メール
「ご放念ください」の意味と使い方
場面別の例文・言い換え・返信
結論から書くと、「ご放念ください」(読み:ごほうねんください)は「気にしないでください」「忘れてください」の改まった言い方です。目上の人や取引先にもそのまま使えます。使う場面は大きく二つで、自分が送った連絡を取り消すとき(「先ほどのメールはご放念ください」)と、相手のお詫びや気づかいを受け流すとき(「どうぞご放念ください」)です。このページでは、すぐ使える一文の早見表、場面別のメール例文12本、言い換えと似た言葉の違い、受け取ったときの返信をまとめました。
結論
「放念」は「念(思い)を放す」と書き、気にかけないこと、心配しないことを表します。「ご放念ください」は「お気になさらないでください」とほぼ同じ意味です。書き言葉の色が強く、メールや手紙で使う改まった言い方で、会話では「お気になさらないでください」のほうが自然に聞こえます。
すぐ使える一文の早見表
| 場面 | そのまま使える一文 |
|---|---|
| 誤送信を取り消す | 先ほどお送りしたメールは誤りでした。大変失礼いたしました。ご放念くださいますようお願いいたします。 |
| 催促と入金・返信が行き違った | 本メールと行き違いでご対応いただいている場合は、ご放念ください。 |
| 依頼が不要になった | 先日お願いした◯◯の件は、ご放念くださいますようお願い申し上げます。 |
| 問い合わせが自己解決した | お問い合わせの件は解決いたしましたので、ご放念ください。 |
| 古い版の資料を差し替える | 先にお送りした資料は古い版でした。お手数ですが、そちらはご放念ください。 |
| 相手のお詫びに返す | こちらには影響ございませんので、どうぞご放念ください。 |
| お返し・気づかいを辞退する | お返しなどのお気遣いは、どうぞご放念ください。 |
| 相手の申し出を断る | せっかくのお申し出ですが、今回は見送らせていただきます。どうぞご放念ください。 |
どの文も「何を」気にしないでほしいのか(メール・依頼・件名)を前に置いています。「ご放念ください」だけでは、相手はどの連絡のどの部分を忘れればよいのか分かりません。
読み方・意味と二つの使い方
| 使い方 | 気にしないでほしいこと | 例 |
|---|---|---|
| 自分の連絡を取り消す | 自分が送ったメール・依頼・資料 | 先ほどお送りしたメールは、ご放念ください。 |
| 相手の気がかりを受け流す | 相手のお詫び・心配・お返し | 納期の件は、どうぞご放念ください。 |
前者は「自分の連絡をなかったことにしてほしい」というお願い、後者は「こちらは気にしていないので安心してほしい」という気づかいです。後者のほうが「どうぞ」を添えると柔らかくなります。
注意
読みは「ほうねん」です。会話でも意味は通じますが、口に出すと堅く響くので、電話や対面では「お気になさらないでください」を使うほうが自然です。
使える相手・場面と、避けたい場面
| 相手・場面 | 使ってよいか | 理由・代わりの言い方 |
|---|---|---|
| 取引先・お客様 | 使える | 改まった場面ほど合う。より丁寧には「ご放念くださいますようお願い申し上げます」 |
| 上司・目上の社内の人 | 使える | 報告メールの結びなどで使える |
| 社内の同僚とのチャット | 堅すぎることがある | 「先ほどの連絡は無視してください」「気にしないでください」 |
| 宛先違い・送信ミスの取り消し | 使える(お詫びが先) | お詫びを書いてから添える |
| 催促メールが入金・返信と行き違った | 使える | 「行き違いの場合はご放念ください」と条件を付ける |
| 相手の申し出・お返しを辞退する | 使える | 辞退の理由やお礼を先に書く |
| こちらの不手際で相手に実害が出た | 避ける | 迷惑をかけた側が「忘れてください」と言う形になる。お詫びと対応を書く |
| 自分が忘れていたことを詫びる | 使わない | 「失念しておりました」を使う |
Point
こちらが迷惑をかけた場面で「ご放念ください」から書き始めるのは避けます。相手に負担をかけた後で「忘れてください」と言うと、自分の都合で片づけようとしているように受け取られやすくなります。誤送信などは、お詫び→訂正内容→「ご放念ください」の順に書きます。
場面別のメール例文12本
1. 宛先を間違えて送ったメールを取り消す
件名:【お詫び】先ほどのメールについて(株式会社△△ □□)
◯◯様
お世話になっております。株式会社△△の□□です。
先ほど「◯◯について」の件名でお送りしたメールは、別のお客様宛てのものでした。
大変失礼いたしました。お手数ですが、お手元のメールは破棄していただけますと幸いです。
内容につきましては、ご放念くださいますようお願い申し上げます。今後は送信前の確認を徹底いたします。
注意
誤送信の内容によっては、上司への報告や削除の確認が必要になります。詫び状の組み立て全体はメール誤送信のお詫びにまとめています。
2. 添付ファイルを間違えたので差し替える
件名:【差し替え】◯◯資料の再送について
◯◯様
お世話になっております。株式会社△△の□□です。
本日◯時にお送りした資料に、修正前のファイルを添付しておりました。失礼いたしました。
正しいファイルを本メールに添付いたしましたので、先のファイルはご放念ください。
お手数をおかけしますが、ご確認のほどよろしくお願いいたします。
3. 催促メールと入金が行き違ったとき(送る側の一文)
件名:◯月分ご請求のお支払いについて
◯◯様
お世話になっております。株式会社△△の□□です。
◯月◯日にお送りした請求書(請求番号◯◯)につきまして、本日時点でご入金の確認が取れておりません。
お手数ですが、お支払い状況をご確認いただけますでしょうか。
なお、本メールと行き違いでお手続きいただいている場合は、ご放念ください。
注意
「行き違いの場合はご放念ください」は、相手がすでに対応済みかもしれないときに添える定番の一文です。催促の文面全体は催促メールの書き方を参考にしてください。
4. お願いしていた依頼が不要になった
件名:◯◯資料のご依頼の取り下げについて
◯◯様
お世話になっております。株式会社△△の□□です。
先日お願いいたしました◯◯の資料につきまして、社内で別の資料を使うことになりました。
ご準備いただいている途中でしたら、大変申し訳ございません。
本件はご放念くださいますようお願い申し上げます。
5. 日程調整の候補を取り消す
件名:Re:打ち合わせ日程のご相談
◯◯様
お世話になっております。株式会社△△の□□です。
先ほどお送りした候補日のうち、◯月◯日(◯)は社内の予定が入ってしまいました。
勝手を申し上げて恐縮ですが、こちらの日程はご放念ください。
残りの候補日の中でご都合のよい日時をお知らせいただけますと幸いです。
6. 問い合わせた内容が自己解決した
件名:Re:◯◯の設定方法についてのお問い合わせ
◯◯様
お世話になっております。株式会社△△の□□です。
先ほどお問い合わせいたしました◯◯の設定ですが、マニュアルを確認したところ解決いたしました。
お時間を割いていただいていたら申し訳ございません。本件はご放念ください。
7. 取引先からの遅れのお詫びに返す
件名:Re:納品遅延のお詫び
◯◯様
お世話になっております。株式会社△△の□□です。
ご丁寧にご連絡いただき、ありがとうございます。
こちらの作業には影響ございませんので、どうぞご放念ください。
引き続きよろしくお願いいたします。
8. 相手の小さなミスの連絡に返す
件名:Re:請求書の記載誤りについて
◯◯様
お世話になっております。株式会社△△の□□です。
修正版をお送りいただき、ありがとうございます。確かに受け取りました。
こちらは社内の処理に間に合っておりますので、どうぞご放念ください。
9. 相手の申し出を丁寧に断る
件名:Re:◯◯のご提案について
◯◯様
お世話になっております。株式会社△△の□□です。
このたびはご提案をいただき、ありがとうございました。
社内で検討いたしましたが、今期は予算の都合で見送ることになりました。
ご尽力いただいたにもかかわらず申し訳ございません。本件はご放念いただけますと幸いです。
また機会がございましたら、ぜひご相談させてください。
10. お返しや気づかいを辞退する
件名:Re:お心遣いのお礼
◯◯様
ご丁寧なお便りをいただき、ありがとうございます。
お返しなどのお気遣いは、どうぞご放念ください。
くれぐれもご無理のないよう、お過ごしください。
11. 上司に、相談していた件が片づいたと伝える
件名:◯◯の件(解決のご報告)
◯◯部長
お疲れさまです。□□です。
昨日ご相談した◯◯の件ですが、先方と話がまとまり、予定どおり進められることになりました。
ご心配をおかけしました。本件はご放念ください。
12. 欠席の連絡を取り消して出席する
件名:◯月◯日の会議出欠について(訂正)
◯◯様
お世話になっております。株式会社△△の□□です。
昨日、◯月◯日の会議を欠席するとご連絡いたしましたが、予定を調整できたため出席いたします。
二転三転して申し訳ございません。先の欠席のご連絡はご放念ください。
言い換えと似た言葉の違い
| 言葉 | 意味・丁寧さ | 使い方の例 |
|---|---|---|
| 気にしないでください | くだけた言い方。社内向け | 先ほどの連絡は気にしないでください。 |
| お気になさらないでください | 丁寧。会話でも使える | 納期の件は、どうぞお気になさらないでください。 |
| どうぞお気遣いなく | 丁寧で柔らかい。気づかいを辞退するとき | お返しなどは、どうぞお気遣いなく。 |
| お忘れください | 丁寧。取り消しをはっきり伝える | 先ほどの金額は誤りでしたので、お忘れください。 |
| お捨て置きください | 改まった言い方。構わずそのままにしてほしいとき | 先日の件は、お捨て置きください。 |
| 破棄していただけますでしょうか | 丁寧。削除をお願いするとき | 誤ってお送りしたファイルは、破棄していただけますでしょうか。 |
| ご放念ください | 改まった言い方 | 先日お送りしたご案内は、ご放念ください。 |
| ご放念くださいますようお願い申し上げます | 最も改まった言い方 | 先般のご依頼につきましては、ご放念くださいますようお願い申し上げます。 |
| 似た言葉 | 意味 | 「ご放念ください」との違い |
|---|---|---|
| ご休心ください | 安心してください | 相手の心配を解くときの言葉。「快方に向かっておりますので、ご休心ください」 |
| 失念しておりました | (自分が)うっかり忘れていました | 自分のことに使う。「ご放念ください」は相手にお願いする言葉 |
誤って送ったファイルを消してもらう必要があるときは、「ご放念ください」だけで済ませず、「破棄していただけますでしょうか」とはっきりお願いします。「ご放念ください」は気にしないでほしいという意味なので、削除のお願いまでは伝わりません。
よくある失敗と送信前チェック
- 「ご放念してください」と書いていないか(正しくは「ご放念ください」)
- 何を気にしないでほしいのかを書いたか(件名・日付・用件)
- こちらが迷惑をかけた場面で、お詫びより先に「ご放念ください」と書いていないか
- ファイルを消してほしいのに、「ご放念ください」だけで済ませていないか
- 差し替えや訂正のとき、正しい内容を同じメールに書いたか
- 自分が忘れていたことを詫びる場面で「失念」と取り違えていないか
- 社内の同僚とのチャットで堅すぎる言い方になっていないか
「ご放念してください」が不自然なのは、「ご〜する」が自分側の動作をへりくだる形だからです。文化審議会答申「敬語の指針」も、「御案内してくださる」は「して」を削って「御案内くださる」とすれば適切な敬語になり、「……ください」の場合も同様だとしています。
「ご放念ください」と言われたときの返信
返信しなくてもよい場合:単純な取り消しや、こちらに影響のない連絡で、ほかに伝えることがないとき。返信したほうがよい場合:相手が誤送信を気にしている、こちらで削除などの対応をした、相手のお詫びに対して「ご放念ください」と言われた、のいずれかのとき。一言返すと相手が安心します。
| 届いた内容 | 返事の例 |
|---|---|
| 誤送信の取り消し | ご連絡ありがとうございます。承知いたしました。いただいたメールは削除いたしました。 |
| 添付の差し替え | 差し替えのファイルを確かに受け取りました。先のファイルは削除いたしました。 |
| 依頼の取り下げ | 承知いたしました。また何かございましたら、お気軽にお申し付けください。 |
| 行き違いの一文が付いた催促 | 本日お振り込みいたしました。ご確認のほどよろしくお願いいたします。 |
| お詫びへの「ご放念ください」 | 温かいお言葉をいただき、ありがとうございます。今後は十分に注意いたします。 |
| お返し辞退の「ご放念ください」 | お心遣いに感謝いたします。お言葉に甘えさせていただきます。 |
注意
「承知いたしました」の返し方は「承知しました」メールの例文も参考にしてください。
この記事の要点
- 「ご放念ください」(ごほうねんください)は「気にしないでください」の改まった言い方。目上・取引先に使える。
- 自分の連絡の取り消し・行き違い・依頼の取り下げと、相手のお詫びや気づかいを受け流すときに使う。
- 何を気にしないでほしいのかを必ず書く。
- こちらが迷惑をかけたときはお詫びを先に。削除が必要なら「破棄していただけますでしょうか」と頼む。
- 「ご放念してください」ではなく「ご放念ください」。自分が忘れたときは「失念」。
FAQ
よくある質問
「気にしないでください」「忘れてください」という意味の改まった言い方です。送ったメールを取り消すときや、相手のお詫びに対して「こちらは気にしていません」と伝えるときに使います。
「ごほうねんください」と読みます。
使えます。上司や取引先にも使える丁寧な言い方です。より改まった場面では「ご放念くださいますようお願い申し上げます」と書きます。社内の同僚には堅すぎることがあるので、「気にしないでください」で十分です。
催促や確認のメールの最後に、「本メールと行き違いでご対応いただいている場合は、ご放念ください」と添えます。相手がすでに入金や返信を済ませていた場合に、気まずくならないようにする一文です。
単純な取り消しなら、返信しなくても失礼にはあたりません。相手が誤送信を気にしている場合などは、「承知いたしました。いただいたメールは削除いたしました」と一言返すと安心してもらえます。
お詫びを先に書いてから添えます。誤って送ったファイルを消してもらいたい場合は、「破棄していただけますでしょうか」とはっきりお願いします。「ご放念ください」だけでは削除のお願いまでは伝わりません。
「失念」は自分がうっかり忘れていたことを表し、「失念しておりました」と自分について使います。「放念」は気にかけないことで、「ご放念ください」と相手にお願いする形で使います。
丁寧な言い方なら「お気になさらないでください」、柔らかい言い方なら「どうぞお気遣いなく」、取り消しをはっきり伝えるなら「お忘れください」、社内なら「気にしないでください」が使えます。