ビジネス用語
ベンチマークとは?ビジネスでの意味
種類・進め方・KPIとの違いと例文
ビジネスで使う「ベンチマーク」は、自分たちのやり方や成果を比べるための基準、またはその基準にする相手のことです。日本語なら「比較の基準」「お手本」「目標とする相手」。
・「◯◯社をベンチマークにする」=◯◯社を比べる基準にする
・「ベンチマークする」=基準と比べて、違いと理由を調べる
・「ベンチマーク企業」=比べる基準として選んだ会社
使った一文は「来年の展示会は、◯◯社のブースをベンチマークにして見直しましょう。」。このページでは、KPI・目標との違い、競合・異業種・社内などの種類、進め方の手順、そのまま使える比較表のテンプレート、会議・メール・チャットの例文、社外での言い換えとよくある失敗をまとめました。
結論
「ベンチマーク」は英語のbenchmarkから来た言葉で、英語では一般に比較や評価の基準となるものを表します。仕事では比べる基準にする会社・商品・数値を指して「◯◯社をベンチマークにする」と言ったり、基準と比べて分析することを指して「ベンチマークする」と言ったりします。
「ベンチマーク」の意味と語源
英語の benchmark は、もともと測量で高さを測るときの基準として付けた印を指したとされ、そこから比べたり評価したりするときの基準という意味で広く使われるようになった言葉です。
ビジネスの会話では、次の三つの形で出てきます。どれの意味で話しているのかは、前後の文で分かることがほとんどです。
| 使い方 | 意味 | 例 |
|---|---|---|
| ベンチマーク(名詞) | 比べる基準にする相手・数値 | ◯◯社をベンチマークにする/業界のベンチマーク |
| ベンチマークする(動詞) | 基準となる相手と比べて、違いと理由を分析する | 他社の申込ページをベンチマークする |
| ベンチマーキング | 優れたやり方を探して比べ、自分たちの改善に生かす取り組み全体 | ベンチマーキングで運営の手順を見直す |
分野によって指すものが変わる
| 分野 | 「ベンチマーク」が指すもの | 会話の例 |
|---|---|---|
| 経営・企画・営業 | 比べる基準にする会社や、その会社のやり方・成果 | 業界で評判の◯◯社をベンチマークにする |
| IT・パソコン | 機器やソフトの性能を同じ条件で測って比べる試験 | 新しいパソコンのベンチマークを取る |
| 投資・金融 | 運用の成績を比べる基準にする指数など | この商品はどの指数をベンチマークにしているか |
Point
「ベンチマーク」は、比べるための物差しになる相手や数値。比べた結果から自分たちの何を変えるのかまで決めて、はじめて役に立ちます。
KPI・目標・比較との違い
いちばん混同されやすいのがKPIです。KPIは自分たちの進み具合を測る物差し、ベンチマークはその物差しで比べる相手(または基準の値)と考えると整理できます。
| 言葉 | 表す内容 | イベントでの例 |
|---|---|---|
| ベンチマーク | 比べる基準にする相手・数値、またはそれと比べること | 同じ規模の◯◯社のセミナーを基準にする |
| KPI(指標) | 進み具合や成果を測る物差しになる数値 | 申込数、来場した人の割合、アンケートの満足度 |
| 目標 | これから達成したい状態や数値 | 来場した人の割合を前回より上げる |
| 比較 | 二つ以上のものを並べて違いを見ること全般 | 見積もりを並べて比べる |
| 競合分析 | 競争相手の強み・弱みを調べること | 競合イベントの集客方法を調べる |
流れで書くと、①KPIを決める → ②ベンチマークと比べて差を知る → ③差を踏まえて目標を決める、という順番です。たとえば「アンケートの満足度」をKPIにし、前回の自分たちの結果をベンチマークにして比べれば、今回どこまで上げるかの目標を決めやすくなります。他社と比べるときは、相手が公開している手順や案内の数など、外から確かめられる項目を選びます。成果を測る指標の決め方はイベントのKPIの決め方、見積もりの比べ方は見積書を比較するポイントにまとめています。
ベンチマークの種類(誰と比べるか)
ベンチマークは「誰を基準にするか」で分けると選びやすくなります。他社だけが相手ではありません。
| 種類 | 比べる相手 | 向いている場面 | 気をつけること |
|---|---|---|---|
| 競合ベンチマーク | 同じ業界・同じ客層の他社 | 集客方法や価格の見直し | 公開されている情報に限られる |
| 異業種(機能)ベンチマーク | 業界は違うが、同じ働きが上手な会社 | 受付・問い合わせ対応・予約の流れなど | 業界の事情の違いを差し引いて考える |
| 社内ベンチマーク | 社内で成果を上げている部署・支店・担当者 | 手順やノウハウを社内に広げる | 数字の比べ方で、部署どうしが対立しないようにする |
| 過去の自社 | 前回・前年の自分たち | 毎年開く行事の改善 | 条件(会場・時期・予算)の違いを書き添える |
注意
経営の分野では、経済産業省が「ローカルベンチマーク(通称:ロカベン)」という、企業の経営状態を把握する「企業の健康診断」のためのツールを公開しています。財務面と非財務面のシートを使い、経営者と金融機関・支援機関が対話しながら現状と課題を理解するためのもので、他社と比べる「ベンチマーク」とは使い方が少し違います(出典:経済産業省「ローカルベンチマーク(通称:ロカベン)」)。
ベンチマークの進め方(手順)
- 01
目的を一文で決める
「申込から当日までの離脱を減らしたい」のように、何を良くしたいかを先に決めます。目的がないまま他社を眺めると、感想で終わります。
- 02
比べる項目を決める
目的に関係する項目だけに絞り、数えられるものはKPIとして数値も決めます。イベントなら、申込の手順、案内メールの回数、受付の待ち時間、終了後のお礼の早さなどです。
- 03
基準にする相手を選ぶ
規模や目的が近い相手を選びます。規模が大きく違うと取り入れられることが少なくなります。競合だけでなく、異業種や社内、過去の自分たちも候補にします。
- 04
事実を集める
公開されている情報や、自分で申し込んだり参加したりして分かったことを、日付と出どころを付けて記録します。推測は事実と分けて書きます。
- 05
差と理由を書き出す
下のテンプレートの表に、項目ごとの差と、なぜその差が成果につながっていそうかを書きます。
- 06
取り入れることを決める
自分たちの予算・人手で実行できることを選び、担当と期限を決めます。
- 07
やってみて振り返る
次の開催でKPIがどう変わったかを確かめ、次のベンチマークの相手や項目を見直します。
他社のやり方を基準にするときは、見た目をそのまま真似するのではなく、なぜうまくいっているのかを考えることが大切です。他社の資料や文章、デザインをそのまま使うと権利の問題になることがあるので、取り入れるのは考え方や手順にとどめます。振り返りの回し方はPDCAの意味と回し方、イベント後のまとめ方はイベント報告書の書き方を参考にしてください。
場面別:何をベンチマークするか
| 場面 | 比べる項目の例 | 情報の集め方の例 |
|---|---|---|
| 展示会のブース | 通路からの見え方、奥まで入りやすい配置、配布物の渡し方 | 同じ展示会で他社のブースを見て回る |
| セミナー・ウェビナー | 申込ページの入力項目、案内メールの回数と時期、開始前の待ち時間の使い方 | 自分で申し込んで、届くメールを記録する |
| 社内イベント・式典 | 進行の順番、待ち時間、参加した人の感想の集め方 | 社内のほかの部署や前年の記録と比べる |
| Webサイト・申込フォーム | 問い合わせまでの手順、入力項目、送信後の案内 | 同じ客層の他社サイトを同じ手順で操作する |
| 営業・提案 | 提案書の構成、見積もりの出し方、返事の早さ | 社内で成果を上げている担当者のやり方と比べる |
| 事務局の運営 | 問い合わせへの返事の早さ、当日の連絡手段 | 過去の自社の記録と比べる |
そのまま使えるベンチマーク比較表
次の表をそのまま社内の資料に貼り、空欄を埋めて共有すると、話し合いが感想ではなく事実から始められます。
| 比べる項目 | 自分たち | ◯◯社(基準) | 差 | 差の理由(考えられること) | 取り入れること・担当・期限 |
|---|---|---|---|---|---|
| 申込の手順 | ◯画面・入力◯項目 | ◯画面・入力◯項目 | |||
| 案内メール | 申込時のみ | 申込時・前日・当日 | |||
| 当日の受付 | |||||
| 終了後のお礼・アンケート | |||||
| (自由に追加) |
表の上には、次の三行を書いておくと、あとから見た人にも前提が伝わります。
目的:◯◯の申込から当日までの離脱を減らす
基準にした相手と選んだ理由:◯◯社(同じ規模・同じ客層のセミナーを開いているため)
調べた日と方法:◯月◯日、公開ページの確認と、実際の申込による
使い方の例文(会議・チャット・メール・資料)
会議で(社内)
- 来年の展示会は、◯◯社のブースをベンチマークにして見直しましょう。人の流れの作り方が、うちとはかなり違います。
- 申込ページを、同じ規模のセミナーを開いている数社とベンチマークしました。入力の項目が、うちだけ多いことが分かりました。
- 去年の自分たちの数字をベンチマークにして、今年はどこまで改善できたかを見ていきます。
- ベンチマーク先は、規模が近い◯◯社と、受付の流れが上手なホテル業界の◯◯の二つを提案します。
- 今回は競合ではなく、社内で評判の◯◯支店の進め方をベンチマークにしてはどうでしょうか。
- 比べた結果、差がいちばん大きかったのは終了後のお礼の早さでした。ここから取り入れたいと考えています。
チャットで(社内)
- ◯◯社さんの案内メール、件名の付け方がうまいので、ベンチマークとして共有します。
- ベンチマーク先の候補、三つに絞りました。比べる項目の案も付けたので、見ておいてもらえますか?
- 比較表、◯◯社の列だけ埋めました。うちの数字が分かる方、追記をお願いします。
- ◯◯社のセミナーに実際に申し込んでみました。届いたメールを時系列でまとめておきます。
メールで(社内の上司へ)
件名:◯◯イベントの他社比較のご報告
◯◯部長
お疲れさまです。□□です。
来年の◯◯イベントの見直しに向けて、同じ分野の他社イベントと比較した結果をまとめました。
・比較の基準とした相手:◯◯社(規模と客層が近いため)
・比較した項目:申込の手順、当日の受付、終了後のご案内
・差が大きかった点:申込の入力項目の数、終了後のお礼メールの早さ
特に終了後のご案内は、すぐに取り入れられると考えております。詳細は添付の比較表をご確認ください。
メールで(取引先へ・言い換えた形)
件名:ブースデザインのご相談
株式会社◯◯
◯◯様
いつもお世話になっております。株式会社△△の□□です。
次回の展示会のブースについて、ご相談させてください。
今回、参考にしたい事例をいくつか集めましたので、添付いたします。
特に、来場者が自然に奥まで入れる配置を取り入れたいと考えております。お打ち合わせの際にご意見をいただけますと幸いです。
企画書・報告書で
- 本企画では、同規模のセミナーを開催している◯◯社を比較の基準とし、申込から当日までの案内を見直す。
- 前回開催の実績を基準として、今回の改善の効果を確認した。
- 比較の結果、当社は終了後の案内が遅く、アンケートの回収に影響している可能性がある。
注意
取引先には「ベンチマーク」と書くより、「参考にしたい事例」「比較の基準として」と書くほうが、意図が伝わりやすくなります。資料では、相手を選んだ理由と調べた方法を一緒に書くと、読み手が結果を信頼しやすくなります。
言い換えと、社外・目上の人に使うとき
「ベンチマーク」は失礼な言葉ではなく、企画書や分析の資料では社外でも使われます。ただ、パソコンの性能試験の意味で覚えている人や、カタカナ語に慣れていない人には通じにくいことがあります。また、取引先に「御社をベンチマークにしています」と言うと、比べられていると感じて身構える相手もいるので、言い方に気をつけます。
| 相手・場面 | おすすめの言い方 |
|---|---|
| 社内のチーム・会議 | ◯◯社をベンチマークにする/ベンチマークしました |
| 社内の上司への報告 | 他社比較の結果/比較の基準とした◯◯社 |
| 取引先とのやりとり | 参考にしたい事例/比較の基準として |
| 相手そのものを手本にしていると伝えたいとき | ◯◯様の取り組みを、いつも参考にさせていただいております |
| カタカナ語に慣れていない相手 | お手本/比べる基準 |
| 言い換え | 合う意味 | 例 |
|---|---|---|
| 比較の基準 | 名詞のベンチマーク | ◯◯社を比較の基準とする |
| お手本・手本 | 見習いたい相手 | 受付の流れは◯◯をお手本にする |
| 目標とする相手 | 追いつきたい相手 | ◯◯社を目標とする相手に置く |
| 他社比較/比べて調べる | 動詞のベンチマークする | 申込ページを他社と比べて調べた |
| 参考事例 | 社外向けのやわらかい言い方 | 参考事例として添付いたします |
よくある失敗と直し方
| ありがちな言い方・進め方 | 気になる点 | 直し方 |
|---|---|---|
| ベンチマークしました(で終わる) | 何が分かり、何を変えるのかが伝わらない | ◯◯社と比べ、◯◯が違うと分かったので、◯◯を見直します |
| 規模がまったく違う相手を基準にする | 条件が違いすぎて、取り入れられることが少ない | 規模や目的が近い相手を選ぶ |
| 他社の文章やデザインをそのまま使う | 権利の問題になることがある | 取り入れるのは考え方や手順にとどめる |
| 比べる項目を決めずに眺める | 感想で終わり、改善につながらない | 比べる項目を先に決めて表にする |
| 推測を事実のように書く | 結論を誤り、信頼を失う | 調べた日と出どころを書き、推測は分けて書く |
| 差を見つけただけで終わる | 誰も動かず、次の開催で同じことになる | 取り入れることに担当と期限を付ける |
ベンチマークを始める前のチェックリスト
- 何を良くしたいかを一文で書けたか
- 比べる項目を、目的に関係するものに絞ったか
- 基準にする相手を選んだ理由を説明できるか(規模・客層・目的が近いか)
- 競合だけでなく、異業種・社内・過去の自分たちも候補にしたか
- 集めた情報に日付と出どころを付け、推測と分けたか
- 他社の文章・デザインをそのまま使う形になっていないか
- 取り入れることに担当と期限を付けたか
- 社外に出す資料では「参考事例」「比較の基準」と言い換えたか
この記事の要点
- ビジネスの「ベンチマーク」は比べるための基準、またはその基準にする相手。英語の benchmark から。
- 日本語なら「比較の基準」「お手本」「目標とする相手」。「ベンチマークする」は基準と比べて違いと理由を調べること。
- KPIは自分の進み具合を測る物差し、ベンチマークはその物差しで比べる相手。
- 相手は競合だけでなく、異業種・社内・過去の自分たちも選べる。
- 目的→項目→相手→事実→差と理由→取り入れることの順で進め、文章やデザインはそのまま使わない。
- 取引先には「参考にしたい事例」「比較の基準として」と言い換える。
FAQ
よくある質問
自分たちのやり方や成果を比べるための基準、またはその基準にする相手のことです。英語の benchmark から来ていて、他社や過去の自分たちの成果と比べて、改善点を見つけるために使います。
基準にする相手や数値と比べて、違いとその理由を分析することです。「申込ページを他社とベンチマークする」のように使います。
比べる基準として選んだ会社のことです。同じ業界の会社に限らず、受付や問い合わせ対応など特定のやり方が上手な異業種の会社を選ぶこともあります。
KPIは自分たちの進み具合や成果を測る物差しになる数値で、ベンチマークはその物差しで比べる相手や基準の値です。KPIを決め、ベンチマークと比べて差を知り、その差から目標を決める、という順で使います。
誰と比べるかで分けると、同じ業界の他社と比べる競合ベンチマーク、同じ働きが上手な異業種と比べるもの、社内の別の部署と比べるもの、過去の自分たちと比べるもの、があります。
「比較の基準」「お手本」「目標とする相手」「参考にしたい事例」などがあります。社外には日本語で言い換えると伝わりやすいです。
「目標」はこれから達成したい状態や数値で、「ベンチマーク」は比べるための基準です。ベンチマークと比べた結果から、目標を決めることもあります。
どちらも「比べるための基準」という点は同じです。パソコンでは性能を同じ条件で測って比べる試験を指し、ビジネスでは比べる基準にする会社や数値を指します。
規模や目的が近い相手を選ぶこと、比べる項目を先に決めること、他社の文章やデザインをそのまま使わないことです。なぜうまくいっているのかを考え、自分たちの条件で取り入れられることを選びます。