許認可
イベントで酒を売るには
「飲ませる」と「売る」は別の話
マルシェやフェスで酒を扱うとき、何の手続きが要るのかが分かりにくいのは、「飲ませる」場合と「売る」場合で根拠法が変わるからです。この記事は、売る側——酒税法の免許——を条文で整理します。
結論
酒税法第9条第1項は、酒類の販売業をしようとする者は、販売場ごとにその販売場の所在地の所轄税務署長の免許(販売業免許)を受けなければならないと定めています。ここでいう「販売場」は、同項のかっこ書で「継続して販売業をする場所」と定義されています。
出典: 酒税法(昭和二十八年法律第六号)e-Gov法令検索(2026年10月取得)
まず「飲ませる」のか「売る」のか
酒税法第9条第1項にはただし書があります。ここが分岐点です。
Point
条文はこう書いています。「酒場、料理店その他酒類をもつぱら自己の営業場において飲用に供する業については、この限りでない。」 つまり、もっぱら自分の営業場で飲んでもらう業は、販売業免許の対象から外れます。
| やること | 酒税法第9条第1項の免許 |
|---|---|
| その場で飲んでもらう(立ち飲み・飲食提供) | ただし書によりこの限りでない |
| 未開栓のまま売って持ち帰ってもらう | 第9条第1項の販売業免許 |
注意
この表は酒税法だけの話です。 飲食の提供には食品衛生法の手続きが別にあり(イベントで飲食を出す)、深夜の酒類提供には風営法の届出があります(深夜のイベントと風営法)。法律ごとに別々に見てください。
イベント向けの「期限付」免許
第9条第2項が、イベントを名指しした規定です。条文を引きます。
Point
「前項の販売業免許を与える場合において、その販売業免許を受けようとする者が博覧会場、即売会場その他これらに類する場所で臨時に販売場を設けて酒類の販売業をしようとする者であると認められるときは、税務署長は、当該販売場に係る同項の販売業免許につき期限を付することができる。」
- 対象は「博覧会場、即売会場その他これらに類する場所」
- 「臨時に販売場を設けて」販売業をしようとする者であること
- 税務署長が期限を付することができる
Point
条文は「できる」です。 臨時の催しなら必ず免許が下りる、とは書かれていません。該当するかどうかの判断は所轄税務署です。
注意
第9条第1項は「販売場ごとに」免許を受けると定めています。会場が複数あるなら、場所の数だけ見る必要があります。
免許に条件が付くことがある
第11条第1項は、税務署長が免許を与える場合に条件を付することができると定めています。
Point
条文は、酒税の保全上酒類の需給の均衡を維持するため必要があると認められるときに、「販売する酒類の範囲若しくはその販売方法につき条件を付することができる」としています。
注意
第11条第2項は、その必要がなくなつたときは、その条件を緩和し、又は解除しなければならないと定めています。
段取りで気をつけること
- 「飲ませる」のか「売る」のかを先に決める——ここで根拠法が変わります
- 販売場ごとに見る——第9条第1項の文言です
- 所轄は販売場の所在地の税務署——自社の所在地ではありません
- 出店者に任せきりにしない——主催として、誰が免許を持つのかを確認する(出店者への確認事項はキッチンカー・出店者の段取りも参考に)
- 食品衛生の手続きは別に要る——酒税法で終わりではありません
Point
申請の期限・手数料・必要書類は、この記事では書きません。 条文に定めがなく、国税庁の運用だからです。所轄税務署に早めにご相談ください。
注意
20歳未満の者への販売・提供の禁止は酒税法ではなく別の法律の定めで、この記事では条文を取得していません。法令名までを示すにとどめます。
この記事の要点
- 「飲ませる」と「売る」で分かれる。 第9条第1項ただし書が、もっぱら自己の営業場で飲用に供する業を除いている。
- 売るなら第9条第1項の販売業免許。 販売場ごとに、所在地の所轄税務署長の免許。
- 「販売場」は「継続して販売業をする場所」(第9条第1項かっこ書)。
- 第9条第2項が、博覧会場・即売会場その他これらに類する場所での期限付免許を定めている。
- 第9条第2項は「期限を付することができる」。 臨時なら必ず下りるとは書かれていない。
- 第11条第1項により、販売する酒類の範囲や販売方法に条件が付くことがある。
FAQ
よくある質問
未開栓のまま売って持ち帰ってもらうなら、酒税法第9条第1項の販売業免許が必要です。販売場ごとに、その販売場の所在地の所轄税務署長から受けます。博覧会場や即売会場などで臨時に販売場を設ける場合は、第9条第2項により期限を付けて免許を与えることができるとされています。該当するか、いつまでに何を出すかは、販売場の所在地の税務署に相談してください。その場で飲んでもらう提供は、食品衛生の手続きが別に要ります。
何をするかで変わります。酒税法第9条第1項のただし書は「酒場、料理店その他酒類をもつぱら自己の営業場において飲用に供する業については、この限りでない」と定めており、もっぱら自分の営業場で飲んでもらう業は販売業免許の対象から外れます。一方、未開栓のまま売って持ち帰ってもらうなら第9条第1項の販売業免許が必要です。なお食品衛生法の手続きは別にあります。
酒税法第9条第2項にもとづくものです。販売業免許を与える場合において、受けようとする者が博覧会場、即売会場その他これらに類する場所で臨時に販売場を設けて酒類の販売業をしようとする者であると認められるとき、税務署長は当該販売場に係る免許につき期限を付することができる、と定めています。条文は「できる」であり、臨時の催しなら必ず免許が下りるとは書かれていません。
酒税法第9条第1項は「販売場ごとにその販売場の所在地の所轄税務署長の免許」と定めています。自社の所在地ではなく、販売場の所在地が基準です。会場が複数あるなら、場所の数だけ見る必要があります。
酒税法第9条第1項のかっこ書が「継続して販売業をする場所」と定義しています。免許は販売場ごとに受けるものとされており、第9条第2項の期限付免許も「当該販売場に係る」免許につき期限を付するという書き方になっています。
酒税法第11条第1項は、税務署長が免許を与える場合において酒税の保全上酒類の需給の均衡を維持するため必要があると認められるときは、販売する酒類の範囲もしくはその販売方法につき条件を付することができると定めています。同条第2項は、その必要がなくなったときは条件を緩和または解除しなければならないとしています。
この記事では書いていません。申請の期限・手数料・必要書類は酒税法の条文に定めがなく、国税庁の運用だからです。確認していないことを確認したかのように書かない方針のため、所轄税務署へ早めにご相談くださいとだけお伝えします。