ビジネスの慣用句
二の足を踏むの意味とは?
例文・二の舞との違い・言い換え
結論:「二の足を踏む」は、やろうという気持ちはあるのに、決心がつかずに迷っていることです。読み方は「にのあしをふむ」。
使った一文は「費用が見えないため、先方は導入に二の足を踏んでいるようです。」
「二の舞を演じる」(前の人と同じ失敗を繰り返す)とは意味がまったく違うので注意してください。このページでは、由来、場面別にそのまま使える例文、言い換えと英語、二の舞との見分け方、目上・社外に使うときの注意、ためらっている相手への声のかけ方までまとめました。
結論
「二の足」は二歩目のこと。歩き出したのに次の一歩が出せず、同じ場所で足だけを動かしている姿にたとえて、決めかねて前に進めない状態を表す慣用句だと説明されます。「〜に二の足を踏む」の形で使います。
すぐ分かる早見表
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 読み方 | にのあしをふむ |
| 意味 | 進もうとして、ためらう・迷う |
| ニュアンス | 関心はあるが決めきれない(興味がないのとは違う) |
| 基本の形 | 「〜に二の足を踏む」「〜を前に二の足を踏む」 |
| 言い換え | ためらう/躊躇する/尻込みする/逡巡する/慎重になる |
| 反対の表現 | 思い切る/踏み切る/腹をくくる |
| 英語 | hesitate/have second thoughts |
| 混同注意 | 二の舞を演じる=前の人と同じ失敗を繰り返す |
「二の足を踏む」の意味と由来
由来としてよく挙げられるのは、一歩目は出たのに、二歩目が出ずに同じ場所で足を踏む様子です。そこから、やろうという気持ちはあるのに、決めきれずにためらうことを表すようになったとされます。由来の説明には諸説あります。
ビジネスでは、導入・契約・発注・参加・転職などの判断を迷っている状況を伝えるときによく使われます。「まったく興味がない」のではなく、気持ちはあるが決めきれないというニュアンスがポイントです。
よく使う形
- 〜に二の足を踏む:「高額な投資に二の足を踏む」
- 〜を前に二の足を踏む:「初めての海外出張を前に二の足を踏む」
- 二の足を踏んでいる:いま迷っている状態を伝える
- 二の足を踏ませる:「手続きの煩雑さが利用者に二の足を踏ませている」(ためらわせる原因を言う)
- 二の足を踏まずに:「二の足を踏まずに応募してください」(背中を押す)
Point
「二の足を踏む」=進もうとしてためらうこと。興味がないのではなく、決めきれずに迷っている状態。
そのまま使える例文(報告・会議・メール・面談・日常)
営業の報告で(社内の上司へ)
先方は内容には前向きなのですが、初期費用の大きさに二の足を踏んでいるご様子です。分割のご提案を検討してもよろしいでしょうか。
決裁者の方が前回のシステム移行で苦労されたそうで、今回の切り替えには二の足を踏まれているようです。
注意
上司への報告で使っても問題ありません。何がためらいの理由なのかを添えると、次の手を相談しやすくなります。
会議で(社内)
新しいツールの導入に二の足を踏んでいる部署が多いのは、使い方の説明が足りていないからだと思います。まず説明会を開きましょう。
申込みの手順が長いことが、お客様に二の足を踏ませている可能性があります。入力項目を減らす案を出します。
面談で(上司から部下へ)
リーダーの役目に二の足を踏む気持ちは分かるよ。最初は私も一緒に入るから、まずはやってみないか。
自分のことを話す(目上の人へも使える)
正直に申しますと、最初は経験のない分野で二の足を踏んでおりましたが、◯◯さんの助言で挑戦する決心がつきました。
大きな会場での登壇は初めてで二の足を踏んでいましたが、せっかくの機会ですのでお引き受けいたします。
社内メール・告知で(参加を呼びかける)
発表は初めてという方も、二の足を踏まずに、ぜひ気軽にご応募ください。原稿づくりは事務局がお手伝いします。
取引先へのメールで(言い換えた形)
ご検討にあたって気がかりな点がございましたら、どのようなことでもお聞かせください。費用やスケジュールについても、ご相談に応じます。
まずは小規模でお試しいただくプランもございます。ご判断の材料としてお役立てください。
注意
取引先に向けて「二の足を踏まれているようですが」と書くと、相手の迷いを指摘する形になります。「気がかりな点がございましたら」と、相手が話しやすい書き方にするのが無難です。
日常・ニュースの文脈で
物件は気に入ったものの、駅からの距離を考えると契約に二の足を踏んでしまう。
値上げが続き、外食に二の足を踏む家庭もあるようだ。
言い換え・類語・反対の表現・英語
| 表現 | 意味・ニュアンス | 使いやすい場面 |
|---|---|---|
| 二の足を踏む | 進もうとしてためらう | 社内の報告・会話 |
| ためらう | 決心がつかず迷う | 社内外の幅広い場面 |
| 躊躇する(ちゅうちょする) | ためらう(書き言葉寄り) | 報告書・メール |
| 逡巡する(しゅんじゅんする) | 決めかねてぐずぐずする(硬い書き言葉) | 文章・論評 |
| 尻込みする | 怖じけづいて後ずさりする(気後れの響きが強い) | 社内の会話 |
| 及び腰になる | 腰が引けて、中途半端な態度になる(批判の響き) | 社内の会話(相手には使わない) |
| 慎重になる | よく考えて急がない(前向きな響き) | 社外向けの報告 |
| 思い切る/踏み切る(反対) | 迷いを捨てて決める | 決断を伝えるとき |
相手の迷いを社外向けの文書で伝えるなら、「慎重にご検討中である」と書くと、相手を下げずに状況を表せます。
英語で言うと
| 英語 | 近い使い方 | 例 |
|---|---|---|
| hesitate | ためらう(もっとも近い) | They are hesitating to sign the contract. |
| have second thoughts | いったん決めかけたのに考え直す | He is having second thoughts about the move. |
| get cold feet | 直前になって怖じけづく(くだけた言い方) | She got cold feet before the presentation. |
二の舞との違いと、間違えやすい使い方
いちばん混同しやすいのが「二の舞を演じる」です。こちらは前の人と同じ失敗を繰り返すことで、「二の足を踏む」とは意味がまったく違います。
| 表現 | 読み方 | 意味 | 例 |
|---|---|---|---|
| 二の足を踏む | にのあしをふむ | ためらって先に進めない | 出店に二の足を踏む |
| 二の舞を演じる | にのまいをえんじる | 前の人と同じ失敗を繰り返す | 前年の二の舞を演じないよう準備する |
迷ったときのチェック
- 言いたいのは「迷っている・ためらっている」→二の足を踏む
- 言いたいのは「同じ失敗を繰り返す」→二の舞を演じる
- 「〜の」の前に人や出来事が入る(前任者の、前回の)→たいてい二の舞
- 「〜に」の前に行動が入る(導入に、契約に)→たいてい二の足
| ありがちな言い方 | 気になる点 | 直し方 |
|---|---|---|
| 前任者の二の足を踏まないように | 「同じ失敗をしない」意味なら二の舞 | 前任者の二の舞を演じないように |
| 二の舞を踏む | 「二の足を踏む」と「二の舞を演じる」が混ざった形とされる | 二の舞を演じる/二の足を踏む |
| 二の足を踏み込む | 「踏み込む」は思い切って進む意味で、逆になる | 二の足を踏む |
| (まったく関心がないのに)二の足を踏んでいる | 迷いがあるという意味になり、状況が伝わらない | 今回は見送られるとのことです |
| 二の足を踏んで即決した | ためらう意味なので、即決とは合わない | 迷わず即決した |
辞書によっては「二の舞を踏む」も載せているものがあり、扱いには揺れがあります。文書では「二の舞を演じる」と書くのが無難です。
目上・社外に使うときの注意
| 使い方 | 目上・社外に対して | 理由 |
|---|---|---|
| 自分が「二の足を踏んでおりました」 | 使ってよい | 自分の気持ちを話すだけなので失礼にならない |
| 上司への報告で「先方が二の足を踏んでいます」 | 使ってよい | 社内での状況共有 |
| 相手本人に「二の足を踏んでいらっしゃる」 | 避ける | 決断できないことを指摘する響きになる |
相手に向けては「ご検討中のところ」「気がかりな点がございましたら」と言い換えましょう。断られたあとの返信は断りのメールの例文も参考にしてください。
二の足を踏んでいる相手への声のかけ方
報告で「二の足を踏んでいる」と書いたら、次はためらいの理由をほどく番です。理由ごとの打ち手を表にしました。
| ためらいの理由 | かける言葉の例 | 打ち手 |
|---|---|---|
| 費用が見えない | 「総額の目安を項目ごとにお出しします」 | 見積の内訳を出す |
| 失敗が怖い | 「まずは一部の部署でお試しいただけます」 | 小さく始める案を出す |
| 社内の説得が難しい | 「ご説明用の資料をこちらでご用意します」 | 稟議用の資料を渡す |
| やり方が分からない | 「最初の一回は一緒に進めます」 | 伴走・説明会を用意する |
注意
理由を聞くときは「なぜ決められないのですか」ではなく、「気がかりな点はどのあたりでしょうか」と聞くと、相手が答えやすくなります。
この記事の要点
- 「二の足を踏む(にのあしをふむ)」は進もうとしてためらうこと。
- 興味がないのではなく、決めきれずに迷っているニュアンス。
- 「二の舞を演じる」(同じ失敗を繰り返す)とは別の表現。「〜の」の前に前例が来たら二の舞。
- 言い換えは「ためらう」「躊躇する」「慎重になる」、英語はhesitate。
- 相手本人に向けては「気がかりな点がございましたら」と言い換える。
FAQ
よくある質問
「にのあしをふむ」と読みます。
やろうという気持ちはあるのに、決心がつかずに迷っていることです。次の一歩が出せずに同じ場所で足を動かす姿にたとえた表現だと説明されます。
「二の足を踏む」はためらって先に進めないこと、「二の舞を演じる」は前の人と同じ失敗を繰り返すことです。意味がまったく違うので、混同しないよう注意が必要です。
「二の足を踏む」と「二の舞を演じる」が混ざった形と説明されることが多い言い方です。辞書によって扱いに揺れがあるため、文書では「二の舞を演じる」と書くのが無難です。
ためらう様子を表すだけで、悪口ではありません。ただし相手の態度について言うと、決断できないことを指摘する響きになることがあります。
自分の気持ちを話すときや、上司への報告で使うのは問題ありません。目上の人や取引先の本人に向けて「二の足を踏んでいらっしゃる」と言うと、決断できないことを指摘する響きになるので、「ご検討中のところ」などと言い換えるのが無難です。
「ためらう」「躊躇する」「逡巡する」「尻込みする」「慎重になる」などがあります。社外向けの文書では「慎重にご検討中である」と書くと、相手を下げずに状況を伝えられます。
もっとも近いのは hesitate です。いったん決めかけて考え直すなら have second thoughts、直前に怖じけづくなら get cold feet(くだけた言い方)が使えます。