許認可
道路占用許可とは
申請先・申請事項・道路使用許可との違い
結論から書きます。 道路に露店・テント・看板・広告塔などを設けて、継続して道路を使うなら、その道路の道路管理者(国・都道府県・市町村など)に道路占用許可を申請します(道路法第32条第1項)。警察署長が出す道路使用許可(道路交通法第77条)とは別の許可で、両方が要る場面では、申請書を警察署長経由で出せる規定があります(同条第4項)。この記事は、e-Gov法令検索で道路法の条文を取得したうえで、申請先の見分け方から申請書の記入例、許可後の義務までを整理します。
結論
道路占用許可は、道路法第32条第1項にもとづく許可です。条文は「道路に次の各号のいずれかに掲げる工作物、物件又は施設を設け、継続して道路を使用しようとする場合においては、道路管理者の許可を受けなければならない」と定めています。同項第6号に「露店、商品置場その他これらに類する施設」、第1号に「広告塔」が挙がっています。
出典: 道路法(昭和二十七年法律第百八十号)e-Gov法令検索(2026年10月取得)
30秒でわかる道路占用許可
| 項目 | 答え | 条文 |
|---|---|---|
| 何をするときに要るか | 道路に工作物・物件・施設を設け、継続して使うとき | 第32条第1項 |
| 誰に出すか | その道路の道路管理者 | 第32条第1項・第2項 |
| 申請書に書くこと | 目的・期間・場所・構造・工事実施の方法・工事の時期・復旧方法の7事項 | 第32条第2項 |
| 警察の許可も要るとき | 申請書は警察署長経由で出せる。道路管理者は警察署長に協議する | 第32条第4項・第5項 |
| 許可される条件 | 道路の敷地外に余地がないためやむを得ないこと+政令の基準に適合 | 第33条第1項 |
| お金 | 占用料。額は道路管理者の条例(指定区間内の国道は政令) | 第39条 |
| 終わったら | 占用物件を除却し、道路を原状に回復 | 第40条第1項 |
| 無許可で占用すると | 1年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金の対象 | 第102条第1号 |
道路使用許可と道路占用許可の違い
| 道路使用許可 | 道路占用許可 | |
|---|---|---|
| 根拠 | 道路交通法第77条第1項 | 道路法第32条第1項 |
| 許可を出す人 | 所轄警察署長 | 道路管理者 |
| 条文の言い方 | 道路において一般交通に著しい影響を及ぼす行為など | 工作物・物件・施設を設け、継続して道路を使用 |
| 見ているもの | 交通への影響 | 道路に物を置くこと |
| 料金 | 手数料 | 占用料(第39条) |
Point
「道路使用許可を取ったから占用許可は要らない」は成り立ちません。 別の法律にもとづく、別の許可です。道路に物を置いて継続して使うなら、道路法第32条の側も要ります。
注意
道路使用許可そのものは道路使用許可の取り方で扱っています。のぼりや看板を出すなら、屋外広告物の条例も別に確認します(看板・のぼりと屋外広告物法)。
場面別|どちらの許可を確認するか
下の表は、条文の文言に照らして「どちらを確認すべきか」の目安です。該当するかどうかの最終判断は、道路管理者と警察署が行います。
| 場面 | 道路占用許可(道路法) | 道路使用許可(道路交通法) |
|---|---|---|
| 歩道に露店・物販テントを出す | 確認する(第32条第1項第6号「露店、商品置場」) | 確認する(第77条第1項第3号に露店・屋台等) |
| 店先の歩道に看板・広告塔を置く | 確認する(第1号「広告塔」) | 確認する(第2号に広告板等の工作物) |
| 道路でパレード・祭礼をする(物は置かない) | 物を設けないなら、第32条の定義の文言には当たりにくい | 確認する(第4号に祭礼行事) |
| 道路でロケ撮影をする | 機材や仮設物を継続して置くなら確認する | 確認する(第4号にロケーション) |
| 工事用の足場・資材置場を道路に出す | 確認する(道路に継続して置くなら。該当する号は窓口に確認) | 確認する(第1号に工事・作業) |
注意
道路交通法第77条第1項の各号は道路使用許可の取り方、撮影の場合はロケ撮影の道路使用許可で詳しく扱っています。
何が「占用」にあたるか|第32条第1項の7つの号
「道路の占用」は、第32条第2項第1号のかっこ書が「道路に前項各号の一に掲げる工作物、物件又は施設を設け、継続して道路を使用すること」と定義しています。鍵は「設け」と「継続して」です。対象は第1項の7つの号に列挙されています。
| 号 | 条文の文言 | イベントでの関係 |
|---|---|---|
| 第1号 | 電柱、電線、変圧塔、郵便差出箱、公衆電話所、広告塔その他これらに類する工作物 | 看板・広告塔 |
| 第2号 | 水管、下水道管、ガス管その他これらに類する物件 | 通常は少ない |
| 第3号 | 鉄道、軌道、自動運行補助施設その他これらに類する施設 | 通常は少ない |
| 第4号 | 歩廊、雪よけその他これらに類する施設 | 日よけ・アーケード状の仮設は窓口に確認 |
| 第5号 | 地下街、地下室、通路、浄化槽その他これらに類する施設 | 通常は少ない |
| 第6号 | 露店、商品置場その他これらに類する施設 | 露店・物販テント・キッチンカーの出店 |
| 第7号 | 前各号に掲げるもののほか、道路の構造又は交通に支障を及ぼすおそれのある工作物、物件又は施設で政令で定めるもの | 個別に窓口へ確認 |
Point
第7号の「政令で定めるもの」の中身は、この記事では確認していません。 政令(道路法施行令)は取得していないため書きません。個別の物件が該当するかは道路管理者にご確認ください。
申請先はどこか|道路管理者の見分け方
許可を出すのは「道路管理者」です。誰が管理者かは、道路の種類で決まります。 道路法の条文で整理すると次のとおりです。
| 道路の種類 | 管理する者 | 条文 |
|---|---|---|
| 国道(指定区間内) | 国土交通大臣 | 第13条第1項 |
| 国道(指定区間外) | その区域の都道府県 | 第13条第1項 |
| 都道府県道 | 路線の存する都道府県 | 第15条 |
| 市町村道 | 路線の存する市町村 | 第16条第1項 |
| 指定市の区域内の都道府県道など | 指定市 | 第17条第1項 |
注意
第13条第2項により、指定区間内の国道でも、維持・修繕・災害復旧以外の管理を都道府県または指定市が行うこととされる場合があります。また第17条第2項・第3項により、指定市以外の市は国道(都道府県が管理する部分)や都道府県道の管理を、町村は都道府県道の管理を、都道府県と協議し同意を得て行う場合もあります。道路の種類だけで窓口を決めつけず、会場前の道路について自治体の道路担当課に「この道路の管理者はどこか」を確認するのが確実です。
申請から撤去までの流れ
- 01
1. 使い方を書き出す
何を・どこに・いつからいつまで置くか。テント、看板、机、発電機、配線など道路に置くものを全部挙げます。
- 02
2. 道路管理者を特定する
上の表で道路の種類を確かめ、窓口(道路担当課・国道事務所など)を特定します。
- 03
3. 事前に相談する
受付期限・必要書類・図面の様式・所要日数は条文に定めがなく、窓口ごとの運用です。最初の連絡で確認します。
- 04
4. 申請書をつくる
第32条第2項の7事項を書きます(下に記入例)。
- 05
5. 警察の許可も要るか確かめる
道路使用許可も要るなら、第32条第4項により警察署長経由で申請書を出せます。道路管理者は第5項により警察署長に協議します。
- 06
6. 許可・条件を受ける
第34条により、他の工事との調整のために条件が付くことがあります。条件は現場のスタッフまで共有します。
- 07
7. 設置・運営
許可を受けた事項を変えるときは、第32条第3項によりあらかじめ変更の許可が要ります(政令で定める軽易なものを除く)。
- 08
8. 撤去・原状回復
第40条第1項により、期間満了・廃止のときは占用物件を除却し、道路を原状に回復します。
申請書の7事項と記入例
第32条第2項が列挙する7事項に、イベントで露店テントを出す場合の記入例を付けました。記入例は架空の例です。実際の様式・書き方は窓口の指示に従ってください。
| 事項(条文) | 記入例(架空・商店街の歩道に物販テント) | 書くときのコツ |
|---|---|---|
| 1. 占用の目的 | 商店街秋まつりにおける物販用テントの設置 | 催しの名前と、置く物の用途を一文で |
| 2. 占用の期間 | ○年○月○日 9時〜○月○日 18時(設営・撤去を含む) | 設営と撤去の時間を含めて書く |
| 3. 占用の場所 | ○○市○○町○丁目○番地先 市道○○線 歩道上(別添位置図のとおり) | 住所+路線名+歩道・車道の別。図面を添える |
| 4. 構造 | テント(間口○m×奥行○m)○張、机○台。重りで固定 | 寸法・数・固定方法を具体的に |
| 5. 工事実施の方法 | 人力で組み立てる。路面に穴を開けず、重りで固定する | 路面を傷つけない方法かどうかを書く |
| 6. 工事の時期 | 設営 ○月○日 7時〜9時/撤去 ○月○日 18時〜20時 | 設営・撤去の日時を分けて |
| 7. 道路の復旧方法 | 撤去後に清掃し、原状に回復する。損傷があれば申請者の負担で補修する | 第40条の原状回復を前提に書く |
ほかの場面での「目的」の書き方の例(いずれも架空の例):
- 店舗の看板:店舗営業の案内のための置き看板の設置
- キッチンカー出店:地域イベントにおける移動販売車の出店区画としての使用
- マルシェ:地域物産市における出店ブースおよび商品置場の設置
- ロケ撮影:映像撮影に伴う照明機材・テントの一時設置
- 工事:建物外壁改修工事に伴う足場および資材置場の設置
Point
申請の受付期限・必要書類・所要日数は、この記事では書きません。 条文に定めがなく、道路管理者ごとの運用だからです。日程が決まったら、まず窓口に聞いてください。
許可の基準|「道路の外に余地がない」こと
第33条第1項は、道路管理者が許可を与えることができるのは、道路の占用が第32条第1項各号に当たるもので「道路の敷地外に余地がないためにやむを得ないもの」であり、かつ、第32条第2項第2号から第7号までの事項について政令で定める基準に適合する場合に限る、と定めています。
- 道路の外に置ける場所があるなら、許可されにくい——申請時に「なぜ道路でなければならないか」を説明できるようにしておく
- 期間・場所・構造・工事方法・時期・復旧方法が政令の基準に合うかが見られる
注意
第33条第2項は、高架の道路の路面下に設ける施設や、道路管理者が指定する区域に設ける歩行者利便増進施設等など、特定の物件について第1項の「余地がない」要件にかかわらず許可できる特例を定めています。政令の基準の中身は、この記事では取得していません。
許可を受けたあとの義務
| 義務 | 内容 | 条文 |
|---|---|---|
| 変更の許可 | 7事項を変えるときは、あらかじめ道路管理者の許可(政令で定める軽易なものを除く) | 第32条第3項 |
| 許可の条件 | 工事の調整のために条件が付くことがある | 第34条 |
| 原状回復 | 期間満了・廃止のときは占用物件を除却し、道路を原状に回復する。道路管理者は必要な指示ができる | 第40条 |
| 監督処分 | 法令や許可条件に違反した者などに対し、許可の取消し、効力の停止、条件の変更、物件の除却、原状回復などを命じることができる | 第71条第1項 |
注意
第71条第2項は、違反がなくても、道路に関する工事のためやむを得ない必要が生じた場合などに、許可を受けた者に対して同様の処分ができるとしています。
占用料
第39条第1項は、道路管理者が「道路の占用につき占用料を徴収することができる」と定めています。
Point
占用料の金額は、この記事では書きません。 第39条第2項が、額と徴収方法を「道路管理者である地方公共団体の条例」(指定区間内の国道については政令)で定めるとしているためです。全国一律の額は存在しません。 見積には「道路占用料(条例による)」の行を立て、窓口で確認した額を入れます。
注意
第39条第1項ただし書は、国の行う事業および地方財政法第6条に規定する公営企業以外の地方公共団体の行う事業に係る占用については、この限りでないとしています。
申請前チェックリスト
- 道路に置くもの(テント・机・看板・のぼり・発電機・配線)を全部書き出した
- 会場前の道路の種類と道路管理者を確認した
- 窓口に受付期限・必要書類・図面の様式・所要日数を聞いた
- 設営・撤去の時間を含めた占用期間にした
- 「なぜ道路の外ではだめか」を説明できる(第33条第1項)
- 警察の道路使用許可も要るかを確認し、要るなら経由申請(第32条第4項)を窓口に相談した
- 看板・のぼりがあるなら屋外広告物の条例も確認した
- 見積に占用料の行を立てた
- 撤去後の清掃・原状回復の担当と時間を決めた
よくある失敗
- 道路使用許可だけ取って終わりにしている——別の許可です
- 占用料を見積に入れ忘れる——条例で決まるので事前に窓口へ
- 設営・撤去の時間を期間に入れていない——許可の期間外に物が道路に残る
- 当日に場所やテントの数を増やす——第32条第3項であらかじめ変更の許可が要ります
- 歩道上の看板を「置くだけ」と考える——第1項第1号に広告塔があります
- 撤去後の原状回復を誰がやるか決めていない——第40条の義務です
- 申請先を警察署だと思い込む——占用許可を出すのは道路管理者です(経由申請はできる場合がある)
注意
公園でのイベントは道路法ではなく都市公園法の占用許可です(公園でのイベント)。場所が変われば根拠法も変わります。
この記事の要点
- 道路に物を設けて継続して使うなら、道路管理者の道路占用許可(道路法第32条)。 警察の道路使用許可(道路交通法第77条)とは別。
- 申請先は道路の種類で決まる。 国道の指定区間内は国土交通大臣、都道府県道は都道府県、市町村道は市町村(第13条・第15条・第16条)。
- 申請書は7事項(第32条第2項)。 期間には設営・撤去を含め、復旧方法まで書く。
- 両方要るときは警察署長経由で申請書を出せる(第32条第4項・「できる」規定)。 道路管理者は警察署長に協議する(第5項)。
- 許可は「道路の外に余地がない」ことが前提(第33条第1項)。
- 終わったら除却と原状回復(第40条)。無許可の占用は罰則の対象(第102条第1号)。
- 占用料の額は条例で定まる(第39条第2項)。 全国一律の額は存在しない。
FAQ
よくある質問
その道路の道路管理者に出します。道路法上、国道の指定区間内は国土交通大臣、指定区間外の国道と都道府県道は都道府県、市町村道は市町村が管理し、指定市の区域内の都道府県道などは指定市が管理します。会場前の道路の管理者は、自治体の道路担当課に確認するのが確実です。道路使用許可も必要な場合は、第32条第4項により警察署長を経由して申請書を出すことができます。
根拠法と許可権者が違います。道路使用許可は道路交通法第77条第1項にもとづき所轄警察署長が出すもので、交通への影響を見ます。道路占用許可は道路法第32条第1項にもとづき道路管理者が出すもので、道路に工作物・物件・施設を設けて継続して使用することを見ます。片方を取ればもう片方が不要になる関係ではありません。
この記事では個別の当てはめは行っていません。条文の定義の鍵は「工作物、物件又は施設を設け」と「継続して道路を使用」という言葉で、物を置かずに通行するだけの使い方は、この定義の文言には当たりません。ただし露店やテント、看板などを置くなら該当しうるため、計画の段階で道路管理者に確認してください。交通への影響は別に道路使用許可の側で見られます。
道路法第32条第1項第6号は「露店、商品置場その他これらに類する施設」を挙げています。同条は、これらを道路に設けて継続して道路を使用しようとする場合に道路管理者の許可を受けなければならないと定めています。個別の計画が該当するかは、場所を管理する道路管理者にご確認ください。
道路法第32条第2項が7つを列挙しています。占用の目的、占用の期間、占用の場所、工作物・物件・施設の構造、工事実施の方法、工事の時期、道路の復旧方法です。期間には設営と撤去の時間を含め、場所は住所・路線名・歩道か車道かを図面と合わせて示すと伝わりやすくなります。受付期限・必要書類・所要日数は条文に定めがなく、道路管理者ごとの運用です。
道路法第33条第1項は、占用が第32条第1項各号に当たり、道路の敷地外に余地がないためにやむを得ないものであり、かつ、期間・場所・構造などが政令で定める基準に適合する場合に限り、許可を与えることができると定めています。申請時には、なぜ道路でなければならないかを説明できるようにしておきます。
道路法第32条第4項は、許可に係る行為が道路交通法第77条第1項の適用を受けるものである場合、申請書の提出を管轄の警察署長を経由して行なうことができると定めています。また第5項は、道路管理者が許可を与えようとするときはあらかじめ警察署長に協議しなければならないとしています。ただし第4項は「できる」規定なので、実際の運用は申請先にご確認ください。
道路法第102条第1号は、第32条第1項の規定に違反して道路を占用したときに、1年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金に処すると定めています。また第71条第1項により、道路管理者は違反している者に対して物件の除却や原状回復などを命じることができます。
この記事では書いていません。道路法第39条第2項が、占用料の額と徴収方法を道路管理者である地方公共団体の条例(指定区間内の国道については政令)で定めるとしているためです。全国一律の額は存在しないので、該当する道路管理者の条例をご確認ください。
道路法第32条第3項は、許可を受けた者が同条第2項各号の事項を変更しようとする場合、あらかじめ道路管理者の許可を受けなければならないと定めています。ただし道路の構造または交通に支障を及ぼすおそれがないと認められる軽易なもので政令で定めるものは除かれます。その政令の内容はこの記事では確認していません。
道路法第40条第1項により、占用の期間が満了したときや占用を廃止したときは、占用物件を除却し、道路を原状に回復しなければなりません。原状に回復することが不適当な場合はこの限りでなく、道路管理者は必要な指示をすることができます(同条第2項)。