準 | 社内の同僚・部下 |
「ご尽力」は重みのある言葉なので、何に力を尽くしてもらったのかを具体的に書くと、定型文ではないお礼になります。「多大なる」「格別の」を重ねすぎると大げさに聞こえるので、修飾は一つにとどめます。
「ご尽力」の英語表現
英語には「ご尽力」と一語で対応する言い方はなく、努力そのものをたたえるか、支えてもらったことに礼を言うかで言葉を選びます。
| 英語 | 近い意味 | 例文 | 訳 |
|---|---|---|---|
| efforts | 尽力・骨折り | Thank you for all your efforts on this project. | 本プロジェクトへのご尽力に感謝いたします。 |
| hard work | 頑張り(社内向き) | Your hard work made the launch a success. | 皆さんの尽力のおかげで立ち上げが成功しました。 |
| support | 支え・ご支援 | We truly appreciate your continued support. | 日頃のご支援に心より感謝いたします。 |
| dedication | 献身・長年の尽力 | Thank you for your dedication over the years. | 長年にわたるご尽力に感謝いたします。 |
| do one's best | 尽力する(自分) | I will do my best to meet your expectations. | ご期待に沿えるよう尽力いたします。 |
| strive | 目標に向けて力を尽くす(自分・改まった文) | We will strive to improve our service. | サービスの向上に尽力してまいります。 |
| assistance | 手助け(お力添えに近い) | Thank you for your kind assistance. | お力添えいただき、ありがとうございました。 |
場面別のメール例文
プロジェクト完了のお礼(取引先)
件名:◯◯プロジェクト完了のお礼
株式会社◯◯
◯◯様
いつもお世話になっております。株式会社△△の□□です。
◯◯プロジェクトが無事に完了いたしました。
厳しい日程の中、◯◯の調整に最後まで粘り強く取り組んでいただいたおかげで、予定どおりの公開を迎えることができました。
このたびは多大なご尽力をいただき、誠にありがとうございました。
今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
トラブルに対応してもらったお礼
件名:◯◯の不具合へのご対応のお礼
◯◯様
お世話になっております。株式会社△△の□□です。
昨日は◯◯の不具合について、夜遅くまでご対応いただき、誠にありがとうございました。
◯◯様のご尽力のおかげで、本日の開場に間に合わせることができました。
落ち着きましたら、改めて経緯をご報告いたします。
イベントの成功を報告し、お礼を伝える
件名:◯◯開催のご報告とお礼
◯◯株式会社
◯◯様
いつもお世話になっております。株式会社△△の□□です。
先日の◯◯は、おかげさまで大きな混乱もなく終えることができました。
来場された方からも、会場の案内が分かりやすかったという声を多くいただいております。
準備の段階からご尽力いただき、心より感謝申し上げます。
社外の方を紹介してもらったお礼
件名:◯◯様ご紹介のお礼
◯◯様
お世話になっております。株式会社△△の□□です。
先日は、◯◯社の◯◯様をご紹介いただき、誠にありがとうございました。
先方との日程の調整にまでご尽力くださり、本日無事に面談を終えることができました。
進展がありましたら、改めてご報告いたします。
退任・異動する担当者へのお礼
件名:これまでのお礼
◯◯様
お世話になっております。株式会社△△の□□です。
このたびのご異動の件、承りました。
弊社の◯◯の立ち上げから今日まで、長年にわたりご尽力いただき、誠にありがとうございました。
新しい部署でのご活躍を心よりお祈り申し上げます。
着任のあいさつで抱負を述べる(自分に使う)
件名:着任のごあいさつ(株式会社△△ □□)
株式会社◯◯
◯◯様
いつもお世話になっております。
このたび、貴社の担当となりました株式会社△△の□□と申します。
◯◯の円滑な運営に向けて、微力ながら尽力いたします。
どうぞよろしくお願いいたします。
お詫びのあとに改善を約束する(自分に使う)
件名:◯◯の納品遅れについてのお詫び
◯◯様
お世話になっております。株式会社△△の□□です。
このたびは◯◯の納品が遅れ、ご迷惑をおかけしましたことを深くお詫び申し上げます。
今後は工程ごとの確認日を前倒しで設け、二度と同じことが起きないよう尽力してまいります。
引き続きどうぞよろしくお願いいたします。
尽力したが結果が出なかったことを伝える(自分に使う)
件名:◯◯の日程変更のご依頼について
◯◯様
お世話になっております。株式会社△△の□□です。
ご依頼いただいた◯◯の日程変更について、会場側と複数の案で調整を重ねましたが、力及ばず、ご希望の日程を確保することができませんでした。
ご期待に沿えず、誠に申し訳ございません。
代わりに◯月◯日と◯月◯日であれば対応できることを確認しております。ご検討いただけますと幸いです。
結果が出なかったときに「尽力いたしましたが」だけで済ませると、言い訳のように受け取る人もいます。何をしたかを具体的に書き、お詫びと代わりの案を続けると、誠実さが伝わります。
チームへのお礼(社内・上司から)
件名:◯◯お疲れさまでした
チームの皆さん
お疲れさまです。□□です。
◯◯が無事に終わりました。
準備期間が短い中、皆さんの尽力のおかげで、先方からも高い評価をいただくことができました。
本当にありがとうございました。来週、簡単な振り返りの時間を取らせてください。
異動の知らせを受けたときのやり取りは異動のあいさつメール、退職する相手へのあいさつは退職のあいさつも参考にしてください。
口頭(あいさつ・会議)で使う例
- 竣工式・完成披露で:本日を迎えられましたのは、ひとえに関係者の皆様のご尽力のおかげでございます。
- 送別会で:◯◯さんには、長年にわたりこの事業の立ち上げにご尽力いただきました。本当にありがとうございました。
- 社内の会議で:今回の契約は、営業部の皆さんの尽力でまとまりました。
- 着任のあいさつで:一日も早くお役に立てるよう、尽力いたします。
話し言葉では「ご尽力を賜り」は硬く聞こえやすいので、「ご尽力いただき」「ご尽力のおかげで」が言いやすい形です。
よくある間違い
| 書きがちな言い方 | 気になる点 | 直し方 |
|---|---|---|
| 微力ながらご尽力いたします | 「ご尽力」は相手の努力を敬う言い方として使われるため、自分に付けると違和感を持たれやすい | 微力ながら尽力いたします |
| 全力で尽力いたします/尽力を尽くします | 「尽力」がすでに「力を尽くす」の意味なので、意味が重なる | 尽力いたします/全力を尽くします |
| ◯◯様がご尽力されました | 文化審議会答申「敬語の指針」は「ご……される」を、本来、尊敬語の適切な形ではないとしている | ◯◯様にご尽力いただきました/◯◯様がご尽力くださいました |
| ご尽力していただき | 「ご〜する」は自分の動作に使う形なので、相手の行為には合わない | ご尽力いただき |
| 尽力させていただきます | 「敬語の指針」は「させていただく」を、相手の許しを受けて行い恩恵を受ける場合の形としている。決意を述べるだけなら回りくどく感じる人もいる | 尽力いたします/尽力してまいります |
| ご尽力のほどよろしくお願いいたします | 相手に全力を求める響きがあり、強く聞こえることがある | お力添えのほど/ご協力のほど |
| (資料を一部送ってもらった程度で)ご尽力いただき | 言葉が大げさになる | お送りいただき、ありがとうございました |
| 多大なる格別のご尽力を賜り | 修飾を重ねすぎてくどい | 多大なご尽力を賜り |
送信前のチェックリスト
- 相手の行為には「ご尽力」、自分の行為には「尽力」になっている
- 「ご尽力される」「ご尽力していただく」の形になっていない
- 何に力を尽くしてもらったのかを具体的に一言書いている
- ちょっとした手伝いに使って大げさになっていない
- お願いの文では「お力添え」「ご協力」に置き換えている
- 「多大なる」「格別の」などの修飾を重ねていない
- 「全力で尽力」「尽力を尽くす」のように意味を重ねていない
「ご尽力いただき」とお礼を言われたときの返事
大きなお礼を言われたときは、「もったいないお言葉をありがとうございます」と受け止め、相手の側の協力のおかげでもあることを返すと、やり取りが気持ちよく終わります。
◯◯様
お世話になっております。株式会社△△の□□です。
もったいないお言葉をいただき、ありがとうございます。
◯◯様が早い段階で判断してくださったおかげで、こちらも動きやすく、大変助かりました。
またご一緒できる日を楽しみにしております。
この記事の要点
- 「ご尽力」は相手が力を尽くしてくれたことを敬って言う、主にお礼の言葉。
- お礼は「ご尽力いただき、誠にありがとうございました」。何に力を尽くしてもらったかを添える。
- 自分には「ご」を付けず「尽力いたします」。「ご尽力される」も避ける。
- お願いには「お力添えのほど」「ご協力のほど」。継続的な支えは「ご支援」。
- 英語はefforts/support/dedicationなどを場面で使い分ける。
FAQ
よくある質問
「ご」を付けた「ご尽力」は相手の行為を敬う言い方なので、自分には使いません。自分のことを言うときは「尽力いたします」「尽力してまいります」と、「ご」を付けずに使います。
「ご尽力」は相手が力を尽くした努力の大きさに目を向けた言葉で、主にお礼に使います。「お力添え」は相手がこちらを助けてくれたことを表し、お礼にもお願いにも使えます。
一人の担当者が難しいことをやり遂げてくれたときは「ご尽力」、大勢に一緒に動いてもらうときは「ご協力」、人・物・お金などで継続的に支えてもらうときは「ご支援」が合います。
使われることはありますが、相手に全力を求める響きがあるため、強く聞こえることがあります。お願いには「お力添えのほど」「ご協力のほど」を選ぶほうが無難です。
どちらも使えます。「いただき」は自分が恩恵を受けたことを、「くださり」は相手がしてくれたことを中心に言う形です。
文化審議会答申「敬語の指針」は「ご……される」を本来の尊敬語の適切な形ではないとしているため、「ご尽力いただきました」「ご尽力くださいました」に直すと安心です。
使えます。部下やチームに対しては、「ご」を付けずに「皆さんの尽力のおかげです」と言うのが自然です。
一語で対応する言葉はなく、努力をたたえるなら efforts や dedication、支えてもらったことへのお礼なら support を使います。自分が尽力すると言うなら do my best が近い言い方です。