許認可
イベントの仮設建築物とは
テント・ステージの許可(第85条第6項)と確認申請
先に結論です。 イベントのテント・ステージ・仮設客席などが建築基準法上の「建築物」に当たる場合は、次の2つの手続きの両方が関係します。
① 仮設建築物の許可(第85条第6項):特定行政庁(自治体の建築指導課など)が1年以内の期間を定めて建築を許可する
② 確認申請(第6条):①の許可を受けても省略されない。自治体の案内では①を先に(または同時に)出す
「建築物」かどうかの出発点は第2条第1号の定義で、屋根と柱(または壁)があり、土地に定着しているか、または観覧のための工作物か、です。小さなテントが当たるかは構造・固定方法・期間で変わるため、レンタル業者の仕様書を持って特定行政庁に確認するのが確実です。建築とは別に、興行場法(保健所)・消防・土地の使用許可も並行します。本記事では、条文と自治体の公開資料をもとに、場面別の判断の目安と、そのまま使える照会の例文5つをまとめます。
結論
イベントで設置する仮設のテント、ステージ、仮設店舗などは、建築基準法第85条第6項にいう「仮設興行場、博覧会建築物、仮設店舗その他これらに類する仮設建築物(仮設興行場等)」に当たりうるものです。同項により、特定行政庁が安全上・防火上・衛生上支障がないと認める場合に1年以内の期間を定めて建築を許可することができるとされ、あわせて一定の規定の適用が除外されます。別に、興行場を業として経営する場合は興行場法第2条第1項により都道府県知事の許可が必要です。
30秒でわかる結論 — 何が必要で、どの窓口か
仮設のテントやステージを建てるときに関係しうる手続きを、窓口ごとに並べます。どれか1つで全部が済むことはありません。
| 手続き | 根拠 | 窓口 | 何を確かめるか |
|---|---|---|---|
| 仮設建築物の許可 | 建築基準法第85条第6項(1年超は第7項) | 特定行政庁(建築指導課など) | 建てるものが許可の対象か、期間、必要図書、手数料 |
| 確認申請 | 建築基準法第6条(第6項の許可でも適用は外れない) | 建築主事・指定確認検査機関 | 要否と、仮設許可との提出順・同時提出の可否 |
| 興行場の営業許可 | 興行場法第2条第1項 | 保健所 | 自分の催しが興行場営業に当たるか、条例の基準 |
| 消防の届出等 | 火災予防条例など(地域による) | 消防署 | 火気の使用・収容人員など(内容は条例による)。消防への届出 |
| 土地を使う許可 | 都市公園法・道路交通法・道路法など | 公園管理者・警察署・道路管理者 | 公園の占用許可、道路使用許可 |
Point
土地を使う許可と、建てる許可は別物です。 公園の占用許可が下りても、建築基準法上の手続きが済んだことにはなりません。逆も同じです。
場面別 — これは仮設建築物に当たる?判断の目安
第2条第1号は、建築物を「土地に定着する工作物のうち、屋根及び柱若しくは壁を有するもの(これに類する構造のものを含む。)」や「観覧のための工作物」などと定義しています。イベントでよく使う設備を、この定義のどこが論点になるかで並べます。結論は窓口が出すもので、下の表は相談前の整理用です。
| 設置するもの | 定義上の論点 | 第6項の例示との関係 | 相談のときに持っていくもの |
|---|---|---|---|
| 運動会・式典の簡易テント、タープ | 屋根と柱はある。土地に定着しているか(置くだけか、アンカーで固定するか)と設置期間 | 用途によっては「これらに類する仮設建築物」として検討 | テントの仕様書、固定方法、設営〜撤去の日程 |
| マルシェ・物販・飲食の仮設店舗テント | 屋根と柱。店舗としての使い方 | 「仮設店舗」は第6項に例示がある | 配置図、1張ごとの寸法、出店数 |
| 屋根付きのステージ | 屋根と柱。規模と高さ | 催しの用途なら「仮設興行場」等として検討 | ステージの図面、屋根の構造、高さ |
| 仮設の観客席・観覧スタンド | 「観覧のための工作物」は定義に明記されている | 「仮設興行場」等として検討 | 客席の図面、段数・高さ、席数 |
| コンテナ・ユニットハウスの売店や受付 | 屋根・柱・壁があり、置き方(基礎・固定)と期間が論点 | 「仮設店舗」等として検討 | 製品の仕様書、据え付け方法、配置図 |
| 展示会・博覧会のパビリオン | 屋根・柱・壁がある構造物 | 「博覧会建築物」は第6項に例示がある | 全体配置図、各棟の図面、会期 |
注意
「置くだけだから建築物ではない」「テントは対象外」と自分で決めないでください。 判断は構造・大きさ・固定方法・設置期間で変わります。迷ったら、表の右端の資料をそろえて特定行政庁に聞くのが最短です。照会の文面は例文にあります。
根拠となる法令と資料
本記事の条文はe-Gov法令検索の建築基準法および興行場法から取得しています(2026年10月時点)。運用の例は、横浜市、神戸市、仙台市、福岡県の公開ページを2026年10月28日に確認したものです。
Point
本記事は国の法令の条文と、一部自治体の公開資料に基づく整理です。手数料・必要図書・提出時期・審査基準は自治体ごとに違います。最終的な判断と手続きは、必ず開催地の特定行政庁と保健所に確認してください。
第85条は項ごとに別の話 — イベントは第6項
第85条は「仮設建築物に対する制限の緩和」という見出しの条文ですが、中身は項ごとに対象が違います。災害時の応急仮設建築物を定めた第1項〜第3項を、イベントの仮設建築物の説明に使ってしまうと、期間も手続きも取り違えます。
| 項 | 対象 | イベントとの関係 |
|---|---|---|
| 第1項 | 非常災害区域等内の応急仮設建築物(災害発生日から1月以内に着工するもの) | 災害時の話。イベントではない |
| 第2項 | 災害があつた場合の停車場・官公署等の応急仮設建築物、工事現場の事務所・下小屋・材料置場等 | 災害時と工事現場の話。イベントではない |
| 第3項 | 第1項・第2項の応急仮設建築物を工事完了後3月を超えて存続させる場合の許可 | 応急仮設の話。イベントではない |
| 第6項 | 仮設興行場、博覧会建築物、仮設店舗その他これらに類する仮設建築物 | イベントが該当しうる項 |
| 第7項 | 1年を超えて使用する特別の必要がある仮設興行場等(国際的な規模の会議・競技会等) | 長期の大規模催しの場合 |
注意
「仮設だから3月まで」という説明を見かけたら、第3項の話と混ざっている可能性があります。 第3項は応急仮設建築物を工事完了後3月を超えて存続させる場合の許可の話です。なお、自治体によっては第6項の許可の手数料を期間(3か月以内か、それを超えるか)で分けている例があり、これも「3か月」という数字が出てくる理由の1つです(後述)。また、都市公園に催しの仮設工作物を設ける占用許可は、都市公園法施行令第14条第4号により占用期間の上限が3月です。これは建築の許可とは別の、土地を使う側の期間です(公園の占用許可)。
第85条第6項 — 1年以内の期間を定めた許可
特定行政庁は、仮設興行場、博覧会建築物、仮設店舗その他これらに類する仮設建築物(次項及び第百一条第一項第十号において「仮設興行場等」という。)について安全上、防火上及び衛生上支障がないと認める場合においては、一年以内の期間(…)を定めてその建築を許可することができる。
読み取るべき点
- 主語は特定行政庁 — 許可するのは自治体の側。自動的に緩和されるのではない
- 「安全上、防火上及び衛生上支障がないと認める場合」 — 3つの観点で見られる
- 「一年以内の期間を定めて」 — 期間を区切った許可。本番の日数ではなく建てている期間で考える
- 「許可することができる」 — 義務ではなく、判断の余地がある書き方
適用が除外される規定
第6項後段は、許可された場合に適用しない規定を列挙しています。条文の見出しとあわせて並べます。
| 適用しない規定 | 条文の見出し(e-Gov) | イベントで意味すること |
|---|---|---|
| 第12条第1項〜第4項 | 報告、検査等 | 定期報告・定期検査の仕組み |
| 第21条〜第27条 | 大規模の建築物の主要構造部等/屋根/外壁/防火壁等/耐火建築物等としなければならない特殊建築物 など | 防火・耐火に関する構造の規定 |
| 第31条 | 便所 | 下水道の処理区域内での水洗便所、汚物処理の性能に関する規定 |
| 第34条第2項 | 昇降機 | 高さ31メートルを超える建築物の非常用の昇降機 |
| 第35条の2 | 特殊建築物等の内装 | 内装の制限 |
| 第35条の3 | 無窓の居室等の主要構造部 | 窓のない居室の主要構造部 |
| 第37条 | 建築材料の品質 | 指定建築材料の品質 |
| 第3章 | 都市計画区域等における建築物の敷地、構造、建築設備及び用途 | 道路との関係(第43条)、用途地域(第48条)、容積率(第52条)、建蔽率(第53条)、高さ(第55条・第56条)など |
反対に、第20条(構造耐力)や第35条(特殊建築物等の避難及び消火に関する技術的基準)は列挙されていないため、許可を受けても適用されます。テントやステージの構造の安全性を示す資料が求められるのはこのためです。
Point
「適用されない規定がある」ことと、「何を作ってもよい」ことは別です。 列挙されていない規定は適用されますし、そもそも安全上・防火上・衛生上支障がないと認められることが許可の前提です。緩和を根拠に構造や防火の検討を省略しないでください。
1年を超える場合は第7項
第7項は、国際的な規模の会議又は競技会の用に供することその他の理由により1年を超えて使用する特別の必要がある仮設興行場等について、安全上・防火上・衛生上支障がなく、かつ公益上やむを得ないと認める場合に、必要と認める期間を定めて許可できると定めています。
注意
第8項により、第7項の許可をする場合は、あらかじめ建築審査会の同意を得なければならないとされています。手続きが1段階増えるため、1年を超える構想がある場合は、通常よりかなり早い段階から特定行政庁に相談してください。
期間を過ぎて残すと罰則の対象
第101条第1項第10号は、第85条第6項又は第7項の規定により特定行政庁が定めた期間を超えて仮設興行場等を存続させた場合の所有者・管理者・占有者を、百万円以下の罰金の対象としています。撤去日まで含めて期間を組み、天候などで撤去が延びそうなときは早めに窓口へ相談してください。
許可と確認申請の関係 — 許可を取っても確認申請は残る
いちばん誤解されやすい点です。第85条第6項の許可を受けても、確認申請(第6条)が不要になるわけではありません。
| 比べる点 | 第2項(災害時・工事現場の仮設) | 第6項(イベントの仮設興行場等) |
|---|---|---|
| 確認(第6条〜第7条の6) | 適用しない規定として列挙されている | 列挙されていない=適用される |
| 特定行政庁の許可 | 建てるときは不要(応急仮設建築物を3月を超えて存続させるときは第3項の許可) | 建てる前に許可が必要 |
| 期間 | 第3項の許可は第4項により2年以内 | 1年以内(1年超は第7項) |
自治体の案内も同じ整理です。神戸市は「第85条第6項に基づく許可を受けても、確認申請の手続きは必要」とし、確認申請書の提出前に許可手続きを行うよう案内しています。横浜市も確認申請の前に仮設許可申請が必要としています。
仙台市は、仮設許可申請とあわせて確認申請も仙台市に出す場合、構造計算等の審査を仮設許可の中で行うため、確認申請に構造計算書を添付しなくてよいと案内しています。同時提出ができるか、どの書類をどちらに付けるかは自治体ごとに違うので、事前相談で確かめてください。
そもそも「建築物」に当たるか
確認申請の前提は、建てるものが第2条第1号の「建築物」に当たることです。設備ごとの論点は場面別の判断の目安にまとめました。小さなテントやタープが当たるか、確認申請が要る規模かは、本記事では断定しません。
確認申請の対象になる建築物 — 第6条第1項の3区分
| 号 | 条文の要件 | イベントで関係しうる例 |
|---|---|---|
| 第1号 | 別表第一(い)欄の用途の特殊建築物で、その用途の床面積の合計が200平方メートルを超えるもの | 別表第一には劇場・映画館・演芸場・観覧場・集会場、百貨店・マーケット・展示場などが並ぶ |
| 第2号 | 第1号以外で、2以上の階数があるか、延べ面積が200平方メートルを超えるもの | 2層の仮設の建物、大きな仮設の建物 |
| 第3号 | 第1号・第2号以外で、都市計画区域・準都市計画区域等の中の建築物 | 会場がこれらの区域内なら、規模が小さくても対象になりうる |
第6条第4項は、確認済証の交付までの期間を、第1号・第2号は受理した日から35日以内、第3号は7日以内と定めています(構造計算の審査を要する場合などは、第6項により35日の範囲内で延長されることがあります)。仮設許可の審査はこれとは別に必要なので、設営日から逆算して余裕を持って相談を始めてください。横浜市は、個別に対応を求める場合があるとして事前の相談を案内しています。
Point
「10平方メートル以下なら確認申請は不要」は条件つきの話です。 第6条第2項が確認を不要としているのは、防火地域・準防火地域の外で、増築・改築・移転をする部分の床面積の合計が10平方メートル以内の場合です。会場に新しく建てるテントやステージにそのまま当てはめず、窓口に確認してください。
必要図書と手数料 — 自治体の例
申請に必要な図書や手数料は自治体が定めます。ここでは公開ページの例を示します(2026年10月28日確認)。開催地の最新の案内を必ず確認してください。
必要図書の例(横浜市の案内)
- 理由書
- 案内図・位置図
- 配置図
- 平面図・立面図・断面図
- 土地の使用承諾書(借地の場合)
- 工程表
- 委任状(代理人が申請する場合)
- その他(構造計算書など)
イベントの場合、テントやステージの図面・構造の資料はレンタル業者・施工業者から取り寄せることになります。発注の段階で「仮設許可の申請に使う図面と構造計算書を出せるか」を確認しておくと、後で慌てません。発注で決めておく項目はイベントの設営・施工の発注、レンタル機材の手配にまとめています。
手数料の例
| 自治体 | 第85条第6項の許可 | 第85条第7項の許可 |
|---|---|---|
| 横浜市 | 120,000円 | 160,000円 |
| 神戸市 | 許可期間3か月以内:60,000円/3か月を超え1年以内:120,000円 | —(本記事では未確認) |
注意
確認申請の手数料は別にかかります。 金額は自治体や指定確認検査機関によって違うため、本記事では示しません。予算を組む段階で、仮設許可と確認申請の両方の費用を窓口に確認してください。
興行場法 — 別の法律による許可
建築の話とは別に、興行場法という法律があります。公衆衛生の観点からの規制で、所管も窓口も違います。
「興行場」の定義
この法律で「興行場」とは、映画、演劇、音楽、スポーツ、演芸又は観せ物を、公衆に見せ、又は聞かせる施設をいう。(第1条第1項)
許可
業として興行場を経営しようとする者は、都道府県知事の許可を受けなければならない。(第2条第1項)
第1条第2項は「興行場営業」を、都道府県知事(保健所を設置する市又は特別区にあつては、市長又は区長)の許可を受けて、業として興行場を経営することと定義しています。窓口が保健所の系統である点に注意してください。
福岡県は、仮設のテントなどを設置して興行場として使用する場合も、使用日数や頻度によっては営業許可が必要になると案内しています。臨時営業の申請書類として、申請書、施設を中心とした見取り図、構造設備を示す平面図・立面図を挙げています。
基準は条例で定まる
第2条第2項は、設置の場所又はその構造設備が都道府県(保健所を設置する市又は特別区にあつては、市又は特別区)の条例で定める公衆衛生上必要な基準に適合しないと認めるときは許可を与えないことができる、と定めています。また第3条第2項により、入場者の衛生に必要な措置の基準も都道府県の条例で定められます。
注意
具体的な構造設備の基準に全国共通の数値は存在しません。 面積、便所の数、換気や照明の基準は条例事項です。開催地を所管する保健所に確認してください。
Point
自分の催しが「業として興行場を経営」に当たるかどうかは、個別の判断です。 本記事では断定しません。単発か継続か、日数、有料か、施設としての実態があるかなどが論点になります。該当しそうな規模・形態であれば、企画の早い段階で保健所に相談してください。
確認の進め方 — 順番どおりに
- 01
設置するものを構造として書き出す
テント、ステージ、仮設の客席、仮設店舗、仮設の囲い。何を、どのくらいの大きさで、どう固定するのか。レンタル業者の仕様書と図面を早めに取り寄せてください。会場内の配置は会場レイアウト図の作り方を参照してください。
- 02
使用期間を設営から撤去まで数える
第85条第6項は期間を定めた許可です。本番の日数ではなく、建てている期間で考えてください。1年を超える構想なら第7項の話になり、建築審査会の同意という手続きが加わります。
- 03
特定行政庁に事前相談する
窓口は建築指導課などの部署です。第85条第6項の許可の対象か、確認申請の要否、必要図書、提出の時期、同時提出の可否、手数料。ここでしか確定しません。下の照会文の例文を使ってください。
- 04
仮設許可 → 確認申請の順に出す
自治体の案内では、仮設許可は確認申請の前(または同時)です。図面の修正が入ると両方に影響するため、業者との図面の確定を先に済ませます。
- 05
保健所に相談する
興行場法は別の法律で、窓口も違います。自分の催しが興行場営業に当たるか、当たる場合に条例が定める基準は何かを確認します。
- 06
消防・土地の管理者にも並行して当たる
火気の使用や収容人員に関する手続きはイベントの消防への届出、公園なら都市公園法の占用許可、道路にかかるなら道路使用許可。全体像はイベントの許可・届出の一覧にあります。
- 07
期間内に撤去する
許可された期間を超えて残すと、第101条第1項第10号の罰則の対象です。撤去日を工程表に入れ、延びそうなら早めに相談します。
そのまま使える照会文の例文
窓口に相談するときは、何を・どこに・いつからいつまでを最初に伝えると話が早く進みます。◯◯の部分を書き換えて使ってください。
例文1:特定行政庁(建築指導課)への事前相談
◯◯市 建築指導課 ご担当者様
◯◯(団体名)の◯◯と申します。下記のイベントで仮設のテントとステージを設置する予定です。建築基準法第85条第6項の許可の対象となるか、あわせて確認申請の要否についてご相談させてください。
■概要
・イベント名/内容:◯◯/◯◯
・設置場所:◯◯(住所)
・設置するもの:テント ◯張(各 間口◯m×奥行◯m×高さ◯m)、ステージ ◯台(◯m×◯m、高さ◯m、屋根の有無:◯)
・固定方法:◯◯(ウエイト/アンカー等)
・設置期間:設営開始 ◯月◯日 〜 撤去完了 ◯月◯日
・想定来場者数:◯人
■伺いたいこと
1. 第85条第6項の許可の対象となるか
2. 確認申請の要否と、許可申請との提出順・同時提出の可否
3. 必要図書と提出期限、手数料
仕様書と配置図を添付いたします。ご確認のほど、よろしくお願いいたします。
◯◯(団体名) ◯◯(氏名)
電話:◯◯/メール:◯◯
例文2:保健所への相談
◯◯保健所 ご担当者様
◯◯(団体名)の◯◯と申します。仮設テント内で◯◯(演劇/音楽ライブ/上映など)を行う予定です。興行場法の営業許可が必要となるかについて、ご相談させてください。
■概要
・内容:◯◯
・場所:◯◯(住所)
・開催日数:◯日間(◯月◯日〜◯月◯日)、1日◯回
・入場料:有料(◯円)/無料
・客席数・想定入場者数:◯席/◯人
・便所・換気・照明の計画:◯◯
許可が必要な場合は、申請書類と提出時期もあわせてお教えいただけますと幸いです。平面図と見取り図を添付いたします。
◯◯(団体名) ◯◯(氏名)
電話:◯◯/メール:◯◯
例文3:レンタル・施工業者への資料依頼
◯◯株式会社 ◯◯様
いつもお世話になっております。◯◯の◯◯です。◯月◯日のイベントでお願いしているテント・ステージについて、自治体への仮設建築物の許可申請と確認申請に使うため、下記の資料をご提供いただけますでしょうか。
・平面図・立面図・断面図
・構造計算書(または構造の安全性を説明できる資料)
・使用する膜材の仕様(防炎性能の有無を含む)
・固定方法(ウエイト・アンカー)の仕様
自治体との相談のため、◯月◯日までにいただけますと助かります。よろしくお願いいたします。
例文4:電話で建築指導課に最初に聞くとき
(担当につながったら)
設置するのは、間口◯m・奥行◯mのテントが◯張と、◯m×◯mの屋根付きステージです。ウエイトで固定し、設営から撤去までは◯日間です。第85条第6項の許可と確認申請が必要になるか、必要な場合は図書と提出時期を教えていただけますでしょうか。図面はメールでお送りできます。
例文5:会場・土地の管理者への確認
◯◯(会場名・公園管理事務所) ご担当者様
◯◯(団体名)の◯◯です。◯月◯日のイベントで、仮設のテントとステージの設置を予定しております。設置にあたり、次の点をご確認いただけますでしょうか。
1. 地面へのアンカー打ち込みの可否と、使える固定方法
2. 設営・撤去に使える日時
3. 過去に同規模のテントを設置した催しで、自治体の建築の手続きが必要になったかどうか(把握されている範囲で)
4. 占用許可など、こちらで申請が必要な手続き
配置図と仕様書を添付いたします。お手数をおかけしますが、よろしくお願いいたします。
注意
例文5の3は参考情報として聞くものです。過去に手続きが不要だったとしても、今回も不要とは限りません。 判断は特定行政庁に確認してください。
よくある間違い
| 間違い | 正しくは |
|---|---|
| 「仮設だから建築基準法は関係ない」 | 第85条第6項は一部の規定の適用を外すもので、全部ではない。許可そのものが必要 |
| 「仮設許可を取ったから確認申請は不要」 | 第6項の適用除外に第6条(確認)は入っていない。要否は窓口で確認 |
| 「仮設建築物は3か月まで」 | 3月は第3項(応急仮設)や公園の占用期間の話。建築の許可はイベントなら第6項で1年以内の期間 |
| 「本番が1日だから期間は1日」 | 期間は設営開始から撤去完了までで数える |
| 「公園の許可が出たから建ててよい」 | 土地を使う許可と、建てる許可・確認は別の手続き |
| 「建築の窓口で全部済む」 | 興行場法は保健所、火気や収容人員は消防。窓口が違う |
| 「10平方メートル以下だから確認申請は不要」 | 第6条第2項は防火地域・準防火地域外の増築・改築・移転の話。新しく建てる仮設にそのまま当てはめない |
| 「許可を取れば防火や構造の規定は全部外れる」 | 外れるのは列挙された規定だけ。第20条(構造耐力)や第35条は適用される |
| 「図面は直前に業者からもらえばいい」 | 許可は確認申請の前。図面がないと相談も進まないので、発注時に依頼する |
チェックリスト
- 設置するものの寸法・構造・固定方法を説明できる資料(仕様書・図面)がある
- 業者に、平面図・立面図・断面図と構造計算書を出せるか確認した
- 設営開始から撤去完了までの期間を数えている
- 1年を超えるかどうかを確認した(超えるなら第7項・建築審査会の同意)
- 特定行政庁に第85条第6項の許可の対象か、確認申請の要否を相談した
- 仮設許可と確認申請の提出順・同時提出の可否・手数料を確認した
- 興行場営業に当たるかを保健所に相談した
- 消防の手続きの要否を確認した
- 設置場所について、土地を使う側の手続き(公園・道路等)を確認した
- 撤去日を工程表に入れ、許可期間内に撤去できる段取りにした
- 緩和される規定があることを理由に、安全・防火・衛生の検討を省略していない
屋外のテントは風への備えも欠かせません。屋外イベントの強風対策、万一の事故に備えるイベント保険もあわせて確認してください。
この記事の要点
- イベントの仮設建築物は建築基準法第85条第6項。災害時の応急仮設建築物を定めた第1項〜第3項とは別の項。
- 第6項は特定行政庁が、安全上・防火上・衛生上支障がないと認める場合に、1年以内の期間を定めて許可することができるという構造。自動的に緩和されるのではない。
- 第6項の適用除外に第6条(確認)は含まれない。自治体の案内でも、仮設許可を受けても確認申請は必要で、許可は確認申請の前(または同時)。
- 1年を超えるなら第7項。第8項により、あらかじめ建築審査会の同意が必要。期間を超えて残すと第101条第1項第10号の罰則の対象。
- 必要図書・手数料は自治体ごと。手数料を許可期間で分けている自治体もある。
- 興行場法第2条第1項の許可は窓口が保健所。構造設備の基準は条例で定まるため、全国共通の数値は存在しない。
FAQ
よくある質問
建築基準法第85条第6項の許可を受けても、確認(第6条)の規定は適用除外に含まれていないため、確認申請が不要になるわけではありません。神戸市も「許可を受けても、確認申請の手続きは必要」と案内しています。ただし、そのテントが建築物に当たるか、確認申請が要る規模かは、構造・大きさ・固定方法・期間で変わるため、本記事では断定しません。仕様書と図面を持って、開催地の特定行政庁に確認してください。
横浜市・神戸市は、確認申請の前に仮設許可の手続きを行うよう案内しています。神戸市に確認申請を出す場合は、確認申請書と許可申請書を同時に提出するよう案内されています。提出順や同時提出の可否は自治体によって違うため、事前相談で確認してください。
自治体が定めます。2026年10月28日に確認した例では、横浜市が第85条第6項の許可で120,000円、第7項の許可で160,000円、神戸市が許可期間3か月以内で60,000円、3か月を超え1年以内で120,000円としています。確認申請の手数料は別にかかります。開催地の最新の案内を確認してください。
建築基準法第85条第6項が定める「仮設興行場、博覧会建築物、仮設店舗その他これらに類する仮設建築物」のことで、条文では「仮設興行場等」と呼ばれます。前提として、第2条第1号の「建築物」(土地に定着する工作物のうち屋根及び柱若しくは壁を有するもの、観覧のための工作物など)に当たることが必要です。災害時の応急仮設建築物や工事現場の事務所は第85条第1項〜第3項で、イベントとは別の項です。
第85条第6項後段により、第12条第1項〜第4項(報告、検査等)、第21条〜第27条(防火・耐火に関する構造の規定)、第31条(便所)、第34条第2項(非常用の昇降機)、第35条の2(内装)、第35条の3(無窓の居室等の主要構造部)、第37条(建築材料の品質)と、第3章(道路との関係・用途地域・容積率・建蔽率・高さなど)が適用されません。第6条(確認)、第20条(構造耐力)、第35条(避難及び消火)は列挙されていないため適用されます。
第6条第2項が確認を不要としているのは、防火地域・準防火地域の外で、増築・改築・移転する部分の床面積の合計が10平方メートル以内の場合です。会場に新しく建てるテントにそのまま当てはまるとは限りません。また、都市計画区域等の中の建築物は、規模が小さくても第6条第1項第3号の対象になりえます。仕様書を添えて特定行政庁に確認してください。
第2条第1号は、建築物の定義の中に「観覧のための工作物」を明記しています。屋根の有無だけで判断せず、客席の図面を持って特定行政庁に確認してください。
第85条第3項に3月という期間が出てきますが、これは第1項・第2項の応急仮設建築物を工事完了後3月を超えて存続させる場合に許可が必要になる、という規定です。イベントの仮設興行場等は第6項で、こちらは1年以内の期間を定めた許可です。なお、手数料を許可期間3か月以内とそれを超える場合で分けている自治体もあります。また、都市公園で催しの仮設工作物を設ける占用許可は、都市公園法施行令第14条第4号により占用期間の上限が3月です。これは建築の許可とは別の、土地を使う側の期間です。
建築基準法第2条第1号は、建築物を「土地に定着する工作物のうち、屋根及び柱若しくは壁を有するもの」などと定義しています。小さなテントやタープがこれに当たるか、許可や確認申請が必要かは、構造や固定方法、設置期間によって判断が変わるため、本記事では断定しません。レンタル業者の仕様書を添えて、特定行政庁に確認してください。
建築基準法第101条第1項第10号は、第85条第6項又は第7項により特定行政庁が定めた期間を超えて仮設興行場等を存続させた場合の所有者・管理者・占有者を、百万円以下の罰金の対象としています。撤去日まで含めて期間を組み、延びそうなときは早めに特定行政庁に相談してください。
第85条第7項が、国際的な規模の会議又は競技会の用に供することその他の理由により1年を超えて使用する特別の必要がある仮設興行場等について、安全上・防火上・衛生上支障がなく、かつ公益上やむを得ないと認める場合に、必要と認める期間を定めて許可できると定めています。第8項により、この許可にはあらかじめ建築審査会の同意が必要です。
興行場法第2条第1項は「業として興行場を経営しようとする者は、都道府県知事の許可を受けなければならない」と定めています。福岡県は、仮設のテントなどを興行場として使う場合も使用日数や頻度によっては営業許可が必要と案内しています。自分の催しが当たるかは個別の判断になるため、企画の早い段階で保健所に相談してください。