リハーサル
イベントのリハーサルの進め方
場当たり・ゲネプロの違いと、当日のタイムテーブル
イベントのリハーサルで最初に決めるのは、何を確かめるためのリハーサルかです。台本の言葉を確かめるのか、照明や音響のきっかけを確かめるのか、人の出入りと立ち位置を確かめるのか、本番どおりに通して時間を測るのか。目的ごとに読み合わせ・技術リハーサル・場当たり・通しリハーサル・ゲネプロと種類が分かれます。会場を使える時間は限られているため、全部を本番どおりにやる余裕はたいていありません。このページでは、種類の違い、時間が足りないときにどこを優先するか、当日のタイムテーブルの組み方を順に説明します。
結論
リハーサルは①確かめたいことを洗い出す ②種類(読み合わせ・技術リハ・場当たり・通し・ゲネプロ)に振り分ける ③会場を使える時間に並べ、優先する場面を決める ④参加者に時刻と内容を知らせる ⑤見つかった修正を台本・キューシートに反映して本番前に配るの順で組みます。用語はイベント業界用語集、進行表の書式はキューシートの書き方を参照してください。
結論:リハーサルの種類と、それぞれで確かめること
| 種類 | 確かめること | 参加する人 | 会場が要るか |
|---|---|---|---|
| 読み合わせ | 台本の言葉、固有名詞の読み方、話す順番 | 司会者、登壇者、進行責任者 | 要らない(オンラインでも可) |
| 技術リハーサル | 音響・照明・映像のきっかけ、マイクの本数と受け渡し | 技術スタッフ、進行責任者 | 要る |
| 場当たり | 立ち位置、出入りの経路、転換の段取り | 出演者・登壇者(代役でも可)、舞台袖の担当 | 要る |
| 通しリハーサル | 開始から終わりまでの流れと所要時間 | 本番の関係者 | 要る |
| ゲネプロ | 本番と同じ条件(衣装・機材・進行)での最終確認 | 本番の関係者全員 | 要る |
場当たりは動きと位置を確かめるための部分的なリハーサルで、台詞やトークの中身は省くのが普通です。ゲネプロは本番と同じ条件で行う最終リハーサルで、途中で止めずに通すことを原則にします。止めて直すのは通しリハーサルまで、ゲネプロは止めずに通して時間と全体を確かめる、と分けると、現場で混乱しません。
Point
呼び方は会社や現場によって揺れます。「リハ」とだけ言うと、通しを指すのか場当たりを指すのかが人によって違います。案内では種類の名前と「何を確かめるか」を必ず併記してください。
時間が足りないときに優先する場面の決め方
会場の使用時間が短く、全部を通せない場合は、次の基準で優先順位を付けます。上の行ほど優先です。
| 優先 | 場面の条件 | 例 |
|---|---|---|
| 高 | 人や物が動き、事故やけがの恐れがある | 暗転中の出入り、段差のある登壇、重い物の転換 |
| 高 | 技術のきっかけが重なる | 映像と音楽と照明が同時に切り替わる開演、表彰者の呼び込み |
| 高 | やり直しがきかない | 生配信の開始、カウントダウン、除幕 |
| 中 | 初めて登壇する人がいる | 社外のゲスト、来賓の挨拶 |
| 中 | 転換の時間が読めない | セットの入れ替え、テーブルの移動 |
| 低 | 話すだけで動きがない | 挨拶の中身、トークの内容(読み合わせで済ませる) |
注意
話す内容の確認は会場がなくてもできます。会場の時間は「動き」と「きっかけ」に使い、言葉の確認は事前の読み合わせに回すと、限られた時間を有効に使えます。
準備のチェックリスト
- リハーサルの種類ごとに、確かめることを一行で書いた
- 会場の使用可能時間(搬入・設営と重ならない時間)を会場に確認した
- 優先する場面を決め、全部できない場合に省く場面も決めた
- 参加者ごとに、集合時刻と出番の時刻を個別に知らせた
- 登壇者が来られない場面の代役(立ち位置の確認用)を決めた
- 台本・キューシートの最新版を印刷し、版の日付を入れた
- 床の立ち位置にバミリ(位置の印)を貼る担当を決めた
- 暗転中や段差のある場所を人が動く場面は、足元の見え方と誘導の方法を技術スタッフ・会場と確認した
- マイクの本数と受け渡しの順番を決め、技術スタッフに共有した
- リハーサルで出た修正を記録する担当を一人決めた
- 修正を反映した版を配る時刻を決めた
会場の使用条件や設備の確認は会場下見のチェックリスト、音響・照明・映像の手配は音響・映像機材の手配を参照してください。
本番当日のタイムテーブルの組み方
本番当日にリハーサルを行う場合は、開場時刻から逆算して組みます。時刻は会場の使用条件と、各工程にかかる時間の自社の実績で決めてください。次の表は順番の例で、時刻はすべて◯にしています。
| 時刻 | 工程 | 確かめること・注意 |
|---|---|---|
| ◯:◯◯ | スタッフ集合・設営の確認 | 設営の終わっていない場所を洗い出す |
| ◯:◯◯ | 技術リハーサル | 音響・照明・映像のきっかけ。出演者は不要 |
| ◯:◯◯ | 出演者・登壇者の到着 | 控室への案内、最新の台本の受け渡し |
| ◯:◯◯ | 場当たり | 優先度の高い場面から。立ち位置と出入り |
| ◯:◯◯ | 通しリハーサル(または要所の抜き出し) | 時間を測る。止めて直すのはここまで |
| ◯:◯◯ | 修正の反映と最終版の配布 | 変更点を全員に伝える |
| ◯:◯◯ | 休憩・食事・着替え | 出演者の休憩を削らない |
| ◯:◯◯ | 最終確認(スタッフのブリーフィング) | 変更点、緊急時の連絡、持ち場 |
| ◯:◯◯ | 開場 | ここから先はリハーサルをしない |
Point
開場前に「修正を反映する時間」と「休憩」を必ず確保してください。リハーサルが押したときに削られやすいのがこの2つで、削ると、修正が伝わらないまま本番に入るか、出演者が疲れた状態で本番に入るかのどちらかになります。開場時刻を動かせない場合は、場当たりの場面を減らして調整します。
時刻の計算はタイムテーブル作成ツールで進められます。本番前の準備全体の工程はイベントのスケジュール管理を参照してください。
リハーサル中の役割と連絡
| 役割 | やること |
|---|---|
| 進行責任者(舞台監督) | リハーサルの開始・中断・再開を宣言し、どの場面をやるかを決める |
| 記録係 | 出た修正をその場で書き取り、誰が直すかを書く |
| タイムキーパー | 場面ごとの所要時間を測り、予定との差を記録する |
| 舞台袖の担当 | 出演者の呼び込み、出入りの誘導、小道具の受け渡し |
| 技術スタッフ | きっかけの確認、音量・明るさの調整 |
リハーサル中の場内連絡の文例
これより場当たりを始めます。開演から一人目のご挨拶までを確認します。台詞は省略し、立ち位置と出入りだけを確認します。止めるときは私から「止めます」と声をかけます。
ここで一度止めます。表彰者の登壇の経路を変更します。変更は記録係がまとめ、◯:◯◯に修正版の台本をお配りします。
これよりゲネプロを始めます。本番と同じ進行で、途中で止めずに最後まで通します。気づいた点はメモに残し、終了後にまとめてお伝えください。
よくある失敗
| 失敗 | 起きる理由 | 防ぎ方 |
|---|---|---|
| リハーサルで時間を使い切る | 冒頭から順番に丁寧にやった | 優先する場面を決め、高いものから行う |
| 修正が本番に反映されない | 記録する人がおらず、口頭で終わった | 記録係を決め、修正版を配る時刻を決める |
| ゲネプロで止めて直し始める | 通しとゲネプロの目的を分けていなかった | 直すのは通しまで、ゲネプロは止めないと宣言する |
| 登壇者が本番で迷う | 代役で場当たりをして本人に伝えなかった | 本人の到着後に、立ち位置と出入りだけを短く確認する |
| 開場が遅れる | リハーサルが押して開場前の時間を食った | 開場時刻を固定し、場面を減らして調整する |
この記事の要点
- リハーサルは「何を確かめるか」で種類を分ける。読み合わせ・技術リハ・場当たり・通し・ゲネプロ。
- 直すのは通しリハーサルまで。ゲネプロは本番と同じ条件で、止めずに通す。
- 時間が足りなければ、事故の恐れ・技術のきっかけ・やり直しのきかない場面を優先し、言葉の確認は読み合わせに回す。
- 当日のタイムテーブルは開場時刻から逆算し、修正の反映と休憩の時間を削らない。
- 記録係を決め、修正版を配る時刻まで決めておく。
FAQ
よくある質問
場当たりは、立ち位置や出入り、転換の段取りといった動きと位置を確かめる部分的なリハーサルで、台詞やトークの中身は省くのが普通です。ゲネプロは、衣装・機材・進行を本番と同じ条件にして行う最終リハーサルで、途中で止めずに通すことを原則にします。
どちらも最初から最後まで通しますが、通しリハーサルは問題が見つかれば止めて直すための確認、ゲネプロは本番と同じ条件で止めずに通す最終確認、と分けると現場で混乱しません。会社や現場によって呼び方が揺れるため、案内では「何を確かめるか」を併記してください。
決まった日数はありません。会場を本番前に使えるかどうか、出演者の都合、修正を反映する時間によって決まります。会場を使えない場合でも、読み合わせは事前にオンラインで行えます。会場でのリハーサルが本番当日しかできない場合は、開場時刻から逆算してタイムテーブルを組んでください。
人や物が動いて事故の恐れがある場面、音響・照明・映像のきっかけが重なる場面、生配信の開始などやり直しがきかない場面を優先します。話す内容の確認は、事前の読み合わせで済ませてください。
スタッフが代役になり、立ち位置と出入りの経路を確認します。登壇者が到着したら、本人に立ち位置・出入り・マイクの受け取り方だけを短く伝え、可能ならその場で一度歩いてもらいます。
記録係を一人決め、修正の内容と誰が直すかをその場で書き取ります。修正を反映した台本・キューシートを配る時刻をあらかじめ決め、版の日付を入れて配ると、古い版が使われるのを防げます。