資料
資料作成AIの使い方
構成はAI、中身は人の分業で速くする
結論から言うと、資料作成でAIに任せるべきなのは構成案、各ページのたたき台、表記の統一、提出前の点検の補助の4つです。金額・実績・日程・判断と、最終点検は人が担います。この分担を守れば、白紙から書き始める時間を短縮でき、「それらしいが中身のない資料」も防げます。
結論
資料作成のAI活用は①目的と読み手を決める ②AIに構成案を複数出させる ③人が構成を選ぶ ④ページごとのたたき台をAIに書かせる ⑤数値・実績などの固有情報を人が入れる ⑥デザインと表記を整える ⑦人が最終点検して書き出すの順で進めます。AIが担うのは②④⑥と⑦の点検補助で、判断と固有情報の投入は人が担当します。
まず結論:資料作成AIは3タイプを使い分ける
「資料作成AI」と呼ばれる道具は、得意な工程で大きく3つに分かれます。1つで全部を済ませようとせず、構成と原稿は対話型AI、見た目はスライド作成ツール、最終形式は普段使いのオフィスソフトと役割を分けると、手戻りが減ります。
| タイプ | 得意なこと | 苦手なこと | 向いている使い方 |
|---|---|---|---|
| 対話型AI(チャットで文章を生成するもの) | 構成案の比較、原稿の下書き、言い換え、要約、抜け漏れの指摘 | レイアウト、ブランドに合わせた見た目 | 構成づくり、原稿、想定質問、点検 |
| スライド生成機能のあるデザイン・プレゼンツール | テーマや原稿からページの見た目まで一度に作る | 案件固有の事実、論理の筋の良し悪しの判断 | 原稿が固まった後の体裁づくり |
| 文書・表計算・プレゼンソフトに組み込まれたAI機能 | 既存ファイルの要約、書き直し、社内テンプレートでの作成 | 白紙からの発想の幅 | 社内フォーマットに合わせる仕上げ |
注意
機能、料金、無料で使える範囲、入力データの取り扱いは製品ごとに異なり、随時変わります。導入前に各社の公式ページと利用規約で必ず確認してください。ツールの比較はイベント業務で使えるAIツールにまとめています。
Point
迷ったら「原稿を先、見た目は後」。最初からスライド生成ツールに丸投げすると、見た目は整っても論理が弱い資料になりがちです。対話型AIで構成と原稿を固めてから見た目に移る方が、修正回数が少なく済みます。
AIでスライド資料を作る7つの手順
- 01
目的・読み手・枚数を1文で決める
「宣伝部長に予算承認をもらうための10枚」のように、誰に何をしてもらう資料かを先に書きます。ここが曖昧だと、AIの出力も散らばります。
- 02
与件と素材をまとめて渡す
日程、会場、予算枠、ターゲット、過去の資料、議事録などを箇条書きにして貼ります。素材が多いほど一般論が減ります。社外秘の扱いは社内規程に従ってください。
- 03
構成案を3パターン出させて選ぶ
見出しの並びだけを3案出させ、決裁者が判断しやすい順を人が選びます。組み合わせても構いません。
- 04
1ページずつ原稿を書かせる
「見出し、結論1行、根拠3点、図にする内容」の形式で書かせます。1ページ1メッセージに絞ると読みやすくなります。
- 05
数値・実績・固有名詞を人が入れる
AIが仮置きした数値や事例はすべて消し、社内の実データに置き換えます。ここは省略できません。
- 06
スライドの見た目を整える
原稿をスライド作成ツールや社内テンプレートに流し込みます。色・フォント・ロゴは社内ルールを優先します。
- 07
点検してから書き出し・共有する
表記ゆれ、流用元の固有名詞の残り、数値の出所をAIと人の両方で確認し、提出形式(PowerPoint形式やPDFなど)で書き出して崩れを確かめます。
Point
時間が最も縮むのは手順3と4です。逆に手順5は短縮できません。短縮できない工程を先に確保しておくことが、締切前の事故を防ぎます。
どこをAIに任せ、どこを人がやるか
資料の骨格は、日程、金額、体制、実績といった案件固有の事実です。AIはこの事実を持っていません。分担は「事実を扱わない工程をAIに寄せる」という基準で決まります。
| 工程 | 担当 | 理由 |
|---|---|---|
| 目的と読み手の定義 | 人 | 案件の文脈と社内事情はAIには見えない |
| 構成案の列挙 | AI | 型のバリエーションを短時間で多数出せる |
| 構成の選定 | 人 | 決裁者が何で判断するかは人しか知らない |
| 各ページのたたき台 | AI | 白紙からの書き出しが最も時間を食う |
| 数値・固有名詞の投入 | 人 | 捏造リスクが最も高い領域 |
| 図表の骨格づくり | AI | 表の列設計、フロー図の段階整理は得意 |
| 表記とトーンの統一 | AI | 機械的な作業で、人がやると漏れる |
| リスク・条件の記述 | 人 | 責任が伴う。曖昧な表現は事故になる |
| 最終点検 | 人 | 出す責任は必ず人が持つ |
短縮できる工程・できない工程
- 白紙から構成を考える:大きく短縮できる。最も効果が出る工程
- 初稿を書く:短縮できる。ただし推敲の時間は減らない
- 数値や実績を集める:ほぼ短縮されない。社内の情報整理が先
- レビューと修正:やり方次第。質の悪い下書きはむしろ時間を増やす
- 表記ゆれの統一:大きく短縮できる。人の目視より漏れにくい
資料の種類ごとの作らせ方
読み手と目的が違えば、AIに任せる範囲も変わります。よく作る資料を一覧にしました。
| 資料 | 主な読み手 | AIに任せる範囲 | 人が必ず書く部分 |
|---|---|---|---|
| 企画書・提案書 | 社外の決裁者 | 構成案、企画の言語化、比較表の骨格 | 企画の核、実現性の根拠、費用、体制、実績 |
| 営業資料 | 見込み客の担当者 | 課題の整理、導入メリットの言い換え、想定質問 | 価格、導入事例、他社との比較の事実 |
| 会社紹介 | 取引先・採用候補者 | 沿革や事業説明の文章整理、見出し | 正式な社名・数値・沿革の事実 |
| 社内研修資料 | 社員 | 章立て、理解度確認の問題、要点のまとめ | 社内ルールの正確な内容、事例 |
| セミナー資料 | 参加者 | 話の流れ、各ページの要点、話す原稿 | 講師の経験談、データの出典 |
| 事業計画書の骨子 | 経営層・金融機関 | 章立て、書くべき項目の抜け確認 | 売上計画、資金計画などの数値すべて |
| 報告書 | クライアント・社内 | 章立て、数値の説明文、自由記述の分類 | 実数値、原因の解釈、次回への提言 |
| 進行資料 | 当日の運営スタッフ | 抜け漏れの指摘、時系列の整形 | 会場固有の制約、緊急時の判断基準 |
| オリエンシート | 協力会社 | 項目の網羅チェック、記入欄の設計 | 確定情報、予算枠、NG事項 |
企画書・提案書
最も時間がかかり、AIの効果も大きい資料です。ただし企画の核となるアイデアは人が出す前提で使ってください。AIに企画そのものを出させると、どの会社にも当てはまる案が並びます。
- 01与件(目的、ターゲット、予算枠、時期、会場条件)をAIに渡す
- 02「決裁者が予算承認をする前提で、構成案を3パターン」と指示する
- 03決裁者の関心に合う構成を人が選ぶ(組み合わせてもよい)
- 04選んだ構成に沿って、ページごとにたたき台を書かせる
- 05企画の核、費用、体制、実績を人が入れる
- 06全体のトーンをAIで統一し、人が最終点検する
注意
企画書の書き方はイベント企画書の書き方、提案文の手順はAIで提案文を書く、雛形は企画書テンプレートを参照してください。
進行資料
進行資料は網羅性の勝負です。AIには書かせるより、抜けを指摘させる方が効きます。作成済みの進行表を貼り、記載のない項目、担当者の移動が間に合わない箇所、悪天候や機材トラブルで破綻する箇所を挙げさせてください。採否は会場の事情を知る人が決めます。
報告書
データが揃っていれば最も自動化しやすい資料です。逆に、データが揃わない段階で書かせると、もっともらしい所見が創作されます。実数を先に確定させ、アンケートの自由記述の分類と数値の説明文をAIに任せ、原因の解釈と提言は人が書きます。構成はイベント報告書の書き方と例文にまとめています。
オリエンシート
協力会社に渡す条件整理シートは、空欄が残っていること自体に意味があります。AIに埋めさせず、項目の設計だけを任せ、未確定の欄は「未確定」と明記して送ります。送信前に、AIが勝手に埋めた数値がないか確認してください。
そのまま使える指示文20例
指示文は役割・読み手・目的・与件・出力形式・禁止事項の6要素で組み立てると、資料の種類が変わっても使い回せます。
| 要素 | 書く内容の例 | 抜けたときに起きること |
|---|---|---|
| 役割 | 「イベント制作会社のプランナーとして」 | 一般論の文章になる |
| 読み手 | 「クライアントの宣伝部長、決裁権あり」 | 誰向けか定まらず、説明過多になる |
| 目的 | 「予算承認を得る」 | 情報の取捨選択ができない |
| 与件 | 日程、会場、予算枠、ターゲット、制約 | 実現できない提案が混ざる |
| 出力形式 | 「スライド8枚分。各枚に見出しと本文3行」 | 分量がばらつき、整形に時間を取られる |
| 禁止事項 | 「与件にない数値を書かない」「実績を創作しない」 | 捏造が混入する |
基本形(提案書の構成出し)
イベント制作会社のプランナーとして、提案書の構成案を3パターン出してください。読み手はクライアントの宣伝部長で、予算承認の決裁者です。与件は次のとおりです。[目的/ターゲット/時期/想定人数/予算枠/会場条件/先方が気にしている点]。各案について、スライドの見出しリストと、その構成を選ぶ理由を1行で書いてください。与件にない数値や実績は書かないでください。
場面別の指示文
[ ]は自分の案件の情報に置き換えてください。どの指示文にも、末尾に「与件にない数値・事例・固有名詞は書かず、[要確認]と表示してください」を付けると安全です。
| 場面 | 指示文 |
|---|---|
| 1. 構成を決める | [資料の目的]のための資料を[枚数]枚で作ります。読み手は[役職・立場]です。結論が先に来る構成で、各ページの見出しを並べてください。 |
| 2. 1ページの原稿 | 見出し「[見出し]」のページの原稿を、結論1行・根拠3点・図にする内容1行の形式で書いてください。 |
| 3. 長文をスライド化 | 次の文章をスライド[枚数]枚に分けてください。各枚に見出しと要点3つまでを付け、話す内容は別欄にまとめてください。[文章] |
| 4. 議事録から資料化 | 次の議事録から、決定事項・未決事項・次の担当と期限を抜き出し、報告用スライド3枚の原稿にしてください。[議事録] |
| 5. 営業資料 | [商品・サービス]を[業種]の担当者に紹介する資料の構成を作ってください。相手の課題、解決の仕方、導入の流れ、よくある質問の順にしてください。 |
| 6. 会社紹介 | 次の会社情報をもとに、取引先向け会社紹介スライドの見出しと本文を作ってください。数値と年は書き換えずにそのまま使ってください。[会社情報] |
| 7. 社内研修資料 | 新入社員向けに[テーマ]の研修資料を作ります。章立てと、各章の最後に置く理解度確認の問題を2問ずつ作ってください。 |
| 8. セミナー資料 | [時間]のセミナーで話す内容を、導入・本題・まとめに分け、各スライドの要点と話す原稿を作ってください。参加者は[参加者像]です。 |
| 9. 事業計画書の骨子 | 事業計画書に必要な章立てを挙げ、それぞれに何を書くべきかを1行で説明してください。数値は書かず、記入欄として残してください。 |
| 10. 報告書 | 次のアンケート結果の自由記述を、内容ごとに分類し、各分類の件数と代表的な意見を表にしてください。[自由記述] |
| 11. 比較表の設計 | [比較対象A・B・C]を比べる表を作ります。読み手が[重視する点]で判断するとき、列にすべき評価項目を挙げてください。 |
| 12. グラフの選び方 | 次のデータを伝えるのに適したグラフの種類と、その理由、軸の名前を提案してください。数値は変えないでください。[データ] |
| 13. 図解の骨格 | [業務名]の流れを工程フロー図にします。段階の分け方と各段階の名前、前後関係を示してください。 |
| 14. 要約・1枚化 | 次の資料を、決裁者が1分で読める1枚の要約にしてください。結論、理由、必要な判断の順にしてください。[資料] |
| 15. 言い換え | 次の文章を、費用対効果を重視する読み手向けに書き直してください。事実と数値は変えないでください。[文章] |
| 16. 削る | この構成で最も重要度が低いページを2枚挙げ、削った場合の構成を示してください。 |
| 17. 反論を出す | この資料を読んだ決裁者が却下するとしたら、理由は何ですか。3つ挙げ、それぞれへの補足案も示してください。 |
| 18. 想定質問 | この資料の説明後に出そうな質問を5つ挙げ、回答の方針を1行ずつ書いてください。答えに必要な社内情報は[要確認]と示してください。 |
| 19. 表記ゆれの検出 | 次の資料の表記ゆれ(社名、数字の全角半角、日付・時刻の形式、呼称)を検出し、修正案を表で示してください。本文は書き換えないでください。[資料] |
| 20. 流用事故の防止 | 次の資料に含まれる企業名・会場名・人名・日付をすべて列挙してください。[資料] |
出力が薄いときの追い込み方
- 01具体化させる:「抽象的な表現を、具体的な施策名に書き換えてください」
- 02反論させる:上の17番を使い、弱い箇所を先に見つける
- 03削らせる:上の16番を使い、ページ数を絞る
- 04分量を指定する:「各ページを3行以内に収めてください」
Point
一度で完成を狙わず、「出す→削る→具体化する」の3往復を前提にしてください。AIは放っておくと足し算しかしないため、「削らせる」工程を入れると資料が締まります。イベント業務向けの指示文はイベント業務のAIプロンプトにもまとめています。
図表の作らせ方
資料の説得力は文章より図表で決まります。AIは図表の骨格を設計するのが得意で、体裁を整えるのは人やツールの仕事です。
- 列設計から相談する:比較の対象(行)を人が先に決め、列と記述内容をAIに考えさせる
- 空欄を許す:「情報がない欄は『未確定』と書いてください」と指示する
- 1表1メッセージ:表と一緒に「この表で伝えたい結論を1行で」と出させる
| 図の種類 | AIに出させるもの | 人が決めるもの |
|---|---|---|
| 工程フロー図 | 段階の分割、各段階の名称、前後関係 | 実際の日程、並行できる工程 |
| 体制図 | 役割の一覧、指揮系統の階層 | 実在の担当者名と兼務の実態 |
| 会場レイアウトの考え方 | 必要なゾーンの列挙、動線の原則 | 実寸、法令上の制約、什器の実物 |
| 比較マトリクス | 評価軸の候補、軸の説明文 | 評価の実値と重み付け |
| 数値グラフ | 適したグラフ形式の判断、軸の説明 | 実データ(AIに作らせない) |
Point
グラフの数値をAIに作らせないでください。「だいたいこのくらい」で埋めたグラフが資料に載ると、後から実数と合わずに信用を失います。データがない段階では、グラフの形だけ置いて「実測値は後日集計」と明記してください。
見た目・トーン・表記を揃える
複数人で分担した資料は、章ごとに文体が変わります。この統一はAIが速く、漏れなくこなせる作業です。
- 01
過去の良い資料を3本選ぶ
社内で評価が高かった提案書や報告書を集めます。ジャンルはばらけていて構いません。
- 02
AIに特徴を言語化させる
「この3本に共通する文体の特徴を、文の長さ・語彙・語尾・断定の強さ・専門用語の使い方の観点で説明してください」と指示します。
- 03
スタイルガイドとして保存する
出てきた特徴を5〜10行に整理して共有ファイルに置き、以後は指示文に貼り付けます。
- 04
例外を決めておく
契約条件、免責、安全に関する記述はトーン統一の対象外にします。曖昧にすると事故になります。
表記ゆれの点検項目
- 会社名・ブランド名の正式表記(株式会社の位置、英字の大文字小文字)
- 会場名の表記(正式名称と通称の使い分け)
- 数字の全角半角、桁区切りの有無
- 「お客様」「ご来場者」「参加者」などの呼称
- 日付形式(2026年9月23日/2026/9/23)と時刻形式(14:00/午後2時)
- 単位表記(名・人、円・万円)
- 色・フォント・ロゴが社内テンプレートどおりか
修正は一括置換せず、一覧を見てから適用してください。固有名詞に見える語が実は別物だった、という取り違えが起きます。
書き出し・共有・発表前の確認
AIで作った資料は、作成したツールと提出先の形式が違うことがよくあります。書き出した後に、受け取る側の環境で開いて確認してください。
- 提出先が求める形式(PowerPoint形式、PDFなど)で書き出したか
- 書き出し後にフォントが置き換わって、改行位置や文字のはみ出しが崩れていないか
- グラフや表が画像になって編集できなくなっていないか(先方が編集する場合)
- 画像の解像度が印刷や大画面投影に足りているか
- 生成した画像・素材の利用条件を、使ったツールの規約で確認したか
- 共有リンクの閲覧範囲が社外に広がりすぎていないか
- 発表者用メモ(話す原稿)が配布版に残っていないか
発表準備にもAIを使う
- ページごとに話す原稿を書かせ、持ち時間に合わせて削らせる
- 想定質問と回答方針を出させる(指示文18番)
- 専門用語を、読み手に合わせた言い換えの一覧にさせる
スライドの見せ方そのものはプレゼン資料の作り方のコツを参照してください。
よくある失敗と対策
| 失敗 | 原因 | 対策 |
|---|---|---|
| 見た目は整っているのに中身が薄い | テーマだけ渡して丸ごと生成させた | 与件と素材を渡し、構成を人が選んでから原稿に進む |
| どの会社にも当てはまる提案になる | 企画の核までAIに出させた | 核となる案は人が出し、AIには言語化と比較を任せる |
| 架空の数値や事例が残っていた | 仮置きの数値を消し忘れた | 禁止事項を指示文に入れ、[要確認]の表示を検索して潰す |
| 前の案件の社名が残っていた | 過去資料を流用した | 指示文20番で固有名詞を列挙させてから提出する |
| ページが多すぎて要点が伝わらない | AIが足し算で項目を増やした | 指示文16番で削らせ、1ページ1メッセージにする |
| 書き出したら体裁が崩れた | 作成環境と提出先の形式・フォントが違った | 受け取る側と同じ形式で書き出し、開いて確認する |
| 社外秘をそのまま入力してしまった | 入力データの扱いを確認していなかった | 社内規程と各ツールの規約を先に確認し、伏せ字にしてから渡す |
そのまま出してはいけない箇所
AIが書いた文章のうち、責任が発生する記述は必ず人が書き直します。判断基準は「間違っていたら誰かが損害を被るか」です。
| 箇所 | AIがやりがちなこと | 人がやること |
|---|---|---|
| 金額・費用 | 相場らしい数値を書く | 積算に基づく実数に置き換える |
| 実績・事例 | 架空の事例を自然に混ぜる | 実在の事例のみ、許諾を得て記載 |
| 日程・スケジュール | 現実の作業日数を無視した並び | 会場の仕込み日と搬入枠から逆算 |
| 法令・許認可 | もっともらしい手続き名 | 所管の窓口への確認結果に差し替える |
| 安全・緊急時対応 | 当たり障りのない文言でまとめる | 会場の実際の避難経路と体制を記載 |
| 契約条件・免責 | 曖昧な表現 | 社内の定型文言と法務確認を経た文面 |
| 数値の出典 | 出典のない統計を書く | 出典を明記するか、記載しない |
| 競合・他社への言及 | 断定的な比較 | 事実に基づく範囲に限定、または削除 |
Point
実績の捏造が最大のリスクです。AIは実在しそうな事例を自然な文体で書きます。提案書に載って先方に確認された時点で取り返しがつきません。実績欄は必ず社内の実績データから転記してください。
提出前の最終チェック
- 数値がすべて出所のある実数か(推測値なら「概算」と明記されているか)
- 記載した事例が実在し、掲載許諾があるか
- 日程が会場の仕込み・搬出条件と矛盾していないか
- 見積金額と資料内の費用記述が一致しているか
- クライアント名・商品名の表記が正式か
- 前の案件の固有名詞が残っていないか
- [要確認]の表示が残っていないか
- 社外秘の情報が混入していないか
無料で試す前に確認すること
無料の範囲でも、構成案やたたき台づくりは試せます。ただし業務で使う前に、次の点を各ツールの公式ページと利用規約で確認してください。
- 入力した内容がAIの学習に使われるか、使われない設定があるか
- 作成した資料・生成した画像を業務や商用で使ってよいか
- 無料の範囲で使える回数や機能に制限があるか
- 必要な形式で書き出せるか、共同編集できるか
- 自社の情報セキュリティ規程で、そのツールの利用が認められているか
注意
始め方の全体像はイベント業務でのAI活用の始め方にまとめています。
チームで回す
- 01資料の種類ごとに構成の型を1つ決める:提案書、報告書、進行資料など
- 02型と指示文をセットで保管する:上の20例を自社用に書き換えて共有する
- 03案件が終わるたびに型を更新する:足りなかった項目、不要だった項目を反映
- 04スタイルガイドと禁止事項を全員共通にする:個人ごとに持たない
| レビュー観点 | 見る人 | AIの支援 |
|---|---|---|
| 事実の正誤 | 案件担当者 | 数値と固有名詞の一覧を抽出させる |
| 構成の妥当性 | 上長・営業 | 「決裁者が却下する理由」を挙げさせる |
| 表記・体裁 | 担当者本人 | 表記ゆれの検出をAIに任せる |
| リスク記述 | 上長 | 抜けている条件をAIに列挙させ、人が判断 |
この記事の要点
- AIに任せるのは構成案・たたき台・表記の統一・点検の補助の4つ。金額・実績・日程・判断と最終点検は人。
- 道具は3タイプ。原稿は対話型AI、見た目はスライド作成ツール、仕上げは社内テンプレートで。
- 手順は「目的と枚数→素材を渡す→構成3案→1ページずつ原稿→実数を入れる→見た目→点検と書き出し」。
- 指示文は6要素で組み、末尾に「与件にない数値は書かず[要確認]と表示」を付ける。
- 「出す→削る→具体化する」の3往復。AIは放っておくと足し算しかしない。
- 提出前に固有名詞を列挙させ、書き出し後は受け取る側の形式で開いて確認する。
FAQ
よくある質問
大きく、チャットで文章を生成する対話型AI、テーマや原稿からスライドの見た目まで作るデザイン・プレゼンツール、文書や表計算ソフトに組み込まれたAI機能の3つです。構成と原稿は対話型AI、見た目はスライド作成ツール、社内フォーマットへの仕上げはオフィスソフトと分けると手戻りが減ります。
最初に読み手・目的・枚数を伝え、構成案を出させてから本文に進むことです。いきなり本文を書かせると、構成の検討が抜けたまま体裁だけ整った資料になります。数字・固有名詞・日付は必ず人が元の資料と照らし合わせてください。
構成案や文章のたたき台までであれば、無料の範囲でも試せます。業務で常用する場合は、入力データの扱い、商用利用の可否、書き出し形式、共同編集の有無を各ツールの公式ページと利用規約で確認し、自社の規程に合うものを選んでください。
PowerPoint形式で書き出せるツールや、プレゼンソフト自体に組み込まれたAI機能があります。対応状況はツールごとに異なるため、公式ページで確認してください。書き出し後はフォントの置き換わりや改行の崩れが起きることがあるため、受け取る側と同じ環境で開いて確認すると安心です。
文章部分を貼り付けて、要約、言い換え、表記ゆれの検出、ページの削減案を出させる使い方なら、どの対話型AIでもできます。ファイルを直接読み込んで編集できるかはツールによって異なります。数値や固有名詞が書き換わっていないか、修正後に必ず確認してください。
形だけは作れますが、実務ではそのまま使えません。提案書の価値は案件固有の与件と実現性の根拠にあり、AIはその情報を持っていないためです。構成案、各ページのたたき台、表記の統一までをAIに任せ、企画の核・費用・体制・実績は人が書く分業が現実的です。
利用条件はツールごとの利用規約で決まっています。使ったツールの規約で、生成物の商用利用の可否と条件を確認してください。あわせて、実在の人物やロゴ、他社の著作物に似た画像が生成されていないかを人が確認してから使うのが安全です。
責任が発生する記述は書き直してください。具体的には、金額、実績・事例、日程、法令や許認可、安全対応、契約条件、統計の数値です。説明文や導入文など責任が発生しない部分は、点検したうえでそのまま使って構いません。
社内で評価が高かった資料を3本ほど選び、共通する文体の特徴をAIに言語化させてください。文の長さ、語彙、語尾、断定の強さ、専門用語の使い方の観点でまとめさせると、5〜10行のスタイルガイドになります。以後はそれを指示文に貼り付けます。
実数が揃っていれば、大部分を効率化できます。数値の説明文、アンケート自由記述の分類、代表的な意見の抽出はAIが得意です。ただし、数値の原因の解釈と次回への提言は人が書いてください。データが揃わない段階で書かせると、もっともらしい所見が創作されます。