法令
株主総会の招集通知はいつまでに出すか
「2週間前」は公開会社の原則
「株主総会の招集通知は2週間前まで」と覚えている方が多いのですが、会社法第299条第1項は、会社の類型によって期限を変えています。 公開会社でない株式会社は1週間、取締役会を設置していない会社はさらに定款で短縮できる場合があります。まず自社がどの類型かを確認してください。
結論
会社法第299条第1項は、株主総会を招集するには取締役が株主総会の日の2週間前までに通知を発しなければならないとしたうえで、括弧書きで例外を置いています。公開会社でない株式会社は1週間前まで、そのうち取締役会設置会社以外の会社はこれを下回る期間を定款で定めた場合はその期間です。
根拠と、この記事の範囲
本記事の条文はe-Gov法令検索の会社法から取得しています(2026年10月時点)。
注意
本記事は条文の構造を示すものです。 自社がどの類型に当たるか、定款にどう定められているかの確認と、実際の手続きの判断は、弁護士・司法書士に相談してください。 上場会社の実務には、会社法以外に取引所の規則等も関わります。
第299条第1項の構造
株主総会を招集するには、取締役は、株主総会の日の二週間(前条第一項第三号又は第四号に掲げる事項を定めたときを除き、公開会社でない株式会社にあっては、一週間(当該株式会社が取締役会設置会社以外の株式会社である場合において、これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間))前までに、株主に対してその通知を発しなければならない。(第299条第1項)
括弧が入れ子になっていて読みにくいので、分解します。
| 会社の類型 | 期限 |
|---|---|
| 公開会社 | 2週間前まで |
| 公開会社でない株式会社 | 1週間前まで |
| 公開会社でなく、取締役会設置会社以外で、定款でこれを下回る期間を定めた場合 | その期間 |
| 書面・電磁的方法による議決権行使を定めたとき(第298条第1項第3号・第4号) | 2週間前まで(上の短縮は適用されない) |
Point
最後の行が見落とされます。 公開会社でなくても、書面投票・電子投票を採用する場合は2週間前までです。条文の冒頭に「前条第一項第三号又は第四号に掲げる事項を定めたときを除き」とある部分がこれにあたります。
注意
「発しなければならない」です。 到達ではなく発信の時点が基準になる書き方ですが、具体的な起算・計算は実務上の論点があります。日程を確定させる前に専門家に確認してください。
書面でしなければならない場合
第299条第2項は、次の場合に通知を書面でしなければならないとしています。
- 01書面・電磁的方法による議決権行使を定めた場合(第298条第1項第3号・第4号)
- 02株式会社が取締役会設置会社である場合
第3項は、書面による通知の発出に代えて、政令で定めるところにより株主の承諾を得て、電磁的方法により通知を発することができるとしています。この場合、書面による通知を発したものとみなされます。
Point
電磁的方法を使うには「株主の承諾」が要ります。 全株主から一律に承諾が取れているとは限らないので、承諾の有無を株主ごとに管理する必要が出てきます。
第4項は、第2項・第3項の通知に第298条第1項各号に掲げる事項を記載し、又は記録しなければならないとしています。
注意
第298条第1項各号の具体的な内容は、本記事では列挙しません。 招集に際して定めるべき事項が規定されています。会社法の条文を直接確認してください。
日程を組むときに確認すること
- 01
自社の類型を確認する
公開会社かどうか、取締役会設置会社かどうか。定款と登記事項で確認します。ここが分からないと期限が決まりません。
- 02
定款を見る
取締役会設置会社以外なら、短縮の定めがあるか。また第299条以外にも、株主総会に関する定款の定めがあります。
- 03
書面投票・電子投票を採用するか決める
採用すると2週間前までになります。 日程に効くので、先に決めてください。
- 04
通知の方法を決める
書面か、株主の承諾を得た電磁的方法か。承諾の有無を株主ごとに把握する必要があります。
- 05
逆算して作業日程を引く
招集の決定、通知の作成・印刷、発送。発送日から逆算して、印刷や封入の日程を押さえます。
- 06
専門家に確認する
期限の計算と手続きの適法性は、弁護士・司法書士に確認してください。
- 公開会社かどうかを確認した
- 取締役会設置会社かどうかを確認した
- 定款に短縮の定めがあるかを見た
- 書面投票・電子投票を採用するかを決めた
- 通知の方法(書面/電磁的方法)を決めた
- 電磁的方法を使う株主の承諾を把握している
- 発送日から逆算して作業日程を引いた
- 弁護士・司法書士に確認した
Point
運営側が最も見落とすのは「印刷と封入の日数」です。 法令上の期限は「発する」日ですが、そこから逆算して印刷・封入・郵便局への持ち込みの日程が必要です。株主数が多いと数日かかります。
この記事の要点
- 「2週間前」は公開会社の原則。 第299条第1項は会社の類型で期限を変えている。
- 公開会社でない株式会社は1週間前まで。 取締役会設置会社以外は定款でさらに短縮できる場合がある。
- 書面投票・電子投票を定めた場合は短縮が適用されない。 ここが最も見落とされる。
- 取締役会設置会社は通知を書面でしなければならない(第299条第2項第2号)。
- 電磁的方法には株主の承諾が要る(第3項)。承諾の有無を株主ごとに管理する。
- 法令上の期限は「発する」日。 印刷・封入・発送の日数を逆算して押さえる。
FAQ
よくある質問
第299条第1項は、総会の日の2週間前(会社の類型により1週間前など)までに通知を「発しなければならない」としており、到達ではなく発信の時点が基準になる書き方です。ただし具体的な起算と日数の計算には実務上の論点があるため、日程を確定させる前に弁護士・司法書士に確認してください。発送日が決まったら、そこから逆算して招集の決定、通知の作成・印刷、封入の日程を押さえます。
会社法第299条第1項は、原則として株主総会の日の2週間前までとしたうえで、公開会社でない株式会社は1週間前まで、そのうち取締役会設置会社以外で定款にこれを下回る期間の定めがある場合はその期間、としています。まず自社が公開会社かどうか、取締役会設置会社かどうかを確認してください。
いいえ。第299条第1項の冒頭に「前条第一項第三号又は第四号に掲げる事項を定めたときを除き」とあり、書面または電磁的方法による議決権行使を定めた場合は、公開会社でなくても2週間前までとなります。書面投票・電子投票を採用するかは日程に直接影響するので、先に決めてください。
第299条第3項は、書面による通知の発出に代えて、政令で定めるところにより株主の承諾を得て電磁的方法により通知を発することができるとしています。この場合、書面による通知を発したものとみなされます。ただし株主の承諾が必要なので、承諾の有無を株主ごとに把握しておく必要があります。
第299条第2項第2号により、取締役会設置会社である場合は通知を書面でしなければなりません。また第1項の括弧書きにある定款による短縮は、取締役会設置会社以外の会社について認められているものです。自社がどちらかを定款と登記事項で確認してください。
法令上の期限は通知を「発する」日です。そこから逆算して、招集の決定、通知の作成、印刷、封入、郵便局への持ち込みの日程を押さえてください。株主数が多いと印刷と封入だけで数日かかります。期限の計算と手続きの適法性については、弁護士・司法書士に確認してください。