時候の挨拶
時候の挨拶 4月
上旬・中旬・下旬の例文と結び
4月は、桜が咲き、新しい年度が始まる春の盛りです。月の後半には桜が散って葉桜となり、季節は晩春へ移ります。仕事では着任・担当交代の挨拶状、私生活では入学・就職を迎えた相手への手紙が増える月です。このページは、届く日から引ける早見表を最初に置き、漢語調・やわらかい書き出し・相手別の全文例・新生活を気づかう一言・結び・よくある失敗の順に並べました。例文は日付と固有名詞を差し替えれば、そのまま使えます。
結論
4月の時候の挨拶は、上旬は「春暖の候」「桜花の候」、中旬は「陽春の候」「春爛漫の候」、下旬は「晩春の候」「穀雨の候」「葉桜の候」がよく使われます。迷ったら月を通して使える「陽春の候」。やわらかく書くなら「うららかな春の日差しが心地よい季節となりました」が上旬から下旬まで使えます。2027年は清明が4月5日、穀雨が4月20日(国立天文台 暦要項)で、旧暦の月名は卯月(うづき)です。
4月の漢語調(◯◯の候)上旬・中旬・下旬の目安
| 時期の目安 | 漢語調(読み方) | ひとこと |
|---|---|---|
| 上旬ごろ | 春暖の候(しゅんだんのこう) | 春の暖かさ。3月下旬から4月上旬に使われることが多い |
| 上旬ごろ | 桜花の候(おうかのこう) | 桜の季節。相手の地域で桜が咲いている時期に |
| 上旬ごろ | 花冷えの候(はなびえのこう) | 桜の頃にぶり返す寒さ。実際に冷える年・日に合う |
| 上旬〜中旬(清明以降) | 清明の候(せいめいのこう) | 清明(2027年は4月5日)を過ぎてから。万物が清らかで明るい頃 |
| 上旬〜中旬 | 春爛漫の候(はるらんまんのこう) | 花が咲き乱れる春の盛り |
| 月を通して(特に中旬) | 陽春の候(ようしゅんのこう) | うららかな春。4月を通して使いやすい |
| 中旬ごろ | 春陽の候(しゅんようのこう) | 春の日差しを感じる頃 |
| 中旬ごろ | 麗春の候(れいしゅんのこう) | うららかで美しい春 |
| 中旬ごろ | 春和の候(しゅんわのこう) | 春ののどかで穏やかな気候 |
| 下旬ごろ(穀雨以降) | 穀雨の候(こくうのこう) | 穀雨(2027年は4月20日)を過ぎてから。穀物をうるおす春の雨 |
| 下旬ごろ | 晩春の候(ばんしゅんのこう) | 春の終わり。5月上旬ごろまで使われる |
| 下旬ごろ | 葉桜の候(はざくらのこう) | 桜が散り、若葉が出る頃 |
| 下旬ごろ | 惜春の候(せきしゅんのこう) | 過ぎゆく春を惜しむ頃 |
届く日別の早見表(迷ったらここだけ見る)
| 届く日 | 漢語調(迷ったらこれ) | やわらかい書き出し | 避けたい言葉 |
|---|---|---|---|
| 4月1日〜清明の前日 | 春暖の候/桜花の候 | 桜の便りがあちこちから届く季節となりました。 | 早春・春寒など2〜3月の言葉 |
| 清明(2027年は4月5日)〜中旬 | 陽春の候/清明の候 | うららかな春の日差しが心地よい季節となりました。 | 相手の地域で咲いていないのに「桜花」 |
| 中旬〜穀雨の前日 | 陽春の候/春爛漫の候 | 春風に誘われて、外を歩くのが楽しい頃となりました。 | 穀雨の候(まだ早い) |
| 穀雨(2027年は4月20日)〜30日 | 晩春の候/葉桜の候 | 葉桜の緑がまぶしい季節となりました。 | 「桜が満開」を前提にした表現(多くの地域で散った後) |
| 月中いつでも | 陽春の候 | 日ごとに春らしさが増してまいりました。 | — |
注意
上旬・中旬・下旬の区切りは目安です。季節の言葉は慣用で、使う時期には幅があり、地域の気候によっても合う言葉が変わります。迷ったら、相手が手紙を受け取る日の、相手の土地の季節感に合わせて選んでください。季節を問わず使える「時下(じか)」もあります(「時下ますますご清栄のこととお慶び申し上げます」)。
Point
桜の言葉は相手の地域で選ぶのが4月の注意点です。桜の開花の時期は地域によって大きく違い、北の地域では4月下旬以降になることもあります。「桜花の候」「葉桜の候」を使うときは、相手の土地で今どうなっているかを考えてください。分からなければ「陽春の候」を選べば外れません。
書き出しの型と言い換え
改まった手紙は頭語+時候の挨拶+相手の繁栄(安否)を喜ぶ言葉+日ごろのお礼の順に書きます(例:「拝啓 陽春の候、貴社ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。平素は格別のお引き立てを賜り、厚く御礼申し上げます。」)。「◯◯の候」は「◯◯の折」「◯◯のみぎり」と言い換えられます(「陽春のみぎり」)。
4月のやわらかい表現(口語調)
上旬ごろ
- 桜の便りがあちこちから届く季節となりました。
- 桜の花が満開となり、春の盛りを迎えました。
- 新年度が始まり、街に新しい顔ぶれが行き交う季節となりました。
- 花冷えの日もありますが、日ごとに春らしくなってまいりました。
- 真新しいランドセルを背負った子どもたちの姿に、心がなごむ頃となりました。
中旬ごろ
- うららかな春の日差しが心地よい季節となりました。
- 春風に誘われて、外を歩くのが楽しい頃となりました。
- 花の色が日ごとに増え、春らんまんの景色となりました。
- 新しい環境にも、少しずつ慣れてこられた頃かと存じます。
- 菜の花やチューリップが咲きそろい、街が明るく彩られております。
下旬ごろ
- 桜の花も散り、木々の若葉がまぶしい季節となりました。
- 葉桜の緑がまぶしい季節となりました。
- 春も深まり、汗ばむ日も増えてまいりました。
- 春の雨が上がるたびに、緑が濃くなっていくように感じます。
- 大型連休を前に、街もどこか華やいでまいりました。
寒い地域・暖かい地域の相手へ
- (寒い地域へ)そちらは、これから桜の季節を迎える頃でしょうか。
- (寒い地域へ)雪解けが進み、ようやく春の気配が届く頃かと存じます。
- (暖かい地域へ)こちらはようやく桜が見ごろですが、そちらはもう葉桜でしょうか。
ビジネスの書き出し 全文例(お礼状・案内状・挨拶状)
着任の挨拶状(上旬)
拝啓 春暖の候、貴社ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。平素は格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。
さて、私こと、このたび◯月◯日付で◯◯支店長として着任いたしました。微力ではございますが、皆様のご期待にお応えできるよう努めてまいります。何卒前任者同様、ご指導ご鞭撻を賜りますようお願い申し上げます。
まずは略儀ながら、書中をもちましてご挨拶申し上げます。
敬具
担当交代の挨拶状(上旬〜中旬)
拝啓 陽春の候、貴社いよいよご清栄のこととお慶び申し上げます。平素は格別のお引き立てを賜り、誠にありがとうございます。
さて、このたび◯月◯日付をもちまして、貴社の担当を◯◯から私△△が引き継ぐこととなりました。引き継ぎは済ませておりますので、これまでと変わらずご用命くださいますようお願い申し上げます。
近日中にあらためてご挨拶に伺います。まずは書中にてご挨拶申し上げます。
敬具
取引先へのお礼状(中旬)
拝啓 陽春の候、貴社いよいよご清栄のこととお慶び申し上げます。
さて、先日は弊社新事業所の開所にあたり、ご丁寧なお祝いを賜り、誠にありがとうございました。皆様のご期待に沿えるよう、社員一同努めてまいります。
春とはいえ朝晩はまだ冷えることもございます。皆様どうぞご自愛くださいませ。
敬具
書類の送付状(中旬)
拝啓 春和の候、貴社ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。平素は格別のお引き立てを賜り、誠にありがとうございます。
さて、新年度のお取引に関する書類を同封いたしましたので、ご査収くださいますようお願い申し上げます。ご不明な点がございましたら、担当の△△までお問い合わせください。
敬具
記
・契約書 2部
以上
催しの案内状(下旬)
拝啓 晩春の候、貴社におかれましてはますますご隆盛のこととお慶び申し上げます。平素はひとかたならぬご厚情を賜り、心より御礼申し上げます。
さて、弊社では下記のとおり新年度の取引先懇親会を催すことといたしました。ご多用の折とは存じますが、ご出席賜りますようご案内申し上げます。
敬具
記
日時・会場(差し替え)
以上
学校・PTA・地域のお便り(上旬〜中旬)
保護者の皆様へ
桜の花が咲き、新しい年度が始まりました。皆様にはお健やかにお過ごしのこととお喜び申し上げます。
さて、本年度のPTA総会を下記のとおり開催いたします。お忙しいところ恐れ入りますが、ご出席くださいますようお願い申し上げます。
記
日時・会場(差し替え)
以上
恩師・目上の方への近況の手紙(中旬・個人あて)
拝啓 陽春の候、◯◯先生にはますますご清祥のこととお慶び申し上げます。
ご無沙汰しておりますが、お変わりなくお過ごしでしょうか。私はこの4月から新しい部署に移り、慣れないことも多いながら、先生に教わったことを励みに毎日を過ごしております。
季節の変わり目でございます。どうぞお体を大切になさってください。
敬具
注意
「貴社ますますご清栄のこと」は会社あて、個人あてなら「◯◯様にはますますご清祥のこと」とするのが一般的です。頭語と結語の組み合わせや手紙全体の構成は時候の挨拶 一覧にまとめています。
4月の結びの挨拶
ビジネス(取引先・目上の方)
- 新年度も変わらぬお引き立てのほど、よろしくお願い申し上げます。
- 季節の変わり目、皆様どうぞご自愛ください。
- 春暖の折、皆様のますますのご活躍をお祈り申し上げます。
- 新年度の門出にあたり、貴社のさらなるご発展をお祈り申し上げます。
- 年度初めの慌ただしい時期かと存じます。どうかご無理をなさいませんように。
- 花冷えの折、皆様どうぞお体を大切になさってください。
- 過ぎゆく春を惜しみつつ、貴社のますますのご繁栄を心よりお祈り申し上げます。
やわらかい結び(親しい相手)
- 新しい生活、無理せず頑張ってください。
- 新しい季節、どうぞ楽しくお過ごしください。
- 暖かくなりましたら、ぜひお茶でもご一緒しましょう。
- 朝晩はまだ冷えますので、風邪など召されませんように。
- 連休には、ゆっくり体を休めてくださいね。
結びは相手の健康を気づかう一文と今後のお付き合いのお願い・相手の発展を祈る一文の組み合わせが基本です。最後に頭語と対になる結語(拝啓なら敬具)を置きます。
カジュアルな例(社内・親しい相手)
皆さん、新年度もよろしくお願いします。桜がきれいな季節になりましたね。新しく加わったメンバーもいるので、気軽に声をかけ合っていきましょう。
◯◯さん、新しい部署はいかがですか。春らしい陽気が続いていますね。落ち着いたら、またゆっくり話しましょう。
(入学祝いのお礼・親戚へ)桜が満開の中、◯◯も無事に入学式を迎えました。このたびはお祝いをいただき、本当にありがとうございました。本人も新しいランドセルで張り切って通っています。
(社内チャット)おはようございます。今日は花冷えですね。本日の打ち合わせ資料を共有します。
4月は新しい人との最初のやり取りが多い月です。社内では漢語調は硬すぎるので、季節の一言+本題くらいの軽さが読みやすく、相手との距離を縮めるきっかけにもなります。
メールでの使い方
取引先とのふだんのメールでは、時候の挨拶は省いても失礼にはなりません。新年度の挨拶や担当交代のメールなど、初めてやり取りする相手や改まった用件では、冒頭に口語調の一文を入れると丁寧です。拝啓・敬具はメールでは省くことが多いです。新年度の挨拶メールの例文は新年度の挨拶メールにあります。
件名:担当交代のご挨拶(△△社 △△)
◯◯株式会社 ◯◯様
いつも大変お世話になっております。△△社の△△です。
桜の花もほころび、春らしい陽気となりました。
このたび、◯月より貴社の担当を務めることになりました。(本題)
新年度もどうぞよろしくお願いいたします。
新生活を迎えた相手への一言(相手の状況別)
| 相手の状況 | 書き出し・本文に添える一言 | 結びの一言 |
|---|---|---|
| 入学したお子さんがいる | お子様のご入学、誠におめでとうございます。 | 新しい学校で、たくさんの友達に恵まれますように。 |
| 就職・入社した | ご就職おめでとうございます。新しい職場はいかがですか。 | 慣れないうちは無理をせず、体を大切にしてください。 |
| 異動・昇進した(取引先) | このたびのご栄転、心よりお祝い申し上げます。 | 新天地でのご活躍をお祈り申し上げます。 |
| 転勤・引っ越しをした | 引っ越しの片付けは、そろそろ落ち着きましたか。 | 落ち着いたら、新しい街の話を聞かせてください。 |
| お子さんが入園した | ご入園おめでとうございます。毎朝の支度もにぎやかになったことでしょう。 | 親子ともども、新しい毎日を楽しまれますように。 |
新生活の話題は相手の近況を知っているときだけ使います。異動や転勤が希望どおりだったか分からない相手には、「おめでとう」より「新しい環境でのご活躍をお祈りしております」のような言い方のほうが角が立ちません。
4月の話題に使える行事・暦・季節の言葉
| 日付(2027年) | 行事・暦 | 書き出し・本文での使い方の例 |
|---|---|---|
| 4月1日ごろ | 新年度の始まり、入社式 | 「新年度を迎え、身の引き締まる思いでおります」 |
| 4月上旬 | 入学式・入園式 | 「入学式を終えた親子連れの姿を見かけるようになりました」 |
| 4月5日 | 清明(二十四節気) | 「清明を過ぎ、草木の緑が明るく輝く頃となりました」 |
| 4月20日 | 穀雨(二十四節気) | 「穀雨を過ぎ、やわらかな春の雨が緑を育てる季節となりました」 |
| 4月29日 | 昭和の日(国民の祝日) | 「まもなく大型連休ですね」と連休前の気づかいに |
このほか、花(桜・菜の花・チューリップ・藤・つつじ)、食べ物(筍・菜の花・新玉ねぎ・春キャベツ)、風物詩(お花見・花冷え・春雨・春の嵐・新入生)も4月らしい話題です。相手の地域の名所や名産に触れると、定型の挨拶より印象に残ります。
二十四節気の日付は年によって前後します。日付は国立天文台 暦要項、祝日は内閣府「国民の祝日について」で確認できます。
4月の時候の挨拶でよくある失敗
| 失敗 | なぜ困るか | 直し方 |
|---|---|---|
| 4月に「早春の候」「春寒の候」 | 2〜3月の言葉で、4月の季節感とずれる | 上旬は「春暖の候」、迷ったら「陽春の候」 |
| 下旬に「桜花の候」 | 多くの地域では桜が散った後 | 「晩春の候」「葉桜の候」に替える(寒い地域あては別) |
| 清明より前に「清明の候」、穀雨より前に「穀雨の候」 | 二十四節気の言葉は、その日を過ぎてから使う | 日付(2027年は清明4月5日・穀雨4月20日)を確かめる |
| 個人あてに「貴社ますますご清栄」 | 会社に向けた定型をそのまま使っている | 「◯◯様にはますますご清祥のこと」 |
| 書き出しと結びで同じ言葉を重ねる | 「陽春の候」で始めて「陽春の折」で結ぶとくどい | 結びは「季節の変わり目、ご自愛ください」など言い換える |
| 5月に届く文書に4月の言葉 | 相手は5月の季節感で読む | 届く日が5月なら5月の言葉(新緑の候など)に替える |
新年度に出すことが多い文書
送る前のチェック
- 届く日の旬(上旬・中旬・下旬)と言葉が合っている
- 桜の言葉が相手の地域の季節に合っている
- 清明・穀雨の言葉を、その日より前に使っていない
- 会社あては「ご清栄」、個人あては「ご清祥」にした
- 頭語と結語が対になっている(拝啓—敬具)
- 書き出しと結びで同じ季節の言葉を重ねていない
- 着任・担当交代の挨拶状に今後の支援のお願いを入れた
- 結びに相手を気づかう一文がある
この記事の要点
- 4月は上旬「春暖・桜花」、中旬「陽春・春爛漫」、下旬「晩春・穀雨・葉桜」が目安。
- 迷ったら月を通して使える「陽春の候」。
- 桜の言葉は相手の地域の開花に合わせる。
- 清明(2027年は4月5日)・穀雨(4月20日)の言葉はその日を過ぎてから。
- 新年度の挨拶状は、結びに今後の支援のお願いを。新生活の相手には状況に合う一言を。
FAQ
よくある質問
月を通して使いやすいのは「陽春の候」です。上旬は「春暖の候」「桜花の候」、下旬は「晩春の候」「穀雨の候」が合います。迷ったら季節を問わない「時下」も使えます。
桜の咲いている時期に使う言葉なので、相手の地域で桜が咲いているかどうかで判断します。開花の時期は地域で大きく違うため、分からなければ「陽春の候」を選びます。
使えます。3月下旬から4月上旬に使われることが多い言葉です。4月中旬以降は「陽春の候」、下旬は「晩春の候」に替えると季節感が合います。
「晩春の候」「惜春の候」「葉桜の候」などが使えます。5月に入ったら「新緑の候」「若葉の候」などに切り替えることが多いです。
「桜の便りがあちこちから届く季節となりました」「うららかな春の日差しが心地よい季節となりました」「葉桜の緑がまぶしい季節となりました」などがあります。
メールなら必須ではありませんが、初めての相手には「桜の花もほころび、春らしい陽気となりました」のような一文を添えると柔らかくなります。郵送の挨拶状なら「拝啓 春暖の候、」から始めると整います。
ビジネスなら「新年度も変わらぬお引き立てのほど、よろしくお願い申し上げます」「季節の変わり目、皆様どうぞご自愛ください」。親しい相手なら「新しい生活、無理せず頑張ってください」などです。