ビジネス用語
エビデンスとは?ビジネスでの意味
使い方の例文と言い換え
ビジネスで使う「エビデンス」は、①話や判断の裏付けになる資料(根拠)か、②言った・やったことを後から確かめられる記録のどちらかを指します。日本語に言い換えるなら「根拠」「裏付け」「記録」。
・根拠の意味:「この数字のエビデンスとして、元の集計表を添付します。」
・記録の意味:「仕様の変更は、エビデンスとして議事録に残しておきましょう。」
どちらの意味かは職場によって違うので、何が欲しいのか(どの資料か、どんな記録か)を具体的に添えると行き違いが減ります。このページでは、場面別の例文、業界ごとの意味の違い、似た言葉との違い、社外向けの言い換え、エビデンスの残し方のチェックリストをまとめました。
結論
「エビデンス」は英語のevidenceから来た言葉で、英語では証拠や根拠を表します。日本の職場では、主張の裏付けになる資料(データ・調査結果・見積書など)と、後から確かめられる記録(確認のメール・議事録・作業画面の保存など)の両方を指して使われます。
「エビデンス」の意味と2つの使われ方
英語の evidence は、裁判での証拠や、ある考えを支える根拠を表す語です。日本語の「エビデンス」は、医療や研究の分野で「根拠」の意味で使われてきた言葉で、一般の職場でも使われるようになっています。
| 使われ方 | 指すもの | よく出る言い回し |
|---|---|---|
| ① 根拠としてのエビデンス | 提案や判断を支えるデータ・資料・出典 | エビデンスはありますか/エビデンスを示す/エビデンスが弱い |
| ② 記録としてのエビデンス | やり取りや作業を後から確かめられる記録 | エビデンスを残す/エビデンスを取る/エビデンスを保存する |
Point
迷ったら「根拠」か「記録」に置き換えて読む。どちらでも通るときは、言う側が「どの資料が欲しいのか」「何を残すのか」まで言うのがいちばん確実です。
よく使う言い回しと意味の早見表
| 言い回し | 意味 | 例 |
|---|---|---|
| エビデンスはありますか | その話の根拠になる資料はあるか | この見立てにエビデンスはありますか? |
| エビデンスを示す | 根拠になる資料やデータを見せる | 前年の実績をエビデンスとして示します |
| エビデンスを取る | 後から確かめられる形で記録する(根拠を集める意味の人もいる) | 了承のメールをもらってエビデンスを取っておく |
| エビデンスを残す | やり取りや作業の記録を保存する | 口頭の合意も議事録にエビデンスを残す |
| エビデンスが弱い | 根拠として説得力が足りない | 一社の事例だけではエビデンスが弱い |
| エビデンスを固める | 根拠を複数そろえて確かなものにする | 提案の前にエビデンスを固めておく |
| エビデンスベースで | 思いつきでなく根拠にもとづいて | 感覚ではなくエビデンスベースで判断しよう |
場面別の例文
会議で(社内)
この施策で問い合わせが増えるという見立てのエビデンスは何ですか?過去の実績か、他社の事例があれば見せてください。
仕様の変更は口頭で済ませず、決まった内容と理由を議事録に書いておきましょう。あとで経緯を確かめるときのエビデンスになります。
結論の方向性は賛成です。ただ、アンケート一回分だけだとエビデンスが弱いので、来月の数字も見てから決めませんか。
商談・打ち合わせで(社外)
ご提案の効果について、根拠となる導入事例や数値をご紹介いただけますでしょうか。社内で説明する際に使わせていただきたく存じます。
本日決まった内容は、行き違いがないよう、のちほどメールで確認させてください。
チャットで(社内)
先方から納期変更の了承をもらいました。エビデンスとしてメールを共有フォルダに保存しています。
テストの結果、問題ありませんでした。エビデンスの画面キャプチャをチケットに貼っておきます。
経費の申請、領収書の画像が添付されていないようです。エビデンスとして追加をお願いします。
資料・報告書で
参加者の満足度が高かったことのエビデンスとして、終了後アンケートの集計結果を別紙に添付します。
グラフの数字はすべて社内の販売管理システムから出力したものです(出典は各ページの下に記載)。
メールで(社内の上司へ)
件名:◯◯の発注先変更のご相談
◯◯課長
お疲れさまです。□□です。
◯◯の発注先を変更したく、ご相談いたします。
判断の根拠として、両社の見積書と、過去の納期の実績をまとめた表を添付しました。
お手すきの際にご確認いただけますでしょうか。
メールで(取引先へ・記録を残す)
件名:◯◯の数量変更について(確認のお願い)
株式会社◯◯
◯◯様
いつもお世話になっております。株式会社△△の□□です。
本日お電話でご相談した◯◯の数量変更について、行き違いがないよう、内容をメールでも確認させてください。
・変更前:◯個
・変更後:◯個
・納品日:◯月◯日(◯)(変更なし)
相違がございましたら、お知らせいただけますと幸いです。
メールで(取引先へ・根拠の資料をお願いする)
件名:◯◯のお見積りについて(資料のお願い)
株式会社◯◯
◯◯様
いつもお世話になっております。株式会社△△の□□です。
先日はお見積りをお送りいただき、ありがとうございました。
社内の承認を取るにあたり、◯◯の費用の内訳がわかる資料がございましたら、共有いただけますでしょうか。
お手数をおかけしますが、どうぞよろしくお願いいたします。
注意
取引先には「エビデンスとして残したいので」と書くより、「行き違いがないよう、メールでも確認させてください」のほうがやわらかく伝わります。会議の決定事項を残す書き方は議事録の書き方とテンプレート、判断の根拠を添えて承認をもらう書き方は稟議書の書き方と例文を見てください。
業界・職種によって指すものが違う
同じ「エビデンス」でも、職場によって思い浮かべるものが違います。転職や異動で別の業界の人と話すときは、ここがずれやすいところです。
| 業界・職種 | 主に指すもの | 例文 |
|---|---|---|
| IT・システム開発 | テストや作業をしたことを示す記録(画面の保存、実行結果のログなど) | 結合テストのエビデンスを、手順書と一緒に提出してください。 |
| 医療・研究 | 治療法や仮説を支える研究結果などの根拠 | この方法を勧める根拠として、どんな研究がありますか。 |
| 営業・マーケティング | 提案の効果を示すデータや導入事例 | 前回の施策の数字をエビデンスに、予算の増額を相談します。 |
| 経理・総務 | 支出や手続きを確かめられる書類(領収書・請求書・申請の記録) | 立替経費は、領収書をエビデンスとして添付してください。 |
| 金融・不動産 | 審査や契約の判断材料になる書類 | ご本人の収入を確認できる書類を、審査の資料としてご提出ください。 |
| 行政・政策 | 政策の効果を判断するための根拠となるデータ | 事業の見直しにあたり、効果を示すデータを整理する。 |
行政の分野では「EBPM」という言葉も使われます。内閣府は、EBPMを「証拠に基づく政策立案」とし、政策をその場限りのエピソードに頼らず、合理的根拠(エビデンス)に基づくものとすること、と説明しています(出典:内閣府「内閣府におけるEBPMへの取組」)。
似た言葉との違い(ファクト・ソース・根拠など)
| 言葉 | 表す内容 | エビデンスとの違い |
|---|---|---|
| エビデンス | 裏付けになる資料、または後から確かめられる記録 | ― |
| ファクト | 実際に起きたこと・確かめられた事実 | 事実そのもの。エビデンスは事実を示す資料や記録の側 |
| ソース | 情報の出どころ(発表元・元の資料) | どこから来た情報か。出どころが確かだとエビデンスとして使える |
| プルーフ | 正しいことを証明するもの | 「証明」の意味が強い。エビデンスは裏付けの材料として広く使う |
| 根拠 | 考えや判断の拠りどころ | ①の意味とほぼ同じ。社外の文章ではこちらが無難 |
| 裏付け | 話が正しいことを支える材料 | ①の意味の言い換えとして使いやすい |
| 証拠 | 事実があったことを示すもの | トラブル・契約の場面で使われ、強い響きになりやすい |
| 記録 | 起きたことを書き残したもの | ②の意味の言い換え |
社外の相手に「証拠」と言うと、疑っているように聞こえることがあります。相手の話の裏付けがほしいときは、「根拠となる資料」「元の資料」と言うほうが角が立ちません。事実と意見を分けて話す考え方はファクトとロジカルの意味でも扱っています。
日本語への言い換え(カタカナを減らしたいとき)
| カタカナのまま | 日本語に言い換えると |
|---|---|
| エビデンスはありますか? | その数字の元になった資料はありますか? |
| エビデンスを残しておいてください | 確認のメールを保存しておいてください |
| テストのエビデンスを提出します | テストを実施した記録(画面の保存)を提出します |
| エビデンスが弱いです | 根拠としては、まだ材料が足りないと思います |
| エビデンスベースで考えましょう | データや実績をもとに考えましょう |
| エビデンスとして議事録に書きます | 後で確認できるよう、議事録に書いておきます |
社外・目上の人に使ってよいか
「エビデンス」は職場によってはふつうに使われる言葉ですが、カタカナ語に慣れていない相手には通じにくいことがあります。また、相手に向けて「エビデンスはありますか」と聞くと、問い詰めているように聞こえると感じる人もいます。
| 相手・場面 | おすすめの言い方 |
|---|---|
| 社内の同僚・チームのチャット | エビデンスを残しておきます/エビデンスはありますか |
| 社内の上司 | 根拠として◯◯を添付しました |
| 取引先に資料を求める | 元となる資料がございましたら、共有いただけますでしょうか |
| 取引先とのやり取りを残す | 行き違いがないよう、メールでも確認させてください |
| カタカナ語に慣れていない相手 | 根拠/裏付け/記録 |
エビデンス(記録)の残し方
| 残したいこと | 残し方 | 気をつける点 |
|---|---|---|
| 口頭・電話で決めたこと | 要点をメールで送り、相手に確認してもらう | 日付・数量・期限など、あとで食い違いやすい項目を箇条書きに |
| 会議の決定事項 | 議事録に「決定」「宿題(担当・期限)」を分けて書く | 出席者に共有して、異論がないか確かめる |
| 作業・テストの結果 | 画面の保存や実行結果を、手順と一緒に保管する | 何の作業の記録か、日時と担当がわかるようにする |
| お金の出入り | 領収書・請求書・申請の記録を保管する | 社内の保管ルールに従う |
| 資料に載せた数字 | 出典(どの資料・どの集計か)を数字の近くに書く | 元のデータにたどれるファイルの場所も残す |
| チャットでの合意 | 大事なものはメールや議事録にも転記する | チャットは流れて探しにくくなる |
- いつ・誰が・何を決めた(した)のかが読み取れる
- 数字や引用には出典が書いてある
- 元のデータやファイルにたどれる
- 最新版がどれかわかる(ファイル名に日付や版を入れる)
- 関係者が見られる場所に置いてある
- 社外秘・個人情報の扱いが社内のルールに沿っている
よくある失敗と直し方
| ありがちな言い方 | 気になる点 | 直し方 |
|---|---|---|
| エビデンスください | 何を出せばよいのか相手に分からない | ◯◯の数字の元になった集計表をください |
| エビデンスをする | 「エビデンス」は名詞なので、動詞のように使うと不自然 | エビデンスを残す/記録する/根拠を示す |
| (取引先に)エビデンスを提出してください | 疑っているように受け取る人もいる | 確認のため、元となる資料を共有いただけますでしょうか |
| エビデンスを取る(意味をそろえずに) | 「根拠を集める」か「記録を残す」か、人によって受け取り方が違う | 画面を保存しておく/根拠のデータを集める、と具体的に言う |
| 出どころのわからない数字をエビデンスにする | 聞かれたときに説明できない | 出典と元データの場所を添える |
| カタカナ語を何語も重ねる | 相手に伝わりにくい | 一文に一語までにして、残りは日本語にする |
注意
報告書の組み立ては報告書の書き方と例文も参考にしてください。
この記事の要点
- ビジネスの「エビデンス」は①根拠となる資料か②後から確かめられる記録。
- 日本語なら「根拠」「裏付け」「記録」。
- 求めるときは何の資料・どんな記録が欲しいのかを具体的に言う。
- IT・経理・営業など職場によって指すものが違う。
- 取引先には「元となる資料」「行き違いがないよう確認させてください」と言い換える。
- 記録はいつ・誰が・何をと出典がわかる形で残す。
FAQ
よくある質問
話や判断の裏付けになる資料(根拠)、または言ったこと・やったことを後から確かめられる記録のことです。職場によってどちらの意味で使うかが違うことがあります。
根拠の意味なら「根拠」「裏付け」「元の資料」、記録の意味なら「記録」「確認のメール」などです。社外の相手には「根拠となる資料」「元となる資料」と言うと伝わりやすいです。
主に、やり取りや作業の結果を後から確かめられる形で残すことを指します。メールで確認する、画面を保存する、議事録に書くなどがあたります。根拠となるデータを集める意味で使う人もいるので、具体的に言い添えると確実です。
テストや作業を実施したことを示す記録を指すことが多く、画面の保存や実行結果のログなどがあたります。何をどの形式で残すかはプロジェクトごとに決まっていることが多いので、事前に確認しておくと安心です。
「エビデンス」は名詞なので、「エビデンスを残す」「エビデンスを示す」のように動詞を添えるのが自然です。
言葉そのものが失礼というわけではありませんが、通じにくい相手もいますし、「エビデンスを出してください」は疑っているように受け取られることがあります。「元となる資料を共有いただけますでしょうか」と言い換えるのが無難です。
「ファクト」は事実そのもの、「エビデンス」はその事実や主張を示す資料や記録です。「証拠」はトラブルや契約の場面で使われることが多く、強い響きがあります。
根拠がまだ無いことを正直に伝え、「仮説」として扱ったうえで、確かめる方法と時期を添えるのがよいでしょう。例:「現時点では担当者の感触ですので、来月の数字で確認してから判断させてください。」