実践
AIで企画書を作る手順
任せる範囲と5ステップ
企画書作成で最も時間を食うのは、アイデアを考える時間ではなく構成を組み立てて文章に落とす時間です。ここを圧縮すると、考える時間が増えます。
結論
AIで企画書を作る手順は①与件の整理 ②方向性の複数案出し ③人間が方向を決定 ④骨子と本文の生成 ⑤人間による検証と加筆の5ステップです。③の方向決定と⑤の検証は人間が行い、それ以外をAIに渡すのが、品質を保ちながら最も速い分担になります。
5ステップの手順
- 01
与件を1か所にまとめる
クライアントの業界・課題、目的、ターゲット、予算感、会場候補、時期、制約。箇条書きで構いません。ここを丁寧にやるほど後が速くなります。オリエンの議事メモをそのまま渡してもかまいません。
- 02
方向性を5案出させる
「切り口の異なる方向性を5案。各案に、なぜその行動変容につながるかの仮説を添えて」と指示します。5案のうち4案は使いませんが、捨てる作業を通じて自分の判断が固まります。
- 03
方向を人間が決める
ここはAIに任せません。クライアントの社内事情、過去の提案との関係、自社の強み。AIが知らない文脈で判断する工程です。選んだ理由を一文で言語化しておくと、後の説明が楽になります。
- 04
骨子と本文を生成させる
決めた方向性と与件を渡し、11項目の構成で骨子を作らせます。その後、項目ごとに本文を生成。一度に全部作らせず、項目単位で回す方が精度が上がります。
- 05
検証して加筆する
事実確認、既視感チェック、表現リスク、自社の実績との整合。ここが人間の仕事です。AIの文章は一見整っているため、意識的に疑う工程を置いてください。
Point
AIで短くなるのは④の生成部分です。①の与件整理、③の方向決定、⑤の検証と加筆は人間の工程で、むしろ時間をかけるべきです。どれだけ短くなったかは、自社の案件で工程ごとの所要時間を測って比べてください。
各ステップのプロンプト
ステップ2:方向性を出す
「あなたは経験20年のイベントプロデューサーです。以下の与件で、切り口の異なる企画の方向性を5案出してください。各案は、①一言のコンセプト ②当日起きること(3行)③なぜ目標の行動変容につながるかの仮説(150字)の形式で。
【与件】
クライアント:…
目的:…
ターゲット:…
予算感:…
時期・会場:…
制約:…」
ステップ4:骨子を作る
「採用した方向性は【 】です。この方向でイベント企画書の骨子を作成してください。構成は①背景②目的・ゴール③ターゲット④コンセプト⑤実施概要⑥企画内容⑦会場・体制⑧スケジュール⑨予算⑩効果測定⑪リスク対策。各項目に、書くべき内容を箇条書きで3〜5点。金額と具体的な日付は、与件にないものは書かないでください。」
ステップ4:本文を書く
「骨子の【項目名】について、企画書に載せる本文を書いてください。読み手はクライアントの【役職】。400字以内、です・ます調。専門用語は避けてください。」
ステップ5:検証させる
「あなたはこの提案に反対する決裁者です。承認しない理由を重要度順に10個。各理由に、事前に用意すべき資料を併記してください。」
AIに任せてはいけない4か所
AIに渡す前の与件の並べ方と、企画書に入れる項目の順番はイベント企画書の書き方に、1枚にまとめる雛形は企画書テンプレートにあります。各工程でそのまま使える指示文はAIプロンプト集にまとめています。
| 工程 | 理由 | 人間がやること |
|---|---|---|
| 方向性の決定 | クライアントの社内事情や過去の提案経緯を知らない | 選び、理由を言語化する |
| 金額の記載 | 生成された数字には根拠がない | 実績から計算した数字を入れる |
| 事実の記述 | 実在しない事例や統計を作ることがある | 出典を確認する |
| 最終的な表現判断 | 炎上リスクや権利関係の判断は文脈依存 | 第三者の目で読み直す |
注意
とくに金額は事故になります。AIが出した予算をそのまま企画書に載せ、根拠を聞かれて答えられないケースは実際に起きています。金額は必ず過去実績から計算した数字に差し替えてください。考え方はイベント予算の立て方と内訳を参照してください。
品質を落とさないチェック
- 目的が「状態」ではなく「行動」で書かれている
- 目的と効果測定の指標が対応している
- 金額はすべて根拠のある数字に差し替えた
- 事実として書いた内容の出典を確認した
- 過去3年の類似案件と何が違うか、一文で言える
- クライアント固有の事情が反映されている(汎用的な内容になっていない)
- 業界用語を、読み手に合わせて言い換えた
- リスク対策の項目がある
6つ目が最も重要です。AIが作った文章はどの会社にも当てはまる書き方になりがちです。クライアント名を別の会社に置き換えても成立する文章は、書き直してください。
過去の提案書を読ませる
汎用AIに毎回ゼロから説明するのではなく、自社の過去提案書を参照できる状態にすると、出力が「自社の型」に近づきます。
PRODUCER AGENTは、行動変容ゴールとターゲット像からコンセプトを立案し、企画書のたたき台を .pptx で出力します。Googleドライブ・Dropboxを接続すれば過去の提案書を参照した提案になり、生成と同時に既視感チェックと表現リスクのレビューも行います。詳しくは企画書の機能をご覧ください。
この記事の要点
- 手順は5ステップ。方向の決定と最終検証は人間、それ以外はAIに渡す。
- 本文は一度に全部作らせず、項目単位で回す方が精度が上がる。
- AIに任せてはいけないのは、方向性の決定・金額・事実の記述・表現判断の4つ。
- クライアント名を別会社に置き換えても成立する文章は、書き直す。
FAQ
よくある質問
与件の整理を手伝わせること、方向性の案を複数出させること、決めた方向に沿って骨子と本文の下書きを作らせることまでが任せやすい範囲です。どの方向で行くかの決定と、事実・数字・固有名詞の確認、最後の加筆は人間が担います。企画書の構成そのものは企画書の書き方の記事を参照してください。
生成したまま出せば分かります。逆に、クライアント固有の事情が反映され、金額に根拠があり、既視感チェックを通っていれば、作成手段は問題になりません。重要なのは成果物の質であり、検証と加筆の工程を省かないことです。
自社の1案件で、導入前と導入後の工程ごとの所要時間を測って比べてください。構成を組み立てて文章に落とす工程は短くなりやすい一方、人間の工程(与件整理・方向決定・検証)は短縮すべきではありません。
ツールによります。汎用AIチャットはテキスト出力が中心で、スライド形式にするには別途の作業が必要です。PRODUCER AGENTでは企画書・見積のたたき台を .pptx 形式で出力できます。
契約と社内規程を確認してください。守秘義務契約で第三者提供が制限されている場合、外部のAIサービスへの入力が問題になることがあります。入力データを学習に使わない契約条件のサービスを選ぶ、固有名詞を伏せる、といった対応が実務的です。