許認可
イベント上空のドローン
条文が「催し」を名指ししている
イベントを上から撮りたい、という相談はよくあります。しかし航空法は「催し」を条文の中で名指ししています。 この記事は、何が制限され、何をすれば飛ばせるのかを条文で整理します。
結論
航空法第132条の86第2項は、無人航空機を飛行させる者が従うべき方法を列挙しています。その第4号が、「祭礼、縁日、展示会その他の多数の者の集合する催しが行われている場所の上空以外の空域において飛行させること」です。催しの上空を飛ばすことは、この方法に従わない飛行にあたります。
出典: 航空法(昭和二十七年法律第二百三十一号)e-Gov法令検索(2026年10月取得)
条文が定める飛行の方法
第132条の86第2項が挙げる6つです。催しの上空は第4号にあたります。
| 号 | 条文の文言 |
|---|---|
| 第1号 | 日出から日没までの間において飛行させること |
| 第2号 | 当該無人航空機及びその周囲の状況を目視により常時監視して飛行させること |
| 第3号 | 地上又は水上の人又は物件との間に国土交通省令で定める距離を保つて飛行させること |
| 第4号 | 祭礼、縁日、展示会その他の多数の者の集合する催しが行われている場所の上空以外の空域において飛行させること |
| 第5号 | 爆発性又は易燃性を有する物件その他人に危害を与える物件で国土交通省令で定めるものを輸送しないこと |
| 第6号 | 国土交通省令で定める場合を除き、当該無人航空機から物件を投下しないこと |
注意
第2項の柱書は、技能証明を受けた者が機体認証を受けた無人航空機を飛行させる場合を除き、これらの方法によらなければならないと定めています(立入管理措置を講ずることなく飛行させるときは、一等無人航空機操縦士の技能証明を受けた者が第一種機体認証を受けた無人航空機を飛行させる場合に限る、という限定が付きます)。
Point
第3号の距離と、第5号・第6号で除かれるものは、この記事では書きません。 いずれも「国土交通省令で定める」ものであり、省令を取得していないためです。
催しの上空を飛ばすには
第132条の86第3項が、第2項の方法によらない場合の手続きを定めています。
Point
条文は、第2項各号に掲げる方法のいずれかによらずに飛行させる者は、国土交通省令で定めるところにより、「あらかじめ、その運航の管理が適切に行われることについて国土交通大臣の承認を受けて、その承認を受けたところに従い、これを飛行させなければならない」としています。
注意
条文の言葉は「承認」です。空域についての「許可」(第132条の85第2項)とは別の言葉が使われています。催しの上空は飛行の方法の問題なので、承認の側です。
空域の側の制限
第132条の85第1項は、飛行の禁止空域を2つ挙げています。
- 第1号: 無人航空機の飛行により航空機の航行の安全に影響を及ぼすおそれがあるものとして国土交通省令で定める空域
- 第2号: 前号以外の空域であつて、国土交通省令で定める人又は家屋の密集している地域の上空
注意
第132条の85第2項は、これらの空域について、国土交通大臣がその運航の管理が適切に行われるものと認めて許可した場合でなければ飛行させてはならないと定めています。
Point
市街地の会場では、催しの上空(承認)と密集地域の上空(許可)が重なることがあります。 条文上は別の規定です。片方だけ見て済ませないでください。
常に守る方法
第132条の86第1項は、技能証明の有無にかかわらず従うべき方法を定めています。
- アルコール又は薬物の影響により正常な飛行ができないおそれがある間において飛行させないこと
- 国土交通省令で定めるところにより、飛行に必要な準備が整つていることを確認した後において飛行させること
- 航空機又は他の無人航空機との衝突を予防するため、国土交通省令で定める方法により飛行させること
- 飛行上の必要がないのに高調音を発し、又は急降下し、その他他人に迷惑を及ぼすような方法で飛行させないこと
注意
第132条の85第4項および第132条の86第5項は、係留することにより飛行の範囲を制限した上で行う飛行その他国土交通省令で定める方法による飛行の場合などに、これらの規定を適用しないと定めています。省令の内容はこの記事では確認していません。
発注前に決めておくこと
- 誰が承認を取るのか——主催か、撮影会社か。契約書に書く
- 承認はあらかじめ取るもの——第3項の条文が「あらかじめ」としています
- 会場が密集地域かどうか——空域の許可が別に要る場合があります
- 飛ばす時間帯——第2項第1号は日出から日没までです
- 来場者への告知——上を飛ぶことを知らせる。撮影した映像に来場者が映る場合の扱いも伝える(イベントの撮影とSNS掲載)
- 中止の判断基準——風と雨。誰が決めるかまで(リスク管理)
Point
申請の所要日数・手数料は、この記事では書きません。 条文に定めがないためです。撮影を前提に進める前に、確認してください。
注意
重量の基準値もこの記事では書きません。条文は「国土交通省令で定める総重量」としており、省令を取得していないためです。
この記事の要点
- 航空法第132条の86第2項第4号が「催し」を名指ししている。 催しの上空は、飛行の方法から外されている。
- その方法によらないなら、第3項の「承認」をあらかじめ受ける。
- 「承認」(飛行の方法)と「許可」(空域・第132条の85第2項)は別の言葉。
- 市街地では、催しの上空と密集地域の上空が重なることがある。 別の規定なので両方見る。
- 第2項第1号は日出から日没まで。 夜間の演出は、この方法によらない飛行になる。
- 省令で定まるもの(距離・重量)は書かない。 条文は「国土交通省令で定める」としか言っていない。
FAQ
よくある質問
条文は「飛行させる者」に承認を求めています。撮影会社が飛ばすなら、その会社が承認を受ける立場になります。ただし主催者としては、誰が承認を取るのかを契約書に書き、承認があらかじめ取れていることを確認してください。会場が人又は家屋の密集している地域なら空域の許可が別に要る場合があり、飛ばす時間帯、来場者への告知、風や雨での中止の判断基準も、発注の前に決めておきます。
航空法第132条の86第2項第4号は、飛行の方法のひとつとして「祭礼、縁日、展示会その他の多数の者の集合する催しが行われている場所の上空以外の空域において飛行させること」を定めています。つまり催しの上空を飛ばすことは、この方法に従わない飛行にあたります。同条第3項により、あらかじめ国土交通大臣の承認を受けて、その承認を受けたところに従って飛行させる必要があります。
条文で使い分けられています。空域については第132条の85第2項が「国土交通大臣がその運航の管理が適切に行われるものと認めて許可した場合」と定め、飛行の方法については第132条の86第3項が「国土交通大臣の承認を受けて」と定めています。催しの上空は飛行の方法の問題なので、承認の側です。市街地の会場では両方が重なることがあります。
第132条の86第2項が6つを挙げています。日出から日没までの間に飛行させること、目視により常時監視して飛行させること、人や物件との間に国土交通省令で定める距離を保つこと、催しが行われている場所の上空以外で飛行させること、爆発性または易燃性を有する物件等を輸送しないこと、物件を投下しないことです。なお距離の具体的な値は省令の定めで、この記事では確認していません。
第132条の86第2項第1号は「日出から日没までの間において飛行させること」を方法として定めています。夜間の飛行はこの方法によらない飛行にあたるため、同条第3項の承認の対象になります。なお第2項の柱書は、技能証明を受けた者が機体認証を受けた無人航空機を飛行させる場合を除くとしています。
条文は「国土交通省令で定める総重量」という書き方をしており、具体的な数値は省令で定まります。この記事では省令を取得していないため、重量の基準値は書いていません。確認していないことを確認したかのように書かない方針です。
誰が承認を取るのかを契約書で明確にしてください。第132条の86第3項は「あらかじめ」承認を受けると定めており、当日になってからでは間に合いません。あわせて、会場が人又は家屋の密集している地域にあたる場合は第132条の85第2項の許可が別に必要になりうるため、どちらを誰が確認するかも決めておいてください。