撮影の実務
撮影用語一覧
テッペン・ナメ・完パケなど現場の言葉の意味
広告の撮影に初めて立ち会うと、「テッペン越えそう」「そこ、わらっておいて」「肩ナメで」といった言葉が飛び交い、何を言われているのか分からないことがあります。このページでは、撮影現場でよく使われる言葉を分野ごとに一覧にしました。イベント全般の言葉(押す・巻く・バミリ・バラシなど)はイベント業界用語集にまとめているので、あわせて使ってください。
結論
撮影用語は、時間と進行、カメラワーク、画の大きさと構図、美術・小道具、編集と仕上げに分けると覚えやすくなります。同じ言葉でも、テレビ・CM・映画・写真など分野や会社で意味が少し違うことがあるので、迷ったらその場で聞き返すのが確実です。
時間と進行の用語
| 用語 | 読み | 意味 |
|---|---|---|
| テッペン | てっぺん | 夜中の0時のこと。時計の針がいちばん上に来ることから。「テッペン越え」は日付をまたぐこと |
| ケツカッチン | けつかっちん | 後の予定が決まっていて、終わりの時刻を延ばせないこと |
| 段取り | だんどり | 撮影現場では、本番の前に出演者の動きや立ち位置を確かめること。ドラマなどでよく使う |
| ドライ | どらい | カメラを回さずに行うリハーサル(ドライリハーサル)。段取りとほぼ同じ意味で使う現場もあり、順番や呼び方は現場で違う |
| テスト | てすと | 本番と同じように動いて、カメラ・照明・音の具合を確かめるリハーサル。カメラを回すかどうかは現場で違う |
| 本番 | ほんばん | 実際に記録する撮影 |
| 回す | まわす | カメラの記録を始めること。「回った」は記録が始まったこと |
| テイク | ていく | 同じカットを撮った回数の単位。「テイク2」は二回目の撮影 |
| キープ | きーぷ | 使える候補として残しておくテイク。「キープでもう一回」は、そのテイクを候補に残したうえで撮り直すこと |
| 押さえ | おさえ | 念のために撮っておく別の撮り方のカット。日程や人を確保する意味でも使う(仮押さえ) |
| 撮りこぼし | とりこぼし | 予定していたのに撮れなかったカット |
| 撮って出し | とってだし | 撮影した素材を、ほとんど手を加えずにすぐ使うこと |
カメラワークの用語
| 用語 | 読み | 意味 |
|---|---|---|
| パン | ぱん | カメラの位置は変えずに、左右に振ること |
| ティルト | てぃると | カメラの位置は変えずに、上下に振ること |
| ズーム | ずーむ | レンズの操作で画を寄せたり引いたりすること |
| ドリー | どりー | 台車やレールにカメラを載せて、カメラごと移動しながら撮ること |
| フィックス | ふぃっくす | カメラを固定して動かさずに撮ること |
| 手持ち | てもち | 三脚などを使わず、カメラを手で持って撮ること |
| ジンバル | じんばる | 手持ちでも揺れを抑える機材 |
| クレーン | くれーん | 腕の先にカメラを付け、高い位置から動きながら撮る機材 |
画の大きさと構図の用語
| 用語 | 読み | 意味 |
|---|---|---|
| 寄り・引き | より・ひき | 寄りは対象を大きく、引きは広く映すこと |
| アップ | あっぷ | 顔や商品を画面いっぱいに映すこと |
| バストショット | ばすとしょっと | 人物の胸から上を映すこと |
| フルショット | ふるしょっと | 人物の全身を映すこと |
| ナメ | なめ | 手前に人や物を入れ込んで、その奥を映す構図。「肩ナメ」は手前の人の肩越しに相手を撮ること |
| 抜け | ぬけ | 被写体の後ろに見える背景。「抜けがいい」は背景の見え方が良いこと |
| 画角 | がかく | 画面に映る範囲 |
| アオリ | あおり | 低い位置から見上げるように撮ること |
| 俯瞰(フカン) | ふかん | 高い位置から見下ろすように撮ること |
| 見切れる | みきれる | 画面の端で対象が切れること。映ってはいけないものが映り込むことを言う場合もある |
| 天地 | てんち | 画面や物の上下 |
美術・小道具・現場の用語
| 用語 | 読み | 意味 |
|---|---|---|
| わらう | わらう | 画面に映らないよう、物をどけること。「その椅子わらって」など |
| 消え物 | きえもの | 撮影で食べたり使ったりしてなくなる小道具。料理や飲み物など |
| 八百屋(八百屋飾り) | やおや | 物や台を手前に傾けて、カメラから見やすく並べること。八百屋の店先の並べ方から来た言い方とされる |
| 物撮り | ぶつどり | 商品だけを撮ること |
| スチール | すちーる | 写真(静止画)の撮影。映像(ムービー)と区別して言う |
| レフ板 | れふばん | 光を反射させて、被写体を明るくする板 |
| 前室 | まえしつ | スタジオの手前にある、出演者やスタッフが待機する場所 |
| ロケバス | ろけばす | ロケで出演者やスタッフが移動・待機に使う車 |
| 衣装合わせ | いしょうあわせ | 撮影の前に、出演者に衣装を着てもらって確かめること |
注意
撮影場所の下見はロケハンとは、現場の食事はロケ弁・撮影ケータリングの手配にまとめています。
編集と仕上げの用語
| 用語 | 読み | 意味 |
|---|---|---|
| ラッシュ | らっしゅ | 編集前の撮影素材。また、それを見て確かめること |
| オフライン編集 | おふらいんへんしゅう | 素材を仮につないで、構成と尺を決める編集 |
| オンライン編集 | おんらいんへんしゅう | 本番の画質で仕上げる編集。合成やテロップを入れる |
| MA | えむえー | ナレーション・BGM・効果音を合わせて音を仕上げる作業 |
| テロップ | てろっぷ | 画面に重ねる文字 |
| 白完 | しろかん | テロップなどの文字を入れる前の完成映像。現場によって指す範囲が違う |
| 完パケ | かんぱけ | そのまま放送・配信に使える状態に仕上がった完成品。完全パッケージの略とされる |
| テレコ | てれこ | 順番や位置が入れ替わっていること。「カット3と4がテレコ」など |
編集の工程の流れはCM制作の流れにまとめています。
この記事の要点
- 撮影用語は時間・カメラワーク・構図・美術・編集に分けると覚えやすい。
- テッペンは夜中の0時、ケツカッチンは終わりの時刻を延ばせないこと。
- ナメは手前に物を入れ込む構図、わらうは物をどけること。
- 完パケはそのまま使える完成品、白完は文字を入れる前の完成映像。
- 意味は分野や会社で違うことがあるので、迷ったら聞き返す。
FAQ
よくある質問
夜中の0時のことです。時計の針がいちばん上に来ることから、こう呼ばれます。「テッペン越え」は撮影が日付をまたぐことを指します。
手前に人や物を入れ込んで、その奥にある被写体を撮る構図です。手前の人の肩越しに相手を撮る「肩ナメ」がよく使われます。奥行きや人物どうしの関係が伝わりやすくなります。
撮影現場では、画面に映らないように物をどけることを言います。「その段ボールわらっておいて」のように使います。
一般的には準備や手順のことですが、ドラマなどの撮影現場では、本番の前に出演者の動きや立ち位置を確かめることを指す場合があります。現場によって使い方が違うので、分からなければ聞き返してください。