社内文書
業務マニュアルの作り方
目次テンプレートと分かりやすく書くコツ
業務マニュアルは、「誰が読むのか」と「読んだ後に何ができればよいか」を最初に決め、全体の流れ→役割→ルール→手順→困ったときの順に目次を組むと、迷わずに作れます。いきなり手順から書き始めると、読む人は自分がどこにいるのか分からなくなります。冒頭に置く一文は、たとえば「このマニュアルは、電話応対を初めて担当する人が、一人で電話を受けて取り次げるようになるためのものです」。この一文があるだけで、何を書き、何を省くかが決まります。イベント運営のマニュアルはイベント運営マニュアルの作り方にまとめています。
結論
業務マニュアルは①目的と対象 ②業務の全体の流れ ③役割と担当 ④守るルール ⑤手順(または手順書の一覧) ⑥困ったとき・よくある質問 ⑦問い合わせ先 ⑧更新履歴で構成します。一つひとつの作業の細かな手順は手順書に分け、マニュアルからは見出しと保存場所で案内すると、更新の手間が減ります。
業務マニュアルに書く項目
| 項目 | 書くこと | 例 |
|---|---|---|
| 目的と対象 | 誰が読み、読んだ後に何ができればよいか | 新しく受付を担当する人が、一人で来客を案内できる |
| 全体の流れ | 業務の始まりから終わりまでを大きく | 受付→用件の確認→担当者への連絡→案内→お見送り |
| 役割と担当 | 誰が何をするか・誰が判断するか | 受付担当は案内まで。予約の変更は各部署が判断 |
| 守るルール | 必ず守ること・してはいけないこと | 来客の名前を社外の人がいる場所で読み上げない |
| 手順 | 作業ごとの手順、または手順書の一覧 | 「来客受付の手順」「会議室予約の手順」 |
| 困ったとき | よくある質問・例外・トラブルのとき | 担当者が見つからないとき、予約のない来客のとき |
| 問い合わせ先 | 迷ったときに聞く相手 | 総務課 ◯◯(内線◯◯) |
| 更新履歴 | いつ・誰が・何を変えたか | ◯年◯月◯日 ◯◯:会議室の予約方法を変更 |
Point
「目的と対象」を書かずに作り始めると、マニュアルは際限なく長くなります。初めての人向けなら基本だけ、慣れた人向けなら例外の扱いを厚く、と読む人によって書く量が変わるからです。
目次のテンプレート
そのままコピーして、自分の業務に合わせて見出しを書き換えて使えます。
◯◯業務マニュアル
作成日:◯年◯月◯日 最終更新日:◯年◯月◯日
作成者:(部署・氏名) 承認者:(上司の氏名)
はじめに
このマニュアルの目的/読む人/読んだ後にできること
業務の全体の流れ
流れ図または一覧/一日・一か月の中での時期
役割と担当
担当者/判断する人/協力する部署
守るルール
必ず守ること/してはいけないこと/その理由
手順
手順書の一覧と保存場所
困ったとき
よくある質問/例外の扱い/トラブルのときの連絡先
問い合わせ先
更新履歴
注意
ルールには、できるだけその理由を添えてください。理由が分かると、マニュアルに書いていない場面でも、読む人が自分で正しく判断できるようになります。
作る順番
- 01
目的と対象を一文で書く
「誰が」「読んだ後に何ができればよいか」を決めます。ここが決まらないうちは書き始めません。
- 02
業務の全体の流れを書き出す
始まりから終わりまでを大きく並べます。付箋やメモで並べ替えながら作ると、抜けが見つかります。
- 03
役割とルールを決める
誰が何をするか、何を必ず守るかを書きます。決まっていないことは、上司に確認してから書きます。
- 04
手順を書く(手順書に分ける)
流れの一つひとつについて、作業の手順を書きます。長くなる作業は手順書として別にします。
- 05
初めての人に読んでもらう
実際にその業務をしたことがない人に、マニュアルだけで作業してもらい、止まったところを直します。
- 06
置き場所と更新の担当を決める
どこに置くか、誰がいつ見直すかを決め、マニュアルの冒頭に書いておきます。
業務別の記入例
電話応対のマニュアル(はじめに)
このマニュアルの目的:
部署の代表電話を初めて受ける人が、一人で電話を受けて担当者に取り次げるようになること。
読む人:配属されたばかりの人、他部署から応援に来た人
このマニュアルで扱わないこと:クレームの対応(「クレーム対応マニュアル」を参照)
経費精算のマニュアル(守るルール)
守るルール
・領収書は原本を提出する。理由:会計の記録として保管するため
・申請は使った月の締め日までに行う。締め日は会社の決まりに従う
・立て替えた人以外が代わりに申請しない。理由:誰が使った費用かを明確にするため
保存の期間や、電子で受け取った領収書の扱いは会社ごとに違います。経理の担当部署が決めた社内のルールに従って書いてください。
問い合わせ対応のマニュアル(困ったとき)
困ったとき
Q.答えが分からない問い合わせが来た
A.その場で推測で答えず、「確認して折り返します」と伝え、担当者◯◯に相談する
Q.同じ人から何度も問い合わせが来る
A.やり取りの記録を確認し、◯◯課長に報告する
Q.個人情報の削除を求められた
A.受付だけを行い、◯◯部に引き継ぐ。その場で約束をしない
店舗の開店準備のマニュアル(全体の流れ)
開店準備の流れ
①出勤・身だしなみの確認
②店内の照明・空調を入れる
③売り場の清掃と商品の補充
④レジの準備(釣り銭の確認)
⑤朝礼(本日の連絡事項の共有)
⑥開店
※各作業の細かな手順は「開店準備の手順書」を参照
新人向けの総務マニュアル(役割と担当)
役割と担当
・郵便物の受け取りと仕分け:総務課の当番(当番表は共有フォルダ)
・宅配便の発送:各部署で手配。送り状の保管場所は総務課の棚
・社内の備品の貸し出し:総務課 ◯◯に申し出る
・判断に迷うこと:総務課長 ◯◯
新しく入った人の受け入れ準備そのものは新入社員の受け入れ準備にまとめています。
避けたい書き方
| 避けたい書き方 | 困ること | 書き直し |
|---|---|---|
| 臨機応変に対応すること | 何を基準に判断するか分からない | ◯◯のときは◯◯、迷ったら◯◯課長に相談 |
| 常識の範囲で | 人によって常識が違う | してはいけないことを具体的に書く |
| なるべく早く | いつまでか分からない | その日のうちに/受け付けてから当日中に |
| 担当者に確認すること | 誰のことか分からない | 総務課 ◯◯(不在のときは◯◯)に確認 |
| 以前のやり方は廃止 | 何が変わったか分からない | ◯年◯月から、◯◯は◯◯の方法に変更 |
一文が長くなったら、句点で区切って二つの文にします。専門用語や社内の略語は、初めて出てきたところで意味を書き添えます。言葉の使い分けで迷いやすい「改定」と「改訂」は改定・改訂の違いを参考にしてください。
作った後の運用と更新
- 置き場所を一つにする:古い版が複数の場所に残ると、どれが正しいか分からなくなります。
- 更新の担当を決める:マニュアルの冒頭に、誰が見直すかを書いておきます。
- 変えたら更新履歴に書く:何が変わったかを一行で残し、関係する人に知らせます。
- 使う人から直してほしい点を集める:読んで止まったところは、マニュアルの直しどころです。
マニュアルを変えたことを社内に知らせるときは、社内通知・お知らせの文例の形が使えます。
協力のお礼・誤りのお詫び
試しに読んでくれた人へのお礼(社内)
◯◯さん
お疲れさまです。□□です。
電話応対マニュアルを試しに読んでいただき、ありがとうございました。
ご指摘いただいた「保留の仕方」が分かりにくい点は、写真を加えて直しました。
おかげで、初めての人にも伝わる形になりました。
マニュアルの誤りを知らせるお詫び(社内)
件名:【訂正】経費精算マニュアルの締め日の記載について
営業部各位
お疲れさまです。経理課の□□です。
経費精算マニュアルの申請の締め日に、誤りがありました。申し訳ありません。
誤:毎月◯日
正:毎月◯日
共有フォルダのマニュアルは、本日修正しました。
すでに申請された方で、ご不明な点があれば□□までご連絡ください。
注意
訂正の連絡は、件名に【訂正】と入れ、誤りと正しい内容を並べて書くと、読む人がすぐに分かります。
この記事の要点
- 最初に目的と対象を一文で書く。
- 目次は全体の流れ→役割→ルール→手順→困ったとき→更新履歴。
- 細かな作業は手順書に分けて、マニュアルからは保存場所で案内する。
- ルールには理由を添える。
- 作ったら初めての人に読んでもらい、止まったところを直す。
FAQ
よくある質問
「誰が読むのか」と「読んだ後に何ができればよいか」を一文で書くところから始めます。次に業務の全体の流れを書き出し、役割とルール、手順の順に書いていくと、迷わずに作れます。
はじめに(目的と対象)、業務の全体の流れ、役割と担当、守るルール、手順、困ったとき、問い合わせ先、更新履歴の順が基本です。業務によって不要な見出しは省いて構いません。
読む人を決める、全体の流れを先に見せる、一文を短くする、あいまいな言葉を具体的にする、ルールに理由を添える、の五つです。作ったら、その業務をしたことがない人に読んでもらい、止まったところを直すのがいちばん確実です。
その業務をいちばんよく知っている担当者が書き、上司が確認する形が一般的です。誰が作り、誰が承認するかは会社の決まりに従ってください。担当者が一人で抱えず、初めての人に読んでもらう工程を必ず入れます。